がん看護≪隔月刊≫
いま知っておきたい がんのリハビリテーション最新 Tips(Vol.28 No.7)2023年9−10月号
- 商品説明
- 主要目次
特集にあたって
1981 年以降,がんは日本人の死因第1 位であり続け,国民の2 人に1 人が生涯のうちにがんに罹るといわれています.一方で,がん医療の目覚ましい進歩によって,がんの生存率は多くの部位で上昇傾向にあり,「がん=死」という時代から「がんとともに生きる」時代へと移り変わってきています.がんの治療を終えた,あるいは治療を受けながら日常生活を送っているがんサバイバーは500 万人を超えるともいわれています.
このような状況にておいて,がん患者はがんの進行もしくはその治療過程のなかで,体力低下や機能障害,精神・心理的障害が引き起こされ,日常生活動作(activities of daily living:ADL)や生活の質(quality of life:QOL)が著しく低下してしまいます.こういった背景もあり,近年では「がんのリハビリテーション」に対する注目が増してきており,第4 期がん対策推進基本計画の分野別施策「がん医療」のなかの一つとして,「がんのリハビリテーション」が組み込まれています.
従来から,リハビリテーションは機能障害やADL 制限などに対する治療手段として重要な役割を担ってきましたが,がんのリハビリテーションにおいては,がん種や治療方法,そして時期(治療前・中・後)などにより,その実施内容や目的が異なってくるという特徴があります.がんの領域では,いわゆる回復期のリハビリテーションだけでなく,予防期や終末期におけるリハビリテーションも同様に重要な役割を担っています.また,日本社会においても多様性が叫ばれる昨今においては,がん患者一人ひとりの個別性を尊重した多種多様ながんのリハビリテーションの理解および実践が求められており,そのためにはがん医療に携わる多くの他職種と協働していくことが欠かせない領域でもあります.
そこで今回は,多職種連携の中心的な存在である看護師が知っておきたいがんのリハビリテーションに関する最新の知識やアセスメントのポイント,看護師に求められる役割などについて解説しています.さらには,看護師が病棟や外来で実施可能な簡易的なリハビリテーションなども紹介しています.
本特集を通じて,より多くの看護師が「がんのリハビリテーション」に興味をもち,臨床現場で実践する際のTips を掴んでいたければ幸いです.
特 集
いま知っておきたいがんのリハビリテーション最新 Tips
●特集にあたって
【T.がんのリハビリテーションとは】
●がんのリハビリテーションの概要
●がんのリハビリテーションに必要なアセスメントと看護
【U.がんのリハビリテーション最新 Tips】
●がん患者の周術期リハビリテーション最新Tips〜prehabilitaionを中心に〜
●造血幹細胞移植患者のリハビリテーション最新Tips〜移植患者へのシームレスなリハビリテーションの実践〜
●進行がん患者のリハビリテーション最新Tips〜身体機能やADL能力を維持するために医療者が観察すべきポイントと支援の方法〜
●小児・AYA世代のがん患者のリハビリテーション最新Tips〜復学・復職支援において着目すべき中・長期的な認知機能の問題と支援〜
●高齢がん患者のリハビリテーション最新Tips〜vulnerable症例のスクリーニングと治療戦略〜
●がん患者の摂食嚥下リハビリテーション最新Tips〜治療・病期別のリハビリテーションと摂食嚥下障害を予防するヒント〜
【V.事例をとおして学ぶ多職種連携 Tips】
●事例@:がん治療期のリハビリテーションと多職種連携〜乳がん周術期のリハビリテーション〜
●事例A:終末期がん患者のケアとリハビリテーション〜最期まで自分らしく生きるためのリハビリテーション〜
●連 載
▼便秘エコーを習得してアセスメント力をアップ 【2】便秘エコー 〜撮影方法と画像の読み方〜
▼臓器別がん 最新のエビデンスに基づいた薬物療法と看護の実践 【8】膵がん
▼がん患者の“食べる”に寄り添う 〜食べることをあきらめない〜 【5】がん患者の在宅栄養・食事支援
▼遺族の声を臨床に活かす 〜J-HOPE4研究(多施設遺族調査)からの学び〜 【#13】医師からの説明
付帯研究15 積極的抗がん治療の中止に際する意思決定をサポートするコミュニケーション
付帯研究45 Do not resuscitation(DNR)に関する遺族の気持ち・考えについての研究
▼がん看護実践者としての私を誇りに思う 〜ゆうがや会のこぼれ話〜 【新連載】連載にあたって
看取り士としての私の歩み 〜私と母との手紙から〜
▼がん薬物療法看護のWhat’s Trending! Past ☞ Current ☞ Future 【20】がん薬物療法看護についての院内看護師教育の実際と課題
●今月の症例
発達障害の疑いがある終末期がん患者とのかかわり〜困難感を覚えるスタッフの前向きにケアをする気持ちを支援できた事例〜
●リレーエッセイ●がん看護CNS回想記 〜私の歩んできた道とその中での成長につながった体験〜【5】
▼第5回 取得21〜25年
CNS活動20年を振り返って
OCNSとして歩んできた道と成長につながった経験
●My Favorite Medicine!! 私が注目している抗がん薬を紹介します【28】セツキシマブ(アービタックス®)