新 放射化学・放射性医薬品学[電子版付]改訂第5版増補
| 編集 | : 佐治英郎/向高弘/月本光俊 |
|---|---|
| ISBN | : 978-4-524-40477-3 |
| 発行年月 | : 2024年8月 |
| 判型 | : B5判 |
| ページ数 | : 376 |
在庫
定価6,600円(本体6,000円 + 税)
- 商品説明
- 主要目次
- 序文

放射化学,放射性医薬品学のスタンダードな薬学部学生向けの教科書.放射化学の基礎から,放射線,放射性同位体元素の利用,関連法規まで網羅し,基礎から応用までわかりやすく解説.今回の増補では,改訂第5版の内容に一部手を加えたうえで,電子版付とした.薬学教育モデル・コア・カリキュラム(令和4年度改訂版/平成25年度改訂版)対応.
序 章
放射線の二性
放射線・放射性同位元素・放射性医薬品は何のために学ぶのか
1章 原子核と放射能
1原子と原子核
A.原子の構造
B.原子核の構造
C.核 種
D.原子質量とエネルギー
E.結合エネルギー
F.原子核の安定性
2放射性壊変の形式
A.α壊変
B.β壊変
C.γ転移(γ放射)
D.自発核分裂
E.壊変図式
3放射能と放射性壊変の特徴
A.放射性壊変の法則(壊変律)
B.放射能の単位
C.分岐壊変
D.連続壊変
E.放射平衡
2章 放射線と物質との相互作用
1放射線が物質に及ぼす効果
A.放射線による電離
B.放射線による励起
C.電離・励起により起こる作用
2荷電粒子(α線,β線)と物質との相互作用
A.α 線
B.β− 線
C.β+ 線
3電磁波電離放射線(γ線)と物質との相互作用
A.電磁波
B.γ線と物質の相互作用
C.γ線の吸収
4中性子と物質との相互作用
A.中性子のエネルギーによる分類
B.物質との相互作用
5線量(放射線量)とその単位
A.粒子束密度(粒子フルエンス率)
B.照射線量
C.吸収線量
D.線量当量
3章 放射線測定法
1放射線の測定原理とシステム構成
A.放射線の測定原理
B.システム構成
C.測定器の分類
2壊変率と計数率
3測定値の補正と取り扱い
A.バックグラウンド
B.数え落とし
C.統計的取り扱い
4電離現象を利用した放射線測定器
A.気体の電離を利用した測定器
B.固体の電離を利用した測定器
5蛍光現象を利用した放射線測定器
A.固体の蛍光を利用した測定器
B.液体の蛍光を利用した測定器
6放射線エネルギーの測定とエネルギースペクトル
A.α線のエネルギー測定
B.β線のエネルギー測定
C.γ線のエネルギー測定
7その他の放射線測定法
4章 天然の放射性核種と人工放射性核種の製造
1天然放射性核種と人工放射性核種
A.天然放射性核種
B.人工放射性核種
2核反応
A.Q 値
B.しきい値
C.クーロン障壁
D.核反応の形式
3核分裂
A.核分裂の特徴
B.核分裂生成物
C.原子炉
4人工放射性核種の製造
A.原子炉による放射性核種の製造
B.加速器による放射性核種の製造
C.核反応による放射性核種製造量の定式化
D.ジェネレータによる放射性核種の製造
5章放射線の生体への影響
1放射線の生物への影響の特殊性
2放射線の生体分子への作用過程
3水の放射線化学と生成ラジカルと生体分子との反応
4フリーラジカル
5活性酸素
6直接作用と間接作用
7直接作用と標的理論
A.1標的1ヒットモデル
B.複数(多重)標的1ヒットモデル
8間接作用の根拠となる事象
A.希釈効果
B.酸素効果
C.温度効果
D.保護効果および増感効果
9生体高分子の放射線化学
A.高分子化合物
B.DNA損傷
C.DNA修復
10細胞に対する放射線の影響
A.細胞周期
B.放射線感受性と細胞周期
C.分裂遅延
D.細胞死
E.細胞障害からの回復
11個体への影響
A.組織・器官に対する作用
B.ベルゴニー・トリボンドーの法則
C.各種組織の放射線感受性
12身体的効果
A.急性放射線死
B.種による放射線感受性の相違
C.急性放射線症
D.晩発性障害
E.胎内被ばく
13遺伝的影響
A.突然変異
B.自然突然変異
C.倍加線量
D.放射線による突然変異
E.染色体異常
F.遺伝線量
G.人の放射線被ばくと遺伝的影響
14内部被ばく
A.放射性物質の組織集積性と決定器官
B.体内摂取放射性物質による内部被ばく対策とその障害の治療
15放射線の生物作用に関与する要因
A.物理的要因
B.化学的要因
C.生物的要因
16ウラン加工工場での臨界事故による放射線被ばく
17非電離放射線の生体影響
A.紫外線(UV)
B.赤外線
18低線量放射線に対する生体の適応応答
6章標識化合物
1標識化合物の命名
2標識化合物の合成
A.標識化合物の合成における諸注意
B.低分子標識化合物の合成
C.高分子標識化合物
D.核医学画像診断用放射性医薬品(体内診断用放射性医薬品,インビボ放射性医薬品)
E.放射性ヨウ素化合物の合成
F.11C標識化合物の合成
G.18F標識化合物の合成
3標識化合物の純度,安定性,保存
7章放射性物質の薬学領域への応用
1トレーサ実験
A.トレーサの条件
B.ラジオトレーサの留意点
C.応 用
2同位体希釈分析
A.直接希釈法
B.逆希釈法(間接希釈法)
C.二重希釈法
D.その他
3放射化分析
A.放射化分析の原理
B.即発γ線分析の原理
C.放射化分析の応用例
4ラジオアッセイ
A.ラジオイムノアッセイ
B.ラジオレセプタアッセイ(RRA)
C.競合的タンパク結合測定法(CPBA)
D.その他の測定法
E.ラジオアッセイの利点と欠点
5オートラジオグラフィ
A.ARGの分類
B.ARGの感度および解像度
C.イメージングプレートを用いるARG
D.中性子ラジオグラフィ
6薬物動態,薬物代謝研究への応用
A.トレーサ
B.薬物動態・代謝研究における利用法
7遺伝子工学,分子生物学への応用
A.RI標識核酸を用いた研究手法
B.RI標識ヌクレオチドを用いた研究手法
C.RI標識タンパク質を用いた研究手法
8その他の領域への応用
A.有機化学への応用
B.年代測定
C.滅 菌
D.X線分析
8章放射性医薬品
1放射性医薬品の分類
2インビボ診断用放射性医薬品の基本事項
A.インビボ診断用放射性医薬品の特徴
B.インビボ診断用放射性医薬品に用いられる放射性同位元素
C.インビボ放射性医薬品に用いられる放射性核種の製造
D.核医学イメージング装置
E.放射性医薬品の体内挙動と集積機序
3インビボ診断用放射性医薬品各論
A.脳機能診断薬
B.心機能診断薬
C.骨シンチグラフィ剤
D.甲状腺機能測定剤
E.腎機能測定剤
F.肺機能測定剤
G.腫瘍シンチグラフィ用放射性医薬品
H.センチネルリンパ節シンチグラフィ用放射性医薬品
I.その他
4核医学治療(インビボ治療)用放射性医薬品
A.核医学治療用放射性医薬品に用いられる放射性同位元素
B.核医学治療用放射性医薬品各論
5インビボ用放射性医薬品の品質管理
A.確認試験
B.純度試験
C.定量法
D.その他の規格試験
E.製剤学的安定性
F.容器および外装
6インビトロ診断用放射性医薬品
9章物理的画像診断法とそれに用いる診断薬
1X線診断法とX線造影剤
A.X線の発生と制御
B.X線像の検出方法
C.X線検査の種類
D.X線造影剤
2MRI診断法とMRI用造影剤
A.MR現象と緩和
B.MR信号の検出と位置決定
C.MRI撮影シーケンス
D.MRI用造影剤
3超音波診断法と超音波診断用造影剤
A.超音波診断装置と画像法の概要
B.超音波診断用造影剤
4内視鏡検査
A.分光的内視鏡
B.その他の内視鏡
C.内視鏡を利用した代表的な検査法と処置・治療法
5造影剤による副作用
6その他のからだを調べる医用画像法
10章放射線の防護と管理
1放射線防護
A.放射線防護に用いられる諸量および単位
B.外部被ばくと内部被ばく
C.日常生活における放射線被ばく
2国際放射線防護委員会の勧告
A.ICRP 勧告の概要
B.災害時における放射線防護
3放射性同位元素等の規制に関する法律(放射性同位元素等規制法またはRI規制法)
A.放射線および放射性同位元素の定義
B.放射性同位元素等規制法
4放射線・放射性同位元素の安全取り扱い
A.放射線管理による防護
B.放射性同位元素の安全取り扱い
C.汚染の除去
5放射性医薬品に関連する医療関係法令
A.医療法・医薬品医療機器等法の構成
B.医療法施行規則
6放射性医薬品による被ばくと管理
A.医療施設における放射性医薬品の安全取り扱い
B.医療従事者の職業被ばく防護
C.患者の医療被ばく防護
7原子力関連施設の事故と放射線事故対策
A.原子力関連施設の事故
B.放射線事故とその対策
C.「セーフティ・カルチャー」「ラーニング・カルチャー」の醸成
付 表
本書における薬学教育モデル・コアカリキュラム対応一覧(平成25年度改訂版),(令和4年度改訂版)
参考図書・データサイト
本書は,初版の序でも述べたように,薬学および関連分野の学生諸君が,放射線,放射性同位元素に関連した基本的知識を正しく身につけるための教科書ないしは参考書としてまとめたものである.
薬学教育においては,薬学基礎教育のより一層の充実,病院・薬局での半年間の実務実習を含めた医療薬学教育の充実を求めて,2006 年4 月から薬学6 年制が始まり18 年が経つ.この間,6 年制の薬学教育は「薬学教育モデル・カリキュラム」および「実務実習モデル・カリキュラム」,さらにその後のコアカリキュラムの統合・改定による「平成25(2013)年度改訂版・薬学教育モデル・カリキュラム」基盤として実施されている.また最近,教育の一層の深化,充実を目指して,「薬学教育モデル・カリキュラム」のさらなる改定の検討も進められ,令和4(2022)年度には,変化し続ける未来の社会や地域を見据え,多様な場や人をつなぎ活躍できる医療人の養成を目指して医学・歯学・薬学教育の3 領域で統一したキャッチフレーズ「未来の社会や地域を見据え,多様な場や人をつなぎ活躍できる医療人の養成」のもと,新たな「薬剤師として求められる基本的な資質・能力」の提示,各大学の創意・工夫に基づいたカリキュラム作成,課題の発見と解決を科学的に探究する人材の育成,医学・歯学・薬学の教育内容の一部共通化を行った「薬学教育モデル・コア・カリキュラム(令和4 年度改訂版)」が作成され,それに沿った教育が令和6(2024)年度から本格的に適用されている.
放射性医薬品についても,最近アルツハイマーに関係するβアミロイドイメージングや腫瘍に発現する受容体,脳神経終末の再取り込み部位のイメージングをはじめとする核医学診断薬や,β線放出核種だけでなくα線放出核種を用いる核医学治療薬を含めて,いくつかの新しい放射性医薬品が製造承認され,放射性医薬品学領域も大きく変化,進展している.
また,核医学における放射性医薬品の調製や品質管理,薬物動態評価などをはじめとして,放射性医薬品・放射性物質の取り扱いに習熟した薬剤師を養成し,診療の安全性を向上して社会に貢献することを目的として,放射性医薬品・放射性物質の取り扱いに関する充分な知識と実績を有する薬剤師を核医学認定薬剤師として認定する核医学認定薬剤師制度を2017 年に一般社団法人日本核医学会が発足させ,現在までに53 名が核医学認定薬剤師として認定されている.薬学分野では,最近の医療の高度化に伴い,専門薬剤師・認定薬剤師の制度がいくつかの分野で設置されているが,核医学認定薬剤師もその背景のもとに発足したものである.なお,専門薬剤師制度を最初に発足させて本制度が最も進んでいる米国では,放射性医薬品を取り扱う薬剤師が専門薬剤師Radiopharmacist として一番初めに制度化され,放射性医薬品の調製や供給管理は病院内に独立した部署(放射性医薬品の薬局:Radiopharmacy)を設け,そこで行われている.
さらに,2019 年4 月にはわが国の放射線の安全取扱・障害防止に関する基本法である「放射性同位元素による放射線障害の防止に関する法律」(障害防止法)が大きく改正され,これまでの放射性同位元素の使用,販売,賃貸,廃棄その他の取り扱い,放射線発生装置の使用および放射性同位元素によって汚染された物の廃棄その他の取り扱いに加えて,核セキュリティ対策による特定放射性同位元素の防護を目的に追加して,事業所が自主的に責任のある放射線管理を実施してより積極的に放射線安全管理に取り組むことを求めて,法律名も「放射性同位元素等の規制に関する法律」(RI 規制法)として改題する改革がなされた.
改訂第5 版では,このような背景のもと,さらに最近の学問の進展への対応も含めて,初版の基本方針を踏襲しながら,放射線,放射性同位元素の物理・化学・生物,放射線測定に関する基本項目,放射性医薬品を含めた放射線・放射能の薬学・医療領域への応用,X 線診断法,CT,MRI などの物理学的手法を利用した各種画像診断法,放射線の防護と管理などの項目を中心に,大幅な改訂を含めて,より一層記載を充実させた.また,編集,執筆体制も,現在この領域の教育を実際に担当している先生方に大幅に交替した.さらに,図表においては可能な限りわかりやすいものにし,記述されている事項の理解につながる内容や関連情報を記した「より理解を深めるために」などの項目も充実させて,より理解しやすいように配慮した.また,今回の増補版では一部内容の修正を行うとともに,タブレットやスマートフォンでの学習に役立つ「電子版」が利用可能となった.
このように本書は,新しい薬学教育の体系ならびに薬剤師国家試験出題基準に適合するとともに,薬学および関連分野における放射線,放射性同位元素の基礎および応用に関して,学部学生に向けてできるだけ幅広く易しく解説することを心がけたつもりであるが,十分でない点もあろう.本書の内容について,読者諸氏からのご意見,ご指摘は編者,著者にとって極めて貴重なものであり,それらを参考にして,今後さらに充実したものにしたいと願っているので,忌憚のないご意見,ご指摘を積極的にお寄せ下さることをお願いする次第である.
本書が,放射化学・放射性医薬品学を学ぶ学生諸君に役立ち,薬学および関連分野での放射線,放射性同位元素,放射性医薬品および関連領域の教育・研究の質的向上に少しでも貢献できれば幸いである.
最後に,本書の執筆にあたり,貴重な資料の提供を快諾していただいた方々のご厚意に心から感謝の意を申し上げたい.さらに,本書の出版に多大なるご努力をいただいた南江堂出版部諸氏に心よりお礼申し上げる.
2024 年6 月
編 者


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