雑誌

No.86 整形外科外来診療の工夫

編集 : 安達伸生
ISBN : 978-4-524-27786-5
発行年月 : 2024年10月
判型 : A4
ページ数 : 176

在庫あり

定価7,480円(本体6,800円 + 税)

  • 新刊

  • 商品説明
  • 主要目次
  • 序文

整形外科外来の日常診療で扱う疾患は多種多様であり,その疾患概念や診断・検査方法,保存療法や外来手術の方法などは日々発展,進化している.その情報量は膨大であり,整形外科医が知識のアップデートをするのは容易ではない.本号では現場で役立つ日常診療の工夫やコツを幅広く収載し,1冊で最新の診断技術や保存療法の実際,さらには外来手術についても学べる構成とした.

T.総   論
 1.検査・診断
  坐位と仰臥位のX線側面像を用いた胸腰椎不安定性の評価法 遠藤照顕
  早期手術を含めた発育期急性期腰椎分離症の系統的かつ効率的な診断手順と治療戦略 辰村正紀
  爪下腫瘍の画像診断 西川真史

 2.薬物療法
  骨粗鬆症に対する骨吸収抑制薬の使い分け 久保田 聡
  変形性膝関節症にS-flurbiprofen plasterを用いた使用経験 井口公貴
  変形性膝関節症に対する超音波ガイド下内側側副靱帯滑液包内多血小板血漿(PRP)療法 草場洋平
 
 3.エコー下インターベンション
  脊椎エコー ―診断的治療としての使用 石元優々
  超音波ガイド下頚椎神経根ブロックの短期治療成績 三浦正敬
  肩関節診療におけるエコー使用の有効性 土山耕南
  超音波診断装置を用いた股関節疾患の診断と治療 植木慎一
  腰椎に起因する軽度の下垂足(足関節背屈筋力低下)に対する神経根ブロックによる治療 長沢謙次
 
 4.装具療法
  仙腸関節障害に有効な骨盤ベルトの種類と装着方法の検討 遠藤由紀子
 
 5.リハビリテーション
  急性腰痛症に対する前庭リハビリテーションの可能性 畠山智行
 
 6.その他
  橈骨遠位端骨折後患者に対する骨粗鬆症治療介入のための取り組み 赤羽美香


U.部位別疾患と保存療法
 1.脊  椎
  骨粗鬆症性椎体骨折で難治例をつくらないための初期マネジメント 船山 徹
  胸腰椎移行部における新鮮椎体骨折に対する保存療法(ギャッチアップ治療)について 木戸佑基
  椎間板性腰痛 ―診断と全内視鏡下脊椎手術 水谷幸三郎
  成長期腰椎分離症の診断と保存療法 寺門 淳
 
 2.肩 関 節
  胸鎖関節炎の診断と治療 長沢謙次
  石灰沈着性腱板炎に対する超音波ガイド下治療 都竹伸哉
  凍結肩の診断と治療 西頭知宏
 
 3.手・手関節
  重度手根管症候群に対する外来での電流知覚閾値検査を用いた知覚評価 土田真嗣
  日帰り手術で施行した単指近位指節間関節変形性関節症に対する人工指関節置換術 葛原絢花
 
 4.足・足関節
  初期治療における足関節脱臼骨折に対する整復と外固定の工夫 ―重力補助足関節整復法(GARA法)による初期治療の小経験 安藤治朗
  足部捻挫による立方骨骨折 長沢謙次
  足部外側痛および足底部痛の原因としての長腓骨筋腱炎と立方骨疲労骨折 長沢謙次

V.その他
  悪性腫瘍が原因であった肩甲部痛の3例 中島浩敦
  手足末梢神経障害(ニューロパシー)の鑑別診断とそのコツ 井尻慎一郎
  外来診察における処方箋疑義照会の傾向と回避された有害事象の検討 大下優介
  整形外科医療機関における医療安全の工夫 ―診療録開示への対応 森川圭造



 広く運動器疾患を扱う整形外科の外来では,正確な診断のもと適切な保存療法の選択や外来での小手術がたいへん重要です.日々の整形外科外来診療において扱う整形外科疾患は多種多様であり,その疾患概念や診断・検査方法,保存療法の内容や外来手術の方法などは発展,進化しています.たとえば,エコーを用いた低侵襲でダイナミックな診断やインターベンションは整形外科外来診療において必須となりつつあります.読者の皆様も広く活用されていることと思います.また,多血小板血漿(PRP)などの再生医療も関連法の整備が進み,実際の医療現場で行われ,その適応や効果について患者さんから質問を受けることも多くなっております.しかし,整形外科外来診療における情報量は膨大であり,多くの疾患にわたる検査・診断,保存療法,外来手術手技の知識のアップデートは決して容易ではありません.
 本特集号のテーマは「整形外科外来診療の工夫―診断,保存療法,外来手術」です.整形外科外来日常診療のピットフォール,最新の診断技術の解説や,疾患ごとの具体的な保存療法の実際,また外来手術や日帰り手術などについて,先生方が持っておられる知識や情報,ちょっとしたコツなどを網羅する企画といたしました.前半の総論においては検査・診断,薬物療法,エコー下インターベンションなどについて詳細に解説いただき,また後半の「部位別疾患と保存療法」では疾患別に有意義な情報の詳細を述べていただいております.明日からの外来診療にすぐに役立つような内容になっております.
 すべての執筆者の先生方に厚く御礼を申し上げるとともに,本書が読者の皆様の外来での診断・治療に役立つことができれば幸いです.ぜひご一読ください.

 2024年10月

広島大学教授
安達伸生

9784524277865