コンパス生化学[電子版付]改訂第3版
![コンパス生化学[電子版付]改訂第3版](https://d1gwi3e1mfwx7l.cloudfront.net/img/goods/L/9784524404476.jpg)
編集 | : 前田正知/浅野真司 |
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ISBN | : 978-4-524-40447-6 |
発行年月 | : 2025年3月 |
判型 | : B5判 |
ページ数 | : 496 |
在庫
定価6,050円(本体5,500円 + 税)
- 商品説明
- 主要目次
- 序文

「わかりやすい・ミニマムエッセンス」がコンセプトの生化学の教科書.基本事項をわかりやすく解説するだけでなく,薬理学へのつながり,疾病とのかかわりもコラム等で多数紹介.今改訂では各種情報を最新のものに更新し,全体にわたり表現の見直しを行ったほか,電子版付とした.薬学教育モデル・コア・カリキュラム(令和4年度改訂版)対応.電子版限定付録として,生化学領域の薬剤師国家試験過去問題集と動画のリンク集を収載.
T部 生命体の成り立ち
1章 細胞・組織・器官
A 細胞:生物の基本単位
@細 胞
A原核生物と真核生物
B細胞小器官
a 細胞膜
b 核
c ミトコンドリア
d 小胞体
e ゴルジ体
f リソソーム
g エンドソーム
h ペルオキシソーム
C膜構造をもたない細胞内構造
a リボソーム
b 細胞骨格
c 中心体
D染色体
B ヒトの体の成り立ち
@ヒトの体の階層性
A組 織
a 上皮組織
b 結合組織
c 筋組織
d 神経組織
B器 官
C系
a 外皮系
b 骨格系
c 筋 系
d 神経系
e 内分泌系
f 心臓血管系
g リンパ系・免疫系
h 呼吸器系
i 消化器系
j 泌尿器系
k 生殖器系
Exercise
U部 生体成分の構造・機能
2章 生体成分
@生体成分
a 水の性質
b 水や主要イオンの体内分布
c 血液の緩衝作用とCO2の運搬
Aヒトの体を構成する元素
B主な生体分子
a 糖 質
b タンパク質
c 核 酸
d 脂 質
e ミネラル
Exercise
3章 糖 質
A 糖質の構造と分類
@糖質とは
A単 糖
B糖質の名称の付け方
Cアルドヘキソース
B グルコース:最も大切な糖質
@d-グルコース
A水溶液中でのd-グルコースの構造
C グルコース以外の代表的な単糖,二糖
@d-グルコース以外の代表的な
アルドヘキソース
A代表的なケトース,d-フルクトース
Bその他の代表的な単糖
C単糖誘導体
a アミノ糖
b ウロン酸
c 糖アルコール
D代表的な二糖類
a スクロース(ショ糖)
b ラクトース(乳糖)
c マルトース(麦芽糖)
d トレハロース
E糖の還元性
D 代表的な多糖
@ホモ多糖
a デンプン
b グリコーゲン
c セルロース
d キチン
e その他のホモ多糖
Aヘテロ多糖
a グリコサミノグリカン
b アガロース
B複合糖質
a 糖タンパク質
b ABO式血液型物質
c プロテオグリカン
d ペプチドグリカン
e GPIアンカー型タンパク質
E 糖質の定性および定量試験法
@糖質の定性試験法
a フェーリング反応
b トレンス(銀鏡)反応
c ヨウ素・デンプン反応
A酵素を用いたグルコースの定量
Exercise
4章 アミノ酸・ペプチド
A アミノ酸の構造と性質
@アミノ酸の基本構造
A20種類の標準アミノ酸
a 中性アミノ酸
b 酸性アミノ酸
c 塩基性アミノ酸
Bアミノ酸の種類
a 必須アミノ酸
b 非必須アミノ酸
c その他のアミノ酸
Cアミノ酸誘導体ホルモン
Dアミノ酸の滴定曲線
B アミノ酸の定性および定量方法
@アミノ酸の定性反応
Aアミノ酸の分離・定量
C ペプチドの構造と生理活性
@ペプチドとペプチド結合
a ペプチド
b ペプチド結合
Aグルタチオン
Bペプチド性ホルモンと生理活性ペプチド
a インスリン
b グルカゴン
c アンジオテンシンU
d ブラジキニン
Exercise
5章 タンパク質
A タンパク質の構造
@タンパク質の階層構造
Aタンパク質の一次構造
Bタンパク質の二次構造
a αへリックス
b βシート
Cタンパク質の三次構造
Dタンパク質の四次構造
Eタンパク質の高次構造の形成
Fタンパク質の変性と再生
Gタンパク質の翻訳後修飾
a ペプチド結合の切断を伴う翻訳後修飾
b 特定のアミノ酸残基に何らかの付加反応が起こる場合
Hタンパク質の細胞内局在
a タンパク質を小胞体膜に向かわせるシグナル配列
b 核,ミトコンドリアやペルオキシソームに局在化させるシグナル
10
タンパク質の品質管理
B 細胞内プロテアーゼの役割
@タンパク質の成熟とプロテアーゼ
Aアミノ酸の再利用に働くプロテアーゼ
Bユビキチン–プロテアソーム系
a 標的タンパク質のポリユビキチン化
b プロテアソームの構造と触媒活性
c プロテアソームと細胞機能
Cカスパーゼとアポトーシス
C タンパク質の分類と機能
@タンパク質の機能による分類
Aタンパク質の化学組成による分類
a 単純タンパク質
b 複合タンパク質
B細胞骨格を形成するタンパク質の種類と役割
a アクチンフィラメント
b 中間径フィラメント
c 微小管
C免疫グロブリンの構造と機能
D タンパク質解析の基礎技術
@タンパク質の分離・精製と分子量の測定法
a タンパク質の取り扱い方
b タンパク質の分離・精製の流れ
c クロマトグラフィーによる分離
d 電気泳動
e タンパク質の脱塩と濃縮法
f 免疫学的測定法
Aタンパク質のアミノ酸配列決定法
a N末端からのアミノ酸配列決定法
b 質量分析法(マススペクトロメトリー)によるアミノ酸配列決定法
c cDNAからのアミノ酸配列決定法
Bタンパク質の定性・定量試験法
a タンパク質の定性(検出)反応
b タンパク質の定量試験
Exercise
6章 酵 素
A 酵 素
@酵素とは
A触媒による活性化エネルギーの低下
B酵素の分類と命名
a 酸化還元酵素(EC1群)
b 転移酵素(EC2群)
c 加水分解酵素(EC3群)
d 脱離酵素(EC4群)
e 異性化酵素(EC5群)
f 合成酵素(EC6群)
g 輸送酵素(EC7群)
C酵素と疾患・薬
B 酵素の触媒反応のメカニズム
@酵素の活性部位
Aセリンプロテアーゼの触媒機構
B補酵素
C多酵素複合体
D酵素の最適条件
C 酵素の反応速度論
@ミカエリス・メンテンの式
Aミカエリス・メンテンの式からわかること
Bラインウィーバー・バークプロット
D 酵素活性の阻害
@不可逆阻害
A可逆阻害
a 競合阻害
b 非競合阻害
c 不競合阻害(反競合阻害)
E 酵素反応の制御
@発現レベルの調節
A分解による調節
Bタンパク質間相互作用による酵素活性の調節
C限定分解による酵素活性の制御
D低分子の共有結合による制御(翻訳後修飾)
Eアロステリック制御
a ホモトロピック効果
b ヘテロトロピック効果
F 代表的な酵素の活性測定法
Exercise
7章 核酸・ヌクレオチド
A 核酸の構成成分
@塩 基
A糖
Bヌクレオシド
Cヌクレオチド
a リボヌクレオチド
b デオキシリボヌクレオチド
Dその他の特殊な塩基,ヌクレオシドを含む重要な化合物
a 特殊な塩基
b ヌクレオチド構造を有する化合物
c 情報伝達分子としてのヌクレオチド,ヌクレオシド
B DNA,RNAの構造と機能
@DNAの基本構造と性質
a DNAの基本構造
b DNAの性質
c DNAの超らせん構造
d 核内におけるDNAの構造
ARNAの基本構造と機能
a RNAの基本構造と種類
b リボソームRNA(rRNA)
c メッセンジャーRNA(mRNA)
d トランスファーRNA(tRNA)
e その他のRNA
Exercise
8章 ビタミン・金属
A ビタミンとは
B 水溶性ビタミン
@ビタミンB群
a ビタミンB1
b ビタミンB2
c ナイアシン(ビタミンB3)
d パントテン酸(ビタミンB5)
e ビタミンB6
f ビオチン(ビタミンB7)
g 葉酸(ビタミンB9)
h ビタミンB12
AビタミンC
C 脂溶性ビタミン
@ビタミンA
AビタミンD
BビタミンE(トコフェロール)
CビタミンK
D 必須微量元素
Exercise
9章 脂 質
A 脂質の特徴と分類
@脂質の特徴と役割
A脂質の分類
B脂肪酸
a 脂肪酸の基本構造
b 飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸
C中性脂肪
Dろ う
Eリン脂質
a グリセロリン脂質
b スフィンゴリン脂質
F糖脂質
a スフィンゴ糖脂質
b グリセロ糖脂質
B イソプレノイド
@テルペン
Aステロイド
a ステロール
b ステロイドホルモン
c 胆汁酸
C エイコサノイド
Exercise
10章 生体膜と輸送
A 生体膜の構造と性質
@生体膜の共通性質
A脂質の存在状態と役割
a 脂質二重層の形成
b 流動性
c 脂質ラフト
d 非対称性
B膜タンパク質の存在状態と役割
a 内在性膜タンパク質
b 表在性膜タンパク質
c 膜タンパク質の機能
B 生体膜を横切る溶質の輸送
@受動輸送
a グルコース輸送体
b チャネル
A能動輸送
a 一次性能動輸送
b 二次性能動輸送
C 膜動輸送(小胞輸送)
@エンドサイトーシス
a 飲作用(ピノサイトーシス)
b クラスリン依存性エンドサイトーシス
c カベオラによる輸送
d 食作用(ファゴサイトーシス)
Aエキソサイトーシス
Bオートファジー
a マクロオートファジー
b ミクロオートファジー
c シャペロン介在性オートファジー
C小胞の細胞内運搬機構
Exercise
V部 代 謝
11章 異化と同化
@自由エネルギー
Aエンタルピーとエントロピー
B標準自由エネルギー変化
C異化と同化
Dエネルギー通貨としてのATP
a 吸エルゴン反応とATP加水分解反応との共役
b 発エルゴン反応とATP合成反応との共役
E物質輸送とATP
FADPとATPの量比は細胞のエネルギー状態を示す
GATPが高エネルギー化合物である根拠
H食物中の栄養成分の消化・吸収・体内運搬
Exercise
12章 糖質代謝
A 糖質の消化・吸収・体内運搬
B 解糖系
@解糖系の反応
a 解糖系の準備期
b 解糖系の報酬期
c 解糖系の最終産物の行方
A解糖系のエネルギー収支
B解糖系の調節機構
Cグルコース以外の単糖の解糖系へのエントリー
D乳酸発酵とアルコール発酵
C クエン酸回路
@ピルビン酸からアセチルCoAへ
Aクエン酸回路の反応
Bクエン酸回路の調節機構
Cアミノ酸・脂肪酸の代謝とクエン酸回路
D 電子伝達・酸化的リン酸化
@電子伝達系
A酸化的リン酸化によるATPの合成
B細胞質NADHのミトコンドリアへの輸送
Cグルコースの代謝によるATP合成の収支
DATP合成の阻害剤
E ペントースリン酸回路
@ペントースリン酸回路の反応
a 不可逆的酸化反応
b 可逆的非酸化反応
ANADPHの役割
F グリコーゲンの機能と代謝
@グリコーゲンの機能・構造
Aグリコーゲンの生合成・分解
a グリコーゲンの生合成
b グリコーゲンの分解
c グリコーゲンの生合成・分解の調節
G 糖新生
@糖新生の反応
a ピルビン酸からホスホエノールピルビン酸への反応
b フルクトース1,6-ビスリン酸からフルクトース6-リン酸への反応
c グルコース6-リン酸からグルコースへの反応
A糖新生と解糖系のエネルギー収支の比較
B糖新生の基質
H インスリンとグルカゴン
@インスリンとグルカゴン
a インスリン
b グルカゴン
A血糖値の変動とその調節
B インスリンおよびグルカゴンによる代謝調節
Cグリコーゲン代謝の調節
D糖新生の調節
I
エネルギー産生経路の調節と糖尿病
@摂食・吸収時と空腹時・飢餓状態のエネルギー代謝
a 摂食・吸収時のエネルギー代謝
b 空腹時および飢餓時のエネルギー代謝
Aケトン体の生合成と利用
a 肝臓でのケトン体の生合成
b ケトン体の利用(アセチルCoAへの変換)
c ケトン体によるアシドーシス
(ケトアシドーシス)
d 長期飢餓状態におけるエネルギー代謝
B 糖尿病と糖代謝
a 糖尿病の病態
b 糖尿病の代謝の特徴
Exercise
13章 脂質代謝
A 脂肪酸の生合成・分解とエネルギー代謝
@脂肪酸の代謝における位置づけ
A脂肪酸の生合成
B不飽和脂肪酸の生合成
C脂肪酸の分解
D脂肪酸の運命
Eβ酸化によるエネルギー産生効率
B コレステロールの生合成と代謝
@コレステロールの代謝
Aコレステロールの生合成
B胆汁酸
Cステロイドホルモン
a ステロイドホルモン
b 性ホルモン
c 副腎皮質ホルモン
C 脂質の吸収と運搬
@血漿リポタンパク質
A小腸からの脂質の吸収
Bリポタンパク質とコレステロールの運搬
a キロミクロン
b VLDL,IDL,LDL
c HDL
Cコレステロール量のフィードバック制御
D脂質異常症
E脂溶性ビタミンの吸収と運搬
D リン脂質の生合成と代謝
@リン脂質の生合成
Aリン脂質分子の分子種制御
Bリン脂質代謝産物と生理活性
a イノシトール1,4,5-トリスリン酸とジアシルグリセロール
b 血小板活性化因子
E エイコサノイド
@アラキドン酸カスケード
Aプロスタグランジンとトロンボキサン
Bロイコトリエン
Exercise
14章 アミノ酸代謝
A アミノ酸の供給と利用
@体内でのアミノ酸の役割と利用
Aアミノ酸の供給
a 必須アミノ酸と非必須アミノ酸
b 食物中のタンパク質の分解とアミノ酸の吸収
B アミノ酸の窒素の代謝
@アミノ基転移反応
a アミノ基転移反応とは
b アスパラギン酸のアミノ基転移反応
c アラニンのアミノ基転移反応
A酸化的脱アミノ反応
B尿素回路
a 肝臓のミトコンドリアでの反応
b 肝臓の細胞質での反応
Cアミノ基の運搬
C アミノ酸の炭素骨格の代謝
@アミノ酸代謝とクエン酸回路
Aケト原性アミノ酸と糖原性アミノ酸
B主なアミノ酸の分解経路
a チロシン,フェニルアラニンの分解経路
b 分枝アミノ酸の分解経路
c ヒスチジンの分解経路
d メチオニンの分解経路
Cアミノ酸の代謝異常症
D アミノ酸代謝による生理活性物質の生合成
@脱炭酸反応による生理活性アミンの生合成
a アミノ酸の脱炭酸反応と生理活性アミン
b ヒスタミンの生合成
c γ-アミノ酪酸(GABA)の生合成
d セロトニンの生合成
e カテコールアミンの生合成
Aポルフィリンとヘム代謝
a ヘムの生合成
b ヘムの分解
Bその他の生理活性物質
a クレアチンの生合成
b ヌクレオチドの生合成
c ニコチン酸,ニコチンアミドの生合成
d タウリンの生合成
e グルタチオンの生合成
f ポリアミンの生合成
E 一酸化窒素(NO)の生合成と役割
@一酸化窒素(NO)の生合成
ANOの作用機序
BNOの生理作用
Exercise
15章 ヌクレオチド代謝
A ヌクレオチドの生合成
@プリンヌクレオチドの生合成
a デノボ合成経路(新生経路)
b 再利用(サルベージ)経路
Aピリミジンヌクレオチドの生合成
a デノボ合成経路(新生経路)
b 再利用(サルベージ)経路
Bリボヌクレオチドからデオキシリボヌクレオチドへの変換
B ヌクレオチドの分解
a プリンヌクレオチドの分解
b ピリミジンヌクレオチドの分解
C セカンドメッセンジャーとしてのサイクリックヌクレオチドの生合成と分解
@サイクリックヌクレオチドの生合成
Aサイクリックヌクレオチドの分解
D 細胞内高分子核酸の合成と分解
@細胞内高分子核酸の合成
A細胞内高分子核酸の分解
Exercise
16章 遺伝情報
A セントラルドグマ
@セントラルドグマ
Aセントラルドグマの修正
B遺伝子とコドン
B 複 製
@複製開始反応
A新生鎖の合成
a プライマーの合成
b DNA鎖の伸長
c DNAポリメラーゼの校正機能
d 岡崎フラグメントの連結
B染色体の末端複製問題
C 転 写
@転写に関与する分子
a RNAポリメラーゼ
b 転写因子
c 転写共役因子(コファクター)
A転写開始反応
a 真核細胞のプロモーターと転写開始反応
b 大腸菌のプロモーターと転写開始反応
B転写伸長反応と転写終結反応
a 転写伸長反応
b 転写終結反応
C転写の調節機構
a 真核細胞の転写調節
b σサブユニットによる大腸菌の転写調節
D 翻 訳
@翻訳装置リボソーム
AアミノアシルtRNAの合成
B翻訳開始反応
C翻訳伸長反応
D翻訳終結反応
E 変異と修復
@変異の起きるDNAの部位
Aコドンの変化がアミノ酸配列に及ぼす効果
BDNA損傷の修復機構
a 直接修復
b 除去修復
c 複製時の損傷修復
d 切断されたDNA鎖の損傷修復
Exercise
17章 代謝調節
A 代謝経路の全体像
B 細胞が細胞外からの情報に応答するメカニズム
@細胞の情報伝達の基本様式
A情報伝達に関わる分子
a 情報伝達物質
b Gタンパク質共役型受容体(GPCR)と情報伝達経路
c 酵素連結型受容体
d イオンチャネル連結型受容体
C ホルモンによる調節
@ホルモンの分泌調節とその異常
A遺伝子発現を調節するホルモン
D アポトーシスの誘導
@イニシエーターカスパーゼとエフェクターカスパーゼ
A内因性経路(ミトコンドリア経路)
B外因性経路(死の受容体経路)
Exercise
Exercise解答
本書で対応する薬学教育モデル・コア・カリキュラム(令和4年度改訂版)一覧
索 引
コラム目次
■豆知識
1章 ゴルジ体の発見者ゴルジ
細胞小器官の名前
けなげな小腸上皮細胞
アドレナリンとエピネフリン
膵臓は内分泌系か外分泌系か
あら意外.こんなところからもホルモンが分泌される
2章 血液成分
カルシウム:細胞毒でも使い方次第
3章 甘くない糖
カロリー0(ゼロ)の糖質
4章 D体のアミノ酸
アミノ酸の雑学
セレン含有アミノ酸を含むタンパク質
生体内ホルモンで,血糖値降下を示すのはなぜインスリンだけなのか?
ブラジキニンの由来とは
5章 ドラッグリポジショニング
タンパク質の構造におけるモチーフとドメイン
6章 再生しない酵素
7章 シャルガフの法則
8章 ビタミン発見の歴史(ビタミンB1と国民病である脚気)
ビタミンに欠番がある理由
9章 脂肪細胞
10章 流動モザイクモデル
11章 1日に必要なATP量は体重並みの量
ATPのもつ3つの顔
12章 ヘキソキナーゼとグルコキナーゼ
標準還元電位(E°)
パスツール効果
グルコース-6-リン酸デヒドロゲナーゼ(G6PD)欠損症とマラリア耐性
13章 LCAT,ACATとコレステロールエステル
脂肪酸組成とエイコサノイド
14章 グルタチオン抱合と解毒
16章 エキソソーム
17章 情報伝達物質の分類の曖昧さ
核内受容体は代謝センサー
■医薬品の知識
3章 医薬品ヘパリン
ヘマグルチニンタンパク質とノイラミニダーゼ阻害薬
4章 レニン・アンジオテンシン系阻害薬
〔アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬とアンジオテンシンU受容体拮抗薬(ARB)〕
5章 選択的エストロゲン受容体分解薬
プロテアソーム阻害薬
微小管と植物アルカロイド
6章 酵素薬
自殺基質
7章 生理活性物質としてのヌクレオシド・ヌクレオチド
核酸アナログである医薬品
8章 高カロリー輸液によるアシドーシスを回避するためのビタミンB1補給
9章 プロスタグランジン製剤
アナフィラキシーの遅反応性物質と気管支喘息の治療薬
10章 糖尿病治療薬─SGLT2阻害薬
消化管コレステロール輸送体NPC1L1と脂質異常症治療薬
12章 糖新生を抑える糖尿病治療薬:ビグアナイド薬とグリミン薬
遺伝子組換えインスリン製剤
インクレチンによるインスリン分泌の促進
13章 細胞のもつLDL受容体制御系を利用した血漿コレステロール低下薬
非ステロイド抗炎症薬(NSAIDs)
14章 L-ドーパ
抗うつ薬
狭心症治療薬
15章 高尿酸血症・痛風治療薬
抗悪性腫瘍薬
抗菌薬
16章 DNAトポイソメラーゼを標的とする医薬品
転写の阻害薬
リボソームを標的とする抗菌薬
■疾病の知識
3章 糖尿病の合併症とソルビトール
ポンペ病
5章 鎌状赤血球貧血症とヘモグロビンの立体構造
高次構造の変化と疾患:プリオン病とインフルエンザ
サリドマイド胎芽症
一酸化炭素やシアン化合物はヘモグロビンに働き中毒を起こす
中間径フィラメントと病態・疾患との関連
9章 抗リン脂質抗体症候群
スフィンゴ脂質蓄積症(スフィンゴリピドーシス)
シトステロール血症
10章 嚢胞性線維症
12章 ラクトース不耐性
グルコース輸送体(GLUT)を高発現するがん細胞
13章 家族性高コレステロール血症
小児喘息とPAFアセチルヒドロラーゼ
14章 高アンモニア血症と尿素回路の代謝異常症
新生児マススクリーニング対象疾患のアミノ酸代謝異常症
ポルフィリン症
黄 疸
15章 レッシュ・ナイハン症候群
重症複合免疫不全症(SCID)
16章 NER関連タンパク質の変異に起因する疾患
■臨床検査
5章 糖化ヘモグロビン,HbA1c と糖尿病診断
6章 酵素を用いた検査マーカーの測定
12章 Cペプチド検査(CPR)
13章 メタボリック症候群(メタボリックシンドローム)
14章 臨床検査におけるASTとALTおよびγ-GTP
腎機能検査
■分析法
7章 核酸の定量法
9章 脂質の抽出と分析
10章 FRAP(蛍光退色回復法)による拡散速度の測定
改訂第3版の序
本書の初版は,生体成分の構造とそれらの代謝を扱う生化学の領域のミニマムエッセンスをおさえた内容として,ヒトのからだの再構築をコンセプトに2015年1月に上梓された.その後,2019年に改訂された第2版が上梓されてからほぼ5年が経過した.
この間,2022(令和4)年度に薬学教育モデル・コア・カリキュラムの改訂(新コアカリ)があり,それまで網羅的,詳細に提示されていた一般目標(GIO)や到達目標(SBO)を廃止して,概念化した学修目標に改められた.新コアカリの本書に関わる学修目標では,「C-6 生命現象の基礎」としてヒト生体を構成する基本単位である細胞の性状と恒常性について,「C-7 人体の構造と機能及びその調節」として細胞,組織および器官の構成と恒常的機能について学修し,高学年での疾患の予防や治療に関する科目を理解する基盤を形成することが求められている.本改訂では,第2版の内容を新コアカリに対応させ一部ヒトでの知見を中心に書き改めると共に,生化学,分子生物学のみならず薬理学や生理学領域における新たな知見なども加えて,教科書としてだけでなく,学習者のレベルに応じて自己学習により発展的に学ぶ教材となるように編集作業を行った.
本改訂では,学習の振り返りや復習のために,重要項目のまとめや総括として各単元の終わりに「ポイント」を移した.事前・事後の学習に役立つように,要所では「おさえておこう」を,他の章や単元との関連を明示するために「ここにつながる」も引き続き設けた.また,第2版までの「コラム」を内容的にいくつかに分類して分かりやすく提示した.すなわち,知っておくと面白いことや雑学的な記事を「豆知識」,医薬品とつながる内容の記事を「医薬品の知識」,疾病とつながる内容の記事を「疾病の知識」,また,臨床現場や研究室で行われる検査や分析手段にも着目し,それぞれ「臨床検査」,「分析法」としてとりまとめた.さらに発展的な内容や最新の知識は「アドバンス」として書き加えた.本書に関連のある生化学,分子生物学および境界分野の過去10年分の薬剤師国家試験問題を,正答と簡単な解説をつけてとりまとめて,新たに作成した電子版の付録とした.電子版では,本書の内容を扱っている英語動画を視聴できるウェブページも紹介した.薬学生諸君には,レベルに合わせて本書を上手に利用して生化学を学び,薬学全体の理解を深め自信をつけていただきたい.
旧版に見られた難解な部分や誤りなどもできる限り修正したが,未だ不十分なところもあると思われる.本書を利用して下さる先生・学生の皆様からのご意見・ご指摘を是非いただき,より良い教科書となるよう今後も改善に努めていきたいと考えている.
最後に,執筆を担当いただいた先生,第3版を出版する機会を与えていただいた南江堂ならびに編集作業でお世話になった出版部諸氏に感謝する次第である.また,校正作業でたびたび変更をお願いすることになり,そのたびに対応下さった南江堂のスタッフに心より御礼申し上げる.
2025年1月
前田正知
浅野真司
初版の序
生命現象を化学的にとらえ理解しようとする生化学の領域は20世紀に大きな発展を遂げ,今や蓄積した情報量は膨大なものがある.また細胞生物学や分子生物学と融合するテーマも多く,その他の基礎領域も含め広く学ばねばならない薬学生にとって生化学はハードルの高い学習科目になってしまった感がある.しかしながら,医療現場がより近くなった6年制薬学教育では,体内で起きている事柄を学び理解することの重要性は一層増している.その中で,生体成分とその代謝が中心テーマである生化学を学ぶ意義は明らかである.
今回,改訂薬学教育モデル・コアカリキュラムの生化学領域に沿った教科書を編集するにあたり,「ヒトのからだの再構築をコンセプトに,各成分・代謝経路がヒトのからだでどのような位置づけにあるのかを示し,各論だけでなく,統合的な理解を促す内容とする」ことを目標に,各章の執筆者に依頼した.さらに疾病とのかかわりについても紹介するとともに,薬理学や生理学にも関連させ,薬剤師国家試験の複合問題も意識した教科書作りを目指した.薬学部学生向けのわかりやすい構成,薬学部学生にとってミニマムエッセンスをおさえた内容というコンパスシリーズの基本には注意は払ったつもりであるが,どうしても発展的な内容まで踏み込まざるを得なかった.これは,生化学の扱う領域が広く深いということと,学生が他の参考書などで調べなくてもよいようにと配慮したためでもありご容赦願いたい.
本書では,各章の各大項目のはじめにコアカリの「到達目標(SBO)」と重要項目の“紹介・まとめ”である「ポイント」を明示し,学習の目標を理解しやすくした.また,「おさえておこう」や「ここにつながる」を設け,事前・事後の学習に役立つようにした.発展的な内容はコラムを中心に述べているが,注釈が必要な用語などはサイドスペースで補足説明して充実を図った.図表により「見た目」から理解させるという点も意識したつもりである.各章末には練習問題である「Exercise」を設けて各項目の理解度を確認できるようにしており,CBT対策にも役立てていただきたい.
薬学生諸君には本書を単に講義科目の教科書として使用するだけでなく,CBTや薬剤師国家試験に向けて使い込んでいただくことを願っている.また,読者諸氏からのご意見・ご指摘をいただきながらより良い教科書としていきたいと考えている.ご意見をお寄せ願えれば幸いである.
最後に,執筆を担当いただいた先生方には,短期間に精力的に作業を遂行して下さったことに感謝申し上げる.また,本書を出版する機会を与えていただいた(株)南江堂ならびに編集作業では言葉に言い表せないほどお世話になった教科書出版部諸氏に心より感謝する次第である.
2014年11月
前田正知
浅野真司

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