足の外科テキスト(Web動画付)
監修 | : 日本足の外科学会 |
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編集 | : 大関覚/熊井司/高尾昌人 |
ISBN | : 978-4-524-25299-2 |
発行年月 | : 2018年11月 |
判型 | : B5 |
ページ数 | : 320 |
在庫
定価11,000円(本体10,000円 + 税)
正誤表
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2018年12月04日
第1刷
- 商品説明
- 主要目次
- 序文
- 書評
日本足の外科学会教育研修委員会が自主作成してきたテキストおよび日本整形外科学会研修指導マニュアルに含まれる足の外科領域のトピックスをまとめたテキスト。若手整形外科医や関節外科臨床医にとっては足の外科の日常診療をレベルアップさせる絶好の教科書であり、「エキスパートオピニオン」などの発展的な内容により専門家にとっては治療の参考となる仕立てとなっている。
I.ベーシックトピックス
1.解剖・診断
1)解剖と手術進入路
2)運動を表す正しい用語と機能解剖
3)診察法
4)X線・CT画像診断
5)MRI診断
6)超音波診断
7)足関節鏡
2.保存療法
1)保存療法
2)足底挿板・装具療法
II.アドバンストピックス
1.外傷性疾患
1)足関節果部骨折
2)ピロン骨折
3)距骨・踵骨骨折と距骨下関節脱臼
4)中・前足部の骨折と脱臼
5)踵骨骨折遺残障害
6)外傷後遺残変形
7)Lisfranc関節損傷
8)足関節の靱帯損傷
1.総論
2.術式:解剖学的外側靱帯再建術
3.術式:鏡視下外側靱帯再建術
9)アキレス腱断裂(陳旧例を含む)
10)腓骨筋腱脱臼
11)テニスレッグ(腓腹筋肉離れ)
12)足部・足関節周辺への皮弁
13)リング型創外固定法
2.慢性疾患
1)距骨骨軟骨損傷
2)変形性足関節症
3)外反母趾と前足部変形
1.総論
2.術式:遠位
3.術式:近位
4.術式:骨幹部
4)後脛骨筋機能不全と成人期扁平足
5)リウマチ足・足関節
6)骨壊死
7)Charcot足
8)麻痺性足部障害
9)絞扼性神経障害
10)強剛母趾,中.前足部変形性関節症
3.スポーツ障害
1)総論
2)シンスプリント,脛骨疲労骨折
3)慢性労作性下腿コンパートメント症候群
4)足部疲労骨折
5)副骨・種子骨の障害
6)インピンジメント症候群
7)各種腱付着部症
1.総論
2.アキレス腱の障害
3.足底腱膜症
4.小児疾患
1)先天性足部変形
1.保存療法
2.手術療法(先天性内反足に対する距骨下関節全周解離術)
2)小児の麻痺性足部障害(CP,spinabifida,CMT)
3)下肢形成不全と義肢・装具療法
4)足根骨癒合症
5)骨端症
6)Freiberg病
5.腫瘍
1)良性腫瘍
2)悪性腫瘍
索引
WEB動画タイトル一覧
I.ベーシックトピックス
1.解剖・診断
6)超音波診断
動画(1):アキレス腱Kager’s fat padの動き
動画(2):アキレス腱炎のパワードプラ画像
動画(3)A:腓骨筋腱脱臼(超音波)
動画(3)B:腓骨筋腱脱臼(手技)
動画(4)A:前距腓靱帯のストレス検査(手技)
動画(4)B:前距腓靱帯のストレス検査(超音波)
動画(5):足関節前方インピンジメント症候群
動画(6)A:足関節内注射(平行法)
動画(6)B:足関節内注射(交差法)
7)足関節鏡
動画(7):足関節前方鏡視・足関節後方鏡視
II.アドバンストピックス
1.外傷性疾患
1)足関節果部骨折
動画(8):足関節果部骨折
2)ピロン骨折
動画(9):リング型創外固定によるMATILDA法
3)距骨・踵骨骨折と距骨下関節脱臼
動画(10):踵骨骨折手術
動画(11):踵骨骨折手術−新鮮例整復場面
6)外傷後遺残変形
動画(12):外傷後遺残変形
8)足関節の靱帯損傷−2.術式:解剖学的外側靱帯再建術
動画(13):外側靱帯再建術
8)足関節の靱帯損傷−3.術式:鏡視下外側靱帯再建術
動画(14):Arthroscopic Brostrom法
9)アキレス腱断裂(陳旧例を含む)
動画(15):アキレス腱断裂
10)腓骨筋腱脱臼
動画(16):腓骨筋腱脱臼
11)テニスレッグ(腓腹筋肉離れ)
動画(17):テニスレッグ−立位でのストレッチ
動画(18):テニスレッグ−テーピング
2.慢性疾患
1)距骨骨軟骨損傷
動画(19):microfracture technique
3)外反母趾と前足部変形−2.術式:遠位
動画(20):DLMO法
3)外反母趾と前足部変形−3.術式:近位
動画(21):母趾MTP関節内側の処置
動画(22):母趾MTP関節外側の処置
動画(23):三日月状骨切り
動画(24)A:骨切り部での矯正と仮固定
動画(24)B:ロッキングプレートによる内固定
動画(25):内側関節包の縫縮
3)外反母趾と前足部変形−4.術式:骨幹部
動画(26):水平骨切り術
10)強剛母趾,中.前足部変形性関節症
動画(27):強剛母趾骨切り術
4.小児疾患
1)先天性足部変形−1.保存療法
動画(28):先天性足部変形の保存療法
1)先天性足部変形−2.手術療法(先天性内反足に対する距骨下関節全周解離術)
動画(29):先天性足部変形の手術療法
2)小児の麻痺性足部障害
動画(30):脳性麻痺児の尖足歩行
動画(31):二分脊椎児(Sharrard IV群)の歩行
動画(32):二分脊椎児(Sharrard V群)の歩行
動画(33):図7で提示した症例の最終調査時の歩行
動画(34):CMT患児の鶏歩
5)骨端症
動画(35):有痛性外脛骨の手術療法
6)Freiberg病
動画(36):Freiberg病
巻頭言
足部と足関節は、体重からの大きな負荷に耐え、地面からの衝撃を吸収し、下肢の力を推進力に変換する優れた機能と構造を持っている。3次元的な動きを生み出す距腿関節と距骨下関節との複合関節や、足根骨の生み出す美しいアーチ構造とこれらを結合する強靱な靱帯群の機能は極めて興味深い。足部と足関節は、日常の必須の機能を果たしているがゆえに外傷、障害の機会は多く、構造の複雑さゆえに変形は多岐にわたり、疾患は多彩である。しかし、整形外科学のテキストの限られたページ数のなかで「足の外科」に割かれる量は、十分とは到底いえない。また、診断技術や治療法の進歩が著しい整形外科において、英語で出版されたテキストの翻訳に頼ることは、決して効率的とはいえない。さらに欧米との文化的背景の違いや社会保険制度の違いは、治療法の選択において微妙な差異を生み出している。
学会は、外傷や疾患を科学的に研究し、よりよい治療法を開拓していく場であるが、有意義な議論を形成していくためには、参加者の共通言語、共通の知識、評価法の共有は必須の基礎である。日本足の外科学会の教育研修委員会は、2008年から教育研修会を開始し「足の外科」の知識の普及に努力し10年が経過した。さらに、最先端を開拓している研究者にその成果を披瀝していただくことで、若手研究者を一気に最先端まで引き上げる努力を続けてきた。これらの努力は、会員数の急激な増加という形で報われている。
本書は、これまで行われてきた10回の教育研修会の講師を中心に「足の外科」の議論に加わるための基礎的知識と、最も熱い議論が交わされているトピックスについて「日本足の外科学会」の誇る論客達が、それぞれ最も得意とする分野の最新の知識と技術を惜しみなく記述してくれている。特に、エキスパートオピニオンのコラムは極めて興味深く、治療の成功に大きなヒントを与えてくれるだけでなく、今後の研究の焦点になる指摘が多い。
本書を座右に置くことは、「足の外科」研修の助けとなるだけでなく、確固とした知識の足場を獲得し、足の外科研究の入口に立つことになるだろう。若き整形外科医よ、そして若き魂を持ち続ける整形外科医よ、ともに足の外科の宇宙に旅立とう!
2018年9月
日本足の外科学会理事長
獨協医科大学埼玉医療センター第一整形外科主任教授
大関覚
足の障害で受診する外来患者が増えている、と感じる先生方は多いのではなかろうか。高齢者の絶対数が増加していることに加え、活動性の高い人が増えていることが原因なのであろう。若手で次第に多くなってきたとはいえ、足を専門とする整形外科医はいまだに多いとはいえない状況であり、一方で、足以外の関節や脊椎を専門に診療してきた整形外科医にとってはむずかしい領域といえる。実のところ、外反母趾や足関節捻挫など頻繁に遭遇する疾患、さらに外傷では治療の困難なピロン骨折、距骨骨折、踵骨骨折など、変性疾患では足根管症候群や後脛骨筋機能不全、小児では内反足など、疾患名をあげていくだけで筆者としては穏やかならざる気持ちとなる疾患が多くある。本書は日本足の外科学会監修のもと、大関覚氏、熊井司氏、高尾昌人氏の編集で刊行された最新の専門的教科書といえる。
まず基礎編としてのベーシックトピックスは足の解剖に始まり、視診などの身体所見、X線やCT、MRIの解説が豊富な写真と画像とともに述べられている。続いて現在の整形外科で重要性が増す一方の超音波検査と関節鏡については、詳細な記載と実際の画像に加えて、動画も南江堂ホームぺージで閲覧することが可能となっている。
さっそく筆者も試してみた。テキストに記載のアドレスを延々入力しなくとも、パソコンで「足の外科テキスト」とググればあっという間に南江堂ホームページへ辿り着き、パスワード入力後に簡単にみることができた。アンドロイドのスマホでも、テキスト掲載の三次元バーコードをスキャンすると超音波の動画をみることが可能である。もっとも、電車内で関節鏡の動画をみるのは意味があるのかだけでなく、周囲から怪訝の眼差しを受けることになるかもしれないので注意が必要である。
アドバンストピックスはまず外傷から始まる。もっとも経験することの多い足関節骨折から足趾骨折までの骨折編に続いて、遺残痛や遺残変形の治療とそのピットフォールが記されている。続く靱帯損傷では、豊富なシェーマと遺体解剖写真が読者の理解を助ける手立てとなっている。次いで、足外傷にしばしば合併する欠損に対する皮弁や創外固定についての章がある。創外固定でのピンの刺入は実は簡単ではないのだが、刺入部位のシェーマがたいへんわかりやすい。変性疾患では骨軟骨損傷や変形性足関節症、外反母趾、後脛骨筋機能不全、強剛母趾などを網羅している。スポーツ障害ではシンスプリントや疲労骨折などに加えて、遭遇することの多い外脛骨障害、足底腱膜症、付着部症の診断と治療がある。見逃しているのであろうが、筆者が出会ったことのないインピンジメント症候群も述べられている(^_^;)。次に小児疾患として先天性内反足や足根骨癒合症、骨端症の診断や治療があり、最後に腫瘍疾患が記載されている。
超音波やCT・MRIによる病態診断に関する進歩や動態を含めた三次元画像と生体力学的解析による足の外科の発展は、凄まじいものがある。本書は日本の足の専門家が結集してつくられており、まさにオールジャパンによる最先端のフット・ブックといえるだろう。若手から中堅の整形外科医の足の外科に対する知識の習得としてだけでなく、ベテランの整形外科医が足の疾患を再学習する教科書としても誠に魅力的なテキストである。
臨床雑誌整形外科70巻4号(2019年4月号)より転載
評者●自治医科大学整形外科教授 竹下克志
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