薬学生・薬剤師のための漢方医薬学改訂第4版
編集 | : 山田陽城/花輪壽彦/金成俊/小林義典 |
---|---|
ISBN | : 978-4-524-40395-0 |
発行年月 | : 2022年9月 |
判型 | : B5 |
ページ数 | : 496 |
在庫
定価5,610円(本体5,100円 + 税)
正誤表
-
2024年05月16日
第1刷
- 商品説明
- 主要目次
- 序文
『薬学生のための漢方医薬学』の改訂版.漢方の概念,理論から漢方薬の薬理作用,適応,薬剤師業務まで,漢方について薬学生・薬剤師が修得すべき内容を丁寧に網羅した教科書.今改訂では,薬学教育での使いやすさに配慮して,章ごとに内容を再編し,薬学教育モデル・コアカリキュラムに対応する項目を前に,発展的な項目を[応用]として後ろに配置した.第十八改正日本薬局方対応.
第1章 漢方医学総論
1 漢方の特徴
A 漢方医学の特徴と西洋医学との相違点
2 漢方の基本用語と診断
A 陰陽理論
B 八綱(陰陽・表裏・寒熱・虚実)
C 気血水とその機能低下による症状
D 証の概念
E 病因
F 四診(診断の基本)
3 漢方の理論[応用]
A 五行理論(五臓論)
4 漢方医学の歴史[応用]
A 中国
B 日本
第2章 漢方薬学総論
1 漢方薬に用いる生薬
A 生薬とは
B 基原植物
C 生薬の分類
2 漢方製剤の種類
A 一般用漢方製剤
B 医療用漢方製剤
C 薬局製剤
3 漢方薬の剤形
A 剤形の種類
B 煎剤(湯剤または煎じ薬)
C 丸剤
D 散剤
E エキス剤
F 外用剤
G 特殊な剤形
H その他の剤形
4 漢方薬と民間薬の相違
A 民間薬とは
B 民間薬の種類
C 伝承薬
5 医薬品と食品の区分
A 医薬品と食品の定義
B 医薬品の範囲に関する基準
C 保健機能食品・サプリメント
6 本草学[応用]
A 本草学とは
B 本草学的薬能
C 修治
7 原料生薬の流通[応用]
A 原料生薬の現状
B 生薬供給国の変化と現状
C 原料生薬が抱える問題
8 漢方薬の品質管理[応用]
A 生薬の生産・加工・製品化まで
B 生薬の品質評価
C 生薬の品質管理
D 医療用漢方エキス製剤の品質管理
E 品質管理に必要な新たな技術とその応用
第3章 漢方処方の疾患への応用
1 漢方医学に基づく処方の分類
A 主な生薬による処方の分類
B 基本漢方処方による処方の分類
2 医療用漢方製剤
A 医療用漢方製剤
3 現代医療における漢方処方
A 現代医療における漢方医学
B 漢方治療の適応・不適応
C 処方選択における注意
D 各疾患における処方の分類
4 漢方医学に基づく処方の分類[応用]
A 薬効による処方の分類
5 漢方におけるEBM[応用]
A EBMとは
B 漢方におけるEBM
第4章 漢方薬の作用メカニズム
1 新薬との併用効果
2 漢方薬理の特徴[応用]
3 主な漢方処方の薬理作用と作用機序[応用]
A 免疫系疾患に対する漢方処方
B 腎臓疾患に対する漢方処方
C 精神・神経疾患に対する漢方処方
D 婦人科系疾患に対する漢方処方
E 呼吸器疾患に対する漢方処方
F 循環器疾患に対する漢方処方
G 消化器疾患に対する漢方処方
H 内分泌疾患に対する漢方処方
I 疼痛に対する漢方処方
4 漢方薬の複合効果[応用]
A 薬理学的複合効果
B 薬剤学的複合効果
5 漢方薬の吸収と代謝[応用]
第5章 医療漢方薬学
1 漢方薬の調剤・製剤
A 医療用漢方製剤の調剤
B 薬歴
C 処方鑑査
D 調剤過誤防止への取り組み
2 漢方薬の使用上の注意と薬物相互作用
A 漢方薬の副作用(有害作用)
B 漢方薬の副作用発現回避のための注意事項
3 漢方薬の服薬指導
A 処方の目的と内容の把握
B 初診患者に必要な服薬指導
C 服薬指導の実際
4 漢方薬の調剤[応用]
A 軟膏剤
B 丸剤
C 煎剤
5 栄養サポートチームにおける漢方薬の活用(漢方NST)[応用]
第6章 世界の伝統医学と統合医療
1 世界の伝統医学[応用]
A 中国の伝統医学(中医学)
B 韓国の伝統医学(韓医学)
C インドの伝統医学(アーユルヴェーダ)
D イスラムの伝統医学(ユナニ)
E チベットの伝統医学
2 統合医療[応用]
A 統合医療の変遷
B 米国の補完的な健康アプローチ(NCCIH)
C 厚生労働省研究班による分類
付録
❶ 『第十八改正日本薬局方』収載漢方エキス
❷ 生薬の化学的品質評価に関する『日本薬局方』の規定
❸ 医療用および一般用漢方製剤に用いられる構成生薬
❹ 新一般用漢方処方
❺ 医療用および一般用漢方製剤に用いられない薬価収載生薬一覧
❻ 『傷寒論』『金匱要略』を出典とする医療用漢方製剤
索引
薬学生の漢方医薬学教育のための教科書として刊行された本書は,2017年の改訂版刊行から5年を経過しこの度改訂第4 版を『薬学生のための漢方医薬学』から『薬学生・薬剤師のための漢方医薬学』に改題し刊行の運びとなった.初版の刊行時と比較しても,わが国は超高齢社会の到来やコロナ禍での課題などを背景に現代医療の中で漢方薬の役割は多岐にわたりますます重要となっている.また6 年制に移行した薬学教育も16年を経過し医療人としての教育のさらなる充実が急がれている.2001年度に「和漢薬を概説できる」という項目が取り入れられた医学教育モデル・コアカリキュラムとその後の改訂カリキュラムのもと,現在ではすべての大学医学部において漢方医学の教育が行われている.これに対応して薬学教育モデル・コアカリキュラムでは当初,化学系薬物,「自然が生み出す薬物」の項目に漢方薬と漢方医学に関する教育が加えられた.しかし2015年以降の改訂コアカリキュラムにおいて,漢方薬,漢方医学の教育は「医療薬学」の項目の「医療の中の漢方薬」に位置付けられるようになり,6 年制薬学教育ではこれまで以上に現代医療における臨床に関連した漢方医薬学教育の実践が求められている.
本改訂版は前版と同様,薬学生向けに限らず,薬剤師になった時や薬剤師としても知っておくべき漢方薬の知識を中心に,「漢方医学総論」,「漢方薬学総論」,「漢方処方の疾患への応用」,「漢方薬の作用メカニズム」,「医療漢方薬学」,「世界の伝統医学と統合医療」,「付録」から構成されている.主な改訂点として,コアカリキュラムにおけるSBO対応の項目は前半に配置することで,薬学教育のため学習しやすい工夫を加えた.また,薬剤師として知っておくべきSBO対応以外のアドバンストの項目の充実も図った.具体的には日本薬局方の第十八改正および一般用漢方処方,薬局製剤の改訂に準拠して各章の見直しを行ったことや,「漢方の基本用語と診断」では薬学生にも必要な漢方医学に関わる用語の解説などを加え理解しやすくしたこと,医療用漢方製剤,一般用漢方処方,薬局漢方製剤の関連を比較して理解しやすくしたこと,「主な漢方処方の薬理作用と作用機序」については,日本薬局方収載処方を中心に医薬品情報や研究情報としてエビデンスも加えた最新の知見を加えたこと,「医療漢方薬学」における漢方薬の使用上の注意と薬物相互作用や「統合医療」も最新情報に改訂したこと,付録の「医療用および一般用漢方製剤に用いられる構成生薬」では薬能についても付し処方の作用を理解しやすくしたことなどがあげられる.執筆には漢方の臨床現場で漢方医薬学を実践している北里大学東洋医学総合研究所と同大村智記念研究所(旧名:北里生命科学研究所),同薬学部の教職員や旧職員など関係者が主にあたっている.
本書は,6年制の薬学教育を通じその関連科目の修学に合わせ,章ごとの教育が可能なように構成され,さらに医療や研究の実践に必要な内容も充実していることから,薬学生ばかりでなく,漢方薬を勉強しようとする薬剤師や大学院生,薬学研究者,チーム医療に関わる医療従事者,その他の研究者にも役立つ成書と考えられる.
本書の出版の意図をよく理解され,改訂版の編集にあたり多大なご協力をいただいた南江堂編集部の関係諸氏に謝意を表したい.
2022年7 月
山田 陽城
花輪 壽彦
金 成俊
小林 義典