臨床製剤学[電子版付]改訂第5版増補
編集 | : 内田享弘/鈴木豊史/四方敬介 |
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ISBN | : 978-4-524-40492-6 |
発行年月 | : 2025年1月 |
判型 | : B5判 |
ページ数 | : 444 |
在庫
定価6,820円(本体6,200円 + 税)
- 商品説明
- 主要目次
- 序文

製剤に関する内容を基礎から臨床まで⼀貫して解説した教科書.基礎物理化学・剤形に加え,病院・薬局製剤,注射剤の調整など臨床で必要な内容まで幅広く解説.剤形や製剤機械は実際の写真を掲載し,初めて学ぶ学生でも内容をイメージしやすいよう工夫した.今回の増補では改訂第5版の内容を一部更新したたうえで,電子版付とした.第十八改正日本薬局方に対応.
T 製剤の基礎物理化学
1 粒子・粉体
a 粒 子
1) 粒子の構成要素
2) 結 晶
3) 結晶多形
4) 溶媒和物
5) 非晶質固体
b 粉体粒子としての性質
1) 粒子密度
2) 粒子形状
3) 粉体の粒子径の測定法
4) 比表面積
c 粉体としての性質
1) 粒度分布と平均粒子径
2) 付着・凝集性
3) 充てん性
4) 流動性
5) ぬ れ
6) 吸湿性
2 溶液・溶解
a 溶 液
1) 溶液の状態
2) 溶解度
3) 非電解質の溶解度
4) 強電解質の溶解度
5) 弱電解質の溶解度
6) 溶解度に影響する因子
b 溶解現象
1) 溶解の律速過程
2) 表面積が一定のときの拡散律速溶解速度式
3) 安定形結晶の析出を伴う拡散律速の溶解速度式
4) 粉末の溶解速度式
3 界面現象
a 界面張力(表面張力)とその測定
1) 表面張力
2) 吸着と表面張力
3) 液-液における界面張力
4) 表面張力の測定法
b 界面活性剤
1) 陰イオン(アニオン)性界面活性剤
2) 陽イオン(カチオン)性界面活性剤
3) 両性界面活性剤
4) 非イオン性界面活性剤
5) 界面活性剤の性質
6) ミセル形成
7) クラフト点
8) 曇 点
9) 可溶化
10) 界面活性剤の用途
c 分散系
1) コロイドの種類
2) 分散系の安定性
d 乳 剤
1) 乳化剤
2) 乳剤の型の判別法
3) 乳剤の安定性
4) 転 相
e 懸濁剤
1) 懸濁剤の安定性
f 分散した粒子の安定性と分離現象
g 分散安定性を高める代表的な製剤学的手法
4 レオロジー
a 粘 性
1) ニュートンの粘性法則
b 流 動
1) ニュートン流動
2) 非ニュートン流動
3) 塑性流動(ビンガム流動)
4) 準塑性流動
5) 準粘性流動
6) ダイラタント流動
7) チキソトロピー
c 弾 性
d 粘弾性
1) マクスウェルモデル
2) フォークトモデル
e レオロジー特性値の測定
1) 毛細管粘度計
2) 回転粘度計
f 製剤のレオロジーの評価
g 高分子
1) 高分子の分類
2) 高分子の構造
3) 高分子溶液の性質
4) 高分子の溶解
5) 高分子電解質溶液の性質
6) 高分子ゲル
5 反応速度
a 化学反応速度論
1) 反応速度と反応次数
2) 半減期
3) 反応次数の決定法
4) 複合反応
b 安定性に影響する要因
1) pHの影響
2) 温度の影響(アレニウス式)
3) イオン強度
4) 誘電率
c 衝突説・遷移状態理論
1) 衝突説(衝突理論)
2) 遷移状態理論
d 薬物と製剤材料の安定性に影響する要因と安定化法
1) 用時溶解
2) 抗酸化剤
3) 遮光保存
4) 保存条件,溶液条件の安定化
5) 難溶性塩の形成
6) 複合体の形成
6 医薬品の修飾
a 代表的なプロドラッグとそのメカニズム・有用性
1) 吸収性の改善・経口投与可能
2) 体内移行の改善
3) 副作用の軽減
4) 溶解性の改善
5) 作用の持続化
6) 苦味の改善
b 吸収に影響をおよぼす薬物・製剤側の因子
1) 薬物側の因子
2) 製剤側の因子
練習問題
U 医薬品の開発と品質・安全性の確保
a 医薬品とは
b 新医薬品等の開発
1) 医薬品開発における国際的ハーモナイゼーション(ICH)
2) 非臨床試験
3) 臨床試験
4) 新医薬品の製造販売承認申請
5) 後発医薬品の開発
6) バイオ医薬品
7) バイオ後続品(バイオシミラー)
c 医薬品の品質および安全性の確保
1) 医薬品の品質管理・安全管理
2) 製造販売後の安全監視体制
Coffee Break 「毒」と「薬」の関係はココにもある!?
練習問題
V 各種医薬品製剤
1 日本薬局方
a 日本薬局方の構成と概要
b 製剤総則
2 経口投与する製剤
a 即放性製剤と放出制御型製剤
b 錠 剤
錠剤の中で小分類される剤形(特殊錠剤)
1) 口腔内崩壊錠
2) チュアブル錠(咀嚼錠)
3) 発泡錠
4) 分散錠
5) 溶解錠
Coffee Break ミニタブレット
c カプセル剤
d 顆粒剤
顆粒剤の中で小分類される剤形
1) 発泡顆粒剤
e 散 剤
Coffee Break TRF(Tamper Resistant Formulation)改変防止技術,タンパレジスタント包装
f 経口液剤
経口液剤の中で小分類される剤形
1) エリキシル剤
2) 懸濁剤
3) 乳 剤
4) リモナーデ剤
g シロップ剤
シロップ剤の中で小分類される剤形
1) シロップ用剤
h 経口ゼリー剤
i 経口フィルム剤
経口フィルム剤の中で小分類される剤形
1) 口腔内崩壊フィルム剤
j 添加剤
1) 固形製剤に用いられる添加剤
2) 半固形製剤,液状製剤の添加剤
3 口腔内に適用する製剤
a 口腔用錠剤
1) トローチ剤
2) 舌下錠
3) バッカル錠
4) 付着錠
5) ガム剤
b 口腔用液剤
Coffee Break プレフィルドシリンジ型頬粘膜投与製剤
1) 含嗽剤
c 口腔用スプレー剤
d 口腔用半固形剤
4 注射により投与する製剤
a 注射剤
注射剤の中で小分類される剤形
1) 輸液剤
2) 埋め込み注射剤
3) 持続性注射剤
4) リポソーム注射剤
b 無菌製剤の等張化
1) 浸透圧とオスモル濃度(Osm,osmol/L)の関係
2) 浸透圧調整のための計算法
5 透析に用いる製剤
a 透析用剤
1) 腹膜透析用剤
2) 血液透析用剤
6 気管支・肺に適用する製剤
a 吸入剤
b 吸入粉末剤
c 吸入液剤
d 吸入エアゾール剤
7 目に投与する製剤
a 点眼剤
b 眼軟膏剤
Coffee Break 国内唯一のマクロライド系抗生物質点眼剤
8 耳に投与する製剤
a 点耳剤
Coffee Break 手術がいらない!? 鼓膜穿孔を対象とした初の治療薬
9 鼻に適用する製剤
a 点鼻剤
1) 点鼻粉末剤
2) 点鼻液剤
Coffee Break 注射剤以外で初の治療薬! 低血糖時救急治療のための点鼻粉末製剤
10 直腸に適用する製剤
a 坐 剤
1) 坐剤の併用順序と間隔
b 直腸用半固形剤
c 注腸剤
Coffee Break 日本初の注腸フォーム製剤(泡状製剤)
11 腟に適用する製剤
a 腟 錠
b 腟用坐剤
12 皮膚などに適用する製剤
a 外用固形剤
1) 外用散剤
b 外用液剤
1) リニメント剤
2) ローション剤
c スプレー剤
1) 外用エアゾール剤
2) ポンプスプレー剤
d 軟膏剤
e クリーム剤
f ゲル剤
g 貼付剤
1) テープ剤
2) パップ剤
Coffee Break 日本初のシャンプー製剤(シャンプー様外用液剤)
13 その他の製剤
a 生物関連医薬品
1) ワクチン,トキソイド,抗毒素
2) 生物医薬品
3) 再生医療等製品
Coffee Break 非常に高額ながん免疫細胞療法薬
Coffee Break 国内最高額の脊髄性筋萎縮症治療薬
4) 血液製剤
b 放射性医薬品
1) 治療用医薬品
2) 診断用医薬品
3) 体外診断用医薬品
c 生薬関連製剤
1) エキス剤
2) 丸 剤
3) 酒精剤
4) 浸剤・煎剤
5) 茶 剤
6) チンキ剤
7) 芳香水剤
8) 流エキス剤
14 単位操作
a 粉 砕
b 分 級
c 混合,混練・捏和,撹拌
d 造 粒
e 乾 燥
f 打 錠
g コーティング
h 乳化・懸濁化
i カプセル充てん
15 日本薬局方一般試験法
a 一般試験法
1) 製剤均一性試験法
2) 溶出試験法
3) 崩壊試験法
4) 製剤の粒度の試験法
5) 無菌試験法
6) エンドトキシン試験法
7) 発熱性物質試験法
8) 鉱油試験法
9) 注射剤用ガラス容器試験法
10) プラスチック製医薬品容器試験法
11) 輸液用ゴム栓試験法
12) 注射剤の不溶性異物検査法
13) 注射剤の不溶性微粒子試験法
14) タンパク質医薬品注射剤の不溶性微粒子試験法
15) 注射剤の採取容量試験法
16) 吸入剤の送達量均一性試験法
17) 吸入剤の空気力学的粒度測定法
18) 点眼剤の不溶性異物検査法
19) 点眼剤の不溶性微粒子試験法
20) 眼軟膏剤の金属性異物試験法
21) 粘着力試験法
22) 皮膚に適用する製剤の放出試験法
23) アルコール数測定法
24) 半固形製剤の流動学的測定法
25) 微生物限度試験法
b 滅菌法および無菌操作法
1) 滅 菌
2) 最終滅菌法
3) 無菌操作法
4) 滅菌指標体(インジケーター)
16 製剤の品質確保
a 製剤の安定性
1) 製剤の変化,分解
b 安定性の評価
1) 安定性試験
c 容器・包装
1) 容 器
2) 製剤の容器・包装
Coffee Break チャイルドレジスタント包装
17 ドラッグデリバリーシステム
a DDSの概念と代表的なDDS技術
b コントロールドリリース
1) コントロールドリリース(放出制御)の概要と意義
2) 代表的なコントロールドリリース技術とその特性
3) コントロールドリリース技術を適用した代表的な医薬品
c ターゲティング(標的指向化)
1) ターゲティング(標的指向化)の概要と意義
2) 代表的なターゲティング技術とその特性
3) ターゲティング技術を適用した代表的な医薬品
d 吸収改善
1) 吸収改善の概要と意義
2) 代表的な吸収改善技術とその特性
3) 吸収改善技術を適用した代表的なプロドラッグ
4) 溶解性を改善したその他の製剤
e アンテドラッグ
1) アンテドラッグの概要と意義
2) 代表的なアンテドラッグ
f インスリン製剤
1) インスリン製剤の概要と種類
g 分子標的医薬品
1) 分子標的医薬品の概要と意義
2) 代表的な分子標的医薬品とその特性
3) 代表的な分子標的医薬品
h 核酸医薬品
1) 核酸医薬品の概要と意義
2) 代表的な核酸医薬品とその特性
3) 代表的な核酸医薬品
練習問題
W 臨床製剤
1 病院・薬局製剤
A 院内製剤(病院薬局製剤)
a 院内製剤の定義,分類,意義
1) 定 義
2) 分 類
3) 意 義
b 院内製剤を調製する環境
1) 設 備
2) 機器,器具
c 院内製剤における手続きと薬剤師の役割
1) 院内製剤の調製および使用に関する指針
2) 院内製剤の調製の流れ
d 院内製剤の調製における病院内の手続き
1) 治療・診断等を目的とする場合
2) 特定機能病院における手続き
3) 臨床研究の場合
e 院内製剤の品質確保,品質保証
1) GMP対応
2) 院内調製時の品質確保
3) 院内製剤の品質試験
4) 院内製剤の安定性試験
f 院内製剤の実際
1) わが国における院内製剤使用の現状
2) 事例紹介(福井大学医学部附属病院の場合)
3) 院内手続き
g 院内製剤における問題点
h 院内製剤の市販化について
1) 院内製剤の市販化の意義
2) 市販化が望まれる院内製剤
3) 院内製剤の市販化を要望して実際に達成された事例
B 薬局製剤(薬局製造販売医薬品)
a 薬局製剤の定義
b 薬局製剤の製造と販売
1) 法的手続き
2) 製造販売における遵守事項
c 代表的な薬局製剤
2 注射剤の無菌調製
A 無菌調製に必要な環境
1) 清浄度区分
2) 空調システム
3) 無菌室とクリーンベンチ
B 中心静脈栄養と末梢静脈栄養
a 投与経路,投与速度
b 静脈栄養剤の種類と組成
1) 高カロリー輸液製剤
2) 末梢静脈栄養輸液製剤
c 静脈栄養における各種栄養素の代謝と役割
1) 糖の代謝
2) アミノ酸の代謝
3) 脂肪の代謝
4) ビタミンの役割
5) 微量元素の役割
d 電解質濃度とカロリー量の計算
1) 電解質の投与量
2) カロリー量の計算
3) 投与計画の実際
4) 栄養評価
e 水分バランスの考え方
1) 水分バランスの実際
f 器材と取り扱い
1) 輸液ライン
2) 輸液ポンプ
g 合併症と対策
3 注射剤の配合変化
a pHの変動による物理的配合変化
1) pHの変動による溶解性の変化
2) pH変動試験とpH変動スケール
Coffee Break プロドラッグ化による配合変化の回避
3) pH変動スケールを用いた配合変化の予測
4) 緩衝能
b 溶解度の変動による物理的配合変化
1) 溶媒の変化による配合変化
2) 温度の変化による溶解度変化
c 化学的配合変化
1) 難溶性塩の形成
2) メイラード反応
3) 亜硫酸塩の影響
4) 糖による影響
d 容器への吸着などによる配合変化
1) 吸着と収着
2) 可塑剤の溶出
e 配合変化の回避方法
1) 混合時の配合変化の回避
2) 投与時の配合変化の回避
4 抗悪性腫瘍剤の取扱い
a 抗悪性腫瘍剤の特徴と取り扱いに関わるガイドライン等の整備状況
b 抗悪性腫瘍剤調製のための環境・物品
1) 生物学的安全キャビネット(biological safety cabinet:BSC)
2) 閉鎖式薬物移送システム(closed system drug transfer device:CSTD)
3) 個人防護具(personal protective equipment:PPE)
c 抗悪性腫瘍剤の調製の実際
1) 安全キャビネット稼働・内部の準備
2) 調製に用いるシリンジの選択
3) CSTDを用いた調製
4) 飛散・漏出により調製者が汚染した場合の対応
5) 飛散・漏出による環境汚染への対応
d 投与時の輸液セットの選択
1) パクリタキセル注
2) アルブミン懸濁型パクリタキセル(アブラキサンⓇ)
3) ドキソルビシンリポソーム化(ドキシルⓇ)
4) エトポシド注
5) ニボルマブ注
e抗悪性腫瘍剤調製業務を支援する機器について
1) 抗悪性腫瘍剤調製監査システム
2) 抗悪性腫瘍剤自動調製ロボット
5 注射用キット製品・使用方法
a キット製品とは
b 注射用キット製品の使用目的と分類
1) 医療機器(シリンジなど)に医薬品をあらかじめ充てんしたもの
2) 医薬品を組み合わせて単一の容器内にセットし,用時コネクターを介して混合可能としたもの
3) 複数の医薬品をあらかじめ溶解または混合し単一容器内に充てんしたもの
4) 抗生物質など用時溶解型注射剤と溶液型注射剤を接続できるような容器に充てんしたもの
c 注射用キット製品のメリットとデメリット
d 注射用キット製品の構造,特徴,使用方法
1) プレフィルドシリンジ型
2) 特殊注入器型
3) ダブルバッグ型(抗生物質など)
4) ダブルバッグ型(栄養輸液など)
5) トリプルバッグ型・クアッドバッグ型
6) ワンバッグ型・プレミックス型
7) ハーフキット型
Coffee Break デバイスの名称は覚えるのに苦労する?
6 院内感染・消毒剤の意義
a 消毒剤の種類と特徴
1) 高水準消毒剤
2) 中水準消毒剤
3) 低水準消毒剤
4) その他の消毒剤
b 使用法
1) 効果に影響をおよぼす因子
2) 器械・器具と環境の消毒
3) 手指の消毒
c 院内感染防止対策
1) 院内感染とは
2) スタンダードプリコーション(標準予防策)
3) 感染経路別予防策
4) 器具や環境における院内感染対策―消毒の観点から
Coffee Break 手指に消毒剤を噴霧するだけで満足していないだろうか?
練習問題
参考文献
練習問題解答
索 引
改訂第5 版増補の序
本書は薬学6 年制導入初年度の2006 年に発刊された初版をスタートに,改訂モデル・コアカリキュラム導入後の薬学生の教育に使用されてきた.この間改訂を重ね,この度改訂第5 版増補となった.
初版の序でも述べているように,本書は,医療現場において新しい医薬品(製剤)が次々と登場し承認審査体制も変化するなかで,薬の専門家として責任をもってチーム医療や医薬品開発に参画できる薬学生の育成を目的に刊行された.
第T章「製剤の基礎物理化学」,第U章「医薬品の開発と品質・安全性の確保」,第V章「各種医薬品製剤」,第W章「臨床製剤」という4 部構成となっており,製剤の基礎から,医薬品の開発・承認,各種剤形,臨床現場での製剤(医薬品)の実際について順序だてて学習できるようになっているが,オムニバス的な各章の学習も可能である.
改訂第5 版においては,第十八改正日本薬局方への対応の必要性,新しい臨床製剤登場等を考慮し,大幅な改訂を行い,かつ薬学生に使用しやすいよう工夫をした.以下にその変更内容について記す.
・ 全章を通じて学生がイメージしにくい特殊な剤形や製剤機械等のイラスト,写真を多数追加した.
・第U章ではバイオ医薬品やバイオ後続品(バイオシミラー)の解説を拡充した.
・ 第V章のドラッグデリバリーシステム(DDS)の内容を一新し,第W章の臨床製剤の大部分についても内容を一新した.
・ ユニークな製剤や最新技術を用いた製剤学的工夫,高額医薬品の薬価など読み物的な内容を新たにコラムとして追加した.
・ 章末の練習問題については関連する本文参照頁を極力挿入した.また,図や表を見て考えさせる演習問題を新たに追加した.
改訂第5 版増補では,改訂第5 版の内容に一部手を加えた上で,電子版付きとした.
本書を有効活用していただくことで,臨床薬剤師として,あるいは製薬分野で活躍するための基盤の醸成に繋がるものと考える.薬学生のみならず,現職の薬剤師の方々,製薬企業の方々にも,本書を活用いただきたい.
最後に,今回の改訂作業に格別なご尽力をいただいた南江堂出版部の諸氏に深謝する.
2024 年12 月
編集者一同
初版の序
平成18 年という薬学6 年制導入の節目に,本書「臨床製剤学」を刊行することを真に喜ばしいことと思う.薬学教育については,すでにその内容を標準化し到達点を明瞭化した薬学教育モデル・コアカリキュラムが提示されている.薬学教育の最終目標は,薬学の基礎学問を十分に習得し,それを基盤として医療現場や製薬など幅広い分野で活躍するために必要な知識・技能・態度を兼ね備えた学生を育て上げることであろう.近年,介護者や高齢者などのQOL 改善を目的とした口腔内崩壊錠剤の開発・導入が盛んである.医薬品(製剤)の承認審査の体制も大きく変革した.遺伝子製剤や新たな病院製剤やキット製品も登場しつつある.かかる中,本書はそのような新しい医薬品(製剤)の登場に対応し,薬の専門家として責任をもってチーム医療や医薬品開発に参画できる薬学生の育成を目標に刊行された.
本書は,T.製剤の基礎物理化学,U.医薬品の開発,V.各種医薬品製剤,W.臨床製剤の4 部構成で,製剤の基礎である物理化学から,医薬品(製剤)の開発,局方医薬品,さらに医療現場で実際に使用されている臨床製剤を網羅した.すなわち,薬物が製剤化され,審査・承認され,現場で使用されるすべての部分に言及している.T章の「製剤の基礎物理化学」は,粒子・粉体,溶液・溶解,界面現象,レオロジー,反応速度,医薬品の修飾など物理薬剤の基本的内容から成る.第U章の「医薬品の開発」では,最近大きく変化した承認審査体制等について記述されている.V章の「各種医薬品製剤」では,日本薬局方,固形製剤,半固形製剤,エアゾール剤,液状製剤,その他の製剤,無菌製剤,単位操作,日本薬局方一般試験法のほか,遺伝子を含めたドラッグデリバリーシステムや包装など品質確保の項目について詳述している.W章の「臨床製剤」は,病院・薬局製剤,注射剤の無菌調製,注射剤の配合変化,抗悪性腫瘍剤の取扱い,キット製剤・使用法,院内感染・消毒剤の意義の各項目について現場薬剤師の目線からまとめたものである.
各項目の冒頭に薬学教育モデル・コアカリキュラムの到達目標を明示して学習のポイントを明らかにするとともに各章末に過去の国家試験やその類題を掲載し学生自身が学習の到達度を確認できるように工夫した.
本書では,製剤の基礎から最新の製剤に及ぶ広範囲の事項について平易に解説した.薬剤師,製薬など医療分野での活躍を目指す薬学生のみならず,現場薬剤師や製薬企業で活躍する薬学人にも座右の書にしていただきたい.
最後に校正などに多大なご尽力をいただいた南江堂出版部の諸氏に深謝する.
2006 年3 月
編集者一同
