雑誌

がん看護≪隔月刊≫

研究を活かしケアにつなぐ看取りのエビデンス(Vol.26 No.8)2021年11-12月号

発行年月 : 2021年11月
判型 : A4変

在庫僅少

定価1,760円(本体1,600円 + 税)


  • 主要目次
  • 序文

研究を活かしケアにつなぐ看取りのエビデンス 特集にあたって 宮下 光令
 ●死に向かうからだの変化と予後予測 角甲  純
 ●死に向かうからだと症状
  ・疼 痛 重野 朋子
  ・呼吸困難 山本 瀬奈
  ・口渇,喘鳴,身の置き所のなさ 小林 成光
  ・せん妄 菅野 雄介
 ●死を迎える人へのケア
  ・輸液,栄養,食べること 向井未年子
  ・鎮 静 〜緩和困難な苦痛のケア〜 市原 香織
  ・グリーフケア,エンゼルケア 青山 真帆
 ●看取り期の家族ケア〜この時期にとくに必要なコミュニケーション〜 本田 順子
 ●在宅での看取り 田中 智之,若松 冬美
 ●COVID-19パンデミック下における看取り〜面会方法の工夫,死後処置〜 松村 優子

●連 載
▼知って安全! エビデンスに基づく抗がん薬の曝露対策と臨床実践 【4】
抗がん薬投与管理環境の日常清掃 狩野 太郎
▼シームレスに実践 ターミナルケア・グリーフケア 【4】
外来でのターミナルケアの実践
〜人生の完結期をその人らしく過ごすために,ともに考え支える外来看護とは〜 宮田 優子
▼もっと知りたい! 放射線療法 【2】
多職種で取り組む患者支援の方法を知る
〜職場・職域を超えた新たな取り組み〜 大田 史江
▼遺族の声を臨床に活かす 〜J-HOPE4研究(多施設遺族調査)からの学び〜 【新連載,#1,#2】
J-HOPE4研究(多施設遺族調査)の概要
J-HOPE4研究とはなにか 〜緩和ケアの質の評価と遺族の抑うつ悲嘆〜 升川 研人,宮下 光令
リハビリテーション付帯研究22 緩和ケア病棟でのリハビリテーションが終末期患者に与える影響 宮下 光令,長谷川貴昭
▼がん薬物療法看護のWhat’s Trending! Past ☞ Current ☞ Future 【10】
The ONS 46th Annual Congressのレポート 〜がん薬物療法のトピック〜 菅野かおり
●今月の症例
外国人がん終末期患者に対する緩和ケアの経験 尾形由貴子
●リレーエッセイ●こちらがん看護スペシャリスト奮闘中!
〜新たな敵と対峙してがん医療を前進させる〜【6】
▼第6回 がん医療の未来を守る
子どもたちからの後押しに奮起しながらチーム医療を芽吹かせる 栗田直央子
今までの当たり前からの転換 〜ICTを看護ケアに取り入れる好機〜 藤原 由佳
●My Favorite Medicine!! 私が注目している抗がん薬を紹介します【17】
ゲムツズマブオゾガマイシン 菅野かおり

特集:研究を活かしケアにつなぐ看取りのエビデンス

編集:角甲  純(兵庫県立大学看護学部実践基礎看護治療看護学/がん看護専門看護師)
   宮下 光令(東北大学大学院医学系研究科保健学専攻緩和ケア看護学分野)

特集にあたって

 看取り期(予後1〜2 週間程度の意識レベルが落ちてきた時期:臨死期)には,身体面では疼痛や呼吸困難といった苦痛症状とともに日常生活自立度の低下や食事摂取量・水分摂取量の低下などが起こります.精神面では死への恐怖や不安・抑うつなどとともにせん妄症状をきたすことが多く,患者だけでなく家族への十分な説明やケアも必要となります.

 20 年くらい前は看取り期のケアの研究によるエビデンスは非常に少なく,どの病院でも経験的・習慣的ケアがなされてきました.しかし,その後の緩和ケア研究の進歩により,国内外から多くのエビデンスが明らかになってきました.そこで,2013 年に本誌『がん看護』で「根拠に基づいた看取りのケア」特集を組ませていただき,その後,2018 年には『看取りのケア プラクティス×エビデンス』(南江堂)というそれまでのエビデンスをまとめた書籍を発刊いたしました.

 エビデンスは時代によってどんどん更新されていくものです.前回の特集や書籍を執筆した時期から現在まで数年が経過し,多くの看取り期のケアに関する研究が公表され,いくつもの国内外のガイドラインが改訂されてきました.しかし,臨床の看護師が研究論文やガイドラインを読みこなすのは大変なことです.

 そこで,本特集では,現場の最前線で患者・家族と向き合っている看護師を対象に,最新のエビデンスをわかりやすく伝えることを目標にいたしました.内容としては臨死期の特徴やアセスメントの総論に続き,疼痛や呼吸困難,せん妄などの難渋する症状の緩和,鎮静や輸液・栄養,家族ケアなど看取り期に特有の問題を取り上げ,現在の新型コロナウイルス感染症の流行が看取りのケアに及ぼしている問題点とその対応についても加えました.

 本誌の執筆陣はわが国における緩和ケアに関するガイドラインの作成に関わった方や個々のトピックを研究テーマにしている看護研究者などです.執筆者の皆様には,最新のガイドラインや研究成果をもとに,以前に慣習的に行われていたことから最近,考え方が変わってきたことを明確に記述することと,最新の成果を分かりやすく伝えるように執筆をお願いいたしました.

 現在の困難な医療状況のなか,多くの臨床の看護師が悩みや困難を抱えつつがん患者・家族の看取りのケアに臨んでいると思われます.そのような看護師が自信をもって良質なケアを提供することができるように,本特集がそれぞれのケアの根拠や裏付けを提供し,ひいては患者・家族の利益となれば幸いです.

編集者を代表して 宮下光令


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