雑誌

がん看護≪隔月刊≫

女性のがん〜治療とケアの最前線〜 (Vol.27 No.6)2022年7-8月号

発行年月 : 2022年7月
判型 : A4変

在庫あり

定価1,870円(本体1,700円 + 税)


サポート情報

正誤表

  • 主要目次
  • 序文

特 集
女性のがん
〜治療とケアの最前線〜
編集:渡邊 知映
●特集にあたって
【治療の最前線】
●原発性乳がんの治療 〜手術療法を中心に〜
●転移再発乳がんの最新治療 〜薬物療法〜
●卵巣がんの最新治療 〜薬物療法〜
●HPVワクチン 〜誰に何を伝えなければならないのか〜
【女性のがん特有のケア】
●がん治療後のウイメンズヘルス
●婦人科がん放射線療法後合併症のマネジメント 〜排尿障害・排便障害〜
●HBOC診療における遺伝カウンセリング
●HBOCとともに生きる 〜当事者からの提言〜
●女性のがんと性・生殖
●女性がん患者の家族を支える
●女性看護外来の取り組み
●連 載
▼臓器別がん 最新のエビデンスに基づいた薬物療法と看護の実践 【2】頭頸部がん
▼知って安全! エビデンスに基づく抗がん薬の曝露対策と臨床実践 【8・最終回】抗がん薬の投与管理における曝露対策
▼善先生のがんなにそれ講座 〜まずは相手を知らなあかんで〜 【3】
 なにそれ7「ゲノム異常ちゅーても簡単な話やあらへん!」
 なにそれ8「多いとも少ないとも言えん遺伝子変異!」
 なにそれ9「ドライバー遺伝子はツボやねん!」
▼スピリチュアルケアを学ぼう! 【2】スピリチュアルケアと対人援助論
▼遺族の声を臨床に活かす 〜J-HOPE4研究(多施設遺族調査)からの学び〜 【#6】
 コミュニケーション
 付帯研究7 死後直前期の病状説明に対する遺族の満足度と医療者の取るべき態度
 付帯研究9 患者・家族間のEnd of Life Discussionについての遺族の評価
▼がん薬物療法看護のWhat’s Trending! Past ☞ Current ☞ Future 【14】
 がん薬物療法領域の抗体薬物複合体(ADCs:antibody drug conjugates)の特徴と取り扱う看護師の役割
●特別寄稿
 コロナ禍における臨地実習,Web活用への挑戦〜リアル感を工夫して〜
●投 稿
 がん患者の生き方に関する入院時の実態
●リレーエッセイ●“がん看護CNS”奮闘中!〜活動の場の開拓について考える〜【4】
▼第4回 管理者として活動の場を開拓する
 管理者の職位を活かした役割発揮
「まずはやってみる」が開拓の一歩
●My Favorite Medicine!! 私が注目している抗がん薬を紹介します【21】シスプラチン(ランダ®など)
●BOOK
 今日の治療薬2022 解説と便覧

特集 女性のがん 〜治療とケアの最前線〜

特集にあたって

 わが国では1 年間に40 万人以上の女性ががんを罹患している現状がある(国立がん研究センターがん情報サービス「がん統計」2018 年).特に,30 代,40 代では,女性のがん患者は男性の約3 倍を占めている.この年代の女性は社会的にも家族内でも大きな役割を担っている.さらに,治療によっては生殖機能への影響が避けられない場合もあり,妊娠・出産といった女性性の喪失の危機は当事者にとって大きな課題である.

 「女性のがん」の治療環境は今,大きく変化している.例えば,乳がんにおいて,PARP 阻害薬のコンパニオン診断としてのみでなく,遺伝性乳がん卵巣がん症候群の可能性がある既発症者に対するBRCA1/2 遺伝子検査,リスク低減予防切除術が保険収載され,初期治療選択において遺伝性腫瘍について検討することが増加した.また,子宮頸がんにおいては,予防のためのHPV ワクチンの接種勧奨が再開されることとなった.これらの動向から看護師には,女性のがん予防啓発や未発症者へのスクリーニングの推奨,がんと治療や長期的サバイバーシップ支援といった,治療期のみではなく,女性のヘルスケアを長期的に見据えて支える視点が求められている.

 そこで,今回の特集ではまず,「女性のがん」のなかでも乳がんと卵巣がんの治療の最前線について第一線の医師から看護師が知っておくべき知識を解説いただき,さらに,これらの治療による長期的影響に対する女性のヘルスケアについて婦人科医の視点からもご解説いただいた.HPV ワクチンの項目ではその効果と適応について概説いただいたうえで,誰に何を伝えなければならないのか,看護師に求められる役割も検討した.遺伝性乳がん卵巣がん症候群については,医師・遺伝カウンセラー,そして当事者の立場から,情報提供のあり方,未発症者や血縁者のスクリーニング,リスク低減予防切除術の選択などのマネジメントの実際をご解説いただき,看護師の責任ある支援について吟味する内容となっている.

 さらに,「女性のがん」特有のケアの最新のトピックについて,@セルフケア支援が重要となる婦人科がん放射線治療後の合併症の看護,A国からの助成制度が開始された妊孕性支援,B若年女性がん患者の家族支援のあり方の3 つを取り上げた.最後に,女性がん患者の包括的な支援としてがん専門病院における外来での先駆的な取り組みをご紹介いただいた.

 一人の女性ががんと共に生きる.その体験のすべてに影響を受ける人々が安心して暮らすことができるために看護は何ができるのか,いま一度問い直したい.

編集:渡邊 知映(昭和大学保健医療学部看護学科)


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