雑誌

がん看護≪隔月刊≫

がん医療における「家族ケアの課題」〜困難事例への解決アプローチ〜(Vol.29 No.2)2024年3-4月号

発行年月 : 2024年3月

在庫あり

定価2,530円(本体2,300円 + 税)


  • 主要目次
  • 序文

特集
がん医療における「家族ケアの課題」〜困難事例への解決アプローチ〜
●特集にあたって
総論
●家族理解の基本概念と支援における「円環的思考法」
ライフサイクル別 がん患者と家族の問題への具体的アプローチ
●子ども 〜移植によって引き起こされる家族変動を考える〜
●AYA世代 〜患者と家族の「語りあえなくなる関係」を考える〜
●認知症高齢者 〜家族の代理意思決定の倫理的問題を考える〜
実践! がんとACP(意思決定支援)
●がん臨床の倫理的問題とACP
●標準治療終了時に起こる医療者間のコンフリクト(不協和)を解消する
●標準治療が終わるとき,患者と家族の意思を調整し統一させる
よくある家族ケアの困りごとと具体的アプローチ
●複雑な家族への多職種連携の実践
●終末期のがん患者と家族の交流の場をつくる支援とその後のケア
連載
▼便秘エコーを習得してアセスメント力をアップ【5】
看護師の在宅事例@
▼My Favorite Medicine!!【31】
ベンダムスチン塩酸塩(トレアキシン®)
▼リレーエッセイ●がん看護CNS奮闘中 〜がんとともに社会で生きる患者を支えるための調整〜【2 大学病院での調整A】
仲間とともにつなぐ,支える
▼臓器別がん 最新のエビデンスに基づいた薬物療法と看護の実践【12】
前立腺がん
▼がん薬物療法看護のWhat's Trending! Past ☞ Current ☞ Future【23】
がん薬物療法を受ける高齢がん患者の看護支援 
〜高齢者総合的機能評価をアセスメントに活かす〜
▼遺族の声を臨床に生かす 〜J-HOPE 4研究(多施設遺族調査)からの学び〜【16 症状緩和,死亡場所の希望】
付帯研究4 看取りの経験が療養場所・死亡場所の希望に及ぼす影響に関する研究
付帯研究10 遺族の考える症状緩和の治療目標(Personalized Symptom Goal)に関する調査
▼がん看護実践者としての私を誇りに思う 〜ゆうがや会のこぼれ話〜【4】
互いをねぎらう看取りの専門職 〜がん難民を経験した患者さんの在宅看取りを振り返って〜
今月の症例
状態変化時に未成年の子どもへ病状・病気を伝えることに悩む患者・家族への親子支援

特集にあたって

 2023年3月,第4期のがん対策推進基本計画がスタートしました.そこでは「がんとの共生」が柱の1つに挙げられ,ライフステージに応じた,小児・AYA 世代および高齢者への支援が必要であるといわれています. この「がんとの共生」という目標は,地域共生社会のなかで,すべてのがん患者およびその家族等の療養生活の質の向上を目指すものです.

 この背景には,患者を含む家族にさまざまな問題・課題が発生している現実があります.具体的には,@医療の進歩また超高齢社会に伴う「がんの最終末期まで続けられるがん薬物療法」や「認知症高齢者の代理意思決定」などの医療倫理的問題,A多様化する現代家族への対応の困難さ,B多職種協働の推進に伴う家族対応に関するコンフリクト(葛藤,軋あつれき轢)などがあります.

 以上の問題意識を受け,本特集タイトルを「がん医療における『家族ケアの課題』〜困難事例への解決アプローチ〜」とし,家族の課題を3つの大きなテーマに分けました.1つ目はライフサイクル別のがん患者と家族の問題へのアプローチで,ここでは,小児とAYA 世代,そして認知症高齢者の家族の課題を取り上げました.また2つ目として,がんにおけるACP(患者・家族の意思決定支援)を取り上げました.ここでは医療倫理的問題を含めています.さらに3つ目に,より具体的な家族の問題を取り上げ,解決に向けた具体的アプローチ方法を,家族看護モデルなどを使いながら紹介しました.

 なお,本特集を担当する執筆者は,家族看護の専門家である「家族支援専門看護師」と「がん看護専門看護師」の実践家たちです.がん患者の「家族の課題」をリアルに紹介し,解決に向けたアプローチを具体的に解説していきたいと思います.

 本特集をとおして,患者・家族の課題解決が図られ,「がんとの共生」があたり前となる地域共生社会の実現を目指します.

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