がん看護≪隔月刊≫
“便秘”最新の治療とアセスメント~ケア向上のためのエッセンス~(Vol.28 No.1)2023年1−2月号
- 商品説明
- 主要目次
特集にあたって
排便マネジメントにお困りの皆さんに朗報です.
今,便秘治療に地殻変動が起こっていること,実感されていますか?
本号企画者も緩和ケア医になって20 年,酸化マグネシウムなどの浸透圧性下剤と刺激性下剤で便秘と闘ってきました.患者さんからは「痛みより便秘のほうがつらいからオピオイドは増量しないで欲しい」といった声が聞かれ,頻繁な浣腸や摘便などの処置が必要となると「お尻が痛いです.出血しています」といった悲痛な声も少なくありませんでした.
ところが2017 年に使用できるようになったリナクロチド,ナルデメジンを使い始めたところ,看護師から「私たち,浣腸の毎日でしたが,新しい便秘治療薬が使われるようになって浣腸の頻度が減りました」といった喜びの声を聞くようになりました.2018 年にはポリエチレングリコールとエロビキシバットが使えるようになり,さらに排便マネジメントが容易になってきたことを実感しています.排便マネジメントが大きく改善されることで,患者の医療者への信頼感が増すということをよく体験します.そんなとき,「便秘がそれほど苦痛だったのだ
な」と改めて気づかされます.
新規便秘治療薬は,新しい作用機序をもっていますので,うまく使いこなすことで患者のQOL アップにつながることは間違いありません.一方,薬剤の選択方法については定まってはいない部分も多く,これから知見を蓄積していく必要があります.本特集では,あくまでも現段階での排便マネジメントについて共有し,今,苦しんでいる患者さんの助けになることを目指します.
がん看護に携わる者であれば,必ず出会うのが便秘の患者さんです.
本特集では,排便マネジメントの地殻変動を余すところなく実感し,日々の看護にお役立ていただければ嬉しく思います.
特 集
“便秘”最新の治療とアセスメント
〜ケア向上のためのエッセンス〜
編集:余宮きのみ
●特集にあたって
●排便メカニズムと便秘 〜アセスメントに必要な基礎知識〜
●便秘のアセスメント 〜便秘を見逃さない〜
●便秘治療薬 〜各薬剤の特徴を作用機序で理解する〜
●オピオイド誘発性便秘症 〜ナルデメジンを使いこなす〜
●便秘治療薬をどう選択する? 〜どう選択し,どう使いこなすか?〜
●化学療法中の患者の排便マネジメント〜抗がん薬治療を継続するために,排便マネジメントが大切〜
●がん終末期患者の排便マネジメント〜患者の体力に合わせた治療の継続とセルフコントロール感覚の維持を支える〜
●事例:排便マネジメントが疼痛緩和とがん治療への成功のカギとなった事例
●事例:便秘について患者とともに考え支援し続けた事例〜多職種とともに介入しかかわることで排便効果も得られQOL(Quality of Life)が向上する〜
●連 載
▼臓器別がん 最新のエビデンスに基づいた薬物療法と看護の実践 【5】
結腸・直腸がん
▼がん患者の“食べる”に寄り添う 〜食べることをあきらめない〜 【新連載】
連載にあたって
摂食嚥下の基礎知識
▼善先生のがんなにそれ講座 〜まずは相手を知らなあかんで〜 【6・最終回】
なにそれ16「ハミゴな血液がん」
なにそれ17「想像的な病理学的治療効果測定」
なにそれ18「寛容性の利用はズルいのか?」
▼スピリチュアルケアを学ぼう! 【5】
援助的コミュニケーションによるスピリチュアルケアの実践例
▼遺族の声を臨床に活かす 〜J-HOPE4研究(多施設遺族調査)からの学び〜 【#9】
代替
付帯研究26 緩和ケア病棟で死亡したがん患者の自費診療による治療の使用実態と家族の体験
付帯研究50 補完代替医療の使用と遺族の抑うつや悲嘆との関連を探索する研究
▼がん薬物療法看護のWhat’s Trending! Past ☞ Current ☞ Future 【17】
がん薬物療法に関連した過敏症の特徴とその対策
●投 稿
研究報告●化学療法を受ける切除不能の進行性肝胆膵がん患者の健康関連QOLおよび心理的適応の推移
●リレーエッセイ●がん看護CNS回想記 〜私の歩んできた道とその中での成長につながった体験〜【新連載】
連載にあたって
▼第1回 取得5年以内
“one and only”の役割を全うする
多くの人に支えられながらさまざまな役割を担う
●My Favorite Medicine!! 私が注目している抗がん薬を紹介します【24】
オラパリブ(リムパーザ®)