コンパス天然物化学[電子版付]
編集 | : 永津明人/森永紀 |
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ISBN | : 978-4-524-40413-1 |
発行年月 | : 2023年12月 |
判型 | : B5 |
ページ数 | : 228 |
在庫
定価5,280円(本体4,800円 + 税)
正誤表
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2024年12月10日
第1刷
- 商品説明
- 主要目次
- 序文
「わかりやすい・ミニマムエッセンス」をコンセプトとした天然物化学の教科書.薬学教育モデル・コア・カリキュラム(令和4年度改訂版/平成25年度改訂版)対応.苦手な学生が多い構造式を視覚的にイメージできるよう,生合成の前後で変化した部分の色を変えるなど,多色刷りで配色を工夫.天然物由来の最新の医薬品についても記述し,コラムを用いて開発経緯などを紹介.電子版付.
目 次
1章 天然生物活性物質の化学構造による分類と生合成経路
A 天然物の分類
B 次代謝と二次代謝
C 生合成単位
1 ポリケチド(ポリケタイド)
2 フェニルプロパノイド
3 フラボノイド
4 テルペノイド
D 生合成経路
1 酢酸-マロン酸経路
2 シキミ酸経路
3 イソプレノイド経路(メバロン酸経路)
4 アミノ酸経路
Exercise
2章 天然物研究法
A 抽出と分離精製
1 素材(単離源)
2 抽 出
3 分離精製
a 再結晶
b 分 配
c クロマトグラフィー
B 構造決定のための機器分析
1 質量分析(MS)
2 赤外吸収スペクトル(IR)
3 核磁気共鳴スペクトル(NMR)
a 1H-NMR スペクトル
b 13C-NMR スペクトル
c 2次元NMR
4 旋光度
Exercise
3章 糖 質
A 単 糖
1 単糖とは
2 単糖の立体化学
a フィッシャー投影式
b アルドースおよびケトースの立体配置
c グルコースの環状構造,いす形配座およびハース投影式
d リボースの環状構造
3 単糖の誘導体
a 単糖の酸化・還元により生じる誘導体
b デオキシ糖
c アミノ糖
d イノシトール
B 少糖(オリゴ糖)
1 二 糖
2 その他
C 配糖体
D 多 糖
1 単純多糖(ホモ多糖,ホモグリカン)
2 複合多糖(ヘテロ多糖,ヘテログリカン)
Exercise
4章 脂 質
A 脂肪酸の生合成と分類
B 単純脂質
a 油 脂
b ロ ウ
C 複合脂質
D アラキドン酸誘導体
a プロスタグランジン
b トロンボキサン,プロスタサイクリン
c ロイコトリエン
Exercise
5章 芳香族化合物
A シキミ酸経路由来の芳香族化合物
1 フェニルプロパノイド
2 クマリン類
3 リグナン類
4 C6-C1 化合物
B 酢酸-マロン酸経路由来の芳香族化合物
a 単純フェノール
b アントラキノン,アントロン
c センノシド
d フタリド
e クロモン
f 微生物のポリケチド
C シキミ酸経路と酢酸-マロン酸経路の複合経路由来の芳香族化合物
1 フラボノイド
a カルコン
b フラバノン,ジヒドロフラボノール(フラバノノール),フラボン,フラボノール
c フラバノール(フラバン-3-オール,3-ヒドロキシフラバン)
d イソフラボン
e アントシアニジン
2 スチルベノイド
D タンニン
1 加水分解型タンニン
a ガロタンニン
b エラジタンニン
2 縮合型タンニン
3 その他
a 茶のタンニン
b カフェタンニン
E その他の芳香族化合物
a ジアリールヘプタノイド
b ギンゲロール,ショーガオール
c カンナビノイド
d 苦味酸
e ナフトキノン
f ビタミン,補酵素
Exercise
6章 テルペノイド,ステロイド
A モノテルペン
1 モノテルペンおよびモノテルペン配糖体
2 イリドイドおよびセコイリドイド
3 その他
B セスキテルペン
C ジテルペン
1 鎖状ジテルペン
2 環状ジテルペン
D トリテルペン
1 トリテルペン
2 トリテルペンサポニン(トリテルペン配糖体)
E カロテノイド
F ステロイド
1 ステロール
2 ステロイドサポニン(ステロイド配糖体)
3 強心ステロイド配糖体,強心ステロイド
a カルデノリド
b ブファジエノリド
4 胆汁酸
5 ステロイドホルモン
a 男性ホルモン
b 女性ホルモン
c 副腎皮質ホルモン
Exercise
7章 アルカロイド
A オルニチン由来のアルカロイド(トロパンアルカロイド)
B l-リシン由来のアルカロイド
1 ピペリジンアルカロイド
2 キノリチジンアルカロイド
C l-チロシン由来のアルカロイド
1 フェニルエチルアミンアルカロイド
2 単純ベンジルイソキノリンアルカロイド
3 修飾型ベンジルイソキノリンアルカロイド
4 フェネチルイソキノリンアルカロイド
5 モノテルペンイソキノリンアルカロイド
D l-トリプトファン由来のアルカロイド
1 単純インドールアルカロイド
2 麦角アルカロイド
3 モノテルペンインドールアルカロイド
E l-フェニルアラニン由来のアルカロイド
F プリン由来のアルカロイド
G ヒスチジン由来のアルカロイド
Exercise
8章 天然生物活性物質
A 植物成分がリード化合物となった医薬品
1 神経系に作用する医薬品 154
a d-ツボクラリンがリード化合物となった医薬品
b モルヒネがリード化合物となった医薬品
c コカインがリード化合物となった医薬品
d アトロピン,スコポラミンがリード化合物となった医薬品
e フィゾスチグミンがリード化合物となった医薬品
f エフェドリンがリード化合物となった医薬品
g 麦角アルカロイドがリード化合物となった医薬品
2 抗がん薬
a ポドフィロトキシンがリード化合物となった医薬品
b パクリタキセルがリード化合物となった医薬品
c カンプトテシンがリード化合物となった医薬品
3 その他
a ジクマロールがリード化合物となった医薬品
b イソフラボン類がリード化合物となった医薬品
c アルテミシニンがリード化合物となった医薬品
B 微生物由来の医薬品 内田龍児
1 抗菌薬
a 細菌の細胞壁に作用する抗菌薬
b 細菌のタンパク質合成に作用する抗菌薬
c 細菌の細胞膜に作用する抗菌薬
d RNA 合成阻害薬
2 抗真菌薬
a ポリエン系抗真菌薬
b キャンディン系抗真菌薬
3 抗寄生虫薬
4 抗がん薬
a アントラサイクリン系抗がん薬
b ブレオマイシン系抗がん薬
c その他
5 免疫抑制薬
a カルシニューリン阻害薬
b 核酸合成阻害薬
6 脂質異常症治療薬
7 糖尿病治療薬
8 mTOR 阻害薬
9 プロテアソーム阻害薬
C 海洋生物由来の天然物
Exercise
9章 農薬や香粧品としての天然生物活性物質
A 農 薬
1 殺虫剤
a ピレスロイド類
b アベルメクチン類,ミルベマイシン類
c スピノシン類
d アフィドピロペン
2 殺菌剤
a カスガマイシン
b バリダマイシン
c ポリオキシン類
d その他
3 除草剤
4 植物成長調整剤
B 香粧品
1 保湿剤
2 酸化防止剤
3 天然香料
4 紫外線吸収剤
5 美白剤
6 収れん剤
Exercise
医薬品の起源は植物の利用であり,人類の文化・文明の発展とともに動植物の薬用部位をいわゆる生薬として利用するようになり,サイエンスの発展とともに際立った薬効をもつ動植物から医薬品というべき化合物が単離され,化学構造も明らかにされてきた.古くに発見された多くの薬効成分が現在でも医薬品として利用されており,医薬品の歴史は天然物化学の歴史とともに始まったといっても過言ではない.さらには,天然から見出された生物活性物質をヒントに新たな医薬品も開発されてきており,合成化学が発展し,バイオ医薬品の割合が増えてきた近年においても,新たに開発される医薬品の約半数は天然物や天然物に何らかのヒントを得て開発されている.天然有機化合物は人間の頭脳をもってしても発想しきれない,多くのヒントをわれわれにもたらしてくれる存在である.
そのような背景のなか,本書は薬剤師を目指す6 年制薬学部生,あるいは薬学領域の研究者を目指す人材の天然物化学分野への入門書としての位置づけで,「薬学教育モデル・コア・カリキュラム(令和4 年度改訂版)」(以下,コア・カリと略す)のC-5-2 天然由来医薬品各論 に記載の「化学構造を基にして天然由来医薬品の性質や特徴を学修する」際のミニマムエッセンスとなるように編集した.
コア・カリの学修事項にある「(1)天然有機化合物の生合成経路別分類」「(2)天然有機化合物を基に開発された医薬品」「(3)天然有機化合物を基に開発された機能性食品,農薬,香粧品」「(4)生薬を利用した医薬品,天然物を利用した機能性を示す食品」といった事項のほか,どのようにして自然界から天然化合物を明らかにするかという研究法の理解や,生薬以外からも多くの医薬品が開発されていることから,微生物や海洋生物に由来する天然化合物についても見識を広め,化学構造をもとにして天然由来医薬品の性質や特徴についての学習がより一層深められる構成となっている.
広い見識をもって,コア・カリの学修目標である
1)化学構造と生合成経路に基づいて,有用天然有機化合物を分類する.
2)医薬資源となる生薬エキスや天然物由来有機化合物の用途を説明する.
を達成してもらえることを期待している.
最後に,本書の執筆・編集にあたり南江堂出版部の諸氏に大変お世話になった.執筆者を代表して心から感謝を申し上げる.
2023 年10 月
永津明人
森永 紀
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