がん看護≪隔月刊≫
これだけは知っておきたい!オピオイド/いまはこうする がん看護 〜骨転移,口腔粘膜炎,テレナーシング〜(Vol.26 No.1)2021年1-2月号
- 主要目次
- 序文
特集1
これだけは知っておきたい!オピオイド 編集:荒尾晴惠,岡本禎晃
特集1にあたって 荒尾晴惠,岡本禎晃
がん疼痛の緩和において薬物療法をより効果的にいかす看護実践 荒尾晴惠
知識をつけよう! オピオイド 岡本禎晃
フェンタニル 江頭佐都美,岡本禎晃
オキシコドン 市原香織,岡本禎晃
ヒドロモルフォン 佐藤明美,川村三希子,岡本禎晃
タペンタドール 許田志津子,岡本禎晃
メサドン 岡山幸子,松田良信,岡本禎晃
特集2
いまはこうするがん看護〜骨転移,口腔粘膜炎,テレナーシング〜 編集:矢ヶ崎香
特集2にあたって 矢ヶ崎香
骨転移による疼痛や骨関連事象を知る〜リスクアセスメントに基づく看護〜 島田理恵
治療期の口腔粘膜炎の看護ケア〜感染症予防のための当たり前を見直す!〜 田邉沙央里
テレナーシングでがん患者・家族をサポートする〜新たな看護の提供方法〜 宇土しのぶ
●連載
・子宮頸がん 私自身,そして子どものことも考える 〜HPVワクチンと子宮頸がん予防の正しい知識〜【5】
医療従事者や市民にHPVワクチンの正しい情報を 〜開催したセミナーの紹介〜 鈴木裕美,長坂桂子,井上泉子,梶山あゆ子,御手洗幸子,近藤一成
・がんも身のうち 〜患者と看護教員 一人二役 リアルレクチャー〜【6】
見えない副作用(その2) 〜末梢神経障害や味覚障害による日常生活の不自由さ〜 吉原由実
・がん薬物療法看護のWhat’s Trending! Past ?Current ?Future 【5】
外来がん薬物療法看護の検討と看護介入研究の意義 市川智里,足利幸乃
●特別寄稿
乳房温存手術後放射線治療における保湿ケアに関するランダム化比較試験の知見を臨床実践に活かすには 羽賀千織
●投稿
研究報告●在宅終末期がん患者へ行うディグニティセラピーが家族員へ及ぼす影響
洲濱 良子,久保田明子,吉川恵,奥谷浩子,一瀬恭子,太田一樹,小澤竹俊
●リレーエッセイ●こちらがん看護スペシャリスト奮闘中!〜新たな敵と対峙してがん医療を前進させる〜【新連載】
連載にあたって 糸川紅子,青木和惠
▼第1回 がん看護教育の灯を消さない
“がん看護教育の灯を消さない”医療システムの開発 青木和惠
オンライン授業に込めるがん看護の心 糸川紅子
●My Favorite Medicine!! 私が注目している抗がん薬を紹介します【12】
パルボシクリブ 菅野かおり
●BOOK
がん診療における精神症状・心理状態・発達障害ハンドブック 〔評者〕荒尾晴惠
特集1 これだけは知っておきたい! オピオイド
特集1 にあたって
がん疼痛は,がん種を問わず患者の50%以上が体験しているといわれており,疼痛緩和はがん看護の重要な課題です.がん疼痛の緩和には適切な薬物療法が重要ですが,薬物療法にいたるまでの看護師の観察や判断とそれに基づいた看護,および薬物の投与,与薬に関する継続的な観察や判断とそれに基づいた看護が求められています.
しかし,がん疼痛に関する薬物療法に関しては,次々と新しい薬の台頭があります.そのため,臨床現場で看護師は,常に知識をアップデートし,看護に反映していかなければなりません.
そこで今回の特集では,がん疼痛の薬物療法のうち,近年使用されるようになったものを含め,主要なオピオイド製剤に焦点を当てて取り上げました.
「医師の指示で患者さんに薬をわたしている」,「薬の説明は薬剤師がやってくれる」という現場の声を聴きます.では,看護師はなにができるのでしょうか.
本特集では,看護師が,がん疼痛の薬物療法にかかわる際に押さえておきたい最低限のポイントとなる知識を網羅し,看護にどう活かせばよいのかを明記しました.
各薬剤の項目では,薬剤の特徴や作用機序などの解説を薬剤師に,「看護の視点から注意すること」を看護師に役割分担して執筆いただきました.
この特集号が手元にあれば,“がん疼痛ケアに活用できる!”を目指した特集です.皆さまの実践に活用されることを期待しています.
編集:荒尾 晴惠(大阪大学大学院医学系研究科保健学専攻)
岡本 禎晃(市立芦屋病院薬剤科)
特集2 いまはこうする がん看護 〜骨転移,口腔粘膜炎,テレナーシング〜
特集2 にあたって
本特集では,治療期のがん看護に焦点を当て,最新の研究結果(文献)から看護実践の方向性を考えることを目指している.
がん医療は,発展によりめざましく変化し,がん患者が受けられる治療の選択肢は多様で,複雑でもある.新たな治療法が開発されるたびに患者,家族と同様に医療者も期待と関心が高まり,実践するための知識や技術を習得しようと努めるだろう.一方,従来行っている日常的な看護を改めて見直す機会は少ないかもしれない.過去の知識を基に,あるいは組織(院内等)のマニュアルを参考に,また,経験的に患者へ助言,指導することも少なからずあるのではないだろうか.
がん患者が安全,安楽にかつ効果的なセルフケアを習得,継続し,副作用予防,悪化予防や合併症の予防に貢献できるような根拠に基づくセルフケア支援,副作用への対処について,いま改めて見直してみたい.
今回は「骨転移」「口腔粘膜炎」「テレナーシング」の3 つのテーマに焦点を当て,その研究結果から看護実践を検討した.
再発,進行がんの中でも骨転移のある患者は少なくない.骨転移を考慮するとどのくらい患者が動いてよいのか,どうやって介助したらよいのか迷うことはないだろうか? 安全,安楽なケアの方法,QOL が維持できるような支援,ケアの方法を検討する上でのエッセンスを学んでほしい.
口腔ケアは,さまざまながん治療を受ける患者の感染予防に不可欠で看護の基本ともいえる.日頃,患者の口腔内をどれだけ観察し,根拠をもってケアをしているだろうか? 現在実践しているケアを改めて見直したい.
3 つ目にはテレナーシングをテーマとした.COVID-19 の影響を受けオンライン診療が普及しているように,看護においてもテレナーシング,オンライン看護相談などを行う必要があるだろう.
本特集ではオンラインを用いた看護相談の方法,スキルについて海外文献や他疾患のテレナーシングに関する文献から,看護実践のスキルや今後の展望について検討し,提案した.
以上のようなことを参考に,日常のケアを見直す契機とし,実践に還元されることを願っている.
編集:矢ヶ崎 香(慶應義塾大学看護医療学部)