がん看護≪隔月刊≫
がんゲノム医療と看護 〜基礎から実践的な知識を学び患者・家族の支援に活かす〜(Vol.31 No.6)2026年11-12月号
- 主要目次
- 序文

特集
がんゲノム医療と看護 〜基礎から実践的な知識までを学び患者・家族の支援に活かす〜 編集:細川 舞,荒木もも子
●特集にあたって 細川 舞,荒木もも子
●ゲノム医療とは 〜看護師が知っておきたい基礎知識〜 深野智華
●わが国のがんゲノム医療 〜現状と課題〜 平沢 晃
●がん遺伝子パネル検査 須藤 保
●肺がんとゲノム医療 中尾美香
●乳がんとゲノム医療 吉田玲子
●大腸がんとゲノム医療 田村和朗
●がん遺伝子パネル検査を受ける患者への看護のポイント 細川 舞
●コラム:遺伝性腫瘍症候群と診断されたがん患者への看護 大川 恵
●がんゲノム医療における倫理的課題 〜検査の先にある現実と,患者・家族の思いに向き合う〜 荒木もも子
●がん遺伝子パネル検査を検討した事例 〜再発乳がん患者への意思決定支援〜 蓮岡佳代子
●がん遺伝子パネル検査によって治療に結びつかなかった事例 〜CGPで治験につながらなかった胃がん患者への支援〜 今井芳枝,岡本 恵
●がん遺伝子パネル検査によって治験を提案された事例 〜選択肢が複雑化したなかで必要な支援について考える〜 荒木もも子
●乳がん診断時に遺伝性腫瘍症候群のリスクがあると伝えられた事例 〜AYA世代で乳がんと診断された患者への看護〜 大川 恵
●多遺伝子パネル検査(MGPT)でLynch症候群と診断された事例 〜遺伝性腫瘍症候群と共に生きる当事者への看護〜 藤田裕子
連載
▼My Favorite Medicine!!【47】
ゾルベツキシマブ(ビロイ ®) 菅野かおり
▼リレーエッセイ●がん看護CNS巻き込む力を発揮中! 〜複雑で多様化する実践に挑む!〜
【6 地域を巻き込みがん患者を支える�B 地域の中で活躍する立場から】
がん看護の質向上を目指し管理者を巻き込む 渡邉眞理
▼スペシャリストに聞く! 患者さんの訴えやナースの違和感から始まる症状マネジメント【2】
足に力が入らないって言ってます 伊藤淳子
▼ガイドラインを読み解いて活かす! がん患者の精神・心理ケア【8】
終末期せん妄への対応 〜「がん患者におけるせん妄ガイドライン2025年版」を読み解く�A〜 竹内麻理,三好 崇文
▼がん看護の“今”を変える,生成AIという味方【4】
患者とのコミュニケーションを支える生成AI 〜伝える〜 淺野耕太
▼がん薬物療法看護のWhat’s Trending! Past☞Current☞Future 【39】
抗がん薬の開発から承認,販売まで 〜どのようなプロセスで私たちの手元に届くのか〜 菅野かおり
投稿
“一人では支えきれない”在宅療養を支える多職種連携の本質 臼居 優
今月の症例
語られなかった余命,最期までその人らしく生きる 〜予後告知なき終末期がん患者への在宅ACP支援〜 佐々木香代
BOOK(書評)
ケアの基盤をつくる がん看護 実践を支えるキーワード70 〜事例でひもとく看護実践への活用〜 〈評者〉宇野さつき
INFORMATION
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次号予告
特集にあたって
がん治療の個別化は,がんに関連する標的分子の特定や,2000年代の分子標的治療薬の出現を転機に,大きく変化してきました.さらには,がんに関連する遺伝子変異が注目されるようになり,2010年代からはコンパニオン診断や治療効果の予測にゲノム情報が利用されるようになり,従来の臓器別の治療から,患者個人のゲノム情報「個別化治療」へと劇的に変化しています.
日本においては,第3 期がん対策推進基本計画よりがん医療の充実として「がんゲノム医療」が盛り込まれ,2019 年には「がん遺伝子パネル検査(CGP)」が保険収載されました.また,全国どこでもCGPが受けられるように,307 ヵ所のがんゲノム医療中核拠点病院等(中核拠点病院,拠点病院,連携病院)も整備されています(2026年10月1日現在).
CGPの結果,提示された治療を実際に受ける患者は1割未満とされています.新たな治療に結びつかない場合や,治験を提示されても効果や療養場所の制約も多く,標準治療が残されていない状況下で,患者や家族は治療方針や今後の選択を迫られることになります.また,二次的所見として,遺伝性腫瘍症候群の可能性を指摘されることがあります.その場合,患者のみならず血縁者も当事者になる可能性があり,家族全体に影響が及ぶことがあります.
近年,遺伝性乳がん卵巣がん症候群をはじめ,遺伝性腫瘍症候群の診断技術も進展してきました.遺伝性腫瘍症候群に関連する数十種類の遺伝子を解析する多遺伝子パネル検査(MGPT)も登場し,遺伝性腫瘍症候群と診断される方は増加しています.遺伝情報を知ることは,自分や血縁者のがんの早期発見や予防,治療方針の検討に役立ちます.しかし,がんを発症しやすいと知って生きることは心理・社会的負担があるのも事実です.がん予防の推進とともに,遺伝性腫瘍症候群と診断された方が安心して生活できるよう,長期的な支援体制の整備が重要と考えます.
がんゲノム医療が身近になってきた昨今,がんゲノム医療に携わる看護職が担う役割はとても大きく,重要です.本特集ではまず,�@個別化するがん治療を受ける患者を支える看護職が知っておくべきがんゲノム医療の基本や,�Aがんゲノム医療における倫理的問題などを解説し,�Bさまざまながんゲノム医療を受ける患者の事例を取り上げてどのように患者をアセスメントし支援するか,実際のケアを解説し実践的な内容となることを目指しました.本特集を通じて,がんゲノム医療を受ける患者の看護に活用いただければ幸いです.
細川 舞(岩手県立大学看護学部/がん看護専門看護師)
荒木 もも子(島根大学医学部附属病院臨床遺伝・ゲノム医療センター,岡山大学大学院医歯薬学総合研究科臨床遺伝子医療学/看護師,認定遺伝カウンセラー)


