コンパスシリーズ
コンパス物理化学改訂第3版
編集 | : 輿石一郎/日野知証 |
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ISBN | : 978-4-524-40368-4 |
発行年月 | : 2019年12月 |
判型 | : B5 |
ページ数 | : 278 |
在庫
定価4,840円(本体4,400円 + 税)
- 商品説明
- 主要目次
- 序文
「わかりやすい・ミニマムエッセンス」をコンセプトとした物理化学の教科書。薬剤師国家試験、薬学教育モデル・コアカリキュラム対応。「見た目」からの理解のために図表を多く用い、身近な具体例や薬学他科目へのつながりも紹介して興味をもたせることを意識した。今改訂では、章末問題(Exercise)の充実化や一部記述内容の見直しを図り、より理解しやすい内容とした。
0章 物理化学を学ぶ前に
A 指数と対数
B 微分,積分
C 物理量と単位,および単位の変換
I部 分子をミクロでみる
1章 化学結合
A 原子,分子,イオン
B 化学結合の種類
C 分子軌道
D 軌道の混成と共有結合の方向性
E 共役と共鳴
2章 原子・分子の挙動
A ミクロの世界をとらえる
B 分子のエネルギーと電磁波の吸収と放出
C スピンによる電磁波吸収
D 偏光した光と分子の相互作用
E 光の基本的性質
II部 分子をマクロでみる
II-1 集合体としての分子間に作用するエネルギーについて理解する
3章 分子間相互作用
A 静電相互作用
B 双極子間相互作用
C ファンデルワールス相互作用
D 水素結合
E 電荷移動相互作用
F 疎水性相互作用
4章 気体の微視的状態と巨視的状態
A 理想気体の状態方程式とファンデルワールスの状態方程式
B 気体の分子運動と圧力およびエネルギー
C エネルギーの量子化とボルツマン分布
5章 エネルギー
A 力,仕事,エネルギー
B 系と状態関数
C 熱力学第一法則とエンタルピー
D 熱容量
E 可逆変化と不可逆変化
F 物理変化,化学変化に伴うエンタルピー変化
6章 自発的な変化
A 熱力学第二法則とエントロピー
B 熱力学第三法則と絶対エントロピー
C 自由エネルギー
7章 化学平衡の原理
A 化学平衡とギブズエネルギー
B 共役反応
8章 溶液の性質
A 理想溶液と実在溶液
B 束一的性質
C 電解質水溶液の性質
II-2 集合体としての分子の挙動:平衡論について理解する
9章 相平衡
A 純物質の性質
B 混合物の性質
C 溶解度と溶液平衡
D 平衡定数
E 分配平衡
10章 界面化学
A 表面張力
B 表面張力の測定法
C 界面活性剤
D コロイド分散系
E 吸着等温式
11章 電気化学
A 化学エネルギーの電気化学エネルギーへの変換
B 起電力とネルンストの式
C 電極電位と電池の応用
D 膜電位とその応用
III部 物質の変化について理解する
12章 反応速度論
A 反応速度式
B 反応次数と反応速度式
C 反応次数の決定法
D みかけの反応速度
E 複合反応
F 反応速度の温度依存性
G 反応座標と活性化エネルギー
H 触媒反応
13章 放射線と放射能
A 放射性核種と放射壊変
B 放射線と物質との相互作用,および放射線
C 薬学に関連する放射性核種とその製造法
熱力学データ
Exercise解答・解説
本書で対応する薬学教育モデル・コアカリキュラム一覧
索引
改訂第3版の序
薬学教科書「コンパスシリーズ」の1つである本書は、平成25年度に改訂された改訂薬学教育モデル・コアカリキュラムに合わせるべく、改訂第2版を2014年に発行した。物理化学教育は、大学によっては、「理論化学」の科目名で実施されている場合があり、エネルギーの概念が広くちりばめられており、表面的に取り組むことの困難な学問である。しかしながら、われわれの生命が宿る生体はさまざまな物質の集合体であり、“物質を微視的に見る”、あるいは“物質を巨視的に見る”ための基礎的な理論は生体を理解するために深く取り組むことが求められる学問である。生体では物質同士がダイナミックに活動しており、その繊細なバランスが生体の恒常性を育んでいる。この活動を理解する学問に、生物物理化学がある。この学問は、生体のさまざまな事象を物理化学的な観点から理解しようとするものであり、生物化学と物理化学の境界領域の趣が強い。すなわち、生命現象を説明するための学問として、ぜひ、学生に理解してもらいたい領域である。薬学領域を広く網羅する生命科学的・自然科学的な事象を説明するための理論として、物理化学の重要度は変わっていない。
改訂第2版の発行から5年が経ち、著者の先生方にも変化があり、改訂第3版を発行する運びとなった。改訂にあたり、本書を採用いただいている先生方からのご要望、新たな知見の挿入、「見た目」からの理解の向上を改訂方針とした。しかしながら、初版、改訂第2版と、本書の特長であるミニマムエッセンスの解説、“コラム”の設定、“キーワード”説明、“ここにつながる”、“ポイント”、“Exercise”、“アドバンス”はしっかりと継承している。
内容、用語には、できる限りの注意を払い、わかりやすくかつ最新のものを掲載することに努めてきたが、すべてが適切とはいい難い。諸先生はじめ、読者のご批判やご教示を仰ぎながら、本書が薬学教育においてこの分野での“よきコンパス”として利用されることを期待してやまない。
改訂第3版の出版にあたり終始お世話いただいた南江堂出版部の飯島純子氏、野澤美紀子氏、山本奈々氏に執筆者を代表して心からお礼を申し上げたい。
2019年10月
輿石一郎
日野知証