新しい疾患薬理学[電子版付]改訂第2版
編集 | : 岩崎克典/徳山尚吾 |
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ISBN | : 978-4-524-40406-3 |
発行年月 | : 2022年12月 |
判型 | : B5 |
ページ数 | : 656 |
在庫
定価8,250円(本体7,500円 + 税)
正誤表
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2023年10月02日
第1刷
- 商品説明
- 主要目次
- 序文
薬学生にとって必要な薬理学を過不足なく収載した教科書.各診療科をイメージできる目次構成で,主要な疾患については病態生理も簡潔に紹介.頻用医薬品や新薬を優先的に記載し,薬学部学生にとって必要な内容を厳選.今改訂版では新薬情報の追加・更新を行い,電子版を付した.電子版および南江堂ホームページでの刊行後の付録として,2024年春以降年に1回,新薬情報更新を実施予定.
目 次
1章 総論:薬理学を学ぶための基礎
1 薬の作用様式と作用機序
1 薬の作用
2 薬の用量と作用の関係
3 アゴニストとアンタゴニスト
2 生理活性物質と生体内情報伝達
1 細胞の興奮
2 シグナル伝達
3 薬が作用するイオンチャネル
4 薬が作用する受容体
5 薬が作用する酵素
6 薬が作用するイオンポンプとトランスポーター
7 薬の投与方法
8 薬の体内動態と薬効発現の関わり
9 薬物相互作用
10 耐性と薬物依存性
3 自律神経系の機能と作用薬
1 神経系の構成
2 自律神経系
3 アドレナリン作用薬
4 抗アドレナリン作用薬
5 コリン作動性神経系に作用する薬物
6 神経節遮断薬
4 体性神経系の機能と作用薬
1 神経筋接合部の構造と興奮伝達
2 神経筋接合部遮断薬(末梢性筋弛緩薬)
3 局所麻酔薬
2章 神経系の疾患と治療薬
A 精神科・神経内科領域の疾患に用いる薬物
1 統合失調症
2 うつ病・双極性障害(躁うつ病)
3 不 眠 症
4 不安障害・神経症
5 注意欠如・多動症(AD/HD)
6 脳血管疾患
7 認 知 症
8 パーキンソン病
9 てんかん・中枢性骨格筋弛緩薬
B 麻酔科領域で用いられる薬物
1 全身麻酔薬
2 鎮 痛 薬
3 片 頭 痛
4 中枢興奮薬
3章 免疫・炎症・アレルギーおよび骨・関節の疾患と治療薬
1 炎症性疾患
2 アレルギー疾患
3 自己免疫疾患
4 骨・関節疾患
5 臓器移植
4章 循環器系・血液系・造血器系の疾患と治療薬
A 循環器内科領域の疾患に用いる薬物
1 不整脈および関連疾患
2 急性および慢性心不全
3 虚血性心疾患(狭心症,心筋梗塞)
4 高血圧症
5 その他の循環器系疾患
B 血液・造血器内科領域の疾患に用いる薬物
1 血液・造血器障害
5章 泌尿器系・生殖器系の疾患と治療薬
A 泌尿器内科領域の疾患に用いる薬物
1 利 尿 薬
2 腎 疾 患
3 過活動膀胱および低活動膀胱
4 その他の泌尿器系疾患
B 生殖器科領域の疾患に用いる薬物
1 前立腺肥大症
2 産・婦人科系疾患
6章 呼吸器系・消化器系の疾患と治療薬
A 呼吸器内科領域の疾患に用いる薬物
1 鎮咳薬,去痰薬,呼吸障害改善薬
2 気管支喘息
3 慢性閉塞性肺疾患(COPD)
4 間質性肺炎
B 消化器内科領域の疾患に用いる薬物
1 消化性潰瘍・胃炎
2 胃食道逆流症
3 悪心・嘔吐
4 腸 疾 患
5 肝・膵臓・胆道疾患
7章 代謝系・内分泌系の疾患と治療薬
A 糖尿病・代謝系内科領域の疾患に用いる薬物
1 糖 尿 病
2 脂質異常症
3 高尿酸血症・痛風
B 内分泌内科領域の疾患に用いる薬物
1 性ホルモン関連薬
2 甲状腺疾患
3 尿 崩 症
4 カルシウム代謝疾患
5 その他の内分泌系疾患
8章 感覚器・皮膚の疾患と治療薬
A 眼科領域の疾患に用いる薬物
1 緑 内 障
2 白 内 障
3 加齢黄斑変性(AMD)
B 耳鼻咽喉科領域の疾患に用いる薬物
1 めまい(眩暈)
C 皮膚科領域の疾患に用いる薬物
1 アトピー性皮膚炎
2 皮膚真菌症(皮膚糸状菌症,白癬)
3 褥 瘡
9章 病原微生物(感染症)・悪性新生物(がん)と治療薬
A 感染症内科領域の疾患に用いる薬物
1 細菌感染症
2 ウイルス感染症
3 真菌感染症
4 原虫・寄生虫感染症
B 腫瘍内科領域の疾患に用いる薬物
1 抗悪性腫瘍薬について
2 抗悪性腫瘍薬各論
本書における薬学教育モデルコアカリキュラム(平成25年度改訂版)対応
索引
薬理学は,薬物が生体機能に対してどのように作用するか,その機序を追究する学問である.医学の発展とともに疾患の発症原因は,疾患に関わる臓器・組織から受容体レベル,さらには分子機序まで解明されてきている.また,疾患に関わる遺伝子が次々と明らかにされ,個々の患者に対応する個別化医療すなわちテーラーメイド医療と呼ばれる次世代型の治療も現実味を帯びてきている.このような最新医療のなかで,薬理学は,薬物の生体内での作用機序を追究するのみではなく,病気を知って病気を治す,すなわち疾患の発症原因・機序を十分に理解したうえで薬物がどのように働いて治療につながるかを理解する学問でなければならない.次世代型の発展的医療のなかで,臨床で役立つ薬理学としての疾患薬理学が必要とされることは間違いないであろう.
本書は,薬学教育モデル・コアカリキュラム(平成25年度改訂版)に準じ,平成30年に初版を刊行した.薬物を実際の臨床で適用される診療科ごとに分類し解説したのが,これまでの教科書にはない特徴である.今回の改訂第2版では,新しい治療戦略を加味して最先端の薬物治療に役立つ内容にアップデートした.疾患薬理学としての診療科ごとの分類は継続し,それぞれの疾患に対する薬物の化学構造,作用機序から副作用まで解説した.とくに新しい治療戦略に関しては新薬情報を含めて解説した.また,それぞれの疾患の患者像を考えて使用薬物の薬理作用を理解できるように,薬理学のなかに病態生理学的な解説を織り込み,さらに代表的な商品名,薬理作用,副作用の一覧表も挿入している.
本書の特徴として,最先端の新薬情報の解説がある.毎年認可される新薬は数多く,一般の薬理学の教科書では対応しきれないのが現状であった.本書では基本的な薬物から最新の新薬までをとりあげ,その薬理作用や臨床応用を詳細に解説した.さらに改訂第2版では新たに電子版を付加することによりさまざまな場面でタブレットなどを介して本書を閲覧できるようになった.新薬の薬理作用ならびにその特徴は,発刊後も電子版ならびに南江堂本書ホームページで毎年補填する.
本書は,先端医療のなかで薬物治療の基礎となる薬物の薬理作用を,臨床現場でも即応できるように解説し,薬理学を学ぶ薬学生,医学生のみならず臨床現場で薬剤師,医師その他の医療従事者にも座右の書として十分に機能するように考慮して編纂した.この1冊が,医療に役立つ薬理学の教科書として広く活用されることを期待している.
2022年11月
岩崎克典,徳山尚吾
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