別冊整形外科
No.69 足関節・足部疾患の最新治療
編集 | : 松田秀一 |
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ISBN | : 978-4-524-27769-8 |
発行年月 | : 2016年4月 |
判型 | : A4 |
ページ数 | : 258 |
在庫
定価6,930円(本体6,300円 + 税)
- 商品説明
- 主要目次
- 序文
本特集号では、足関節・足部疾患の病態・診断〜治療まで幅広い分野を網羅した。特に治療では先天性疾患、リウマチ性疾患、変性疾患、外傷、スポーツ障害など多くの分野を取り上げ、最新の技術を用いた手術的治療や臨床成績から現在最も推奨される治療法も掲載。低侵襲治療や骨切り術、人工関節全置換術など、足関節・足部疾患に対する最新治療が分かる整形外科医必携の書。
I.総論
1.病態・診断
1)評価法
わが国の足の外科領域における評価法の使用動向調査
2.治療
1)装具
医療用クッション製剤を用いたインソールによる足部障害の治療
2)超音波ガイド下インターベンション
足関節・足部疾患に対する超音波ガイド下注射
足関節・足部の二次性軟部組織癒着に対する生理食塩水注射による治療法
3)関節鏡視下手術
足底鏡ポータル−safe zoneの解剖学的検討
足関節鏡視下および後足部内視鏡下手術の基本手技
II.疾患各論
1.足部の変形・障害
1)麻痺性足部変形
Charcot-Marie-Tooth病に伴う足部変形に対する治療
痙性麻痺尖足に対する治療戦略
2)扁平足
小児の外反扁平足に対するアプローチ
3)外反母趾
中足趾節関節側方動揺性を生じた外反母趾に対する長母趾伸筋腱を用いた制動術の治療経験
外反母趾第1中足骨近位骨切り術の固定に対する底側設置ロッキングプレートの使用経験
底側ロッキングプレートを用いた外反母趾手術の治療成績
外反母趾に対する第1中足骨近位回外骨切り術
4)強剛母趾
強剛母趾に対する第1中足骨背側回転骨切り術
5)リウマチ足
リウマチ足趾変形に対する関節温存手術の実際
リウマチの前足部変形に対する治療
関節リウマチ前足部障害に対する関節温存手術の長・中期成績
関節リウマチに対するフィン付き髄内釘による足関節固定術の治療経験
6)癒合症
距・踵骨癒合症に対する癒合部切除術−癒合部位と臨床成績との関係
足根骨癒合症−癒合部位別の診断と治療
7)インピンジメント症候群
荷重位X線断層撮影による扁平足後外側インピンジメントの診断
足関節後方インピンジメント症候群に対する後足部内視鏡手術
8)骨端症・骨壊死
第5中足骨粗面部骨端症(Iselin病)およびその遺残障害
Freiberg病に対するdorsal closing wedge osteotomyの有用性
足部骨端症に対する治療経験
距骨壊死に対する脛骨遠位前面からの血管柄付き骨移植術
2.足関節症
1)変形性足関節症
a 脛骨骨切り術
重度の外傷後足関節症に対する足関節牽引形成術
Joint distractionを併用した脛骨遠位斜め骨切り術の術後成績の検討
b 足関節固定術
成人足部変形に対する距骨体部切除および足関節固定術
両側の変形性足関節症に対する鏡視下足関節固定術の術後成績
c 人工足関節全置換術
人工足関節全置換術における合併症とその対策
変形性足関節症・関節リウマチに対する人工足関節全置換術
2)Charcot関節
Charcot関節に対する低出力超音波パルスとテリパラチド併用の有効性
3.外傷・スポーツ障害
1)足関節骨折
足関節骨折の問題点と治療法の選択
脛骨遠位部骨折に対する後外側アプローチ
脛骨天蓋部骨折(Ruedi分類typeII・III)に対する手術上のポイント−中・長期経過例に基づいて
足関節周辺骨折に対する創外固定器による一時的固定の治療成績
創外固定を用いたピロン骨折の治療経験−骨折自体も二期的手術で治療する
高齢者足関節周辺骨折におけるjoint distractionとnon-distractionの比較
軟部組織損傷を伴う足関節周辺骨折は創外固定を用いた靱帯性整復によりどこまで閉鎖的に整復可能か
2)疲労骨折
足部・足関節の疲労骨折に対する診断と治療
3)距骨骨軟骨損傷
距骨骨軟骨損傷に対する鏡視下手術
4)Lisfranc関節損傷
陳旧性Lisfranc靱帯損傷に対する自家薄筋腱を用いた靱帯再建術
Lisfranc関節損傷に対する解剖学的靱帯再建術の有用性
5)足関節外側靱帯損傷
3D-MRIを用いた新鮮足関節外側靱帯損傷の評価
陳旧性足関節外側靱帯損傷に対する鏡視下外側靱帯修復術
陳旧性足関節外側靱帯損傷に対する鏡視下靱帯縫合術
6)腓骨筋腱脱臼・断裂
DasDe法に骨溝形成を加えた腓骨筋腱脱臼に対する手術法−骨性制動術との比較
腓骨筋腱脱臼・断裂
7)アキレス腱断裂
陳旧性アキレス腱断裂に対する遊離腓腹筋腱膜弁を用いた再建術の治療成績
8)足底腱膜炎
足底腱膜炎に対する内視鏡視下足底腱膜部分切離術
9)バレエダンサー障害
バレエダンサーの足関節後方インピンジメント症候群−後果間靱帯の関与
4.その他の疾患
1)骨・軟部腫瘍
踵骨骨嚢腫に対する鏡視下リン酸カルシウム骨セメント充填術
序
足は起立歩行を行う人間にとって非常に重要な運動器であることは論を俟ちません。実際、足の痛みや障害で悩んでいる人は多く、フットケアという医療分野には複数の診療科が関与していますが、整形外科医がイニシアティブをとって進めていかなければならない分野であると思います。近年は、超音波、MRIなどの画像診断技術の進歩に伴い、足部の変形、障害に対する病態解明が進み、整形外科の中ではもっとも注目を集めている分野のひとつとなっています。また、超音波ガイド下インターベンションや関節鏡視下手術といった低侵襲の治療が足部疾患の治療に大きな変革を与えました。さらに、骨切り術や人工関節といった股関節や膝関節において主として用いられてきた手術法も足関節の治療に用いられ、良好な臨床成績が得られています。
本特集号では、足関節・足部疾患の病態、診断から治療まで幅広い分野において、新しい知見、最新の技術を用いた手術的治療はもちろん、最先端の情報でなくても、今までの臨床成績から現在もっとも推奨される治療法などの論文を募集したところ、大変多くの投稿をいただきました。その結果として、装具の工夫、および超音波や関節鏡を用いた治療をはじめとして、先天性疾患、リウマチ性疾患、変性疾患、外傷、スポーツ障害、腫瘍など実に多くの分野にわたる論文を掲載することができました。この場をお借りしてお礼申し上げます。それぞれの論文は全て大変読み応えがあり、長年にわたる経験に基づいた治療のコツ、詳しい手術手技、臨床成績などが満載されています。また、同じテーマを扱った論文も複数ありますが、それぞれの術者のこだわりの違いがわかり、大変興味深い内容になっていると思います。
本誌を読んで足関節・足部の疾患の治療により親しんでいただき、さらには本誌の内容に触発されて新たな治療方法の開発・改良がよりいっそう進み、足関節・足部疾患の治療が益々発展していくことになれば幸いです。
2016年4月
京都大学教授
松田秀一