教科書

パートナー機能形態学[電子版付]改訂第4版

ヒトの成り立ち

編集 : 岩崎克典/原英彰/三島健一
ISBN : 978-4-524-40444-5
発行年月 : 2025年3月
判型 : B5判
ページ数 : 372

在庫あり

定価7,150円(本体6,500円 + 税)

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  • 序文

薬学部向けの簡潔でわかりやすい機能形態学の教科書.高学年次で学ぶ「病態生理学」「薬理学」「薬物治療学」への連携を目指し,随所に橋渡しとなる事項(「関連する疾患とくすり」)を掲載.今改訂では新しい薬学教育モデル・コア・カリキュラム(令和4年度改訂版),各種ガイドライン,新しい国家試験問題等への対応を行い,内容を更新した.また,理解がよりいっそう進むよう4色化を実施.さらに電子版付とした.

第1章 ヒトのからだの構成
 1-1 器官系
   コラム▶対になっている器官
   コラム▶サリドマイド胎芽病
  A.ホメオスタシス
  B.ヒトの身体の位置・方向・面を指す用語
  C.医学領域で使用されている単位
   コラム▶画像診断装置
 1-2 組織
  A.上皮組織
   @ タイト結合(密着結合)
   A 接着結合
   B  デスモゾーム結合 (接着斑)
   C ギャップ結合 (ネクサス)
   D  ヘミデスモゾーム結合 (半接着斑)
  B.支持組織
  C.筋組織
   @ 骨格筋
   A 心筋
   B 平滑筋
  D.神経組織
 1-3 細胞
  A.細胞の構造
   @ 細胞膜
   A 細胞内液と細胞外液
   コラム▶生理食塩水
   B 膜タンパク質の細胞膜貫通領域
  B.細胞小器官(オルガネラ)
   @ 核
   A ミトコンドリア
   B  小胞体(リボソーム,ポリソームと粗面小胞体,滑面小胞体,筋小胞体)
   C ゴルジ体(ゴルジ装置)
   D リソソーム(ライソソーム)
   E ペルオキシソーム
  C.細胞骨格
   @ アクチンフィラメント(ミクロフィラメント)
   A 中間径フィラメント
   B 微小管
   コラム▶代表的な細胞および組織を顕微鏡を用いて観察できる
 1-4 老化と死
  A.老化
   @ 生理的老化
   A ホメオスタシス機構の低下
   B 身体機能の加齢変化
  B.細胞の老化,死,不死化(癌化)および個体死
   @ 細胞の寿命
   A  ネクローシス,アポトーシスおよびオートファジー
   関連する病態とくすり 細胞増殖と抗悪性腫瘍薬
   B 正常細胞と癌細胞
   C 個体死:心臓死と脳死
   コラム▶細胞の多能性:クローン胚,ES細胞およびiPS細胞
  国試ではこう問われる

第2章 神経の構造と神経伝達
 A.神経細胞の構造
  @ 樹状突起
  A 細胞体
  B 軸索
  C 終末部
  D シナプス
  E 棘突起
  F グリア細胞
 B.神経の興奮と伝達
  @ ニューロンによる電気の発生
  A 活動電位
  コラム▶活動電位の形を決めるもの
  B 興奮と伝達
  C イオンチャネルの種類と役割
  D 神経線維の種類
  コラム▶薬効の強さを決める分子装置
  関連する病態とくすり
  国試ではこう問われる

第3章 中枢神経系
 3-1 脳幹
  A.中脳
   @ 中脳の構造
   A 中脳の機能
  B.橋
   @ 橋の構造
   A 橋の機能
  C.延髄
   @ 延髄の構造
   A 延髄の機能
  D.脳幹網様体
   @ 脳幹網様体の構造
   A 脳幹網様体の機能
  E.脳幹の運動調節
   @ 除脳固縮
   A 中脳の姿勢反射
   関連する病態とくすり 筋萎縮性側索硬化症
 3-2 小脳
   @ 小脳の構造
   A 小脳の機能
 3-3 間脳
  A.視床
   @ 視床の構造
   A 視床の機能
  B.視床下部
   @ 視床下部の構造
   A 視床下部の機能
 3-4 大脳
  A.大脳皮質
   @ 大脳皮質の構造
   A 大脳皮質の機能
   関連する病態とくすり アルツハイマー病
   B 大脳皮質の役割
  B.大脳辺縁系
   @ 大脳辺縁系の構造
   コラム▶記憶の座としての海馬の命名
   関連する病態とくすり 統合失調症
   A 大脳辺縁系の機能
   関連する病態とくすり 不安
   B 学習と記憶
   関連する病態とくすり うつ病
 3-5 大脳基底核
   @ 大脳基底核の構造
   A 大脳基底核の機能
   B ヒトの大脳基底核疾患
  国試ではこう問われる

第4章 末梢神経系
 A.脳神経と脊髄
  @ 脳神経
  A 脊髄
 B.体性感覚
  @ 体性感覚の伝導路
  A 痛みを抑える機能
  B 脊髄反射
  関連する病態とくすり 局所麻酔薬
 C.自律神経系
  @ 自律神経系の構造
  A 自律神経系の機能
  B 自律神経系の神経伝達物質
  コラム▶アドレナリンとエピネフリンの名称について
  関連する病態とくすり 自律神経系に作用するくすり
  コラム▶痛みと自律神経(痛みの悪循環)
  C 自律神経伝達物質の受容体
  国試ではこう問われる

第5章 骨格系と筋肉
 5-1 骨格系
  A.骨の種類
  B.骨の構造
   @ 長骨の構造
   A 骨の微細構造
   B 骨の成分
   C 骨の硬さとしなやかさ
  C.骨の働き
   @ 体の支持と枠組み形成
   A 器官の保護
   B 運動の補助
   C カルシウム貯蔵
   D 造血
  D.骨の成長
   @ 膜内骨化
   A 軟骨内骨化
   B 骨の成長
   C 骨のリモデリング
   D 骨の成長と維持にかかわるホルモン
  E.骨の連結
   @ 不動結合(縫合)
   A 半関節
   B 可動関節
   関連する病態とくすり
    1.骨粗鬆症 2.関節リウマチ
 5-2 筋肉系
  A.筋組織の種類
  B.骨格筋
   @ 主要な骨格筋
   A 骨格筋の機能
   B 骨格筋の構造
   C 筋線維の微細構造
   D 筋収縮のしくみ
   E 筋収縮の形式
  C.心筋
   @ 心筋の構造
   A 筋収縮
  D.平滑筋
   @ 平滑筋の構造
   A 筋収縮
   関連する病態とくすり
    1.筋ジストロフィー 2.重症筋無力症
  国試ではこう問われる

第6章 消化器系
 6-1 総論
  A.消化器系の基本機能
  B.消化管ホルモン
  C.消化管運動
  D.消化液
  E.消化
  F.神経支配
   関連する病態とくすり
   1.消化管間質腫瘍(GIST) 2.チロシンキナーゼ阻害薬
 6-2 口腔,咽頭,食道
  A.口腔の構造
  B.咽頭と食道の構造
  C.口腔内の消化
 6-3 胃
  A.胃の構造
  B.胃での消化
   @ 胃液と胃腺
   A 胃液分泌のメカニズム
   B プロトンポンプと胃液分泌
  C.胃の運動
  D.嘔吐
   関連する病態とくすり
    1.消化性潰瘍 2.制吐剤
   コラム▶消化器潰瘍とピロリ菌
 6-4 小腸
  A.小腸の構造
   @ 十二指腸
   A 空腸と回腸
  B.小腸での消化・吸収
   @ 膵臓の構造と膵液
   A 栄養素の消化
   B 膵液の分泌のメカニズム
   C 腸液
   D 胆囊の構造と胆汁
   関連する病態とくすり 胆石
   E 胆汁の分泌
   F 小腸壁の構造と吸収
   G 小腸の運動
 6-5 大腸
  A.大腸の構造
   @ 盲腸
   A 結腸
   B 直腸
  B.大腸の運動
  C.排便
   関連する病態とくすり 下痢と便秘
   関連する病態とくすり 炎症性腸疾患
 6-6 肝臓
  A.肝臓の構造
  B.肝臓の働き
   関連する病態とくすり
   1.肝炎 2.ウイルス性肝炎
  国試ではこう問われる

第7章 循環器系
 7-1 心臓
  A.心臓の構造
   @ 外観
   A 内部・血管
   B 弁
   C 冠状動脈とその疾患
  B.刺激伝導系
  C.心筋の収縮
  D.心電図
  E.心臓周期
  F.血液循環
  G.脳循環
 7-2 血管
  A.血管の構造
   @ 動脈
   A 毛細血管
   B 静脈
  B.血圧
  C.血圧調節
   @ ホルモン性調節(液性調節)
   A 神経性調節
   コラム▶脂質異常症
   コラム▶脳卒中
   コラム▶血圧の日内変動
   関連する病態とくすり
   1.高血圧 2.心不全 3.心筋梗塞 4.狭心症
  国試ではこう問われる

第8章 血液とリンパ
 8-1 血液の成分と働き
  A.赤血球
   @ 構造
   A 機能
   B 貧血
   C 血液型
  B.白血球
   @ 白血球の分類
   A 白血球の型(白血球の抗原性)
  C.血小板
  D.血漿
   @ 血漿の組成
   A 血漿タンパク質
  E.造血(血球の産生)
   @ 造血機構
   A 赤血球の産生
   コラム▶貧血とエリスロポエチン
   B 白血球の産生
   C 血小板の産生
   D 造血の異常
  F.出血と止血
   @ 血小板血栓と凝固血栓
   A 血液凝固
   B 線維素溶解
   C 血液凝固反応の制御系
   D 血液凝固系の異常
   コラム▶血栓溶解薬
 8-2 リンパと免疫
  A.リンパ系
   @ リンパ管
   A リンパ節
   B 胸腺
   C 脾臓
   D パイエル板
  B.免疫
   @ 液性免疫
   A 細胞性免疫
   B サイトカイン
   関連する病態とくすり アレルギー
  国試ではこう問われる

第9章 呼吸器系
 9-1 呼吸器の構成と働き
  A.鼻の構造と働き
  B.咽頭の構造と働き
  C.喉頭の構造と働き
  D.気管および主気管支の構造と働き
   コラム▶気管支喘息
 9-2 肺
  A.肺の構造
  B.胸膜の構造
  C.肺胞の構造
  D.ガス交換
   コラム▶慢性閉塞性肺疾患(COPD)
 9-3 呼吸運動
  A.吸息と呼息
  B.肺気量分画
  C.肺コンプライアンスと気道抵抗
   コラム▶肺サーファクタント
 9-4 呼吸中枢と呼吸運動の調節
  A.呼吸中枢
  B.化学性調節
 9-5  気道および肺胞の防御・クリアランス系
   コラム▶かぜ症候群
  A.粘液線毛輸送
   コラム▶去痰薬
  B.咳反射
   コラム▶鎮咳薬
  C.肺胞マクロファージ
  国試ではこう問われる

第10章 泌尿器系
 10-1 腎臓
  A.腎臓の構造
   @ ネフロン
   A 血管系
  B.ネフロンの構成と役割
   @ 糸球体
   A 尿細管・集合管系
  C.尿細管・集合管系各部位の役割
   @ 近位尿細管
   A ヘンレ係蹄
   B 遠位尿細管と集合管
   関連する病態とくすり 尿が出すぎる病気
  D.腎による酸塩基平衡の調節
  E.腎クリアランス
   @ 糸球体ろ過速度
   A 腎血漿流量
  F.レニン-アンジオテンシン-アルドステロン系
   @ レニン分泌
   A アンジオテンシン生成とアルドステロン分泌
   B アンジオテンシンとアルドステロンの作用
   コラム▶利尿薬
   関連する病態とくすり 腎臓の働きが悪くなる病気
 10-2 膀胱と尿道
  A.蓄尿反射と排尿反射
  B.膀胱排尿筋,内・外尿道括約筋と神経の役割
   @ 蓄尿反射
   A 排尿反射
   B 意思による排尿
   関連する病態とくすり 排尿障害と治療薬
  国試ではこう問われる

第11章 内分泌系と恒常性
 11-1 内分泌系
  A.内分泌系調節機構(ホルモン)
  B.ホルモンの分泌調節
  C.ホルモン受容体
   @ 細胞内受容体
   A 細胞膜受容体
 11-2 内分泌組織と各種ホルモンの働き
  A.視床下部と下垂体
   @ 視床下部ホルモン
   A 下垂体ホルモン
  B.甲状腺
   @ 甲状腺ホルモン生成・分泌調節機構
   A 甲状腺ホルモンの生理作用
  C.副甲状腺ホルモンとカルシトニン
  D.副 腎
   @ 副腎皮質
   A 副腎髄質
  E.膵 臓
   @ インスリン
   A グルカゴン
   関連する病態とくすり 代表的な内分泌疾患
  国試ではこう問われる

第12章 生殖器官
 12-1 男性生殖器
  A.男性生殖器官の構成
  B.精子形成と受精
  C.精子形成とホルモン調節
  D.勃起と射精
   関連する病態とくすり 勃起不全とバイアグラ
 12-2 女性生殖器
  A.女性生殖器官の構成
  B.卵巣の周期的変化
   @ 卵胞期
   A 排卵期および黄体期
   B 卵子の成熟
  C.ホルモンの周期的変化
  D.子宮の周期的変化と月経
   コラム▶月経前症候群
  E.妊娠
   @ 胎盤形成
   A 胎盤と臍帯
   B 子宮外妊娠
  F.分娩
   関連する病態とくすり
    1.排卵抑制と避妊薬 2.子宮内膜症
  G.授乳
  H.閉経
   関連する病態とくすり
    1.子宮頸癌と乳癌 2.閉経前後の乳癌および前立腺癌 3.更年期障害と性ホルモン補充療法
 12-3 生殖器官の形成
  A.生殖器の性分化
  B.性分化および性染色体の異常
   コラム▶アスリート(スポーツ選手)のジェンダー問題
 12-4 ヒトの発生
  A.受精卵期(割球期:1〜2週)
  B.胚子期(胎芽期:3〜8週)
  C.胎児期(9〜38週)
  国試ではこう問われる

第13章 感覚器官
 13-1 視覚系
  A.眼球の構造
   @ 涙液
   A 角膜
   B 水晶体
   C 網膜
  B.結像のしくみ;屈折と調節
   @ ピント調節
   A 屈折異常
   B 瞳孔と虹彩
  C.眼圧
   関連する病態とくすり
    1.緑内障 2.白内障
   コラム▶正常眼圧緑内障
  D.光受容機序
  E.視覚路と視覚情報の処理機構
 13-2 聴覚系
  A.聴覚器の構造
   @ 外耳
   A 中耳
   B 内耳
  B.聴覚の受容の機序
   コラム▶聴性脳幹反応(ABR)
  C.平衡感覚
   関連する病態とくすり
    1.難聴 2.メニエール病
 13-3 嗅覚系
  A.匂いの空間的表現および集団符号化
  B.匂いの受容
  C.嗅覚の伝導路
   コラム▶匂いの受容は空気を読むこと?
   関連する病態とくすり
 13-4 味覚系
  A.味覚器の構造
  B.味覚の受容
   関連する病態とくすり
 13-5 触覚系
  A.皮膚の構造と働き
   @ 表皮
   A 真皮
  B.皮膚に付属する他の構造
   @ 汗腺
   A 脂腺
   B 毛
   C 爪
  C.皮膚の機能
   @ 保護作用
   A 皮膚感覚
   B 体温調節
   C ビタミンD3合成
   D 免疫作用
  D.皮膚の色
   関連する病態とくすり
    1.にきび(尋常性ざ瘡) 2.熱傷 3.尋常性白斑 4.褥瘡(皮膚潰瘍) 5.皮膚癌 6.白癬(足白癬,爪白癬) 7.皮膚炎(湿疹) 8.乾癬
  国試ではこう問われる
  国試ではこう問われる 解答
  本書における薬学教育モデル・コア・カリキュラム(令和4年度改訂版)対応一覧
索引

改訂第4 版の序
 本書『パートナー機能形態学—ヒトの成り立ち」は,薬学部6 年制の「薬学教育モデル・コアカリキュラム」の指針に従って,2008 年に初版を出版しました.それ以来,本書をお使いの先生方から多くのご指摘をいただき,その都度改訂して版を重ねてきました.おかげをもちましてこのたび改訂第4 版を出版させていただくことになりました.本書では,これまでのからだのしくみを中心とした解剖学に加え,上位学年で学ぶ病態生理学や薬理学,薬物治療学につながる内容になるように,また医療現場でも疾患の本質を知り適切な治療ができる一助になるように,解剖学の領域を大きく広げた教科書を目指して編集してきました.

 最近の生命科学・基礎医学の進歩は著しく,薬剤師もそれに見合った知識で医療に貢献することが求められるようになりました.これに伴い「薬学教育モデル・コアカリキュラム」が随時改訂され各分野で順次それに対応した変更がなされてきました.本書もこれに伴い,改訂第4 版では,最新の「薬学教育モデル・コア・カリキュラム(令和4 年度改訂版)」に沿って改訂することとなりました.

 改訂第4 版では,
 1. 本書の特徴である「簡潔で分かりやすい」をさらに追究し,特に図表をさらに分かりやすくカラー刷りに書き換えました.
 2. 上位学年で学ぶ「病態生理学」「薬理学」「薬物治療学」への連携をさらに強化しました.
「関連する病態とくすり」では関連の深い疾患に関する内容を多く取り入れました.
 3. 最新の国家試験問題を各章に挿入し,将来への学習の方向性を示しました.
 4. 本書をお使いの先生方からのご意見を反映させ,必要な内容の追加および不必要な記述の削除を行いました.

 薬剤師が医療チームの一員として高度な知識・技能・態度を求められる時代になりました.薬剤師が医療現場で「病気を知り病気を治す」くすりのプロとしての知識を十分に発揮できるよう,薬学生の早い時期からヒトのからだの仕組みと役割について学習する必要性を感じております.本書が,多くの学生さん,指導教員の方々のお役に立てることを期待して止みません.

 最後に,本書の改訂に当たって有意義なアドバイスならびにご尽力をいただいた南江堂編集部の皆様に心よりお礼申し上げます.

2024 年冬
編集者 岩崎克典,原 英彰,三島健一



初版の序
 近年の生命科学の進歩は著しく,多様化かつ専門化しており,薬学部学生を含め医療系の学生には,その生命科学の最先端の知識を学び,理解することが求められています.そのためには,まず“ 生命科学の基礎” という土台をしっかりと築くことが大切です.

 そのために,本書『パートナー機能形態学─ヒトの成り立ち』の編集にあたっては,“ 生命科学の基礎=土台” ということを十分に意識し,また薬学部6 年制「薬学教育モデル・コアカリキュラム」の1,2 年生を対象とした「生命体の成り立ち」に焦点をあてるとともに,高学年で学ぶ「病態生理学」,「薬理学」,「薬物治療学」といった科目と関連付けて理解することのできる内容を目指しました.

 さらに在学中だけでなく,薬剤師として,また研究者として,この領域の知識が必要となった場合,本書に戻れば,必要な知識・情報が得られる内容にしました.

 執筆者はこれらの特色を十分に理解し,専門の知識をわかりやすい表現でまとめるように心掛けました.本書の特色をまとめると以下のようになります.

 @ 「薬学教育モデル・コアカリキュラム」に対応し,「人体生理学」,「機能形態学」等の講義を対象としています.
 A 6 年間の薬学教育を意識し,他の科目との関連性を重視しました.そのために,病態生理学や薬物治療学との連携が理解できるように,随所に“ 橋渡し” となる項目を挿入しています.
 B 各章には,その章で学ぶべきポイントと,復習のための項目を立て,容易に理解度が高まるように配慮しました.
 C 重要な語句は太字にしましたが,数多くして混乱を招かないように,適切かつ最少の語句としました.
 D 2 色刷のわかりやすい図を多用し,理解を助けるようにしました.
 E CBT や薬剤師国家試験(基礎・医療T)に対応できるように,重要事項,重要語句は漏らさず収載しています.

 執筆者諸先生には,学生にとって学び易く,また教師にとっては教え易いように,最善を尽くしていただき,新しい薬学教育にふさわしい教科書として誕生したと確信しています.

 しかしまだ多くの問題が残されていると考えています.今後は,読者諸兄姉の忌憚のないご指摘・ご叱正をいただき,随時改訂を行い,よりよい教科書を目指していきたいと考えています.

 最後に,多くの制約の中でご執筆いただいた執筆者諸先生方,校正にご協力いただいた神谷大雄先生(福岡大学名誉教授)に深甚なる謝意を表するとともに,企画・制作の段階からご尽力をいただいた南江堂教科書編集部の諸氏に御礼申し上げます.

2008 年初夏
監修者 藤原道弘
編集者 高野行夫,岩崎克典,原 英彰

9784524404445