書籍

心不全療養指導士認定試験ガイドブック改訂第3版

編集 : 日本循環器学会
ISBN : 978-4-524-27284-6
発行年月 : 2026年3月
判型 : A4判
ページ数 : 280

在庫あり

定価4,180円(本体3,800円 + 税)


  • 商品説明
  • 主要目次
  • 序文
  • 書評

日本循環器学会より創設された「心不全療養指導士」認定制度のカリキュラムに準拠した学会編集の公式ガイドブックの改訂第3版.心臓の構造といった基礎的な内容から,ガイドラインに準拠した⼼不全の診断・治療・療養指導,資格取得に必要な症例報告書の記載方法を網羅的に解説.今版では「⼼不全診療ガイドライン」「⾼⾎圧管理・治療ガイドライン」の改訂を反映して内容を⼤幅にアップデートし,知識確認問題も全問リニューアル.本資格取得を⽬指す受験者が自己学習のために広く活⽤できる一冊.

第1章 心不全療養指導士の役割・機能
 1. 日本心不全療養指導士制度の目的
 2. 日本心不全療養指導士制度の役割
第2章 心不全の概念
第3章 療養指導の基本
 1. 患者教育に必要な基礎的理論
 2. 療養指導の評価および修正
第4章 心不全の予防活動
 1. 心不全における予防の重要性
 2. 予防啓発活動
第5章 心不全の診断,成因,検査
 1. 心臓の構造
 2. 心臓の働き(健常人)
 3. 心不全の原因疾患
  a. 虚血性心疾患
  b. 心筋症
  c. 心筋炎
  d. 心毒性心筋障害,浸潤性疾患
  e. 高血圧,高血圧性心疾患
  f. 弁膜症,先天性心疾患
  g. 不整脈
  h. 肺高血圧症
 4. 心不全の身体所見
  a. Nohria-Stevenson分類:うっ血・低灌流の所見と自覚症状
  b. NYHA心機能分類
  c. 身体活動能力質問票(SAS)
 5. 検査
  a. バイオマーカー(BNP,NT-proBNP)
  b. 胸部単純X線写真
  c. 心エコー
  d. 心臓カテーテル検査・生検
  e. 血液検査
第6章 心不全の治療
 1. 薬物治療
  a. 心不全治療概論
  b. HFrEFに対する薬物療法
  c. HFpEF,HFmrEF,HFimpEFに対する薬物療法
  d. β遮断薬
  e. ACE阻害薬,ARB,ARNI,MRA
  f. 利尿薬
  g. SGLT2阻害薬
  h. その他
 2. 非薬物治療
  a. 植込み型除細動器(ICD)
  b. 心臓再同期療法(CRT)
  c. 陽圧呼吸療法,在宅酸素療法
  d. 運動療法
  e. 手術
  f. 心臓移植,植込み型人工心臓
 3. 併存疾患の治療
  a. 慢性腎臓病・心腎症候群
  b. 貧血・鉄代謝
  c. 電解質異常
  d. 糖尿病
  e. 肥満
  f. 脂質異常症
  g. 高尿酸血症・痛風
  h. 慢性閉塞性肺疾患・喘息
  i. 睡眠呼吸障害
  j. 抑うつ・認知機能障害・精神心理的問題
 4. その他の治療(妊娠期)
第7章 心不全の療養指導
 1. 患者教育に活用する心不全に関する知識
  a. 定義,原因,症状,病の軌跡
  b. 増悪の誘因:医学的因子と生活因子
 2. セルフケアモニタリングと定期受診・増悪時の対応
  a. モニタリングの方法
  b. 患者手帳の活用
  c. 定期的な受診の必要性
  d. 増悪時の対応
 3. 服薬アドヒアランスへの支援
  a. 服薬アドヒアランス不良の要因
  b. 服薬アドヒアランスの評価
  c. 服薬アドヒアランスの向上策
 4. 栄養管理
  a. バランスのよい食事の重要性
  b. 適正な塩分管理
  c. 適正体重の維持
  d. 飲水制限
  e. サルコペニア,フレイル,カヘキシー
  f. 栄養アセスメント
  g. 併存疾患における食事療法
 5. 身体活動と運動
  a. 運動の種類,強さ,時間と回数
  b. 運動耐容能の評価
  c. 具体的な運動の方法
  d. 運動をしてはいけないとき,注意点
 6. 禁煙支援
  a. 禁煙の必要性
  b. 禁煙支援の具体的方法
  c. 禁煙外来における禁煙治療の流れ
 7. 日常生活の心がけ
  a. 活動の目安
  b. 適切な入浴方法
  c. 排便コントロール
  d. 過度なアルコール摂取の危険性
  e. 感染予防とワクチン接種
  f. 日常生活のストレスマネジメント
 8. 精神的・心理的支援
  a. 心不全と精神心理的変化
  b. 抑うつのスクリーニング
  c. 対応の検討(コミュニケーション,専門家への連携など)
  d. せん妄のアセスメント,介入,支援
第8章 心不全ステージ別の療養指導の実際
 1. ステージAに対する療養指導
 2. ステージBに対する療養指導
 3. ステージCに対する療養指導
 4. ステージDに対する療養指導
第9章 特殊な病態時の療養指導
 1. 認知機能低下のある患者への対応
第10章 特殊な状況時の療養指導
 a. 季節の変化に伴う対処
 b. 旅行
 c. 災害時・医療安全上の留意点
第11章 心不全の緩和ケア
 a. 心不全におけるACP
 b. 意思決定支援
 c. 末期心不全における症状と緩和
第12章 病院と在宅の連携
 1. チーム医療の提供
 2. 心不全における在宅医療
  a. 在宅医療の基本的な考え方
  b. 病院と在宅医療の連携
  c. 在宅で働く職種と役割(理解)
  d. 社会保障制度の活用
 3. 家族・介護者への支援
  a. 心不全患者の家族あるいは介護者が抱える問題
  b. 家族あるいは介護者への支援
 4. 心不全医療における地域連携
  a. 心不全医療における地域連携の重要性
  b. 地域連携を促す多職種カンファレンス
第13章 症例報告書の記載方法
付録:知識確認問題

心不全は,高齢化の進行や医療の進歩に伴い,患者数が増え続けている疾患であり,わが国における重要な医療課題のひとつとなっています.急性期治療の発展により生命予後は改善してきましたが,その一方で,再増悪や再入院を繰り返しながら,長期にわたり療養生活を送る患者さんも増えています.このため,急性期から慢性期,さらに在宅や地域での生活までを見据えた,切れ目のない療養支援の重要性が,これまで以上に高まっています.
こうした状況を受け,日本循環器学会は日本脳卒中学会とともに,2016年12月に「 脳卒中と循環器病克服5ヵ年計画」 を策定しました.この計画では,心不全が重要な3 つの疾病のひとつとして位置づけられ,人材育成,医療体制の整備,登録事業の推進,予防や国民への啓発,臨床・基礎研究の強化という5 つの取り組みが示されています.そのなかの人材育成の一環として,日本循環器学会が主体となって「 心不全療養指導士」 資格を創設しました.
本書は,心不全療養指導士認定試験の公式ガイドブックとして,受験に必要な知識や考え方をわかりやすく整理したものです.試験対策として活用できるだけでなく,資格取得後に,実際の臨床や療養支援の現場で役立つ基本的な視点や考え方を身につけることも目的としています.
第3版では,2025年に改訂された「 日本循環器学会/日本心不全学会 心不全診療ガイドライン」 の内容や,これまでの認定試験の傾向を踏まえ,全体を見直しました.特に巻末の知識確認問題はすべて新しくなり,本文についても,現在の診療や療養支援の実情に合うように内容をブラッシュアップしています.
本書は,心不全療養指導士を目指すメディカルスタッフの皆さんが,心不全の病態や治療,療養指導の実際,緩和ケアや地域連携について体系的に学ぶことを目的に構成されています.受験にあたっては,本書とe ラーニングを併せて活用し,理解を深めながら学習を進めてください.また,資格取得後も日々の実践を振り返る際の参考書として,繰り返し活用していただければ幸いです.本資格が広く普及し,心不全療養指導士が心不全チーム医療の中心的な役割を担うことで,日本の心不全医療がさらに発展することを期待しています.
2026 年3 月
日本循環器学会

心不全チーム医療の要として―心不全療養指導士の新たな使命

 わが国の心不全患者数は増加の一途をたどり,その平均年齢はすでに80歳を超えた.心不全は急性増悪と寛解を繰り返しながら進行する疾患であり,がん・認知症・慢性腎臓病などの併存症を有する高齢患者が多く,独居やフレイルといった社会的・身体的脆弱性も相まって,その療養管理はきわめて複雑である.急性期治療の発展により生命予後は改善してきた一方で,再増悪や再入院を繰り返しながら長期にわたり療養生活を送る患者も増加しており,急性期から在宅・地域生活までを見据えた切れ目のない療養支援の重要性がこれまで以上に高まっている.看護師,薬剤師,理学療法士,管理栄養士,医療ソーシャルワーカーなど多職種が連携し,患者のセルフモニタリング能力を高め,薬剤アドヒアランスや運動・栄養状態を包括的に支援することの重要性はもはや疑いの余地がない.こうした状況を受け,日本循環器学会が人材育成の一環として主体的に創設した資格が「心不全療養指導士」であり,本書はその認定試験の公式ガイドブックとして初版・改訂第2版と版を重ね,このたび改訂第3版として刊行された.
 改訂第3版では,2025年に改訂された「日本循環器学会/日本心不全学会 心不全診療ガイドライン」の内容を反映し,これまでの認定試験の傾向を踏まえて全体が見直されている.とくに巻末の知識確認問題も刷新され,本文についても現在の診療や療養支援の実情に合わせてブラッシュアップされている.HFrEF・HFmrEF・HFpEFの各病態に応じた療養指導,SGLT2阻害薬や非ステロイド型ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬(mineralocorticoid receptor antagonist:MRA)をはじめとする最新薬物治療,高齢患者のフレイル対応,緩和ケア,地域連携など,実臨床で直面する諸問題を体系的に学べる構成となっている.試験対策に留まらず,eラーニングと併用しながら,資格取得後も日々の実践を振り返る診療指針として繰り返し活用できる点も本書の大きな特長である.
 本書の刊行が,わが国の心不全診療にとって一つの大きな転機と重なっていることは特筆に値する.令和8年度診療報酬改定において「心不全再入院予防継続管理料」が新設された.急性心不全入院患者に対して早期から多職種が介入し,退院後も地域と連携して継続的な管理を行う体制を評価するもので,入院中の管理料1,退院後外来での管理料2・3の3段階で構成される.施設基準では「心不全再入院予防チーム」の設置が必須とされており,心不全療養指導士はそのチームの中核的な人材として期待されている.単なる専門的スキルの証明に留まらず,診療報酬制度上の役割を担える存在として,心不全療養指導士の社会的重要性はこれまで以上に高まっており,より多くの医療専門職が本資格の取得を志す契機ともなるであろう.
 「刊行にあたって」にも記されているように,本資格が広く普及し,心不全療養指導士が心不全チーム医療の中心的な役割を担うことで,わが国の心不全医療の均てん化が進み,さらに発展していくことが期待される.改訂第3版はその期待に応えるべく内容が磨かれた一冊であり,資格取得を目指す方々はもちろん,チーム医療の再構築を検討する医療機関の関係者や,すでに資格を有する方々の知識更新にも広くお薦めしたい.

臨床雑誌内科138巻4号(2026年10月号)より転載
評者●奥村貴裕(藤田医科大学医学部循環器内科学 准教授)

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