コンパスシリーズ
コンパス薬物速度論演習
編集 | : 岩城正宏 |
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ISBN | : 978-4-524-40277-9 |
発行年月 | : 2012年9月 |
判型 | : B5 |
ページ数 | : 206 |
在庫
定価3,740円(本体3,400円 + 税)
サポート情報
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2015年03月12日
改訂薬学教育モデル・コアカリキュラム(平成25年度改訂版)対応表
- 商品説明
- 主要目次
- 序文
薬物速度論を演習を通してやさしく学べる書籍(演習書)。薬学教育モデル・コアカリキュラム「C13 (5)薬物動態の解析」を網羅。「わかりやすい」をモットーに、項目ごとに(1)基礎の解説→(2)例題と解答・解説→(3)演習問題という流れで無理なく学習ができるよう構成されており、充実した演習から理論を理解し身につけることができる。
1章 薬物速度論を学ぶために
A はじめに
1 薬物速度論とは
2 反応速度と反応次数
3 クリアランスと分布容積
4 薬物速度論モデル
a コンパートメントモデル
b 生理学的モデル
c モデル非依存的手法
5 線形と非線形速度式
B グラフ演習
C 薬物速度論を理解するための指数・対数と微分・積分の基本
1 指数・対数の基礎
a 指数
b 対数
c 微分・積分
・演習問題 解答・解説
2章 コンパートメントモデル
A 総論
B 1−コンパートメントモデル
1 静脈内投与
a 血中濃度推移式
b 生物学的半減期と消失速度定数
・例題
c 全身クリアランス
d AUC:血中薬物濃度−時間曲線下面積
・例題
e 腎クリアランスと肝クリアランス
(1) ログレートプロット法
(2) シグママイナスプロット法
・例題
2 経口投与
a 吸収率
b 1−コンパートメントモデル経口投与〈モデルから式の導出〉
c 最高血中濃度(Cmax)と最高血中濃度到達時間(tmax)
d 残余法
e フリップ・フロップ現象
・例題
C 2−コンパートメントモデル〈応用〉
・例題
D PK−PDモデル〈応用〉
・例題
・演習問題
・演習問題 解答・解説
3章 持続点滴静注
A 1−コンパートメントモデル持続点滴静注〈モデルから式の導出〉
B 定常状態
C 投与計画
・例題
・演習問題
・演習問題 解答・解説
4章 繰り返し投与
A 1−コンパートメントモデル繰り返し静注〈モデルから式の導出〉
B 定常状態
C 蓄積率
D 投与計画
E 平均血中濃度
F 繰り返し経口投与
・例題
・演習問題
・演習問題 解答・解説
5章 生理学的モデル
A 組織クリアランスと全身クリアランス
B 薬物の腎クリアランスと肝クリアランス
1 腎クリアランス
2 肝クリアランスと肝抽出率
3 肝クリアランスと肝固有クリアランス(Well-stirred model、ウェル・スタードモデル)
・例題
・演習問題
・演習問題 解答・解説
6章 バイオアベイラビリティ、初回通過効果
A 初回通過効果
1 組織抽出率
2 初回通過効果を受ける代表的薬物
3 肝初回通過効果の回避
B バイオアベイラビリティ(生物学的利用能)
1 絶対的バイオアベイラビリティ
2 相対的バイオアベイラビリティ
3 生物学的同等性(バイオエクイバレンス)
・例題
・演習問題
・演習問題 解答・解説
7章 モデル非依存性薬物動態
A モデル非依存性薬物動態
B 1−コンパートメントモデル解析とモーメント解析の関係
C モーメント解析によるたたみこみ(デコンボリューション)
1 MAT(平均吸収時間:mean absorption time)
2 固形製剤におけるデコンボリューション
・例題
・演習問題
・演習問題 解答・解説
8章 非線形薬物動態
a 吸収過程における飽和
b 消失過程における飽和
c 血漿中タンパク結合の飽和
・例題
・演習問題
・演習問題 解答・解説
9章 薬物-タンパク結合の解析
A タンパク結合の解析
1 タンパク結合理論
2 タンパク結合の置換
B 薬物のタンパク結合と分布容積
・例題
・演習問題
・演習問題 解答・解説
10章 治療的薬物モニタリング(TDM)
A TDMの意義
・例題
B TDMが必要な薬剤
・例題
C 薬物濃度測定方法
a 免疫化学的測定法
b 分離分析法
・例題
D 至的血中濃度を維持するための投与計画
・例題
E 薬物投与設計の例題
1 ジゴキシン
2 フェニトイン
3 テオフィリン
4 抗生物質
5 抗不整脈薬
・演習問題
・演習問題 解答・解説
11章 複合問題
・解答・解説
索引
生物薬剤学は薬物が作用を発揮する部位まで到達する道のり、すなわち、薬物の吸収、分布、代謝、排泄といった一連の体内動態を扱う学問である。さらに、これらの体内動態過程について数式モデルなどを用いて定量的に解析する薬物速度論もこの領域に入る。薬学教育モデル・コアカリキュラムでは、これらはそれぞれ、「薬物の臓器への到達と消失」および「薬物動態の解析」という項目に相当する。先に刊行された『コンパス生物薬剤学』では、「薬物の臓器への到達と消失」を理解するという点に重点を絞り、学ぶ内容を必要最小限にする目的で、学生に敬遠されがちな薬物速度論は一部を除いて削除した。
一方、有効かつ安全な医薬品の適正使用を行う上で薬物の血中濃度を適正に設定することが重要であり、そのためには薬物の血中濃度に対する定量的な理解が欠かせない。医療においてチームワークが求められている中で、薬物速度論の理論を駆使して医薬品の用量、用法を設定することは唯一これを学習している薬剤師の重要な職能の一つである。そこで、改めて「薬物速度論」に絞り本書を刊行した。本書では、数式の導入などは最小限にとどめ、例題や演習問題を数多くこなすことにより、薬物速度論の数式をどのように使用するのかを理解できるように企画した。薬剤師国家試験問題への対応のみならず、臨床現場で薬物速度論を応用できるようにTDM関連の演習も多く掲載した。薬剤師をめざす学生のみならず、創薬をめざす学生にも広く薬物動態における数式的な取り扱いを収得していただきたい。本書がそのための一助になることを願っている。
2012年8月
岩城正宏