雑誌

がん看護≪隔月刊≫

がん患者の療養の場の移行支援 〜アセスメント&社会資源の活用例〜(Vol.29 No.6)2024年11-12月号

発行年月 : 2024年11月

在庫あり

定価2,530円(本体2,300円 + 税)


  • 主要目次
  • 序文

特集
がん患者の療養の場の移行支援 〜アセスメント&社会資源の活用例〜
  編集:宇野さつき,林 ゑり子

●特集にあたって  宇野さつき,林 ゑり子

押さえておきたい! 看護師が知っておくべき療養の場の移行支援のための基礎知識
  ●病棟看護師・外来看護師の役割はどこまでか  安富由紀
  ●看護師が知っておきたい社会資源Q&A 〜基礎とアドバンス〜  賢見卓也
  ●療養の場の移行支援の流れを確認しよう! 〜患者アセスメントから社会資源の選択,他職種との連携まで〜  堀 加代子,橋口周子
  ●世代別の療養の場の移行支援のポイント 〜高齢者の場合,AYA世代の場合〜  奥 朋子
 実践編@臨床経過パターン別:よくある患者の療養の場の移行支援の実際
  ●術後や抗がん薬治療導入後,引き続き外来等でがん治療を継続してゆく患者  中村千里
  ●入院治療で何らかの医療処置・ケアを退院後も継続して自宅で行う必要のある患者  松原康美
  ●骨転移に対する緩和的放射線療法後も疼痛管理が必要となる患者の療養の場の移行支援  小野聡子
  ●看取りが近くなり,自宅での療養を希望している患者  コ谷理恵
 実践編A私たちはこんなふうに療養の場の移行支援をしています
  ●横断的に活動している看護師の例  坂本理恵
  ●同行訪問で必要な支援を振り返った事例  丸尾 郁
  ●多職種連携における情報共有ツールとしてICTを活用した例  鈴木晶子,奥山慎一郎

特別寄稿
臨床推論 〜臨床編〜  伊藤直美

連載
▼My Favorite Medicine!!【35】
  ギルテリチニブ フマル酸塩(ゾスパタ®)  菅野かおり

▼リレーエッセイ
  ●がん看護CNS奮闘中
   〜がんとともに社会で生きる患者を支えるための調整〜【6 地域密着型総合病院での調整A】
   対話を重ね患者の思いをチームと地域でつなぐ  正井志穂

▼臓器別がん 最新のエビデンスに基づいた薬物療法と看護の実践【16】
   悪性リンパ腫  木場悠介,丸山 大

▼遺族の声を臨床に活かす 〜J-HOPE 4研究(多施設遺族調査)からの学び〜【20 症状】
  付帯研究16 終末期がん患者の呼吸困難に対する薬物治療において遺族が最も重要と感じるアウトカムに関する研究  伊藤里美
  付帯研究40 終末期せん妄評価尺度短縮版の開発  伊藤奈央,内田 恵

▼がん薬物療法看護のWhat's Trending! Past ☞ Current ☞ Future【27】
  がん遺伝子パネル検査実施の現状と課題 〜がんゲノム医療連携病院での実際の取り組みと看護師の役割〜  菅野かおり,東谷朗子,山谷淳子

今月の症例
     「最期は病院でいい」と選択した患者の本心を聴く 〜関係性のスピリチュアルペインの存在〜  中原正稔

投稿論文
【研究報告】
 がん看護外来に対する医師の認識  峯川美弥子,鈴木香緒理,小林礼実,飯岡由紀子

BOOK
 緩和ケア即戦力ノート 〜あなたにもできる,やさしい緩和ケア〜  〈評者〉小澤桂子
 がん緩和ケア薬必携ガイドブック 〜痛み,便秘,不眠,せん妄〜  〈評者〉宮下光令

INFORMATION
学会・イベント情報
バックナンバーのご案内
次号予告

特集にあたって

 入院期間が以前にも増して短くなり,外来中心にがん治療が展開される一方で,さらに「退院支援」「療養支援」の重要性を求められている中,とくに病棟や外来でがん患者にかかわる看護師には,さまざまなジレンマやモヤモヤが生じているのではないだろうか.「本当はもっとていねいにかかわりたい」「患者の希望を叶えたい」と思っていても,業務に追われ,退院後の療養生活や具体的な支援についてイメージがもてず,個別のかかわりが十分にできないまま患者を病院から送り出し,「これでよかったのだろうか」「その後,どうしているだろうか」と感じている看護師も少なくないと思われる.

 がん患者を病みの軌跡の中でとらえたとき,病院だからこそ入院や外来受診のタイミングで担うべき看護の役割期待があると考える.たまたま「患者や家族の受け入れ体制が整っていた」「担当した看護師が退院支援について経験豊富だった」ではなく,短時間・短期間であっても,それぞれの看護師が意図的・主体的に専門性を活かしたケアを提供することができれば,どれほどがん患者に貢献することができるだろうか.がん患者を病とともに生きる「生活者」として,その人の人生そのものにかかわるという意識 をもち,「退院調整を担う専門部署に丸投げする」のでもなく,「短時間しかかかわらないので何もできないとあきらめる」のでもなく,それぞれの立場で患者が生活するうえでのニーズを見逃さずに支援を行うことができれば,患者にとっても心強いことだろう.

 今回の特集ではまず,とくに病棟や外来でがん患者にかかわる看護師が,それぞれの部署の特徴や強みを活かし,がん患者の生活や生き方を支援するために必要な社会資源などの基本的な知識を整理している.そして,さらによりよいかかわりを行うためのコツ,実践の中での個人やチーム・組織の取り組み例などを紹介している.

 本特集を通して,「これならできそう」「ぜひやってみよう」と読者の皆さんが主体的にアクションを起こす後押しになればと考えている.

3429061