別冊整形外科
No.66 整形外科の手術手技
私はこうしている
編集 | : 星野雄一 |
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ISBN | : 978-4-524-27766-7 |
発行年月 | : 2014年10月 |
判型 | : A4 |
ページ数 | : 254 |
在庫
定価6,930円(本体6,300円 + 税)
- 商品説明
- 主要目次
- 序文
整形外科手術では対象とする臓器(骨・軟骨・筋・腱・靱帯・神経など)や病態の違いなどにより、さまざまな手術手技が開発されている。各手術手技には独自の工夫やちょっとしたコツ、一家言をお持ちの先生、練達の士など、それぞれの方法に名人が存在する。本特集号では外来での小手術から人工関節手術、脊椎手術まで、整形外科手術のあらゆる領域での奥義、工夫、コツを幅広く掲載した。
I.総論
1.麻酔の工夫
浸潤神経ブロック法の有効性
2.ハイテク手術機器
手術用ロボットシステムを用いたOberlin法による肘関節屈曲再建術
術中放射線被曝減少を目的とした新しい髄内釘遠位横止めスクリュー固定の使用経験
3.その他
長管骨偽関節に対するIlizarov創外固定器を用いた圧迫骨接合術
難治性骨折に対して副甲状腺ホルモン製剤と低出力超音波パルスを併用した6例
II.上肢
1.肩関節
鎖骨骨折の最小侵襲プレート骨接合術の有用性−手術の絶対的ゴールはどこか
肩甲骨関節窩骨折(Ideberg分類typeIA)におけるエンドボタンを用いた鏡視下骨接合術
吸収性人工生体材料を補強に用いた鏡視下腱板修復術
2.肘関節
小児内反肘変形に対する創外固定器を用いた三次元矯正骨切り術
3.手関節
手掌部小皮切手根管開放術の治療成績
手掌部小皮切法による直視下手根管開放術
4.指関節
近位指節間関節伸展障害によるばね指手術
5.上肢の神経障害
上肢に発生した神経鞘腫に対する自家静脈wrapping−術後神経脱落症状は防止できるのか
III.下肢
1.股関節
人工股関節再置換術時のセメントカップ抜去における工夫−器具の開発と使用経験
術野展開法を工夫した小切開股関節後方アプローチによるセメント人工股関節全置換術
内側を2mm薄くしたセメント固定型ソケットを用いた人工股関節全置換術
良好な中〜長期成績をみすえた最小侵襲人工股関節全置換術(MIS-THA)の導入−合併症を防ぎつつ、いかにMISを導入するか
関節包切離を要しない股関節鏡視下関節唇縫合術の手術手技−軽度から境界型寛骨臼形成不全股に対する手術手技の工夫
経縫工筋進入による低侵襲curved periacetabular osteotomy
寛骨臼回転骨切り術の工夫−関節内治療
大腿骨頭壊死症に対する濃縮自家骨髄血移植術の実際
後側方進入法による人工骨頭置換術に対する脱臼対策
2.膝関節
外側アプローチを使用した外反膝に対する人工膝関節全置換術−外側膝蓋支帯形成:展開・縫合におけるわれわれの工夫
髄外ガイドを使用した人工膝関節全置換術−私の工夫
後方経中隔ポータルによる膝関節後方病変への関節鏡視下アプローチ
えにわ病院式内側楔状開大型高位脛骨骨切り術の方法−正確、容易かつ短時間で手術を行うプレート固定方法のコツ
内側膝蓋大腿靱帯再建術の工夫
膝蓋骨高位を伴う反復性膝蓋骨脱臼に対する手術的治療−三次元脛骨粗面移動術の治療成績
3.足関節
アキレス腱縫合法−強固な縫合をめざして
踵骨骨折に対するロッキングプレートを用いた最小侵襲プレート骨接合術の治療成績
スポーツ選手の腓骨筋腱脱臼に対する縫合糸アンカーを用いた支帯修復術
4.足趾関節
外反母趾に対する中足骨近位斜め骨切り術
外反母趾に対する遠位垂直骨切り術の手技と工夫
内反足に対するEvans法を用いた骨性矯正手術
5.大腿骨
大腿骨頚部骨折内固定術に用いるTargon Femoral Neckのポイント
大腿骨転子部骨折手術でtip-apex distanceを安全に短くする工夫
人工股関節全置換術後大腿骨ステム周囲骨折に対するdual plating法
高齢者大腿骨顆部・顆上骨折に対する治療法の選択
大腿骨近位骨巨細胞腫に対する前方アプローチによる掻爬および側方アプローチによる内固定術
6.下腿骨
ピロン骨折に対するリング型創外固定を用いたロングロッド整復法
IV.脊椎・骨盤・体幹
1.頚椎
顕微鏡下に頚椎深層伸筋群を温存した棘突起縦割式T-saw椎弓形成術
頚椎後縦靱帯骨化症に対するハイドロキシアパタイトを使用した前方除圧固定術
2.胸椎
思春期特発性側弯症に対する手術的治療−三次元的変形矯正を目的とした後方および前方矯正固定術の実際
肩バランスを念頭においた思春期特発性側弯症に対する後方矯正固定術
胸椎後縦靱帯骨化症に対する安全な後方除圧固定術
胸椎後縦靱帯骨化症に対する後方除圧矯正固定術における脊髄保護
骨粗鬆症性椎体骨折後対麻痺に対する脊柱短縮術
転移性脊椎腫瘍に対する最小侵襲脊椎安定術(MISt)
3.腰椎
経筋膜的椎弓根スクリュー刺入のコツ
腰部脊柱管狭窄症に対する棘突起縦割式片側進入両側除圧術
腰椎椎間板ヘルニアに対する経椎間孔アプローチの経皮的内視鏡下ヘルニア摘出術
4.仙椎・尾骨
第2仙椎alar iliac screwによる脊柱再建−新しいプローブの作成
5.骨盤
骨盤腫瘍切除におけるCTガイド下ナビゲーションシステム使用のコツ
6.体幹
胸骨悪性腫瘍の治療成績
整形外科が診療・研究の主な対象としている運動器は、頭部および体腔内臓器を除く全身の広い範囲に及んでいます.1906年に我が国で整形外科が外科から独立して以来100年余になりますが、治療法として薬物療法やリハビリテーションと並び、手術は常に中心的な位置を占めて来ました。整形外科手術では全身に分布している運動器へのアプローチが必須であるのみならず対象とする臓器(骨、軟骨、筋、腱、靭帯、神経など)や病態の違いなどにより、実に様々な手術法が開発されて来ています。
それぞれの手術法に関しては学術論文や学会報告などを通して特色や優劣が報告されて来ていると思いますがどの方法にも名人・達人がおり、独自の工夫やーすしたコツによって成績が左右される場合がしばしばあるようです。そこで、経験豊富な手術練達の士、一家言をお持ちの方、工夫をなさっている方などから、奥義、工夫、コツや想いの程を惜しみなく誌上でご披露頂く特集を企画しました。
麻酔法、骨折治療、関節手術、脊椎手術、ナビゲーション手術など、広範な領域にわたる整形外科手術に関する新しい知見が全国より多数寄せられました。その内容として、明日の診療の場ですぐにでも実践できそうな工夫から、大病院の手術室に整備される高額医療器械の使用経験までが披露されており、通常の手術書などでは入手し得ない役立つ情報満載の企画になったと自負しております。
本書は、読者諸氏の得意分野での手術をレベルアップする一助になるのみでなく、通常は守備範囲としていない他の部位・領域の手術の工夫などを概観することにより、運動器全般にわたる理解がより深まり更には得意分野での手術法改良のヒントをもたらし得るのではないかと期待しております。
2014年10月
とちぎリハビリテーションセンター所長
星野雄一