新 ME早わかりQ&A
2.人工心肺・補助循環装置
編集 | : 「新 ME早わかりQ&A」編集委員会 |
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編集担当 | : 見目恭一 |
ISBN | : 978-4-524-26692-0 |
発行年月 | : 2017年6月 |
判型 | : B5 |
ページ数 | : 314 |
在庫
定価4,620円(本体4,200円 + 税)
正誤表
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2018年12月03日
第1刷
- 商品説明
- 主要目次
- 序文
臨床工学技士を目指す学生や若手臨床工学技士が、実習や現場に出て直面するであろう疑問にQ&A方式で答えたサブテキスト。特定の製品に依存しない、普遍的な機器の取扱いに焦点を当て、図表を多用して解説。年々高度な進歩を重ねる人工心肺・補助循環装置について、原理・構成から操作・トラブル対処法・保守管理の実際までを143のQ&Aにまとめた。
I.人工心肺
1.人工心肺とは
Q1.人工心肺の構成と特徴を教えてください
Q2.2ポンプ生体循環・1ポンプ人工心肺の特徴を教えてください
2.血液ポンプ
1)ローラポンプ
Q3.ローラポンプの構造・特徴・吐出流量規定因子について教えてください
Q4.JIS法・陽圧法・陰圧法での圧閉度調整の意義と調整法を教えてください
Q5.ポンプチューブのスポレーションとは何ですか
2)遠心ポンプ
Q6.遠心ポンプの構造と血液吐出のメカニズムについて教えてください
Q7.ポンプヘッドへの回転力伝達の仕組みを教えてください
Q8.遠心ポンプの種類と特徴について教えてください
Q9.遠心ポンプ拍出量の規定因子と血液流量計が必要な理由について教えてください
Q10.逆流防止用遮断鉗子はなぜ出口側に掛けるのでしょうか
Q11.出口側に鉗子を掛けた状態での空運転はなぜ不可なのでしょうか
Q12.微小・大量気泡混入時の気泡動態について教えてください
Q13.遠心ポンプはなぜ小児人工心肺には用いないのでしょうか
3.人工肺
Q14.気泡型人工肺の構造とガス交換原理を教えてください
Q15.気泡型人工肺での残留酸素ガスの排除法について教えてください
Q16.膜型人工肺の膜の種類と特徴について教えてください
Q17.均質膜・多孔質膜型人工肺ガス交換の原理を教えてください
Q18.多孔質膜細孔作製方法を教えてください.また,血液漏出が生じないのはなぜですか
Q19.多孔質膜での結露・血漿リーク現象とは何ですか
Q20.中空糸外部灌流型人工肺に集約されたのはなぜですか
4.貯血槽,動脈フィルタ,熱交換器,限外濾過器
Q21.静脈貯血槽・心血貯血槽の構造と役割について教えてください
Q22.静脈貯血槽のリアクションタイムとは何ですか
Q23.動脈ラインフィルタの構造と役割を教えてください
Q24.動脈ラインフィルタの炭酸ガス置換とは何ですか
Q25.動脈ラインフィルタ付き人工肺の一体型構造と特徴について教えてください
Q26.熱交換器の構造と役割について教えてください
Q27.冷温水供給装置の役割と使用法について教えてください
Q28.血液濃縮器の役割と使用法について教えてください
Q29.小児症例での充.液洗浄DUF,MUFなどの濃縮器活用方法について教えてください
Q30.自己血回収装置の構造と使用法について教えてください
Q31.酸素空気混合器・流量計の構造と使用法について教えてください
Q32.心臓血管外科手術での除細動器・体外式ペースメーカの利用法について教えてください
5.人工心肺回路と生体との接続法
Q33.人工心肺で必要なカニューレにはどのようなものがありますか
Q34.脱血カニューレの種類と特徴について教えてください
Q35.小児で灌流量に適した人工肺・回路・カニューレが求められる理由は何ですか
Q36.送血・脱血カニューレの挿入部位と生体との接続法について教えてください
Q37.1本脱血と2本脱血の使い分けはどのようにしていますか
Q38.末梢送血・脱血が選択される症例について教えてください
Q39.送血・脱血カニュレーション時の抗凝固療法について教えてください
Q40.落差脱血・陰圧吸引補助脱血・ポンプ脱血法について教えてください
Q41.人工心肺開始前になぜテスト吸引とベントが必要なのですか
Q42.ベントカニューレ挿入部位と挿入時の注意点は何ですか
Q43.血液損傷を減弱させるための適切な吸引とベント吸引法について教えてください
Q44.ベント用安全弁の構造と機能について教えてください
Q45.生体適合性処理法にはどのようなものがありますか
6.人工心肺とモニタリング
1)人工心肺側モニタリング
Q46.送血温・脱血温・体温監視について教えてください
Q47.人工肺の入口/出口圧,回路内圧監視の役割について教えてください
Q48.貯血槽レベルと回路内気泡監視の役割について教えてください
2)生体側モニタリング
Q49.心電図,動脈圧,中心静脈圧,左心房圧(肺動脈楔入圧)の監視の役割について教えてください
Q50.活性化凝固時間の測定原理と役割について教えてください
Q51.血液ガス,電解質,ヘマトクリット,尿量モニタの役割について教えてください
Q52.経食道心エコーの特徴と心臓血管手術でどのような活用方法があるのか教えてください
Q53.脳・神経系循環モニタ必要症例ではどのようなモニタがありますか
7.循環動態
Q54.至適灌流指数とは何ですか
Q55.低血圧灌流(50〜80mmHg)を求められるのはなぜですか
Q56.灌流量の変化により臓器循環にはどのような変化が生じますか
Q57.血液希釈・酸素消費量・低体温・血液粘稠度との関係について教えてください
Q58.低体温体外循環での使用温度区分について教えてください
Q59.体温と酸素解離曲線の関係について教えてください
Q60.低体温と酸塩基平衡について教えてください
Q61.αスタット法・pH スタット法の概要とその利用法について教えてください
Q62.超低体温病態生理と安全限界,循環停止適応症例について教えてください
8.体外循環の病態生理
Q63.血行動態・血液成分の変動について教えてください
Q64.凝固線溶系の変動について教えてください
Q65.酸塩基変動とは何ですか
Q66.電解質変動とは何ですか
Q67.内分泌変動について教えてください
Q68.免疫系の変動について教えてください
Q69.無輸血体外循環を目指す目的と意義について教えてください
9.心筋保護
Q70.単純低体温大動脈遮断法とはどのような施行法ですか
Q71.心筋保護法の必要性・目的・基本概念について教えてください
Q72.晶質性心筋保護液と血液併用心筋保護液の特徴を教えてください
Q73.心筋保護液注入ルート・注入圧・注入量・注入間隔について教えてください
Q74.各種注入心筋保護液温度の使い分けについて教えてください
Q75.各種心筋保護液注入回路について教えてください
Q76.大量投与の心筋保護液の処理法を教えてください
Q77.新生児・乳児の心筋保護法の特徴と注意点について教えてください
10.人工心肺操作の実際
Q78.予想ヘマトクリット値と希釈率算出方法について教えてください
Q79.人工心肺基本回路・組み立て・充.法について教えてください
Q80.一体式・分離式・プレコネクト式人工心肺回路の特徴を教えてください
Q81.人工心肺の基本充.薬剤について教えてください
Q82.試し送血はなぜ必要なのでしょうか
Q83.灌流開始時・完全体外循環時・大動脈遮断時の注意点は何ですか
Q84.大動脈遮断解除時・体外循環離脱時の注意点は何ですか
Q85.膜型人工肺でPO2,PCO2の調整はどうするのでしょうか
Q86.体外循環中に高血圧傾向となる理由と対処法について教えてください
Q87.体外循環中に低カリウム傾向となる病態・理由と対処法について教えてください
Q88.体外循環中の乏尿病態時の利尿法について教えてください
Q89.脱血が悪くなったときの対応策は何ですか
Q90.体外循環離脱後のプロタミン投与時期・投与量・投与法を教えてください
Q91.回路残血処理など体外循環終了後の業務について教えてください
Q92.体外循環操作記録項目を教えてください
Q93.体外循環運転経過自動記録装置の特徴と問題点は何ですか
Q94.国内人工心肺症例のデータベース構築の目的と役割を教えてください
Q95.連続流血液ポンプでの拍動流灌流はどのように行うのですか
11.特殊体外循環
Q96.乳幼児の特殊性と体外循環時の注意点について教えてください
Q97.上行・弓部・下行動脈瘤大動脈手術時の人工心肺について教えてください
Q98.OPCABの施行法・使用器具について教えてください
Q99.OPCABから補助循環・人工心肺へのバックアップ法を教えてください
Q100.低侵襲閉鎖式回路(mini.circuit)とは何ですか
12.人工心肺の安全管理
Q101.安全監視装置について教えてください
Q102.トラブル時の対処法を教えてください
Q103.安全監視装置類はどの時点で解除するのですか
Q104.送血圧がどれくらいになったら人工肺の交換が必要でしょうか
Q105.保守管理法を教えてください
II.補助循環
1.IABP
Q106.原理と定圧・定容量駆動方式を教えてください
Q107.補助効果のメカニズムを教えてください
Q108.バルーンの設置位置と収縮・拡張タイミングの調整法を教えてください
Q109.バルーン駆動時の血圧波形はどのように読みますか
Q110.駆動ガスにヘリウムガスを用いる理由と問題点は何ですか
Q111.IABP カテーテルの構造・材質・特徴を教えてください
Q112.バルーン容量の選択法について教えてください
Q113.心房細動・心室期外収縮など不整脈時の対応動作を教えてください
Q114.バルーン結露対策はどうしていますか
Q115.バルーンピンホール・ラプチャ惹起時の対応機構について教えてください
Q116.離脱基準・離脱法を教えてください
Q117.自動離脱システムの仕組みを教えてください
Q118.保守管理法を教えてください
2.PCPS
Q119.仕組みと送脱血アクセス法について教えてください
Q120.急速充.の仕組みを教えてください
Q121.患者管理とモニタリングについて教えてください
Q122.末梢側阻血時の対処法はどのようにしますか
Q123.稼働時の送血圧・脱血圧はどのくらいですか
Q124.強陰圧脱血,長期補助でも僅溶血なのはなぜですか
Q125.体外循環なのに活性化凝固時間180秒程度で維持可能なのはなぜでしょうか
Q126.大腿動脈送血血液と自己心拍血液との混合領域はどの辺りでしょうか
Q127.患者管理上適切な呼吸管理が必要なのはなぜでしょうか
Q128.回路側枝へのアクセス禁止理由は何ですか
Q129.多孔質膜肺の結露対策法について教えてください
Q130.遠心ポンプ・人工肺交換での交換徴候を教えてください
Q131.保守管理法を教えてください
3.V.Aバイパス,ECMO
Q132.術直後体外循環離脱困難時のV.A バイパス法について教えてください
Q133.ECMOについて教えてください
4.VAD
Q134.拍動型・連続流型補助人工心臓の仕組みと特徴を教えてください
Q135.体外設置型,植込み型ポンプの使い分けについて教えてください
Q136.補助人工心臓装着時の補助手段を教えてください
Q137.左心補助人工心臓装着患者の右心不全併発の際の対応法を教えてください
Q138.抗凝固療法について教えてください
Q139.自己心回復・心移植までの繋ぎ・最終治療などの適応法を教えてください
Q140.リハビリテーションの意義と実施法を教えてください
Q141.本人・介護者への自宅復帰教育プログラムの実際を教えてください
Q142.自宅復帰患者のフォローアップ法について教えてください
Q143.体外設置型VAD離脱時のOffテストとは何ですか
索引
編集の序
人工心肺装置はギボン(Gibbon,John H.)らにより開発され、1953年に18歳女性の心房中隔欠損症の閉鎖術に初めて用いられた。奇しくも日本国内でもほぼ同時期に人工心肺装置を用いた開心術が開始され、それから60年強が経過した現在も、心臓血管外科手術には必須の生命代行装置である。
約30数年前、にわかに臨床工学技士誕生の動きが生じた頃に「ME早わかりQ &A シリーズ 第5巻 ペースメーカ・除細動器・人工心肺・補助循環」が発刊され、時宜を得て臨床工学技士を目指す学生および資格取得後の臨床工学技士に活用されて今日に至った。
この間に人工心肺システムは以下の内容で進歩・発展が図られた。人工肺は気泡型から膜型に移行し、かつ中空糸多孔質膜外部灌流型へ、送血ポンプはローラポンプから血液に優しい遠心ポンプへ、静脈脱血法は落差脱血から陰圧吸引補助脱血を付加した脱血法へ、心筋保護法は心筋に過酷な冠血流遮断法である単純低体温大動脈遮断法から心筋に優しい晶質性液および血液併用心筋保護液灌流方式の心停止法へ、人工心肺終了時の水分出納バランスは大幅な水分過剰なプラスバランスから限外濾過法を用いて水分過剰を避けるバランス管理法へ、安全対策は、人工心肺技士のマニュアルバランス運転を補完支援する安全監視装置類を的確に装着・運用する管理体制を構築した運転へと、大きな進歩・発展を遂げた。
一方、食生活の洋風化による冠動脈疾患の増加、高齢者人口が増加し加齢変性に伴う大動脈弁疾患・大血管疾患が漸増して推移し、心臓大血管手術件数は、1995年の3万件強から20年後の2014年は2倍強の6万6千件強に増大した。また、補助循環領域ではIABP 中心からPCPS、補助人工心臓(VAD)が加わり、救急および心移植医療を支える必須の装置として重要な役割を担う状況となった。
今回出版する「新ME早わかりQ &A シリーズ 2。人工心肺・補助循環装置」は、上述の新たに進化した内容を付加・補完した30年振りの全面改訂本である。質問であるQは143項目を設け、回答となるAの執筆には、国内主要施設で活躍中の経験豊富な指導者に依頼し、広範な知識を網羅した力作となった。基本的な内容をベースに、新たに登場した専門領域の知識技術を加味し、疑問点に答える解説書でもある。基本的な項目は国家試験を目指す学生が正確な知識を整理する際の参考書として、多くの専門的な項目は臨床現場で活躍中の現役技士への知識・技術の再確認に有用な内容である。本書を活用頂くことで、的確で安全な人工心肺の運転環境の構築の一助となるなら幸いである。
2017年5月
見目恭一