別冊整形外科
No.85 小児整形外科up-to-date
編集 | : 松田秀一 |
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ISBN | : 978-4-524-27785-8 |
発行年月 | : 2024年4月 |
判型 | : A4 |
ページ数 | : 246 |
在庫
定価7,480円(本体6,800円 + 税)
- 商品説明
- 主要目次
- 序文
小児整形外科の発展はめざましく,骨系統疾患などの病態解明がすすみ,超音波検査などの画像診断も進歩している.変形矯正などの外科的治療においてもさまざまな工夫がなされ,また脳性麻痺の治療も近年大きな進歩を遂げている.本号では運動器検診や画像評価、外傷や各種小児疾患への対応など,小児整形外科のあらゆる診療分野を収載.最新の情報提供から日常診療におけるコツまで幅広く取り上げ,小児整形外科医にもその他の整形外科専門医にも役立つ一冊.
T.総論
1.検診
運動器検診による運動器機能評価と今後の展望 木村美緒
愛媛県内における乳児股関節検診新システム―母子手帳貼り付け型チェックシートの導入 佐野敬介
北海道における野球肘検診の取り組み 沼口京介
北海道における野球肘検診―新型コロナウイルス感染症(COVID—19)流行前後の比較 池 翔太
2.画像評価
CT類似MRIの可能性 木下 大
発育期急性期腰椎分離症におけるCT類似MRIによる病期評価 辰村正紀
単純性股関節炎と化膿性股関節炎の鑑別は超音波検査で可能か 都丸洋平
3.被虐待児症候群
児童虐待の鑑別における整形外科的要点と最近のトピックス 中川敬介
U.外傷
1.骨折
1)上腕骨顆上骨折
上腕骨顆上骨折の診断と治療 福田良嗣
小児上腕骨顆上骨折血管損傷例の対応 中川敬介
2)大腿骨骨折
小児大腿骨骨幹部骨折治療のup-to-date 依光正則
2.肘内障
小児肘内障治療におけるピットホール―小児肘内障と診断された肘関節周辺骨折の4例 森川圭造
3.スポーツ外傷・障害
1)膝関節
小児脛骨顆間隆起骨折に対する鏡視下プルアウト法の治療成績 寺嶋 祥
2)野球肘
学童期における野球肘の最新知見 道信龍平
3)その他
スポーツによる小児胸郭出口症候群 佐竹寛史
V.上肢疾患
1.分娩麻痺
分娩麻痺の病態把握と治療戦略 高木岳彦
2.上肢の先天異常
母指多指症の診断と治療 稲葉尚人
整形外科医が対応する四肢先天異常―多指(趾)症,合指(趾)症の治療 新谷康介
3.内反肘・外反肘
内反肘と外反肘の病態と治療 福田良嗣
4.その他
小児上肢変形に対する三次元シミュレーション手術 新谷康介
W.下肢疾患
1.発育性股関節形成不全
1)画像評価
MRIを活用した発育性股関節形成不全の多角的評価 塚越祐太
2)広範囲展開法
発育性股関節形成不全に対する観血的整復術―広範囲展開法の手術手技と治療成績 滝 直也
3)骨切り術
Salter骨盤骨切り術の短期成績 佐野敬介
2.下肢の先天異常
先天性脛骨欠損症に対する小児期下肢再建治療―成人に達した2例から工夫された現在の方法 落合達宏
3.脚長不等
骨延長後の腓骨長と下肢アライメント 岡 佳伸
Ollier病に伴う下肢変形に対する創外固定手術 小松繁允
4.その他
小児下腿内捻に対するIlizarov創外固定器を用いた矯正骨切り術 芝ア真人
X.体幹疾患
1.筋性斜頚
筋性斜頚に対する胸鎖乳突筋部分切除術 佐野敬介
2.環軸関節回旋位固定
環軸関節回旋位固定のup-to-date 魚谷弘二
3.症候性側弯症
小児神経筋性側弯症手術の実際 中村直行
早期発症型症候性側弯症に対するone-way self-expanding rodを用いたgrowth guidance surgery 町田正文
4.その他
Ehlers–Danlos症候群における脊柱変形 上原将志
Y.骨腫瘍
1.良性骨腫瘍
膝周囲に発生した非骨化性線維腫の疫学調査 江森誠人
小児大腿骨近位孤立性骨嚢腫の病的骨折に対する自家腓骨支柱移植とロッキングプレートによる内固定の経験 中島浩敦
2.悪性骨腫瘍
骨肉腫治療up-to-date 板野拓人
Z.筋・神経疾患
1.脳性麻痺
1)外科的治療
脳性麻痺の側弯に対するone-way self-expanding rod,経皮的腸仙骨スクリューを併用した
新たなgrowth guidance surgery―低侵襲アプローチによる強固な固定法 町田正文
2)その他
脳性麻痺患者に対する装着型サイボーグを用いたロボットリハビリテーションの効果と最新の動向 俣木優輝
2.二分脊椎
二分脊椎患者の股関節脱臼に対する手術 小沼早希
二分脊椎の踵足変形に対する前脛骨筋腱後方移行術 水野稚香
二分脊椎の股関節脱臼に対する外腹斜筋移行術―筋移行術と骨切り術を施行し20年経過した1例 橋祐子
[.炎症性疾患
1.若年性特発性関節炎
若年性特発性関節炎の診断・治療―整形外科医の立場から 細見 僚
4歳未満で若年性特発性関節炎を発症し当科受診を経て診断・治療にいたった症例の検討 下園芙紗子
2.慢性再発性多発性骨髄炎
慢性再発性多発性骨髄炎の6例 大槻 大
3.その他
関節炎を合併した家族性地中海熱の2例 山本幸祐
序
整形外科が担当する診療領域はたいへん広いこともあり,専門性高く診療を行っている先生も多いかと思います.しかし,どのような領域を専門的に診療していても小児患者への対応は必要であり,小児整形外科の重要性は今後もかわることはありません.小児整形外科における最近の診断・治療の進歩はめざましいものがあり,本特集号のテーマは「小児整形外科up-to-date」とさせていただきました.多くのご投稿をいただくことができ,ご執筆いただいた先生方には心より御礼申し上げます.
本号ではまず総論として検診の項目から始めています.運動器検診が始まり,整形外科医の役割はさらに大きくなると思われますし,スポーツ障害の予防のための検診も重要性が増してくることは間違いありません.また,超音波やMRIなどの画像診断の進歩は著しく,被曝を抑え検査回数を少なくする意味でも,CT類似MRIを用いた評価が進んできています.
手術手技に関しては,小児整形外科の分野でもさまざまな工夫や最新の機器を用いた手術が行われています.変形矯正は重要な手術手技の一つですが,三次元シミュレーションや創外固定を用いた手術もさらに洗練されたものになってきています.側弯症手術においても,術後の成長に対応するためにexpanding rodを用いるなど,新しい試みが行われています.リハビリテーションはときに長期にわたるため,小児整形外科においても大切な分野です.本号ではロボットリハビリテーションについてのご投稿をいただきましたが,今後拡張現実(AR),仮想現実(VR)など新しい技術を用いたリハビリテーションも進んでいくことが期待されます.
以上のように,診断・治療などについて最新の取り組みを最前線でご活躍の先生方からご執筆いただきました.小児整形外科を専門にされている先生方にはもちろん,整形外科診療に関わるすべての皆様にとっても有意義な情報が満載となっております.ぜひ明日からの臨床に役立てていただければ幸いです.
2024年4月
京都大学教授
松田秀一