雑誌

別冊整形外科

No.73 スポーツ傷害の予防・診断・治療

編集 : 安達伸生
ISBN : 978-4-524-27773-5
発行年月 : 2018年4月
判型 : A4
ページ数 : 242

在庫僅少

定価6,930円(本体6,300円 + 税)


  • 商品説明
  • 主要目次
  • 序文

「スポーツ傷害」はいわゆるオーバーユースによる「スポーツ障害」と1回の外力による「スポーツ外傷」に大別され、脊椎や四肢の各関節に多様な病態が生じる。近年の脊椎、四肢関節の詳細な解剖やバイオメカニクスなどの基礎研究、種々の治療法に関する臨床研究の進展、画像検査や評価法の進歩、新しい治療機器、薬剤の導入により、スポーツ傷害に対する診断・治療は大きな変遷をとげている。また、傷害発生そのものを予防しようとする取り組みも盛んである。本特集では幅広く新しい知見や最新の技術、診断・治療方法、治療機器を網羅した。

I.総論
 1.スポーツ傷害予防
  スポーツ障害予防への歩み−過去から現在,そして未来に向けて
  スポーツ傷害予防トレーニングプログラムの開発
  高校野球投手における試合時の投球数・イニング数と体の痛みおよび投球パフォーマンスとの関係
  高校野球選手における投球フォーム自己評価−体の痛みや投球パフォーマンスとの関係
  大学ラグビーフットボール選手の腰椎椎間板変性の経時的変化と障害予防対策−2016年(初年)度経過報告
  第5中足骨疲労骨折(Jones骨折)の予防
 2.検診
  少年野球選手に対する野球検診義務化の取り組み
  サッカー選手のOsgood病予防に向けた定期的超音波検診と下肢柔軟性測定
  高校部活動のメディカルチェックにおいて超音波診断装置を用いた試み
 3.画像診断
  関節軟骨損傷に対する治療選択ならびに最近の知見
  CT所見による上腕骨小頭離断性骨軟骨炎の不安定性分類の試み
  足関節捻挫における超音波検査の有用性
 4.新しい治療機器・薬剤
  スポーツ外傷・障害に対する多血小板血漿(PRP)療法
  難治性上腕骨外側上顆炎に対する体外衝撃波治療の経験
  難治性ジャンパー膝に対する体外衝撃波療法
  難治性ランニング障害に対する体外衝撃波治療
  難治性第5中足骨基部骨折に対する体外衝撃波治療
II.部位別各論
 1.脊椎
  スポーツにおける頚椎頚髄損傷−ラグビーを中心に
  脊椎・脊髄損傷の診断・治療の最前線
  大学ラグビー選手の頚椎椎間板変性
  スノーボード競技における脊椎外傷の特徴・治療・予防
  腰椎分離症治療のupdate
  成長期腰椎分離症のCT矢状断像による診断・治療
 2.肩
  胸鎖関節・肩鎖関節・肩関節脱臼に対するスポーツ復帰に向けた予防と治療
  野球選手の肩関節超音波画像所見−posterosuperior impingement(PSI)の有無と後方関節窩・関節唇の形態
  アスリートにおける外傷性腱板疎部損傷に対する関節鏡視下手術の成績
 3.肘
  難治性上腕骨外側上顆炎における鏡視下手術前後のMRIによる画像評価と術後成績
  保存的治療が無効であった上腕骨内側上顆炎に対する観血的治療
 4.手・手関節
  小学生・中学生・高校生野球選手における投球時の上肢のしびれと特徴
  骨性槌指陳旧例に対する鋼線締結法の治療成績
 5.膝
  前十字靱帯再建術後リハビリテーション−機能回復とスポーツ復帰
  内側半月板後根断裂の診断と治療−診断率と手術手技の向上をめざして
  半月板損傷に対する縫合術
  伸展位から深屈曲位までの移植腱張力変化に基づいた内側膝蓋大腿靱帯再建術の術後成績
  ジャンパー膝−膝蓋腱症
  Osgood-Schlatter病に対する運動器超音波診療
  Speed bridge法を利用した膝伸展機構の再建
  膝離断性骨軟骨炎における鏡視下骨釘移植術の有用性と限界
  離断性骨軟骨炎に対する手術的治療およびスポーツ復帰
  膝骨軟骨病変に対する自家骨軟骨移植術後のスポーツ復帰
 6.下腿
  下腿疲労骨折における治療期間
  脛骨・腓骨骨幹部疲労骨折の診断と治療
 7.足・足関節
  アスリートにおけるアキレス腱断裂に対する手術的治療の成績
  腓腹筋筋膜を用いて再建を行った陳旧性アキレス腱断裂およびアキレス腱再断裂の治療成績
  トップアスリートのos subtibialeを合併した足関節挫傷に対する治療−経験と文献的考察
  バレエダンサーの三角骨傷害
  スポーツに起因する外脛骨障害の治療



 近年、競技スポーツ選手のみならず、小児から高齢者まで各年代層でスポーツ愛好家が増加しています。スポーツは競争的な競技種目であるだけではなく、精神的また肉体的健康増進や生活習慣病の予防などにも大いに役立っています。しかし一方、運動量や運動方法を誤ると四肢や体幹に傷害を引き起こし、スポーツ活動だけでなく時には日常生活などにも支障をきたし、各年代において「スポーツ傷害」の増加が大きな問題となっています。
 「スポーツ傷害」はいわゆるオーバーユースによる「スポーツ障害」と1回の外力による「スポーツ外傷」に大別され、脊椎や四肢の各関節に多様な病態が生じます。近年の脊椎、四肢関節の詳細な解剖やバイオメカニクスなどの基礎研究、種々の治療法に関する臨床研究の進展、画像検査や評価法の進歩、新しい治療機器、薬剤の導入により、スポーツ傷害に対する診断・治療は大きな変遷を遂げています。また、傷害発生そのものを予防しようとする取り組みも盛んとなり、大きな成果をあげている競技や疾患もあります。しかし、それらのスポーツ傷害に関する膨大な最新情報や知識を適切に、効果的に獲得することは容易ではありません。
 今回は「スポーツ傷害の予防・診断・治療」として、幅広くスポーツ傷害における新しい知見や最新の技術、治療方法、治療機器に関して募集したところ、多くの先生方からご投稿いただきました。日々の日常診療に大変お忙しい中、ご執筆いただいた先生方にこの場を借りまして心より感謝いたします。ご覧いただけますように、本特集の内容は、広く脊椎から四肢の関節に及ぶ最新情報のみならず、現行の一般的な診断・治療方法なども網羅する大変貴重な特集となりました。総論ではスポーツ傷害の予防、検診、画像診断から体外衝撃波、PRPなどの最新治療について詳しく述べられています。また、各論では身体部位別に大変興味深い論文を数多くご投稿いただきました。
 本特集が皆様のスポーツ傷害に対する日常診療の一助になり、スポーツ傷害に苦しむ患者さんの治療に貢献することができれば幸いです。

2018年4月
広島大学教授
安達伸生

9784524277735