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IAC-IARC-WHO Cytopathology Reporting Systems

IAC-IARC-WHO Cytopathology Reporting Systemsとは

IAC-IARC-WHO Cytopathology Reporting Systemsは、国際細胞学会(IAC)と、世界保健機関(WHO)の専門機関である国際がん研究機関(IARC)の共同プロジェクトとして開始された細胞病理学の新シリーズである。2023年3月に第1巻となる『WHO Reporting System for Lung Cytopathology』が刊行された。確立されたエビデンスと細胞病理学の実践を統合したユニークな内容となっており、現在第5版が刊行されるWHO分類シリーズと連動している。

シリーズの詳細

細胞病理医が腫瘍を見る視点は他の専門家とは若干異なる。腫瘍の診断における細胞病理学的特徴に基づいた専門的な報告システムが求められ、診断カテゴリーの階層システムの中で、標準化された報告書によって提供される必要がある。診断カテゴリーは、臨床医とのコミュニケーションを改善し患者ケアをサポートするために、診断管理の推奨事項とリンクされていなければならない。そしてこれらの報告システムは、医療資源が異なる環境にいる世界中の患者のニーズに応えるために、国際的に標準化されていることが極めて重要である。

本シリーズは細胞診検査を世界的に標準化するために不可欠なツールであり、細胞病理学的研究を実践に移すための役割を果たす。診断上重要な細胞病理学的特徴は、腫瘍の種類ごとに定義された診断カテゴリー下に列挙され、正確かつ統一された言葉で説明されている。これらの診断基準は、初めて国際的なコンセンサスを得たものであり、この分野の専門家によって評価・議論されたエビデンスに裏打ちされている。各病変別セクションには、医療資源の乏しい環境を含む全世界で使用が可能な細胞病理学的特徴の鑑別診断を論じた専用の項目があり、その後の項目で細胞病理学的材料に対する補助検査(次世代シーケンサーを含む)の現在のベストプラクティスな適用を説明する。