公衆栄養学改訂第8版
監修 | : 国立研究開発法人 医薬基盤・健康・栄養研究所 |
---|---|
編集 | : 吉池信男/林宏一 |
ISBN | : 978-4-524-23391-5 |
発行年月 | : 2023年3月 |
判型 | : B5 |
ページ数 | : 320 |
在庫
定価3,300円(本体3,000円 + 税)
正誤表
-
2023年08月02日
正誤/内容補足リーフレット(第1刷)
- 商品説明
- 主要目次
- 序文
公衆栄養活動に必須な知識として,栄養疫学の基礎知識,栄養政策,現代の健康・栄養問題とそのアセスメントからプログラムの実施・評価までを総合的に学べる好評テキスト.国民健康・栄養調査, 公衆栄養の国際動向,妊産婦のための食生活指針, 第4次食育推進計画,健康日本21(第2次)の最終評価等の統計・制度の情報更新に対応.
第1章 公衆栄養学の概念
A 公衆栄養の概念
1 公衆栄養の意義と目的
2 生態系と食料・栄養
3 保健・医療・福祉システムと公衆栄養
4 コミュニティと公衆栄養活動
5 地域診断と公衆栄養活動
B 公衆栄養活動の基本と展開過程
1 公衆栄養活動の歴史
2 少子・高齢社会における健康増進
3 疾病予防のための公衆栄養活動
4 ヘルスプロモーションのための公衆栄養活動
5 エンパワメントと公衆栄養活動
6 住民参加による公衆栄養活動
7 ソーシャルキャピタルの醸成と活用
8 持続可能性(サステナビリティ)を踏まえた公衆栄養活動
第2章 健康・栄養問題の現状と課題
A 健康状態の変化
1 人口構成の変遷と現在の課題
2 死因別死亡
3 平均寿命,健康寿命
4 疾病構造の変化と栄養・食生活
B 食事の変化
1 エネルギー・栄養素摂取量の変化
2 食品群別摂取量の変化
3 料理・食事パターンの変化
C 食生活の変化:食行動・食態度・食知識・食スキルの変化
D 食環境の変化
1 食環境整備とは
2 食品生産・流通(食物へのアクセス)
3 食情報の提供(食情報へのアクセス)
4 保健を目的とした食品の提供
5 フードバランスシート(食料需給表)
6 食料自給率
E 諸外国の健康・栄養問題の現状
1 先進諸国の健康・栄養問題
2 開発途上国の健康・栄養問題
3 地域間格差
練習問題
第3章 栄養政策
A わが国の公衆栄養活動と関連法規
1 公衆栄養活動の役割
2 栄養政策・関連法規
3 公衆栄養活動と組織
B 管理栄養士・栄養士制度と職業倫理
1 公衆栄養活動を担う人材育成
2 職業倫理
C 国民健康・栄養調査
1 調査の目的
2 調査の沿革
3 調査方法
4 調査票の種類
D 実施に関する指針,ツール
1 食生活指針,運動指針
2 食事バランスガイド
3 食育ガイド
4 健康な食事
E わが国の健康増進基本方針と地方計画
1 健康日本21
2 特定健康診査・特定保健指導
3 第4次食育推進基本計画
F 諸外国の健康・栄養政策
1 国際的な栄養行政組織と活動
2 諸外国の健康・栄養政策
3 諸外国の食事摂取基準
4 諸外国の食生活指針とフードガイド
5 諸外国の栄養士養成制度
練習問題
第4章 栄養疫学
A 栄養疫学の概要
1 疫学の概要
2 歴史上の疫学の業績に学ぶ
3 栄養疫学が取り扱う分野
B 栄養疫学の指標
1 疾病頻度
2 曝露効果の測定
C 栄養疫学の方法
1 観察研究
2 介入研究
3 系統的レビューとメタ解析
4 エビデンスのレベル
D 栄養疫学のための食事調査法
1 食品と栄養素
2 食事の個人内変動と個人間変動
3 日常的・平均的な食事摂取量
E 食事摂取量の測定方法
1 食事記録法
2 24時間食事思い出し法
3 食物摂取頻度調査法
4 食事摂取量を反映する生化学的指標
5 食事摂取量を反映する身体計測値
F 食事摂取量の評価方法
1 食事調査と食事摂取基準
2 総エネルギー調整栄養素摂取量
3 データの処理と解析
練習問題
第5章 公衆栄養マネジメント
A 公衆栄養マネジメントの概念とプロセス
1 公衆栄養マネジメントの必要性と定義
2 公衆栄養マネジメントの対象と実施者
3 公衆栄養マネジメントのプロセス
4 公衆栄養マネジメントのためのモデル:プリシード・プロシードモデル
B 公衆栄養アセスメント
1 公衆栄養アセスメントの目的と方法
2 地域診断の方法
3 地域観察の方法と活用
4 質問法による調査の方法と活用
5 既存資料活用の方法と留意点
6 健康・栄養情報の収集と管理
C 公衆栄養プログラムの目標設定
1 公衆栄養アセスメント結果からの状況把握
2 改善課題の抽出
3 課題設定の目的と相互の関連
4 改善課題に基づく改善目標の設定
5 目標設定の優先順位
D 公衆栄養プログラムの計画
1 地域社会資源の把握と管理
2 運営面のアセスメント
3 政策面のアセスメント
4 計画の策定
5 評価の計画
6 計画書の作成
E 公衆栄養プログラムの実施
1 住民参加
2 プログラムに関連する関係者・機関の役割
3 計画策定・実施に必要な技能
4 コミュニケーションの管理
F 公衆栄養プログラムの評価
1 評価の意義と方法
2 評価の実際
練習問題
第6章 公衆栄養プログラムの展開
A 地域特性に対応したプログラムの展開
1 健康づくり
2 食育
3 在宅医療,介護支援
4 健康・食生活の危機管理と食支援
5 地域包括ケアシステムの構築
B 食環境整備のためのプログラムの展開
1 食物・食情報へのアクセスと食環境整備
2 栄養成分表示の活用
3 特別用途食品,保健機能食品の活用
4 健康づくりのための外食料理の活用
C 地域集団の特性別プログラムの展開
1 母子(妊娠期,授乳期,新生児・乳幼児期)の公衆栄養プログラム
2 学童・思春期の公衆栄養プログラム
3 成人の公衆栄養プログラム
4 高齢者の公衆栄養プログラム
5 障害者の公衆栄養プログラム
6 生活習慣病ハイリスク集団の公衆栄養プログラム
練習問題
付録 公衆栄養の歴史
付録 栄養関連法規
参考図書
練習問題解答
索引
管理栄養士国家試験出題基準(ガイドライン)に準拠した教科書である本書「健康・栄養科学シリーズ 公衆栄養学」は,2006年4月の初版刊行以来,2〜3年ごとに出題基準の改定あるいは新たな栄養政策に合わせて改訂を行い,読者が最新情報を学べるよう配慮してきた.本書は改訂の都度,分かりやすさと読みやすさに改良がなされているが,各章に学習目標を示すことで,学習内容を明解に示した.また,それぞれの項に小見出しをつけ,内容が一目で理解できるようにするとともに,重要用語を欄外に示し,学習の一助とした.
公衆栄養学は,日本のみならず地球上のすべての人々が,生命を維持し,健全に発育し,健康を増進するとともに,栄養に関連する疾病や障害を回避するために不可欠な実践科学である.私たちの生きる上で不可欠な食物のほとんどは,他の生物に由来するものであり,広く世界に目を向け,地球環境や生物多様性といった視点からも,公衆栄養学を真摯に学ぶことが強く求められている.
わが国のこれまでの栄養政策や栄養に関わる活動は,「誰1人取り残さない」ことを基本としており,国内外を問わずさまざまな「格差」の拡大が課題となる中にあっても,「持続可能性」(サステナビリティ)を強く意識し,行動していくことが求められる.そのためにも,さまざまな個人により構成されるさまざまな集団を対象とした栄養アセスメントから始まるPDCAサイクルを着実に回し,未来につながるような,専門職としての責任と創造性が発揮できるよう,本書でしっかりと学びを深めて欲しい.
2023年2月
編集者一同