伝統医薬学・生薬学増補
編集 | : 御影雅幸/木村正幸 |
---|---|
ISBN | : 978-4-524-40313-4 |
発行年月 | : 2013年3月 |
判型 | : B5 |
ページ数 | : 336 |
在庫
定価5,720円(本体5,200円 + 税)
- 商品説明
- 主要目次
- 序文
世界諸民族の伝承分化という観点から、伝統医学と生薬学を紹介したテキスト。世界の伝統医学をわかりやすく解説した総論と、主に使用される生薬を解説した各論の二部構成で、各論では原植物をカラー写真で紹介。本書全体にわたり化学的内容は必要最小限にとどめた。今増補版では第十六改正日本薬局方第一追補に対応させ、全体にわたり情報の更新を行った。
総論
1 世界の伝統医学と生薬
A 伝統医学概論
1 WHO報告書の概念における伝統医学と生薬
2 21世紀は統合医療の時代
B 世界の伝統医学の状況
1 世界各地における伝統医学の概念と特徴
2 世界の伝統医学の現状
a) 西太平洋地域の伝統医学
b) 南アジア・東南アジア地域の伝統医学
c) アフリカ地域の伝統医学
d) アメリカ地域の伝統医学
e) ヨーロッパ地域の伝統医学
f) 東地中海地域の伝統医学
C 世界の伝統医学の歴史
1 四大文明の発展
a) 四大文明の発祥地域
2 医学体系の充実
a) 世界の伝統医学の流れ
b) 伝統医学の萌芽と形成
D 世界の三大伝統医学の形成
1 インド医学:アーユルヴェーダ
a) 古代インド医学
b) アーユルヴェーダ
c) ヨーガ
d) 仏教医学
e) シッダ医学
f) チベット医学
2 中国医学
a) 古代中国医学
b) 三大古典書
c) 中国、三大文化圏説
d) 中国医学の歴史
3 アラビア医学:ユナニ
a) ギリシャ、ローマ医学
b) ユナニの歴史
E その他の伝統医学
1 アロパシーとホメオパシー
a) アロパシー
b) ホメオパシー
2 自然療法、植物療法
a) ヨーロッパ薬草学
3 ジャムゥ
F 日本の伝統医学
1 日本の伝統医学の形成
a) 日本の伝統医学概論
b) 日本の伝統医学の歴史
c) 日本の生薬・民間薬
2 漢方医学と生薬
a) 漢方の歴史と概論
b) 漢方医学の理論
2 医薬品としての生薬
A 生薬の定義
B 生薬の特性
1 生薬の長所
2 生薬の短所
C 生薬の由来と分類
1 生薬の由来
2 生薬の分類
a) 自然科学的な分類
b) 三品分類
c) 成分化学的分類
d) 薬効による分類
D 生薬の使用形式
1 生薬の修治
a) 薬物の毒性や副作用を減少させる
b) 薬味、薬性を変える
c) 生薬として不要な部分を取り除き薬効を高める
d) 虫害やカビの害を除いて保存性を高める
e) その他の修治法
2 漢方・生薬製剤
3 GMPについて
4 製剤の剤型
E 生薬の生産と流通
1 生薬の生産
2 日本での生産状況
a) 野生品
b) 栽培品
3 中国での生産状況
4 生薬の流通
F 生薬の特性(課題と将来性)
1 薬物資源の開発
2 薬用植物の栽培
3 薬食同源
3 生薬の品質評価
A 本草考証による評価
a) イレイセン
b) モクツウ
c) チョウトウコウ
B 形態学的品質評価
1 外部形態による品質評価
2 内部形態による品質評価
C 分子生物学的評価
1 DNAマーカー
2 解析方法
a) RAPD解析法とAFLP解析法
b) 直接塩基配列決定法
c) ARMS(MASA)解析法、PCR-RFLP解析法
d) 実際例
D 化学的評価
1 確認試験
a) 生薬の確認試験に用いられる呈色試薬
b) 生薬成分の薄層クロマトグラフィー
c) 骨格に特異的な確認試験
2 成分定量
a) 乾燥減量
b) 灰分と酸不溶性灰分
c) エキス含量
d) 純度試験
e) 精油含量と定量法
f) 定量法を適用する日本薬局方収載生薬
g) 精油含量が規定されている日本薬局方収載生薬
h) エキス含量が規定されている日本薬局方収載生薬
i) 生薬のクロマトグラフィーなどによる品質評価
3 五感による評価の科学的解析への取り組み
a) 色彩計による品質評価
b) におい分析装置による品質評価
E 生物学的評価法
1 各種がん細胞を用いた、抗がん剤の開発
2 培養細胞を用いた評価法
a) 抗菌活性、抗炎症活性
b) 抗骨粗鬆症活性
c) 抗糖尿病活性
d) 抗アルツハイマー病活性
3 レポーター遺伝子を用いる組み換え細胞アッセイ法による各種活性評価
a) エストロゲン活性
b) HPV16 遺伝子発現阻害活性
c) p450 関連タンパク質発現誘導活性
4 Bioinformaticsの応用例
F 臨床医学的評価
1 目的と意義
2 “さじ加減”の重要性
3 原植物が異なるトウキを用いた臨床的ならびに薬学的研究
4 東洋医学におけるEBM
(付)植物の分類と分類体系
4 現代医療に役立つ生薬
A 有効成分の分離
B 医薬品としての生薬成分
C 医薬品のシーズ(種)としての生薬成分
各論
1 双子葉植物綱・合弁花(後生花被)植物亜綱
キク科
・インチンコウ
・エキナケア
・ガイヨウ
・カミツレ
・キクカ
・コウカ
・ゴボウシ
・ジョチュウギク
・ソウジシ
・ソウジュツ
・ビャクジュツ
・フィーバーヒュー
・ホコウエイ
・モッコウ
キキョウ科
・キキョウ
・トウジン
オミナエシ科
・カノコソウ
スイカズラ科
・キンギンカ
オオバコ科
・シャゼンシ
ゴマ科
・ゴマ
キツネノマゴ科
・アカンサス
ノウゼンカズラ科
・キササゲ
ゴマノハグサ科
・コオウレン
・ジオウ
・ジギタリス
ナス科
・アシュワガンダ
・クコシ
・ダツラ
・トウガラシ
・バレイショデンプン
・ヒヨス
・ベラドンナコン
・ロートコン
シソ科
・オウゴン
・カゴソウ
・カッコウ
・ケイガイ
・ソヨウ
・タイム
・タンジン
・ハッカ
・ラベンダー
・ローズマリー
ムラサキ科
・シコン
ヒルガオ科
・ケンゴシ
アカネ科
・アセンヤク
・キナ
・サンシシ
・チョウトウコウ
・トコン
キョウチクトウ科
・ストロファンツス
・ラウオルフィア
リンドウ科
・ゲンチアナ
・センブリ
・リュウタン
マチン科
・ホミカ
モクセイ科
・レンギョウ
エゴノキ科
・アンソッコウ
ツツジ科
・ウワウルシ
2 双子葉植物綱・離弁花(古生花被)植物亜綱
セリ科
・ウイキョウ
・キョウカツ
・サイコ
・センキュウ
・トウキ
・ハマボウフウ
・ビャクシ
・ボウフウ
ウコギ科
・シゴカ
・ニンジン、コウジン
・チクセツニンジン
ミズキ科
・サンシュユ
シクンシ科
・カシ
ザクロ科
・ザクロヒ
フトモモ科
・チョウジ
ウリ科
・カロコン
・コロシントウリ
・トウガシ
アオギリ科
・カカオシ
クロウメモドキ科
・サンソウニン
・タイソウ
ヒメハギ科
・オンジ
・セネガ
ニガキ科
・ニガキ
ミカン科
・オウバク
・キジツ
・ゴシュユ
・サンショウ
・チンピ
・トウヒ
・ヘンルーダ
トウダイグサ科
・アカメガシワ
・アンマロク
・ハズ
・ヒマシ
コカノキ科
・コカ
ハマビシ科
・シツリシ
フウロソウ科
・ゲンノショウコ
マメ科
・アラビアゴム
・オウギ
・カッコン
・カンゾウ
・クジン
・ケツメイシ
・センナ
・ソボク
・ヘンズ
バラ科
・エイジツ
・オウヒ
・キョウニン
・チユ
・トウニン
・ビワヨウ
・マイカイカ
ユキノシタ科
・アマチャ
・ユキノシタ
アブラナ科
・ガイシ
ケシ科
・アヘン
・エンゴサク
マタタビ科
・モクテンリョウ
ボタン科
・シャクヤク
・ボタンピ
ウマノスズクサ科
・サイシン
コショウ科
・コショウ
ドクダミ科
・ジュウヤク
スイレン科
・センコツ
・レンニク
ツヅラフジ科
・コロンボ
・ボウイ
アケビ科
・モクツウ
メギ科
・インヨウカク
・ナンテンジツ
・メギ
キンポウゲ科
・イレイセン
・オウレン
・ショウマ
・ブシとウズ
クスノキ科
・ウヤク
・ケイヒ
シキミ科
・ダイウイキョウ
マツブサ科
・ゴミシ
ニクズク科
・ニクズク
モクレン科
・コウボク
・シンイ
サボテン科
・ペヨート
ヒユ科
・ゴシツ
タデ科
・カシュウ
・ダイオウ
ヤドリギ科
・ソウキセイ
ビャクダン科
・ビャクダン
クワ科
・ソウハクヒ
・マシニン
トチュウ科
・トチュウ
ブナ科
・ボクソク
ヤナギ科
・ヤナギ
クルミ科
・コトウニン
3 単子葉植物綱
ラン科
・セッコク
・テンマ
ショウガ科
・ウコン
・ガジュツ
・シュクシャ
・ショウキョウ
・ショウズク
・ビャクズク
・ヤクチ
・リョウキョウ
カヤツリグサ科
・コウブシ
サトイモ科
・ショウブ
・セキショウブ
・ハンゲ
ヤシ科
・ビンロウジ
イネ科
・コウベイ
・ボウコン
・ヨクイニン
アヤメ科
・サフラン
ヤマノイモ科
・サンヤク
ユリ科
・アロエ、ロカイ
・オウセイ
・ガイハク
・コルヒクム
・サンキライ
・タイサン
・チモ
・テンモンドウ
・バイモ
・バクモンドウ
・ビャクゴウ
オモダカ科
・タクシャ
4 裸子植物亜門
マオウ科
・マオウ
イチイ科
・イチイ
マツ科
・ロジン
イチョウ科
・イチョウヨウ
5 シダ[羊歯]植物門
・カイキンシャ
・セキイ
6 藻類
・カンテン
・マクリ
7 菌類
・チョレイ
・トウチュウカソウ
・バイキセイ
・バッカク
・ブクリョウ
・レイシ
8 動物生薬
・ユウタン
・ゴオウ
・ロクジョウ
・ジャコウ
・アキョウ
・ベッコウ
・センソ
・ボレイ
・ウゾクコツ
・スイテツ
・ジリュウ
・シャチュウ
・センタイ
・ボウチュウ
・ハチミツ
9 鉱物生薬
・カッセキ
・シュシャ
・セッコウ
・ボウショウ
・リュウコツ
付録
索引
本書初版の上梓から3年余りが経過した。その間に、日本薬局方が改正(十六局平成23年3月、第一追補平成24年9月)され、生薬の追加とともに多くの生薬で記載内容が更新された。最近の世の中の移り変わりにはめざましいものがあるとはいえ、こと生薬に関してはおおむね過去に確立されたものであるので、その変化はそれほど激しくはないと考えられる。にもかかわず今回の改正で新たに20品目が追加となったことは、近年の漢方医学のめざましい躍進を反映したものであろう。日本薬局方の改正は国家試験受験者のみならず、将来的に医療に携わる諸子にとって重要である。本書を用いた講義の際には、口頭のみならず配布物などで日本薬局方の変更点を説明してきたが、いささかの不便を感じていた。今回の増補版ではその部分を一新した。
生薬が多様であることは初版の「はじめに」でも述べたが、同一名のもとに、日本(漢方生薬)と中国(中葯材)で基原の異なるものが多数使用されている現状や、近年の漢方薬の使用頻度の向上を考慮すると、日本国内における生薬事情は今後ますます多様化していくものと思われる。よく「生薬は生きている」と言われるが、それは市場品の基原や等級などがめざましく変化することをも含んでいる。原植物が変化し、また等級に関してはその基準が変化する等々があり、変化の背景にはさまざまな要因による生薬価格の変動がある。また産出国における環境変化による資源の減少などがあることも理解しておく必要がある。変化した生薬の是非を判断する能力を培うことはもちろん、変化そのもの、また変化する理由をも知っておく必要がある。長年評価が固定化している生薬がある一方で、めまぐるしく変化する生薬もあるということである。また、未だ正品や伝統医学的な有効成分が解明されていない生薬も多い。本書のみでそこまで学ぶことは困難であるが、真剣に生薬を学ぼうとする諸子には本書に足りない部分までをも読み取っていただきたいと願う。
今回の増補にあたっては、諸般の事情により生薬各論への項目の追加までは至らなかったが、付録の「局方収載生薬一覧」は十六局に沿って全面的に改訂した。各論を読むと同時に、ぜひ付録も活用していただきたい。
2013年2月
編者