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臨床雑誌内科≪月刊≫

保存期慢性腎臓病と透析期のステージに応じた診療のポイント(Vol.132 No.1)2023年7月号

発行年月 : 2023年7月

在庫あり

定価2,970円(本体2,700円 + 税)


  • 主要目次
  • 序文

[特 集]
保存期慢性腎臓病と透析期のステージに応じた診療のポイント  
企画 菊地 勘
 
[Chapter 1]Overview:CKDと腎代替療法
 CKDの診断と医療連携 若井幸子・小川俊江
 腎代替療法の特徴と選択 小坂志保・酒井 謙
 保存期CKDと透析期の患者に必要な検査と評価 牧野 塁・宮崎真理子

[Chapter 2]輸液・電解質異常への対応
 CKDにおけるカリウム管理 後藤公彦・藤井秀毅
 カルシウム・リン・マグネシウムの管理 坂口悠介
 保存期CKDと透析期の患者への輸液の違い 小竹 徹・小島茂樹
 
[Chapter 3]保存期CKD患者・透析患者への薬剤の使い方
 腎保護薬としてのSGLT2阻害薬の使い方 阿部雅紀
 血圧管理と腎保護 レニン‒アンジオテンシン系阻害薬とミネラルコルチコイド受容体拮抗薬の使い方 柴田 茂
 脂質異常症の治療目標値と推奨薬剤 半田貴也・横井秀基
 造影剤 守矢英和・小林修三
 骨粗鬆症治療薬 谷口正智
 抗菌薬 神山裕一・上原由紀
 鎮痛薬と疼痛管理 大庭梨菜
 抗血小板薬,抗凝固薬 中尾 優
 
[Chapter 4]合併症・併存疾患がある患者への対応
 合併症の評価とその間隔 日髙寿美・小林修三
 心不全を合併した腎保護の考え方 常喜信彦・田中友里
 糖尿病の検査と処方 花井 豪
 保存期CKDから透析までの栄養管理 神田英一郎
 貧血 本田浩一
 不眠症 三浦 渉・西村勝治
 便秘 平田純生
 
[Chapter 5]トピックス
 歯科治療 毛利謙三
 災害 山川智之
 
[座談会]
 一般内科医と共有したいCKD患者に対する新たな治療 菊地 勘[司会]・小川哲也・菅野義彦・阿部雅紀
 
[連 載] 
内科医が精神科のくすりを処方する。
 第6回 ベンゾと私⑤ 國松淳和
イメージで捉える呼吸器疾患
 第9回 気胸「右胸が急に痛くなりました」 皿谷 健
Focus On
 病原微生物と全ゲノム解析 青木弘太郎
 
[投 稿] 
症例
 心臓カテーテルアブレーション後に生じた上腸間膜動脈症候群による胃運動能低下を体外式腹部超音波検査で追えた1例 谷内田友希
 
[書 評] 
感染対策はこわくない! ICT初心者のための必携対応マニュアル 松本哲哉
プライマリ・非専門医でもココまでできる! 潰瘍性大腸炎診療のキモ 岡本 真
“腑に落ちる”漢方処方 悩ましいケースで学ぶ 漢方薬の選び方と使い方 加島雅之

 慢性腎臓病(chronic kidney disease:CKD)の患者数は約1,400万人であり,非常に多くの成人が罹患している国民病です.適切な治療が行われなければ,CKDが進展して透析導入となります.わが国の血液透析(HD)患者数は約35万人であり,国民の約350人に1人がHD患者となります.この透析導入を防ぐためには,まずCKDにならないように,また,すでにCKDの患者のステージを進展させないように,腎炎や糖尿病,高血圧の管理を行うこと,CKDの早期診断と治療を行うことが不可欠です.このために,一般内科医と腎臓専門医が連携して,一人一人の患者を診療することが非常に重要です.そして,CKDが進展してHD導入が近づくと,一般内科医はHDを思い浮かべると思いますが,腎代替療法には腹膜透析や腎移植もあり,患者のライフスタイルに合わせて選択することが可能です.このため,本特集では,一般内科医にも知っておいていただきたい,腎代替療法の特徴と選択について取り上げています.
 CKD(透析含む)の有病率は高く,一般内科医が診療する機会は非常に多くなっています.しかし,水分管理や電解質管理など,保存期CKD患者とHD患者での診療の違いについては,一般内科医にあまり知られていません.また,最近では,新たなRAS系阻害薬の登場,糖尿病薬として発売されていたSGLT2阻害薬の腎保護効果の報告,内服による腎性貧血治療薬であるHIF-PH阻害薬の登場,新たな高カリウム治療薬の登場など,CKDの進行を予防する薬剤やCKD/HDの合併症をコントロールする薬剤が多く発売されています.これらの薬剤の使い方についても疑問や不安が多いようです.そして,CKD患者やHD患者に対する造影剤や非ステロイド性抗炎症薬(non-steroidal antiinflammatory drugs:NSAIDs)の使用方法や使用可否の違いについても質問を多く受けます.加えて,一般内科医がCKD患者やHD患者を診察する際に,抗菌薬の薬剤選択や使用量および使用方法に苦慮すると伺います.本特集では,CKD患者・HD患者への薬剤の使い方の項で解説いただいております.
 また,CKD患者やHD患者は不眠や便秘症などの合併が多く,一般内科の先生方に診察いただくことが多い合併症です.これらについても,心不全や糖尿病,栄養管理とともに,合併症や併存疾患の管理として記載しております.
 本特集では保存期CKD患者やHD患者を診療する一般内科医の疑問に答えるために企画しています.なお,保存期とHD期の違いが明確になる項目においては,これを対比して記載するように,執筆いただいた先生方にお願いしております.本特集が先生方の日常診療や病診連携に役立つことを期待しております.

菊地 勘
(下落合クリニック)

3032011