IgG4関連腎臓病のすべて
編集 | : 斉藤喬雄/西慎一 |
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ISBN | : 978-4-524-26738-5 |
発行年月 | : 2014年2月 |
判型 | : B5 |
ページ数 | : 198 |
在庫
定価6,050円(本体5,500円 + 税)
- 商品説明
- 主要目次
- 序文
日本腎臓学会ワーキンググループのメンバーが中心となり、“IgG4関連腎臓病の最新情報”を実践的に解説した一冊。病態、診断・検査、治療・予後など、診療現場で必要な知識を、数多くの症例写真や検査画像とともに解説。さらに他臓器病変との関係性などについても一般内科医にもわかりやすいように丁寧に解説している。腎臓専門医はもちろん、一般内科医も読んでおきたい。
I.IgG4関連腎臓病とは何か
■1.IgG4関連疾患と腎臓病の研究の流れ
1)1型自己免疫性膵炎の立場から
2)Mikulicz病の立場から
3)IgG4関連腎臓病の立場から
4)国際的な研究の流れと日本の立場
■2.IgG4関連腎臓病診療指針
■3.IgG4関連疾患包括診断基準と腎臓病
II.IgG4関連腎臓病の診断と治療
■1.臨床病態
■2.病因と発症機序
■3.画像所見
■4.血液検査所見(免疫所見を含む)
■5.尿所見・腎機能
■6.病理組織
1)尿細管間質所見
2)糸球体所見
3)腎盂・尿管病変
4)免疫組織学的所見
5)電子顕微鏡所見
■7.治療と予後
III.IgG4関連腎臓病に関連する他臓器病変
■Overview−IgG4関連腎臓病と他臓器病変
■1.頭頸部病変(眼窩、唾液腺、下垂体、中枢神経、甲状腺)
■2.胸部病変(肺、胸膜、胸部大動脈、冠動脈、乳腺)
■3.腹部病変(1)(肝胆膵)
■4.腹部病変(2)(後腹膜、腹部大動脈、前立腺)
■5.リンパ節病変と悪性リンパ腫
IV.IgG4関連腎臓病と鑑別すべき疾患
■1.全身性エリテマトーデス(尿細管間質病変を中心に)
■2.Sjogren症候群
■3.Castleman病とidiopathic plasmacytic lymphadenopathy with polyclonal hyperimmunoglobulinemia(IPL)
■4.血管炎症候群(ANCA関連血管炎)
■5.サルコイドーシス
V.症例に学ぶIgG4関連腎臓病
■Overview−IgG4関連腎臓病の症例
■1.典型的な症例
■2.好酸球性多発血管炎性肉芽腫症(EGPA)[Churg-Strauss症候群]との鑑別例
■3.尿細管間質性腎炎を伴うループス腎炎V型とIgG4関連腎臓病の双方が考えられた症例
■4.後腹膜線維症による腎後性腎不全を合併したIgG4関連腎臓病の一例
■5.腎癌切除後にIgG4関連腎臓病と診断された症例
索引
免疫グロブリンの主体的存在であるIgGのサブクラスが解析されるようになり、そのひとつであるIgG4の血中における増加と、IgG4陽性形質細胞の組織への浸潤を特徴とする、IgG4関連疾患(IgG-RD)が注目されるようになった。この疾患は、古くはMikulicz 病と呼ばれ、涙腺や唾液腺の腫脹が主体の疾患として知られていたが、わが国における様々な研究により、自己免疫性膵炎をはじめ各臓器に特異的な病変をもたらす全身性疾患として、新しい概念が確立されるに至った。
このなかで、腎臓でもIgG4-RDの病変と思われる異常が数多く報告されるようになり、腎臓病専門医だけではなく多くの医療関係者の関心を集めてきた。病変は特異的な尿細管間質性腎炎が主体であるが、膜性腎症などの糸球体障害や、腎盂・尿管の肥厚および腫瘤など、いわゆる泌尿器科的病変を併発する例もあり、きわめて多彩である。このため、その病態を明らかにして診療に役立てることを目的に、2009年「IgG4関連腎臓病ワーキンググループ」が日本腎臓学会に作られ、2011年にはその活動の一端として、世界に先駆けて「IgG4関連腎臓病診療指針」が英文と和文で発表された。この指針は、厚生労働省の難治性疾患克服研究事業における2つのIgG4関連疾患研究班が作成した「IgG4関連疾患包括診断基準」と連携しており、画期的な内容となっている。
全身性エリテマトーデスにおけるループス腎炎や顕微鏡的多発血管炎における急速進行性糸球体腎炎のように、全身的な免疫疾患のなかで腎病変がひとつの疾患単位となり、重要な役割を担っていることが少なくないが、IgG4関連腎臓病(IgG4-RKD)も、IgG4-RDにおいてそのような位置を占めるといって過言でない。本書は、IgG4関連腎臓病ワーキンググループのメンバーが現時点でのこの疾患の全容を示すために、鋭意執筆を行い作成に当たったが、IgG4-RDにおける様々な病変との関連性についても学べるように、腎疾患以外のそれぞれの分野の専門家にも執筆いただいた。また、具体的な症例の実際を知ることもこの疾患を理解するうえで大切であり、興味深い症例をご経験の施設から解説をお願いした。
もとより、本疾患の研究は道半ばであり、不明な点が少なくない。したがって、本書は今後多くの点で改訂を要するものと思われるが、現段階における最良のIgG4-RKDの解説書として、多くの方の診療や研究に役立てられることを念願する。
2014年1月
斉藤喬雄
西慎一