がん看護≪隔月刊≫
実践に活かすアドバンス・ケア・プランニング (Vol.28 No.2)2023年1−2月増刊号
サポート情報
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2023年02月03日
参考資料
- 商品説明
- 主要目次
特集にあたって
一度きりの貴重な人生を,自分らしく生きていきたい.誰もが抱く願いです.
どう生きるかの選択はその人自身のなかにあると思いますが,「今の治療を継続するか……やめるか……」「本当は家に帰りたいけど家族に迷惑をかけるから……」など,不確実な自分の人生の今後を見据えて,どうするかを考え行動することはたいへんむずかしいことです.患者さんやご家族の深い悩みに寄り添う医療者も,ともに考え悩み,時にはそこにいることさえつらくなるような体験をすることもあるでしょう.
アドバンス・ケア・プランニング(advance care planning:ACP)は医療や福祉の現場だけではなく,高齢者支援や市民啓発活動など,さまざまな場で広く周知されるようになりました.多くの看護師がACP に関心を寄せ,学会,講演会,書物や雑誌などで目にすることも増えています. 一方で,ACP 支援はむずかしい,ACP ってよくわからないという声も依然として少なくありません.「日常ケアのなかで取り組んでいることと何が違うのか(このような実践はすでに行っている)」,「ACP 支援は誰が実践するのか(主治医や専門教育を受けた特定の人が行うものでしょ)」,「人生の最期に関する会話って苦手だな(デリケートな内容でコミュニケーションがむずかしい)」,「チームの誰がいつどんなかかわりをしているのか見えない(ACP 関連情報がカルテのさまざまな場所に記載され,情報収集しにくい)」など,個別ケースのACP 支援から組織的な取り組みにいたるまで,臨床現場の悩みはつきません.
今回の増刊号では,臨床で活動する看護師が,ACP について改めて学び,ACP 支援の実践に活かすことができる内容をお届けしたいと思います.とくに,U章とX章はACP を2 つの視点からとらえ,1 つは,「対話を重ねることにフォーカスし,対象理解やその人に合わせたコミュニケーションについて考える視点」,もう1 つは,「患者の病態や治療,患者や家族の思いや選択などを,ACP プロセスとその変化としてとらえる視点」から考えたいと思います.
臨床ではどちらの視点も重要ですが,一人ひとりの看護師が患者や家族と向き合う上で参考となるような内容になればと思います.そして組織や地域とともにACP を実践していく基盤作りが推進されることを願っています.
2023 年1 月
近藤まゆみ
児玉美由紀
■編集:近藤まゆみ/児玉美由紀
●編集にあたって
第T章 ACPを理解する
◆がん患者のアドバンス・ケア・プランニング(ACP)
◆ACP実践における倫理的な側面
◆ACPのアウトカムとその評価
第U章 ACPを実践する
◆ACP支援における患者との対話・コミュニケーション
◆価値観コミュニケーション 〜患者・家族の価値観を明確にする対話〜
◆治療期から治療終了時期のACPとプロセス
◆治療終了時期から看取り時期のACPとプロセス 〜訪問看護師の立場から〜
第V章 ACPを組織(地域)で推進する
◆ACP支援を必要とする患者のスクリーニングとACPを促進するコミュニケーションツールの活用
◆コミュニケーション・スキル・トレーニング(多職種教育)
◆組織のなかでACPをどう推進するか
◆地域でACPをどう推進するか 〜地域密着型病院による地域を「つなぐ」取り組み〜
第W章 ACP実践に活かす意思決定支援
◆意思決定支援に関するガイドラインとがん領域のACP
◆意思決定支援プロセスを活用したACP支援の実際 〜事例から考える〜
第X章 事例を通してACPを考える
◆早期からACPを実践し意思決定を推進した事例
◆積極的治療を希望し続けた事例
◆うつ状態により病状や見通しを伝えることに困難を抱えた事例
◆患者の価値観や生き方を話し合いで理解しあった事例
◆子どもをもつ若年がん患者へのACP支援の事例
◆独居高齢者のACP支援の事例
◆認知症のある患者のACP支援の事例
◆病院(治療)から在宅へシームレスにACPが継続された事例
◆がん看護専門看護師が診断から看取りまで継続的にかかわりACPを支援した事例
◆ACP支援におけるチームアプローチ
第Y章 ACPに関する文献を概観する
◆国内外のがん領域のACPに関する文献検討 〜文献の内容を看護実践に活かそう!〜
●索 引