雑誌

がん看護≪隔月刊≫

がん薬物療法の看護技術(Vol.28 No.5)2023年5−6月増刊号

発行年月 : 2023年6月
判型 : A4変

在庫あり

定価2,750円(本体2,500円 + 税)


  • 商品説明
  • 主要目次
  • 序文

特集にあたって  がん医療が時代とともに発展していき,新たな治療法や薬剤が開発され,治療がますます多様化する中,がん看護の果たす役割も拡大しつつある.がん医療における看護の役割も多様化しており,質の高い医療の提供には,各領域における専門性の高い看護技術を用いた治療支援やケアの提供が必須となっている.看護の役割の一つとしては,患者の状況に応じて,患者の安全,安楽を考慮した質の高い看護技術の提供が求められている.  たとえば,抗がん薬の静脈穿刺技術で考えると,これまでは医師が医療処置として静脈穿刺を行ってきたが,現在では看護師も抗がん薬の静脈穿刺を行う機会が増えてきている.その際には,私たちは安全に確実な穿刺を心がけるのみならず,穿刺時の痛みを極力少なくするという患者さんの安楽を考慮した看護技術の提供が求められる.穿刺技術のエキスパートは,患者が安心して治療が受けられるように,声かけなど心理的なサポートや治療環境の整備も行っている.また,患者ごとに血管の状況をアセスメントし,治療薬に応じた最適な血管を選択する. そして,さまざまな患者の身体の個別性をとらえられるアセスメント力,少ない穿刺回数で確実に血管をとらえる技,痛みを最小限にとどめる技や血管外漏出を予防できるような技をもっている.そういった臨床現場のエキスパートの技の本質を改めて見直してみると,がん看護に関連した看護技術について,エビデンスを再考することや,臨床知を言語化していく必要性を考えた.  しかしながら,エビデンスは言語化ができるが,一方,臨床での技においては,それぞれのエキスパートが蓄積している臨床知はあるものの,エビデンスとして確立していないケースもある.そこで,今回は,各方面のエキスパートに協力をしてもらい,これまで蓄積してきた臨床知を文章化し,多くの読者と技を共有できるかどうかを検討した.  がん看護技術とは,病態や治療の背景をふまえて,患者の病態や置かれる状況をアセスメントして,適切で洗練された技術を提供していくことだと考える.今回の特集を通して,がん看護の第一線で活躍しているエキスパートに,日ごろ高度実践に活用している技術をできる限り現場に還元してもらい,がん患者さん一人ひとりに応じた安全で安楽かつQOL が高まるような最善の看護技術が臨床現場に拡がることを期待している. 2023 年5月 淺野 耕太 入江 佳子

■編集: 淺野 耕太/入江 佳子
●編集にあたって
第T章 投与管理
 ◆末梢静脈穿刺×血管外漏出予防
 ◆末梢静脈投与×トラブルシューティング
 ◆CV ポート×トラブルシューティング
 ◆PICC×安全な取り扱い
 ◆髄注×安全なサポート
 ◆皮下注×安全な取り扱い
 ◆輸液×投与管理の基本
第U章 スキンケア
 ◆皮膚トラブル×スキンケアの基本
 ◆ストーマ患者×薬物曝露対策
 ◆スキン-テア×ハイリスク患者のケア 〜テープテアへのアプローチ〜
 ◆手足症候群(爪障害)×アドヒアランス向上
 ◆色素沈着×予防×カバーメイク
 ◆脱毛×ケア導入時
第V章 有害事象
 ◆末梢神経障害×非薬物療法
 ◆薬剤性浮腫×予防・苦痛緩和のケア
 ◆悪心・嘔吐×薬物/非薬物療法ケア
 ◆食欲不振×患者の苦痛に寄り添うケア
 ◆倦怠感×緊急性を見極めるケア
 ◆呼吸困難×早期発見と不安に対処
 ◆口腔粘膜炎×セルフケア支援
 ◆ホルモン療法×有害事象軽減
第W章 治療経過に伴う患者の“そのとき”に寄り添う
 ◆治療開始×不安軽減
 ◆告知後×今後の過ごし方・ACP
 ◆レイトライン×治療希望と意思決定
第X章 在宅療養患者の支援
 ◆経口がん薬物療法×在宅での内服セルフケア支援
 ◆在宅療養患者×サポート体制(感染管理)
第Y章 がん薬物療法全般
 ◆がん薬物療法Overview×スペシャリストの視点
 ◆サポート×家族のケア
 ◆曝露予防対策×スペシャリストの視点
●索 引

特集にあたって

 がん医療が時代とともに発展していき,新たな治療法や薬剤が開発され,治療がますます多様化する中,がん看護の果たす役割も拡大しつつある.がん医療における看護の役割も多様化しており,質の高い医療の提供には,各領域における専門性の高い看護技術を用いた治療支援やケアの提供が必須となっている.看護の役割の一つとしては,患者の状況に応じて,患者の安全,安楽を考慮した質の高い看護技術の提供が求められている.

 たとえば,抗がん薬の静脈穿刺技術で考えると,これまでは医師が医療処置として静脈穿刺を行ってきたが,現在では看護師も抗がん薬の静脈穿刺を行う機会が増えてきている.その際には,私たちは安全に確実な穿刺を心がけるのみならず,穿刺時の痛みを極力少なくするという患者さんの安楽を考慮した看護技術の提供が求められる.穿刺技術のエキスパートは,患者が安心して治療が受けられるように,声かけなど心理的なサポートや治療環境の整備も行っている.また,患者ごとに血管の状況をアセスメントし,治療薬に応じた最適な血管を選択する.

そして,さまざまな患者の身体の個別性をとらえられるアセスメント力,少ない穿刺回数で確実に血管をとらえる技,痛みを最小限にとどめる技や血管外漏出を予防できるような技をもっている.そういった臨床現場のエキスパートの技の本質を改めて見直してみると,がん看護に関連した看護技術について,エビデンスを再考することや,臨床知を言語化していく必要性を考えた.

 しかしながら,エビデンスは言語化ができるが,一方,臨床での技においては,それぞれのエキスパートが蓄積している臨床知はあるものの,エビデンスとして確立していないケースもある.そこで,今回は,各方面のエキスパートに協力をしてもらい,これまで蓄積してきた臨床知を文章化し,多くの読者と技を共有できるかどうかを検討した.

 がん看護技術とは,病態や治療の背景をふまえて,患者の病態や置かれる状況をアセスメントして,適切で洗練された技術を提供していくことだと考える.今回の特集を通して,がん看護の第一線で活躍しているエキスパートに,日ごろ高度実践に活用している技術をできる限り現場に還元してもらい,がん患者さん一人ひとりに応じた安全で安楽かつQOL が高まるような最善の看護技術が臨床現場に拡がることを期待している.

2023 年5月

淺野 耕太
入江 佳子

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