ここが知りたかったOTC医薬品の選び方と勧め方
編集 | : 坂口眞弓 |
---|---|
ISBN | : 978-4-524-26735-4 |
発行年月 | : 2013年10月 |
判型 | : A5 |
ページ数 | : 318 |
在庫
定価3,520円(本体3,200円 + 税)
- 商品説明
- 主要目次
- 序文
さまざまな症状を訴えて来局する相談者にぴったりのOTC医薬品を選ぶために、新米薬剤師が奮闘するシナリオ形式。ベテラン薬剤師のアドバイスつきで、相談者の症状の聴き取りからOTC医薬品の選択、情報提供のコツなどがよくわかる。薬局で遭遇する代表的な12症状(熱と痛み、風邪、咳、くしゃみ・鼻水、胃の不快感、下痢、便秘、痔、皮膚のかゆみ、水虫、筋肉の痛み、目の違和感)を掲載。明日からすぐに実践できる内容で、実務実習前の薬学生や、実務実習生を受け入れる薬局薬剤師にも有用な一冊。
I部 情報収集のいろは
1.一般用医薬品とは?
2.医薬品のE・S・Q・Uとは?
3.OTC医薬品の具体的な情報収集
4.状況の評価
A.OTC医薬品を選択する場合
B.受診勧奨が必要な場合
II部 こんなお客さんが来局したら、どんなOTC医薬品を勧めますか?
1 熱と痛み
シナリオ1.1 生理痛に悩むお客さんの巻
シナリオ1.2 ロキソニンSを買いにきたお客さんの巻
シナリオ1.3 「ピリン系で皮膚にブツブツができたからピリンはいや」というお客さんの巻
2 風邪症状
シナリオ2.1 漢方薬を希望するお客さんの巻
シナリオ2.2 トラネキサム酸を服用してはいけないお客さんの巻
シナリオ2.3 イソプロピルアンチピリンを服用してはいけないお客さんの巻
シナリオ2.4 「家族で風邪をひいてしまって.この薬、息子も一緒に使えるかしら」というお客さんの巻
シナリオ2.5 プソイドエフェドリンを服用してはいけないお客さんの巻
3 咳
シナリオ3.1 咳と痰の絡み(あるいは喉の痛み)を訴える高齢者で漢方好きのお客さんの巻
シナリオ3.2 呼吸のたびに「ゼーゼー、ヒューヒュー」と音を立てて苦しそうなお客さんの巻
シナリオ3.3 「いま飲んでる咳止めと一緒に使える薬がほしい」というお客さんの巻
4 くしゃみ、鼻水
シナリオ4.1 「鼻水は止めたいが、眠くなる成分は困る」というお客さんの巻
シナリオ4.2 「パブロン点鼻Sが最近効かない気がする」というお客さんの巻
シナリオ4.3 「病院でもらう薬と同じものが買えるって聞いたんだけど」というお客さんの巻
5 胃の不快
シナリオ5.1 第一三共胃腸薬ファンのお客さんの巻
シナリオ5.2 太田胃散ファンのお客さんの巻
シナリオ5.3 さしこみに悩むお客さんの巻
シナリオ5.4 ハルシオンを飲んでいるお客さんの巻
6 下痢
シナリオ6.1 出勤途中にお腹を下すことの多いお客さんの巻
シナリオ6.2 何度もピタリットを買いにくるお客さんの巻
シナリオ6.3 ワーファリン服用中のお客さんの巻
7 便秘
シナリオ7.1 便秘に悩む高齢のお客さんの巻
シナリオ7.2 乳児・小児の便秘に悩むお母さんの巻
シナリオ7.3 常習便秘を訴えるお客さんの巻
8 痔
シナリオ8.1 症状を話してくれないお客さんの巻
シナリオ8.2 ステロイド服用中のお客さんの巻
シナリオ8.3 「便秘でいきんで切れ痔になってしまった」というお客さんの巻
9 皮膚のかゆみ
シナリオ9.1 全身にかゆみがあり、.きむしってしまったお客さんの巻
シナリオ9.2 湿疹によるかゆみを訴える高齢のお客さんの巻
シナリオ9.3 頭皮の湿疹を訴えるお客さんの巻
10 水虫
シナリオ10.1 「足の指の間がジュクジュクしてとてもかゆい」というお客さんの巻
シナリオ10.2 「水虫が治らず、かかとの皮が硬く、皮が落ちる」というお客さんの巻
シナリオ10.3 「足の爪が変形して、爪の色も濁ってきたような気がする」というお客さんの巻
シナリオ10.4 「最近、足の薬指と小指の間が赤くなってかゆい」というお客さんの巻
11 筋肉の痛み
シナリオ11.1 「以前、痛み止めを飲んで、喘息になったことがある」というお客さんの巻
シナリオ11.2 貼るボルタレンを買いにきたお客さんの巻
シナリオ11.3 「腰痛に温シップを探しているんだけど」というお客さんの巻
12 目の症状
シナリオ12.1 清涼感のある点眼薬を希望するお客さんの巻
シナリオ12.2 アレルギーによる目の充血・かゆみに悩むお客さんの巻
シナリオ12.3 目の充血に悩むお客さんの巻
III部 代表的なOTC医薬品のリスト
1.解熱鎮痛薬
2.総合感冒薬
3.鎮咳去痰薬
4.鼻炎薬
5.胃腸薬
6.止瀉薬
7.便秘治療薬
8.痔疾患治療薬
9.皮膚外用薬
10.水虫治療薬
11.外用消炎鎮痛薬
12.点眼薬
薬剤・成分索引
解説索引
私は、祖父、父と受け継いだ薬局の三代目です。小さいときは、お店が遊び場でした。下町にある小さな薬局で、薬を買いにこられる方ばかりではなく、健康相談や世間話をしに顔を出される方もたくさんいらっしゃいました。街の「よろず相談所」のようなお店でした。
昔は、うちのような薬局が街のあちこちにありましたが、医薬分業の進展に伴い、多くの薬局は、保険調剤を主体としたスタイルになり、処方箋をもっていないと、中に入れないような形態の薬局にかわってきました。そして、そこで勤務をしている薬剤師自身も、保険調剤に目がいき、OTC医薬品の販売には関心が薄い傾向になってきたと思います。
しかし、OTC医薬品は、少子高齢社会に伴う医療費抑制政策や健康増進政策という位置づけから、また、セルフメディケーションの中枢をなすという位置づけからも重要な存在であると思います。OTC医薬品には、医療用からスイッチしてきた成分をはじめ種々の主成分、主成分の効力を補ったり副作用を防止するための補助成分、伝統的に使用されている漢方・生薬成分などが配合されていますので、それぞれの成分について正確な知識が必要です。
薬局には、さまざまな自覚症状を訴えて相談者が来局されます。そして、相談者から情報を収集し、背景となる疾患を推測して、適切な対処方法を選択して実施します。その対処方法には、専門医・かかりつけ医への受診勧奨、生活改善の指導、OTC医薬品の推奨があげられます。相談者に最適なOTC医薬品を選択した場合は、ひとりひとりの生活状態にあわせた情報提供をし、販売後も相談者の状況をフォローし、副作用発現の注意や、OTC医薬品で改善しない場合の専門医療機関への紹介なども考えることが必要です。
これからの薬局は、適正な保険調剤を提供すると同時に、健康トラブルをかかえた方のファーストアクセスの場、プライマリケアの拠点として、地域住民のセルフメディケーションを推進し、OTC医薬品を安心・安全に使用してもらうように力を発揮する場となることが求められています。
本書は、薬剤師、登録販売者に、相談者にあった適正なOTC医薬品を選択でき、適切な情報提供ができるように、症状別の構成としました。新米薬剤師とベテラン薬剤師の会話から、相談者の状況を判断してOTC医薬品を選択する面白さを学んでいただきたいと思います。
2013年8月
坂口眞弓