がん看護≪隔月刊≫
放射線療法(Vol.26 No.6)2021年7-8月号
知ればケアが楽しくなる
- 商品説明
- 主要目次
特集にあたって
放射線療法を紹介されたがん患者さんからよく聞かれることは,「どうして放射線でがんが治るのでしょう?」「放射線は目に見えないでしょ? ちゃんと治療されているのかしら」といった放射線の不思議と不安から,「こんなに皮膚が赤くなるなんて……」「のども痛くて食事がとれないよ」「症状が出ることを聞いてはいたけど,最初はなんともなかったから」と急性有害事象のつらさに関することが多いように思います.患者さんにとっては,放射線療法に限らず,治療に関することは,思ってもみなかったこと,不安なことがたくさんあります.
看護師にとっても,放射線療法は,治療室で行われるため,実際に治療を受ける患者さんの様子を見たことがなかったり,放射線療法について十分に学ぶ機会がなかった方も多いのではないでしょうか? 放射線療法は,近年さまざまな治療装置が開発され,照射方法もいろいろな方法がとられるようになってきました.患者さんの病態や生活背景によって,放射線療法における選択肢も広がってきています.患者さんを全人的にとらえた看護師が,それぞれの治療方法の特徴を知り,意思決定支援やセルフケア支援に積極的にかかわることが必要とされているように思います.
そこで今回の特集では,放射線療法について,治療の要ともいえる治療計画画像を知り,そこから患者さんの有害事象のアセスメントやケアについて,代表的な急性有害事象である放射線皮膚炎,口腔粘膜炎について考えてみたいと思います.そして放射線療法終了後の晩期有害事象について知ることで,長期生存が可能になった患者さんの生活を知ること,がん相談や看護外来の活動の必要性についても取り上げました.また,がんによる症状を緩和するために,放射線を使った画像下治療(IVR)が行われてきています.がん治療にとって重要な役割を果たすさまざまな放射線について,看
護師が正しく知り,患者さんやご家族に対する安心で安全な看護実践につながれば幸いです.
特集
放射線療法 〜知ればケアが楽しくなる〜 編集:後藤志保
●特集にあたって 後藤志保
●放射線療法を受ける患者を知る 〜患者の生活はどう変わるか〜 藤本美生
●放射線療法の基本を知る 上間達也
●さまざまな放射線療法の特徴を知る 後藤志保
●放射線療法導入時のケア 〜看護師はなにをする?〜 定塚佳子
●治療情報を知る 祖父江由紀子
●急性有害事象を知る
・放射線皮膚炎 田中由希
・口腔粘膜炎 遠藤貴子
●晩期有害事象を知る 田中陽子
●がんの痛みに対する放射線療法とIVR 藤野絹代
連載
▼がんも身のうち 〜患者と看護教員 一人二役 リアルレクチャー〜 【9】
サルも木から落ちそうになる 吉原由実
▼対話に学ぶコミュニケーション 〜第二の患者である家族とのかかわりかた〜 【3・最終回】
「もう死にたい」と訴える患者への対応に悩んで途方に暮れる妻 匿名
▼シームレスに実践 ターミナルケア・グリーフケア 【2】
病院でのターミナルケアの実践
〜その人に寄り添う全人的なケアについて考える〜 瀬戸弘美
▼知って安全! エビデンスに基づく抗がん薬の曝露対策と臨床実践 【2】
抗がん薬の曝露による生殖への影響とその対策 安井久晃,濱田麻美子,田中年恵
▼がん薬物療法看護のWhat’s Trending! Past ? Current ? Future 【8】
看護師が知っておきたいEGFR阻害薬情報 菅野かおり
●今月の症例
多職種倫理カンファレンスがトータルペインの緩和ケアにつながった一事例 中野真理子
●特別寄稿
離合集散で実践的な学びをデザインする
〜看護学士課程における遠隔看護教育の工夫〜 糸川紅子
●投稿
研究報告●初回化学療法を受ける stage W肺がん患者の入院初日に抱える思いと看護へのニーズ
中村和美,伊勢圭則,橋本千尋,塚原美香,久保田美紀,浅海くるみ,村上好恵
●リレーエッセイ●こちらがん看護スペシャリスト奮闘中!
〜新たな敵と対峙してがん医療を前進させる〜【4】
▼第4回 家族の看取りを守る
最期まであきらめずに患者さんとご家族の願いを叶えるために 赤木郁子
「今ここで」できる最善を尽くす! 副枝恵美
●My Favorite Medicine!! 私が注目している抗がん薬を紹介します【15】
ニボルマブ 菅野かおり
●BOOK
Advance Care Planning のエビデンス 〜何がどこまでわかっているのか?〜 〔評者〕田村恵子
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