ここが知りたかった在宅ケアのお薬事情
薬剤師が答える111の疑問
編集 | : 鉄穴口麻里子/轡基治 |
---|---|
ISBN | : 978-4-524-26907-5 |
発行年月 | : 2013年9月 |
判型 | : A5 |
ページ数 | : 282 |
在庫
定価3,080円(本体2,800円 + 税)
- 商品説明
- 主要目次
- 序文
看護師や介護士から薬剤師に寄せられる“在宅ケアでの薬の疑問”を実践的にわかりやすく解説。医療従事者や患者(とその家族)から実際に寄せられた疑問を元に構成。ウラに隠れた問題点を把握し、患者に応じた最善策を講じる力が身につく。すぐに役立つ具体的メモを随所に挿入。薬剤師だけでなく、看護師、介護士も読んでおきたい一冊。
I章 在宅療法で遭遇する「3つの関門」
関門1 服薬アドヒアランス向上を目指す
●服薬方法の工夫
Q1.内服が難しくなってきたけど飲ませたい.どんな工夫がある?
Q2.経口摂取が低下してきているとき、内服薬はどうする?
Q3.骨粗鬆症治療薬(ビスホスホネート剤)の服用方法が特殊で、服用が難しいが?
Q4.クスリだけ嚥下困難により服用できないが?
●服薬時間の工夫
Q5.服薬はヘルパーさんの援助によるので、サービス時間でない食間のクスリが服用できないが?
Q6.糖尿病治療薬が指示通りの時間に服用できないが?
Q7.服用時間に介護者が不在の場合はどうする?
Q8.症状コントロールのために処方されたクスリの服用時間を変更したいが?
●複数科受診・多剤併用時の問題の改善
Q9.クスリが多いので減らしてほしいといわれたが?
Q10.複数科受診にて処方薬が多く、自分で服用を調整しているが?
●思いを聞いて改善につなげる
Q11.自分で服薬を調整していて症状が安定しないが?
Q12.服薬の意義をわかってもらえなくて困っているが?
Q13.副作用が気になって服用してもらえないが?
関門2 処方を見直す
●不眠症
Q14.睡眠薬の効果が十分ではない.クスリも変えてみたがうまく調整できない
Q15.睡眠薬を服薬しないと眠れないが、トイレに起きると転倒してしまう
Q16.昼間も傾眠傾向だが静観していてもよいか?
Q17.口喝、排尿、もともとの生活スタイルなどの影響で頻回に目が覚める
Q18.夜間不穏(せん妄)に対する処方調整・対処法は?
●うつ、不安、その他の精神症状
Q19.抗不安薬で翌日に持ち越し効果があるが?
Q20.不眠、せん妄で向精神薬が出ているが、コントロール不十分.どうしたらよいか?
Q21.落ち着きのなさ、振戦などは抗精神病薬の副作用か?
Q22.興奮時の対応に苦慮する
Q23.過呼吸に対する薬剤選択は?
Q24.抗精神病薬に拒否反応がある場合は?
Q25.抗不安薬が追加されたが、多剤併用では?
●認知症
Q26.認知症の薬物療法について教えてほしい
Q27.認知症の周辺症状(BPSD)へのクスリによる対処を教えてほしい
Q28.貼付剤を貼り忘れないようにするには?貼り忘れたら?
Q29.1日分のクスリをまとめて服用してはいけない?
Q30.クスリによる認知機能低下はある?
●パーキンソン病、神経疾患
Q31.パーキンソン病治療のため、多種類の薬剤を頻回内服している.調整はできる?
Q32.パーキンソン病治療薬の効果が不十分だが?
Q33.ふらつき、ジスキネジアはパーキンソン病治療薬の副作用?
Q34.緑内障のパーキンソン病患者には抗コリン薬は使えないか?
Q35.ネオーラルによる高血圧への対応はどうすればよい?
Q36.重症筋無力症には抗うつ薬は使えないか?
●がん化学療法
Q37.抗がん薬治療後の四肢のしびれや痛みはどうしたらよい?
Q38.通院で乳がんの抗がん薬治療を3週毎に受けているが、副作用がきつい
Q39.胃がんの術後がん化学療法でのしゃっくり(吃逆)に対する支持療法は?
Q40.化学療法・放射線療法後で味覚が感じられない.対処法はある?
Q41.抗がん薬による皮膚症状(ざ瘡様皮疹、皮膚乾燥、爪周囲炎)のケアは?
●がん緩和ケア
Q42.痛みのアセスメントはどのように行うか?痛みの包括的評価とは何か?
Q43.鎮痛薬の処方の組み立て[経口剤]、レスキュー・ドーズの設定は?
Q44.鎮痛薬の処方の組み立て[注射剤]、レスキュー・ドーズの設定は?
Q45.鎮痛薬の処方の組み立て[貼付剤]、レスキュー・ドーズの設定は?
Q46.麻薬に対して拒否反応がある場合は?[オピオイド鎮痛薬の誤解]
Q47.オキシコドン(オキシコンチン、オキノーム)内服の工夫
Q48.嘔気・嘔吐の対処は?
Q49.神経障害性疼痛にはどう対応する?
Q50.骨転移痛の改善と骨折予防として、放射線療法のほかにどのような検討を行うか?
Q51.せん妄になった患者をみているのがつらい
Q52.痛みと呼吸困難が併発したが、どう対応したらよいか?
Q53.オキシコンチンによる発疹・めまい・嘔気にはどう対応する?
Q54.フェンタニル貼付剤による眠気にはどう対応する?
Q55.がん疼痛コントロールで持続皮下注を行っているが、在宅移行は可能か?
Q56(1).疼痛コントロール、薬剤調整(1):痛みがあるのにクスリを飲みたくない?
Q56(2).疼痛コントロール、薬剤調整(2):麻薬に対する拒絶反応があるが?
Q57.腫瘍の自壊の処置は?
●循環器
Q58.降圧薬の処方はいろいろあるが、なぜ?
Q59.血圧が低めになってきているが、経過観察でよいか?
Q60.高血圧緊急症・切迫症の対処は?
Q61.頻脈はアーチストやニトロダームの副作用か?
Q62.徐脈はジゴキシンの副作用か?
Q63.徐脈傾向では何を疑わなければいけないか?
Q64.重複処方があるが大丈夫?
●呼吸器
Q65.COPD(慢性閉塞性肺疾患)への吸入薬・内服薬の使い方は?
Q66.呼吸困難時はどうコントロールする?
Q67.在宅酸素療法とは?
●消化器
Q68.排便が頻回で困っているが?
Q69.下剤を使用した排便コントロールがうまくいかないが?
●糖尿病
Q70.食後血糖が上昇した場合、いきなりの内服開始は可能か?
Q71.下肢の浮腫はグリミクロン錠のせい?
Q72.経口糖尿病治療薬の多剤併用の目的・注意点は?
●薬剤の副作用
Q73.せん妄、幻覚はクスリの副作用?
Q74.口渇、口中の粘りや苦み、嘔気はクスリの副作用?
Q75.傾眠はクスリの副作用?
Q76.爪の色素沈着、皮下出血はクスリの副作用?
Q77.下痢はクスリの副作用?
Q78.めまい、低血圧はクスリの副作用?
Q79.尿の着色はクスリの副作用?
Q80.痒みはクスリの副作用?
Q81.デパケンなどによる落ち着きのなさには、どう対応する?
Q82.薬剤性パーキンソニズムとは?
Q83.点眼薬に副作用はあるの?
Q84.漢方薬の副作用は?
Q85.緑内障の禁忌薬は?
●薬剤の相互作用
Q86.漢方薬の併用は大丈夫?
Q87.鎮痛薬の併用は大丈夫?
Q88.ニューキノロン系抗菌薬と牛乳・胃薬は併用してもよい?その他にも併用に注意を要する医薬品は?
Q89.サプリメントを併用する場合の注意点は?
Q90.正反対の作用を持つクスリが処方されたが?
●その他
Q91.カリウム値が高いとのことでラシックスが処方された.高カリウムだとどうなる?
Q92.下肢の浮腫に対して利尿薬は適応か?
Q93.排尿障害治療薬にはどんなクスリがあるの?
Q94.アンヒバ坐剤、ボラザG坐剤、テレミンソフト坐剤を併用したいが?
Q95.インフルエンザのときにボルタレンは使えないと聞いたが、どうして?
Q96.週3回の透析治療を受けている.透析しない日の血圧が低いのはなぜ?
Q97.誤嚥して発熱すると痙攣が起きるが、在宅療養での対応は?
Q98.ヘルペス後の神経痛がひどいが、どうする?
Q99.認知症患者の頭痛の訴えに対して、どんな治療をしたらよい?
Q100.貧血で鉄剤を使用しているが、一時休薬の理由は?
関門3 適切に投与する
●経腸栄養
Q101.錠剤を粉砕したり、簡易懸濁法を利用してクスリを投与する場合の注意点は?
Q102.クスリが原因の閉塞、特に腸ろう閉塞にどう対応する?
Q103.経腸栄養時の微量元素は?
Q104.経腸栄養剤の配合変化は?
Q105.経腸栄養時の下痢を改善するには?
●高カロリー輸液
Q106.高カロリー輸液に、サンドスタチン、ロピオンの併用は大丈夫?
Q107.るいそう、皮膚の脆弱時、寝たきり時の栄養評価はどうする?
Q108.脂肪乳剤の投与方法は?
Q109.リンデロンの吸収に要する時間は?
II章 在宅療法を始める際の必読事項
Q110.薬剤師による居宅療養管理指導(介護保険)と在宅患者訪問薬剤管理指導(医療保険)について
Q111.他の職種とのコミュニケーションについて
索引
がん緩和ケアが在宅でも入院中と同じように、誰でもどこでも受けられるようにという方針が打ち出されてから久しい。しかし緩和ケアに限らず、医療依存度の高い疾病で在宅療養を願う患者さんとご家族、支援するスタッフにとっては、まだまだ乗り越えなければならないハードルがたくさんある。介護力不足、現行の医療保険・介護保険制度の限界、発展途上の地域支援体制、スムーズな連携で退院調整も効率化されるはずがスタッフはさらなる業務増大で忙殺され…。現場にいると、在宅ケア推進のための制度改正はどこかちぐはぐで、歩みはあまりに遅々としている。
そんな状況のなか、患者さんやご家族はどうにか在宅療養を継続させようと工夫を凝らし、それを支援する訪問看護師、ヘルパー、ケアマネジャーから薬物療法に関する困りごとの相談が寄せられる。入院していれば(24時間医療者がいるなら)何でもないことが、在宅では大問題になり生活存続の危機となり得る。広島県の安芸地区という限定された地域でのQ &Aであったが、今回、全国の薬剤師仲間の助けを得て、実際例から一般的な問題解決の方法を示す機会をいただいた。病院薬剤師にとっては物足りない内容かもしれないが、あくまで在宅現場で役に立つ情報、解決策を中心にしており、深く掘り下げてすべてに言及していない。
在宅でがんばる患者さんとご家族の一助となり、また在宅療養をバックアップする立場の方々に「家で過ごす」とはこういうことを考えての支援が必要なのだとご理解いただければ幸いに思う。
2013年8月
編者ら