雑誌

臨床雑誌内科≪月刊≫

内分泌疾患診断のための 5 Steps(Vol.132 No.2)2023年8月号

「見逃しやすい」を「見逃さない」に変えるために

発行年月 : 2023年8月

在庫あり

定価2,970円(本体2,700円 + 税)


  • 主要目次
  • 序文

[特 集]
内分泌疾患診断のための 5 Steps―「見逃しやすい」を「見逃さない」に変えるために  
企画 大塚文男

[Step 1]症状をわかりやすく聞き出して内分泌疾患を疑う
 倦怠感は広くて怖い 中野靖浩
 体重の変化や浮腫を捉える 駐c幹子・福田いずみ
 高血圧症に伴う随伴症状を探る 長谷川 功
 内視鏡で見えない消化器症状を覗く 松浦文三
 神経筋症状では電解質変化を洗う 土屋天文・橋本貢士
 女性にも男性にも更年期症状あり 蘆田健二 ほか
 不明熱の影に内分泌疾患あり 亀田 啓
 骨粗鬆症やフレイルにも続発症あり 瀬了輔
 精神的変化の裏に内分泌疾患あり 栗原 勲
 
[Step 2]一般検査データから内分泌疾患を想起する
 尿異常・電解質異常 尾関良則・柴田洋孝
 糖質異常・脂質異常 河島淳司
 肝機能異常・腎機能異常 士祐一
 心電図異常 福長健作 ほか
 胸腹部X線像の異常 森 一郎・森田浩之
 
[Step 3]外見やホルモン値に惑わされないよう注意する
 偽性の病態 山本紘一郎
 サブクリニカル・サイレントな病態 鈴木正暉・福岡秀規
 マクロ分子など異常分子の存在 大國皓平・大塚文男
 ホルモン応答性の異常 伊澤正一郎
 
[Step 4]画像モダリティを選択して評価する
 副腎腫瘍における画像診断 曽根正勝
 甲状腺・副甲状腺疾患における画像検査 野津雅和・山本昌弘
 下垂体疾患におけるMRI検査 岩間信太郎・有馬 寛
 膵神経内分泌腫瘍における画像検査 堀口 繁
 
[Step 5]内分泌負荷試験を計画して確定診断する
 下垂体疾患を疑うときの検査計画と読み方 榑松由佳子・橋 裕
 副腎疾患を疑うときの検査計画と読み方 方波見卓行 ほか
 サンプリング検査の計画と読み方 永野秀和・田中知明
 
[座談会]
いまだに記憶に蘇る内分泌疾患の発見秘話 大塚文男[司会]・大月道夫・西山 充・蔭山和則
 
[連 載] 
内科医が精神科のくすりを処方する。
 第7回 SSRIを出したくなる人@ 國松淳和
イメージで捉える呼吸器疾患
 第10回 肺がん:反回神経麻痺「1ヵ月前から声がしゃがれています」 皿谷 健
Focus On
 高速かつ高品質な3DCG生成技術が医療にもたらす可能性 瀬尾拡史
 
[投 稿] 
Photo Report
 全身性エリテマトーデス患者でみられたモヤモヤ病様の脳血管異常 田島康敬
臨床研究
 貧血を合併した血液透析患者に対する赤血球造血刺激因子(ESA)製剤と低酸素誘導因子‒プロリン水酸化酵素阻害薬(HIF‒PHI)によるHb変動に及ぼす効果の比較 山木万里郎
 
[書 評]
臨床力を評価する リアルな内科診療の問題集 築島直紀
トータルマネジメントをめざす! がんの痛み治療テキスト 森田達也
甲状腺ホルモン不応症診療の手引き 橋本貢士

 新型コロナウイルス感染症(COVID—19)の3年にわたるパンデミックにより,一般健診や人間ドックなどの検査の機会や,いろいろと気になる症状で病院やかかりつけ医を受診するケースが減り,内科医が対面診療で,じっくりと隠れた病態を探り出すチャンスが減ってきたと思われる.少しでも早期発見すれば完治を期待できる内分泌疾患も多いなかで,その発見の遅れや健診控えから病態が長期化してしまうと,患者のQOLを損なうリスクもある.
 本特集では,そんな内分泌疾患を,いかに見逃さないようにキャッチするか,5つのStepで各分野のエキスパートの先生をお招きしてご解説いただいた.まず,Step 1では日常臨床から内分泌疾患を疑うコツを,総合的な内科視点を踏まえてわかりやすく解説いただいた.Step 2では,ホルモン検査の選択の方法や,一般検査のデータからどのように内分泌疾患を想起するかについて,臨床検査の視点から紹介いただいた.Step 3では,検査結果と臨床所見の両者を意識すること,結果を鵜呑みにせず,内分泌データと診察所見の照らし合わせが重要であることを強調している.
 さらに,advancedコースとしてStep 4,5では,確定診断のために行われるさまざまな画像検査や負荷試験の意義や結果をきちんと解釈し,専門医にコンサルトする場面で知っておくべき知識についても概説いただいた.座談会では,著者と同世代になる素敵な3名の同志の先生方をお招きし,いまだに記憶に蘇る患者さんとの貴重な出会いや,診療の体験談について熱く語っていただいた.内分泌検査の今と昔,次世代内分泌医の育成などについて意見を交わし,温故知新の内分泌学として伝えたいことをまとめてみた.
 まれなようでまれでない,そんな内分泌疾患の診療において,診断の鍵となるポイントをstep by stepで学ぶ機会を設け,内分泌異常の発見の秘訣から診断へのアプローチについて,広く内科医の皆さんや内科を目指す学生・研修医へ向けて発信したいと考え,本特集を企画した.今,まさに抱えている患者さんに関連したページだけ読まれても,もちろん一気に初めから読破されても,すぐに役立つ臨床Tipsが身につく内容に構成されている.読まれた皆さんが,これまで感じていたまれで難しい内分泌学から,楽しく身近な学問へと様変わりするようなパラダイムシフトを生み出す1冊になればと考えている.さあ皆さん,新しいgeneral endocrinologyの幕開けである.

大塚文男
(岡山大学 学術研究院医歯薬学域・総合内科学)

3032021