書籍

チャートでわかる!がん外来化学療法のリアル

チームで解決する18の副作用

編集 : 聖マリアンナ医科大学病院腫瘍センター
ISBN : 978-4-524-26699-9
発行年月 : 2014年7月
判型 : B5
ページ数 : 148

在庫品切れ・重版未定

定価3,190円(本体2,900円 + 税)


  • 商品説明
  • 主要目次
  • 序文

がん外来化学療法で遭遇することの多い18の副作用トラブルについて、薬剤の投与過程や副作用の発現時期、セルフケアのポイントまでを、医師・薬剤師・看護師が詳しく解説。症例の経過がわかるオリジナルのチャートで各スタッフがどのように対処しているのかもよくわかる。入職間もない医療スタッフにもお勧め。明日から使える実践的な知識が身につく一冊。

I がん外来化学療法のチーム医療とは
 1 チーム医療の重要性
  A.腫瘍センターの体制
  B.外来化学療法における安全性と効率化の両立−チーム医療の重要性
   1.外来化学療法における安全性の向上
   2.外来化学療法における効率化の試み
 2 がん外来化学療法の流れ
  A.外来化学療法導入時の流れ
   1.初回診察時
    (1)医師からのインフォームドコンセント
    (2)薬剤師からの治療のスケジュール・副作用の説明
    (3)看護師からのセルフケアの情報提供
   2.初回外来化学療法施行時
  B.外来化学療法施行継続時の流れ
  C.経口抗がん剤治療時の流れ
 3 チーム医療に欠かせない備品
  A.説明パンフレット
  B.支持療法薬セット
  C.緊急時対応フローチャート
  D.副作用症状マークシート
II 症例で学ぶがん外来化学療法
 1 消化器がん
  XELOX+BV
   A.レジメと副作用情報
   B.投与前の注意点−医療者間で共有する内容
   C.導入時の指導ポイント−患者に伝える内容
   D.症例 56歳、女性(160cm、55kg)、画家、大腸がんstageV
  FOLFIRI+Cmab
   A.レジメと副作用情報
   B.投与前の注意点−医療者間で共有する内容
   C.導入時の指導ポイント−患者に伝える内容
   D.症例 74歳、男性(170cm、67kg)、無職、妻(72歳)と2人暮らし、大腸がんstageIV
  S-1+CDDP
   A.レジメと副作用情報
   B.投与前の注意点−医療者間で共有する内容
   C.導入時の指導ポイント−患者に伝える内容
   D.症例 54歳、男性(166cm、54kg)、胃がんstageIV、仕事が忙しく入院したくない希望が強い
  SORAFENIB
   A.レジメと副作用情報
   B.投与前の注意点−医療者間で共有する内容
   C.導入時の指導ポイント−患者に伝える内容
   D.症例 72歳、男性、肝細胞がんstageIVA、Child-Pugh分類A
 2 乳がん
  FEC
   A.レジメと副作用情報
   B.投与前の注意点−医療者間で共有する内容
   C.導入時の指導ポイント−患者に伝える内容
   D.症例 50歳、女性(150cm、50kg)、主婦、健診で指摘、乳がん術前化学療法
  DTX+HCN
   A.レジメと副作用情報
   B.投与前の注意点−医療者間で共有する内容
   C.導入時の指導ポイント−患者に伝える内容
   D.症例 34歳、女性(155cm、50kg)、接客業、乳房腫瘤を自覚、乳がん術前化学療法
  LAPATINIB+CAPECITABIN
   A.レジメと副作用情報
   B.投与前の注意点−医療者間で共有する内容
   C.導入時の指導ポイント−患者に伝える内容
   D.症例 38歳、女性(155cm、48kg)、主婦、3歳男児あり、パートのレジ打ち、乳がんstageIV
 3 肺がん
  CARBOPLATIN+PTX
   A.レジメと副作用情報
   B.投与前の注意点−医療者間で共有する内容
   C.導入時の指導ポイント−患者に伝える内容
   D.症例 66歳、男性(160cm、55kg)、非小細胞肺がんstageIV、EGFR変異なし、ALK転座なし
 4 血液がん
  R-CHOP
   A.レジメと副作用情報
   B.投与前の注意点−医療者間で共有する内容
   C.導入時の指導ポイント−患者に伝える内容
   D.症例 59歳、男性(168cm、60kg)、会社員、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫stageII
III がん専門施設以外での悩みに答えます
 Q1.新人や新しく異動してきた人の教育をどのように行ったらよいでしょうか?(薬剤師・看護師からのQuestion)
  A1-1.薬剤師からのAnswer
  A1-2.看護師からのAnswer
 Q2.外来化学療法室を立ち上げるときに整備しておいたほうがよいことを教えてください(看護師からのQuestion)
  A2.看護師からのAnswer
 Q3.前投薬などの支持療法をどのように統一したらよいでしょうか?(薬剤師からのQuestion)
  A3.薬剤師からのAnswer
 Q4.薬剤師の人数が足りません.どのような工夫をしていますか?(薬剤師からのQuestion)
  A4.薬剤師からのAnswer
 Q5.当病院/クリニックには、患者・家族の心理社会的問題への相談支援部門がありません
  A5.医療ソーシャルワーカーからのAnswer
 Q6.がん相談支援センターはどのようにできたのですか?
  A6.医療ソーシャルワーカーからのAnswer
 Q7.どのように薬剤師、看護師とコミュニケーションをとればよいかわかりません(医師からのQuestion)
  A7.医師からのAnswer
IV 新たな取り組み
 A.薬物治療共同管理(CDTM)とは
 B.抗EGFR抗体による皮膚障害対策チームの結成
 C.CDTMを取り入れたプロトコールの作成
 D.CDTMの流れ
 E.CDTMを継続するために
付録 Common Terminology Criteria for Adverse Events(CTCAE)version 4.0
索引

近年のがん薬物療法の進歩はめざましく、次々と新しいエビデンスが生み出されています。その進歩に伴い、がん患者さんがより長生きできるようになり、生活の質(quality of life:QOL)を維持しながら日常生活の中でがんに対する治療を行うという考え方が尊重されるようになりました。その結果、外来化学療法の普及が進んできたのです。
 しかし、有効性を落とさずに安全性を保ちながら外来化学療法を行うことは、患者さんにとっても医療従事者にとっても簡単なことではありません。支持療法を駆使しながら副作用をしっかりマネジメントすることはもちろん、精神的・社会的側面のサポートも必要不可欠です。そしてこのような多面的サポートは、「多職種によるチーム医療」なしでは実現不可能です。各チームメンバーが専門的知識を兼ね備えていることは重要ではありますが、教科書やガイドラインには載っていない、患者さんが直面する様々な場面に、総合的に対応していくチームとしての能力も必要とされます。しかし「良いチーム」に何か特別の体制が必要なわけではありません。全員が、がんに関する専門資格をもっていなければならないというわけでもありません。ただ一つ大切なことは、いつでも、どんな問題点についてでも、メンバー内でそれを共有し自由な雰囲気でディスカッションできる時間と場をもつ努力をすることだと我々は考えています。
 本書は、総合的チーム能力の向上を意図し、看護師、薬剤師、ソーシャルワーカー、医師など外来化学療法に携わるすべての医療従事者を対象に、外来化学療法に関わる日々の診療で悩んだときの少しでも参考になれば、という思いで作成しました。我々聖マリアンナ医科大学病院腫瘍センターのチームメンバーの日々の悩みや苦労は絶えませんが、コミュニケーションをとることについては絶対に横着しない、というポリシーで日々診療を行っています。本書では、そのような日々のコミュニケーションの中で、どのようなレジメを受けている、どのような患者さんの、どのような問題点(副作用など)に、誰が、誰と相談し、いつ、どこで、どのように対応したかを、具体的にかつ実例に近い形で示し、その対応の内容について各職種が解説を加えました。さらに、一人の患者さんが、我々チームメンバーのどのようなサポートを受け、どのような経過で問題点を乗り越えて治療を継続できたかが一目でわかるように、患者さんごとの独自チャートという形で治療経過を示してみました。読者のみなさんには、ぜひこのチャートの中の登場人物の一人になったつもりで読んでいただき、明日からの日常臨床の様々な場面で参考にしていただけましたら大変嬉しく思います。そして、我々医療従事者の弛まぬ努力が、外来化学療法を受ける患者さんのベネフィットにつながることを切に願います。

2014年6月
編者を代表して
聖マリアンナ医科大学病院腫瘍内科 副部長 中島貴子

9784524266999