がん看護≪隔月刊≫
いま知っておきたい! がん治療薬&支持療法薬13(Vol.29 No.1)2024年1-2月号
- 主要目次
- 序文
いま知っておきたい! がん治療薬&支持療法薬13
編集:野村 久祥
特集にあたって
がん治療薬
肺がん治療薬
●トレメリムマブ(イジュド®点滴静注) 〜トレメリムマブ+デュルバルマブ+プラチナ製剤+殺細胞性抗がん薬併用療法,デュルバルマブ+トレメリムマブ併用療法〜
●ネシツムマブ(ポートラーザ®点滴静注) 〜GC+ネシツムマブ療法〜
●ソトラシブ(ルマケラス®錠) 〜ソトラシブ単剤療法〜
●ブリグチニブ(アルンブリグ®錠) 〜ブリグチニブ単剤療法〜
血液がん(多発性骨髄腫含む)治療薬
●ポラツズマブ ベドチン(ポライビー®点滴静注) 〜Pola-R-CHP療法,Pola-BR療法〜
●チサゲンレクルユーセル(キムリア®点滴静注) 〜チサゲンレクルユーセル療法〜
●コラム:新しい治療法を知ろう!
キメラ抗原受容体発現T細胞(CAR-T)療法
●ダラツムマブ・ボルヒアルロニダーゼアルファ(ダラキューロ®配合皮下注) 〜DMPB療法,DLd療法,DBd療法.DCd療法,DPd療法〜
●イサツキシマブ(サークリサ®点滴静注) 〜IsaPd療法,IsaKd療法,Isa+d療法,イサツキシマブ単剤療法〜
そのほか
●エンホルツマブ ベドチン(パドセブ®点滴静注) 〜エンホルツマブ ベドチン単剤療法〜
●パルボシクリブ(イブランス®カプセル/錠) 〜パルボシクリブ+レトロゾール併用療法,パリボシクリブ+フルベストラント併用療法〜
●カボザンチニブ(カボメティクス®錠) 〜カボザンチニブ単剤療法,カボザンチニブ+ニボルマブ併用療法〜
支持療法薬
●ホスネツピタント(アロカリス®点滴静注)
●アナモレリン(エドルミズ®錠)
連載
▼便秘エコーを習得してアセスメント力をアップ【4】
病棟事例 〜看護師編〜
▼リレーエッセイ●がん看護CNS奮闘中 〜がんとともに社会で生きる患者を支えるための調整〜【新連載 大学病院での調整@】
連載にあたって
患者を支える地域連携のための地盤づくり
▼My Favorite Medicine!!【30】
ソトラシブ(ルマケラス®錠)
▼臓器別がん 最新のエビデンスに基づいた薬物療法と看護の実践【11】
腎がん
▼がん患者の“食べる”に寄り添う 〜食べることをあきらめない〜【7・最終回】
食べるよろこびは,生きるよろこび!
▼遺族の声を臨床に生かす 〜J-HOPE 4研究(多施設遺族調査)からの学び〜【15 原発不明がん,お迎え体験】
付帯研究2 原発不明がん患者の家族の体験に関する研究
付帯研究46 緩和ケア病棟で終末期がん患者にみられる「故人やあの世をみた体験」などの終末期体験に関する研究
▼がん看護実践者としての私を誇りに思う 〜ゆうがや会のこぼれ話〜【3】
後進育成につなげるメモリアルカンファレンスの取り組み 〜このかかわりでよかったよ〜
▼がん薬物療法看護のWhat's Trending! Past ☞ Current ☞ Future【22】
がん薬物療法を安全で確実に投与するためにどのように輸液ポンプを活用するか
特別インタビュー
【雑誌『がん看護』リニューアル記念特別インタビュー】
自分の人生に「イエス」と言う
特集にあたって
近年,抗がん薬治療が劇的に進化していることは言うまでもない.診断されたがんに対して,適応のある抗がん薬をやみくもに投与するのではなく,患者一人ひとりのがんのタイプにより,治療薬を変える個別化医療(プレシジョン医療)が日常臨床でも実施されるようになっている.以前の抗がん薬の【効能・効果】はがん種のみの記載であったが,最近の新薬には,△△変異陽性や□□過剰発現など,がん種だけではなく,がんのタイプまでもが記載されている.これは,さらなる効果が期待できるがん個別化医療が実臨床に組み入れられていることを示す.一方,臨床でがん治療に携わるわれわれにとってはがん薬物療法がより専門的,複雑になっていると言えよう.
令和5年3月28日,第4期がん対策推進基本計画(以下,第4期基本計画)が閣議決定された.第4期基本計画の全体目標は「誰一人取り残さないがん対策を推進し,全ての国民とがんの克服を目指す」である.この目標を達成するには,各職種がおのおのに行動するだけでは達成することがむずかしく,各職種がそれぞれの専門性を活かしチーム医療を実践することが必要不可欠である.しかし,拠点病院等が提出する診療体制や診療実績の報告書によると,すべての拠点病院等において専門チームが設置されている一方で,拠点病院等以外の医療機関においては,専門チームの設置が進んでいない,と報告されている.2 人に1 人ががんに罹患する昨今,拠点病院等以外でも新規薬剤を用いたがん治療は行われる.そのような現状を鑑みた場合,患者のそばにいる看護師も新薬に関する情報を整理し,薬剤ごと患者ごとの個別的な対応が必要となる.
本特集は,近年発売された13の新規薬剤(がん治療薬を11薬剤,支持療法薬を2薬剤)について,薬剤ごとに薬剤師による薬剤情報の提供と看護師による看護のポイントの解説を組み合わせたハイブリットな構成となっている.実際に診療にあたる看護師がより現場ニーズに応えることができるために,「アセスメントのポイント」や「患者の生活上の注意点」,「専門家につなぐ局面」も解説している.
がん看護の臨床現場で活躍される看護師の皆さまが本特集を参考にすることで,より安心・安全ながん薬物療法を提供することにつながり,さらには患者のQOL(quality of life)向上の一助となれれば幸いである.