糖尿病治療・療養指導ゴールデンハンドブック改訂第2版
編著 | : 清野弘明/朝倉俊成 |
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ISBN | : 978-4-524-26816-0 |
発行年月 | : 2013年2月 |
判型 | : 新書 |
ページ数 | : 284 |
在庫
定価3,300円(本体3,000円 + 税)
- 商品説明
- 主要目次
- 序文
- 書評
糖尿病治療・療養指導に関わるあらゆる事項を実践的にまとめた好評書の改訂版。知りたいことをすぐに調べられる使いやすさはそのままに、診断基準の改訂や新薬などの関連情報をアップデート。社会福祉諸制度のまとめなど類書にない役立つ情報も網羅。研修医・一般内科医だけでなく糖尿病の全スタッフ必携の一冊。
1章 糖尿病患者さんとの接し方
1.「糖尿病」と告げるとき
2.メディカルコミュニケーション技術
3.カウンセリング法を学ぶ
4.ライフスタイルを聴く
5.行動変化ステージモデル
6.合併症発症時の心理的ケア
7.エンパワーメントする
8.コーチングする
9.認知行動療法を学ぶ
2章 日常生活を指導する
A ライフスタイルに合わせた生活指導法
1.専業主婦の場合
2.規則的な時間で働く会社員の場合(デスクワーク中心)
3.不規則な時間で働く会社員の場合
4.肉体労働を中心にして働く場合
5.就学者の場合(小学校・中学校・高校)
B イベントに対応する
1.旅行の対処法
2.結婚・妊娠・出産
3.就職・職業について
C 自己管理法の指導
1.血糖自己測定(SMBG)とその活用
2.持続血糖モニター(CGM)とその活用
3.低血糖とその対処法
4.シックデイの対応
5.災害時の対応
3章 毎日の療養指導を実践する
A 食事療法を指導する
1.摂取エネルギーの決め方
2.食習慣を把握する(食事の傾向を聴く)
3.『食品交換表』の活用法
4.カーボカウントの活用法
5.献立作成のコツ
6.補食・間食の上手な摂り方
7.外食・アルコール
8.行事(結婚式、お正月など)における食事の指導
B 運動療法を指導する
1.運動の意義
2.具体的な運動処方
3.運動療法継続のコツ
4.スポーツの楽しみ方
5.運動をしてはいけない場合
C 薬物療法を指導する(インスリン療法)
1.インスリン療法の基礎知識
2.インスリンの種類と作用の違い(副作用も含む)
3.インスリン注射のコツ
4.視力障害、四肢機能低下のある患者さんへの指導法
5.インスリン拒否者への対応
6.インスリンと内服薬併用のメリット
7.BOT の活用
8.basal plus の活用
9.強化インスリン療法の導入とコツ
10.CSII を理解する
D 薬物療法を指導する(内服薬療法)
1.内服薬の基礎知識
2.内服薬の種類と作用、服薬指導
3.服薬をよく忘れる患者さんへの指導のコツ
4.合併症治療薬の服用法とその注意点
5.民間薬を多用している患者さんへの指導のコツ
E 薬物療法を指導する(インクレチン関連薬)
1.インクレチン療法の基礎知識(作用機序)
2.DPPー4阻害薬の使い方
3.GLP―1受容体作動薬の使い方
F 膵臓・膵島移植を理解する
1.膵臓・膵島移植を理解する
4章 ライフステージ別の糖尿病療養指導
1.小児の糖尿病
2.若年者の糖尿病
3.妊婦の糖尿病
4.高齢者の糖尿病
5章 糖尿病に関する検査値の読み方
1.血糖値
2.グリコヘモグロビン(HbA1c)
3.75 g経口ブドウ糖負荷試験(75 g OGTT)
4.グリコアルブミン、フルクトサミン、1,5―アンヒドログルシトール
5.尿検査
6.グルカゴン負荷試験
7.腎機能検査(BUN、Cr、Ccr)
8.その他の検査
6章 合併症をわかりやすく説明する
1.糖尿病昏睡とその対処法
2.糖尿病網膜症と定期検査の勧め
3.糖尿病腎症・透析とその治療
4.糖尿病神経障害とその治療
5.糖尿病足病変とフットケア
6.糖尿病と高血圧
7.糖尿病と脂質異常症
8.糖尿病とメタボリックシンドローム
9.糖尿病と動脈硬化
10.糖尿病と感染症、皮膚病変、歯周病
11.糖尿病と認知症
12.糖尿病と発がん
7章 社会的なフォローをする
1.患者さんの会
2.サマーキャンプの勧め
3.糖尿病と社会福祉
4.医療費問題と社会福祉
5.生活費問題とその援助
6.介護保険の活用
7.支援費制度
8.日本糖尿病療養指導士と地域糖尿病療養指導士
8章 糖尿病のデータ集
1.血糖コントロールの目標
2.糖尿病の病型分類
3.糖尿病の成因に基づく病型の特徴
4.糖尿病の病期分類
5.糖尿病の診断基準
6.インスリン製剤一覧
7.インスリン注入器・注射針一覧
8.GLPー1 受容体作動薬一覧
9.血糖自己測定器一覧
10.経口血糖降下薬一覧
11.糖尿病合併症治療薬一覧
12.その他の基準値
索引
2006年に“日常の診療現場でポケットから出して使える本を”、“患者さんにデータを示しながら療養支援ができる本を”という願いから、この『糖尿病治療・療養指導ゴールデンハンドブック』が出来上がりました。幸いにして多くの読者に好評いただきました。
それから7年の歳月が流れ、糖尿病の治療法にも大きな変革がありました。まずはインクレチン関連薬の登場です。DPP-4阻害薬は、単独では低血糖を起こさず、患者さんの自覚する副作用も少なく、さらにはβ細胞保護の可能性を秘めた薬剤として広く使用されるようになりました。また、新たなインスリン製剤や多くの合剤も発売され、糖尿病の薬物療法はバリエーションが豊かになりました。さらに持続血糖モニター(CGM)も保険診療で使用可能となり、患者さんの血糖値を持続的にモニターし、きめ細かく持続モニター値を治療に反映させることが可能となりました。糖尿病の診断基準も改訂され、HbA1cの国際標準化も行われ、診断面も大きく様変わりしました。
しかし、変わらないことは、いかに患者さんに主体的に糖尿病治療に取り組んでいただけるかという糖尿病診療にとっての永遠のテーマです。このため、コーチング理論、認知行動療法も糖尿病療養支援のひとつの手段として新たに取り上げました。
本書ではポイントを絞って読んでいただくため、箇条書きで記述し、箇条書きの頭のマークを以下の2つに分類していることも特長のひとつです。
□:基礎的な内容 ■:実践的な内容
ですので、多忙な日常の診療現場では■の部分だけを読んでいただくだけでも十分に役立つものと思います。本書が、日常の糖尿病療養支援に少しでもお役に立てれば、われわれの師匠である故 阿部隆三先生にも喜んでいただけるのではと考えています。
2013年1月
清野弘明
朝倉俊成
糖尿病治療の最終目標は、患者さんのQOLを向上させ健康寿命を延長させることにある。この目標を達成するためには血糖、血圧、脂質、体重をしっかり管理して、糖尿病合併症の発症を予防し、進展を防止することが大切である。
この糖尿病治療が簡単そうでむずかしいのはどなたも経験している。糖尿病には多様な医学的、病態生理学的要素のみならず、多くの社会的、心理的要因が関与しているからである。糖尿病を適切に治療するためには患者さんと医療チームの協力による総合的な治療と療養指導が必須である。このとき、いつでも、どこでも、どんなことにでも参考にできるのが本書である。まさにゴールデンハンドブックにふさわしい。
本書は日常診療の現場で使えるように、持ちやすく、開きやすく、見やすく、読者の立場に立って作られている。内容を見て驚く。不安を抱いて初めて受診された患者さんへの接し方、日常生活や薬物療法の療養指導、ライフステージ別の療養指導、検査値の読み方、合併症の説明の仕方、社会的な側面、糖尿病のデータ集など、ありとあらゆることがこの小冊子の中に読みやすく配置されている。
この改訂版では初版から7年間の医学・医療の進歩が追加された。日進月歩の薬物、インクレチン関連薬やインスリンなどの最新情報、持続血糖モニター、HbA1cの国際標準値などが追加されている。さらに患者さんの心理に踏み込んだコーチング理論や認知行動療法の追加など、いたれりつくせりである。また、基礎的な内容と実践的な内容を区別してマークしてあり、多忙な医療者の使い勝手にも配慮してある。
糖尿病の治療や療養指導に必要な広い分野のすべての項目が網羅され、これだけわかりやすくまとめられている理由が巻末を見て理解できる。初版の執筆者のほとんどは、日本有数の糖尿病センターである太田西ノ内病院糖尿病センターのスタッフである。編著者の清野弘明・朝倉俊成先生のご指導のもとに、多くの臨床経験に基づいて、糖尿病臨床のすべてに関するゴールデンハンドブックが作られた。
ハンディな本書は糖尿病外来や病棟のテーブルの片隅に、いつでも手の届くところにあると、医師にもスタッフにも非常に頼りになる存在である。ぜひお勧めしたい。
臨床雑誌内科112巻3号(2013年9月号)より転載
評者●NTT東日本東北病院院長 佐藤譲