教科書

コンパス衛生薬学[電子版付]改訂第4版

健康と環境

編集 : 山本千夏/藤原泰之
ISBN : 978-4-524-40449-0
発行年月 : 2025年3月
判型 : B5判
ページ数 : 632

在庫あり

定価6,490円(本体5,900円 + 税)


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正誤表

  • 商品説明
  • 主要目次
  • 序文

「わかりやすく,ミニマムエッセンス」をコンセプトとした衛生薬学の教科書.多数の図表で見た目からの理解を促す構成.今改訂では薬学教育モデル・コア・カリキュラム「E衛生薬学」に対応し内容を大幅更新したほか,統計値や各種基準等の情報更新を行った.紙版の付録として電子版付き.楽しみながら学習内容の整理ができる「まとめイラスト」は今回から電子版限定付録として収載.

T部 健康の維持・増進をはかる公衆衛生
 T-1 疾病の予防と健康被害の防止
  1章 健康と疾病の概念
   A 疾病構造の変遷
   B 健康の概念
   C 疾病や健康被害に関する国際的な動向や社会的な影響
  2章 保健統計
   A 公衆衛生学における保健統計の意義
   B 人口統計
   C わが国における人口動態の変遷と将来人口予測
  3章 疫 学
   A 疫学とは
    1 疫学を用いた実例
    2 疾病予防と疫学
   B 疫学の要因
   C 疫学調査
  4章 疾病の予防とは
   A 疾病の予防
   B 健康増進政策
  5章 生活習慣病とその予防
   A 生活習慣病
   B 老人保健
  6章 母子保健
   A 新生児マススクリーニング
   B 母子感染
  7章 労働衛生
   A 労働衛生とは
   B 労働災害と業務上疾病
     c 心理社会
 T-2 感染症の予防とまん延防止
  8章 感染症とその予防
   A 現代における感染症の特徴
   B わが国の感染症関連法規
   C ワクチンにより感染症を予防する意義
   D 予防接種の課題
   E 発生した感染症に対する予防策・まん延防止策
   F 薬剤師によるワクチン接種のコーディネートの例
   G 感染症に関するリスクコミュニケーション
U部 健康の維持・増進につながる栄養と食品衛生
 U-1 食品機能と疾病の予防・治療における栄養
  9章 栄 養
   A 五大栄養素とそれぞれの役割
   B 栄養素の消化,吸収,代謝
   C 三大栄養素の栄養的価値
   D 五大栄養素以外の食品成分(食物繊維,抗酸化物質など)の機能
   E エネルギー代謝に関わる基礎代謝量,呼吸商,推定エネルギー必要量
   F 日本人の食事摂取基準(2025年版)
   G 国民健康・栄養調査
   H 栄養素の過不足による主な疾病
   I 疾病治療における栄養療法
   J 特別用途食品と保健機能食品
 U-2 健康をまもる食品衛生
  10章 食品衛生
   A 食品の変質:炭水化物とタンパク質の変質
   B 食品の変質:油脂の変敗と変質試験
   C 食品の変質に関与する因子と変質の防止
   D 食品成分由来の発がん物質とその生成機構
   E 用途別の代表的な食品添加物とその働き
   F 食品衛生に関する法的規制と問題点
  11章 食中毒と食品汚染
   A 食中毒の種類と発生状況
   B 微生物による食中毒
   C 寄生虫による食中毒
   D 自然毒による食中毒
   E マイコトキシンによる食品汚染
   F 化学物質による食品汚染
V部 化学物質の管理と環境衛生
 V-1 化学物質の管理と使用
  12章 化学物質の毒性
   A 化学物質の体内動態
   B 第T相反応が関わる代謝・代謝的活性化
   C 第U相反応が関わる代謝・代謝的活性化
   D 化学物質代謝に影響を与える因子
   E 化学物質による器官毒性
   F 代表的な有害化学物質の毒性
   G 重金属や活性酸素に対する生体防御因子
   H 薬物の乱用による健康影響
   I 中毒原因物質の解毒処置法
   J 中毒原因物質の試験法
   K 死因究明における毒性学・法中毒学的アプローチ
  13章 化学物質の安全性評価と適正使用
   A リスクコミュニケーション
   B リスクアセスメント
   C 毒性試験法
   D 化学物質の毒性評価
   E 化学物質の安全摂取量
   F 有害化学物質の法的規制
   G 内分泌かく乱化学物質
  14章 化学物質による発がん
   A 発がん過程と化学発がん物質
   B 遺伝毒性試験
   C がん化に関わる遺伝子
 V-2 生活環境・自然環境の保全
  15章 地球環境と生態系
   A 地球規模の環境問題の成因,人に与える影響
   B 生態系の構成員の特徴と相互関係
   C 化学物質の環境内動態
   D 地球環境の保全に関する国際的な取り組み
  16章 放射線の生体への影響
   A 放射線による生物影響
   B それぞれの臓器・組織への放射線による影響の違い
   C 晩発影響
   D 日常生活における放射線被ばく(天然放射性核種と人工放射性核種)
   E 放射線を防護する方法
   F 非電離放射線
   G 放射線の医療への応用
  17章 環境保全と法的規制
   A 典型七公害と四大公害
   B 環境基本法
   C 公害・環境汚染防止関連法規
  18章 水環境
   A 上 水
   B 下 水
   C 水質汚濁
   D DO,BOD,CODの測定
   E 富栄養化
  19章 大気環境
   A 大 気
   B 大気汚染
   C 逆転層
  20章 室内環境
   A 室内環境を評価するための代表的な指標
   B 室内環境と健康との関係
  21章 廃棄物
   A 廃棄物の種類と処理
   B 廃棄物処理の問題点とその対策
   C 医療廃棄物

 17 世紀から18 世紀にかけて, 医学・薬学が近代科学として確立していった. 医学の発展にともない,19 世紀後半に結核菌やコレラ菌が発見され, これまで原因不明の病気,特に感染症が細菌によって発症することが明らかになった.伝承薬であった身近な植物から有効成分が単離されるようになり,1804 年にドイツの薬剤師であるフリードリッヒ・ヴィルヘルム・アダム・ゼルチュルネルが植物であるアヘンからモルヒネの単離に成功した.薬として取り出された史上初めての化合物であるといわれている.その後,次々に有効成分が単離されるようになり,我が国の近代薬学も確立されていった.医学・薬学の発展の過程で確立された衛生薬学は,古い伝統と歴史を持つ領域の一つである.衛生学の流れを汲む領域は,医学・歯学・看護学・獣医学などの関連学部にも存在するが,人の健康の維持増進の観点から,公衆衛生学,栄養学・食品衛生学,毒性学,環境衛生学の4 分野から統合的に確立されたのは薬学の衛生薬学だけである. 薬剤師法第一条は薬剤師の任務を「薬剤師は,調剤,医薬品の供給その他薬事衛生をつかさどることによって,公衆衛生の向上及び増進に寄与し, もつて国民の健康な生活を確保するものとする」と定めているが,これは調剤や医薬品の供給だけでなく衛生薬学を通じた国民の健康への貢献が薬剤師の任務であることを示したものである.
 2006 年に薬学部では,医療薬学教育の充実に基づく薬剤師養成を行う6 年制と,これまでの薬学研究を活かした学部教育・大学院教育を通じて薬学研究者養成を目指す4 年制(4+2 年制)の2 つの教育制度が始まった.ちょうどその頃から我が国は超高齢社会に移行した.総人口の減少に伴う社会保障制度や財政の問題,医療・福祉のあり方,労働力不足だけでなく,新興・再興感染症,自然災害や人災などさまざまな問題の発生・拡大が今後想定される中で,薬剤師は医療の実務家であると同時に問題を発見しその解決に立ち向かう科学者でなければならない.
 さて,本書の初刊は2011 年4 月であり,すでに14 年が経過した.この度,薬学教育モデル・コア・カリキュラム(令和4 年度改訂版)に合わせて,改訂第4 版を上梓することとなった.「未来の社会や地域を見据え, 多様な場や人を繋ぎ活躍できる医療人の養成」がキャッチフレーズの薬学教育モデル・コア・カリキュラムである.この改訂では衛生薬学が関連する学修内容も多いが,衛生薬学研究が長年積み重ねてきた幅広い分野に及ぶ膨大な学と術を基礎とし,高い専門性を維持しつつ,分かりやすく解説することは非常に難しい.しかしながら,本書は執筆者の並々ならぬ尽力によってそれを成し遂げたものであり,高い評価はそこに基づいている.「コンパス」はミニマムエッセンスで分かりやすいをコンセプトにした教科書シリーズであるが,本書で衛生薬学を学んだ学生諸氏がその知識を活かして将来活躍されることを祈念している.
 最後に, 編者らは, 前編者である鍜冶利幸先生と佐藤雅彦先生から,「学生を第一に考えた分かりやすい教科書を」という熱い思いを引継いだ. 執筆者各位が分かりやすく理解しやすいということを最優先に執筆してくださったこと,また,南江堂の野澤美紀子氏,松本岳氏をはじめとする出版部各位が編者の至らない部分を適切にご支援してくださったことに深く謝意を表する.
2025年3月
編 者

9784524404490