がん治療副作用対策マニュアル改訂第3版
編集 | : 田村和夫 |
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ISBN | : 978-4-524-26659-3 |
発行年月 | : 2014年6月 |
判型 | : A5 |
ページ数 | : 358 |
在庫
定価5,060円(本体4,600円 + 税)
- 商品説明
- 主要目次
- 序文
化学療法、放射線療法などがん治療における副作用を詳細かつ実際的にまとめた好評マニュアル。今改訂では、新たな分子標的治療薬に特有の副作用、oncology emergency、肝炎ウイルスの再活性化など最新情報にアップデートし、支持・緩和療法も盛り込んだ。今版より2色刷りとなり、さらに見やすくデザインを一新。医師だけでなく、がん治療に携わる全てのスタッフにもおすすめの一冊。
序章 がん治療の副作用
1 がんの疫学
2 がん治療
3 がん治療と副作用
I章 抗がん薬と副作用対策
A 抗がん薬
1 代謝拮抗薬
2 アルキル化薬
3 白金製剤
4 抗がん性抗生物質
5 抗がん性植物成分
6 ホルモン剤
7 その他の抗がん薬
8 抗がん作用増強薬
B 分子標的治療薬
1 抗体薬
2 小分子薬
3 免疫調節薬(iMID)
C 抗がん薬の副作用予防と治療
1 過敏反応
2 骨髄抑制、血液毒性
3 消化器毒性
4 心毒性
5 肺毒性
6 肝毒性
7 腎毒性
8 神経毒性
9 脱毛
10 皮膚毒性
11 漏出性皮膚障害
12 肝炎ウイルス再活性化
13 血栓・塞栓症
14 骨粗鬆症
II章 放射線療法と副作用対策
A 放射線療法の原理と正常細胞への影響
B 放射線療法の適応となる腫瘍と照射の実際
C 治癒を目的とした照射と緩和療法としての照射について
D 放射線障害予防策
E 放射線の各臓器への影響とその対処
1 放射線宿酔
2 骨髄への影響
3 皮膚への影響
4 粘膜への影響
5 唾液腺への影響
6 味覚への影響
7 甲状腺への影響
8 脳への影響
9 脊髄への影響
10 眼球および周囲組織への影響
11 肺への影響
12 心臓への影響
13 血管に与える影響
14 消化管に与える影響
15 肝臓への影響
16 腎臓への影響
17 膀胱、尿道への影響
18 骨への影響
III章 外来治療と副作用対策
A 外来でできる化学療法
B 外来化学療法における副作用対策
1 治療前〜後の管理
2 抗がん薬注射投与中の薬剤漏れ
3 中心静脈(CV)ポート管理
4 副作用対策
C 外来で実施する際の放射線照射副作用対策
D がん患者の在宅療法(在宅医療)
1 在宅療養を可能にする支援
2 看護サービス
3 支持療法
4 緩和療法、疼痛緩和
IV章 その他の療法と副作用対策
A 補完代替医療
1 現状
2 補完代替医療の分類
3 考えられる副作用とその対策
B 治療関連合併症対策
1 輸血療法
V章 Oncology emergency
A 電解質異常
1 SIADH
2 高カルシウム血症
B 腫瘍崩壊症候群
C 管腔臓器の穿孔、穿通、瘻孔形成
D 出血性膀胱炎、膀胱タンポナーデ
VI章 がん治療関連合併症対策
A 廃用症候群、リハビリテーション
B 肥満対策
C リンパ浮腫
D 栄養療法、食事療法
VII章 各悪性疾患に対する標準治療における副作用の出方とその対策
A 造血器腫瘍
1 急性骨髄性白血病(AML)
2 急性前骨髄球性白血病(APL)
3 急性リンパ性白血病(ALL)
4 慢性骨髄性白血病(CML)
5 Hodgkinリンパ腫
6 非Hodgkinリンパ腫
7 多発性骨髄腫
B 頭頸部がん
C 肺がん
1 小細胞肺がん
2 非小細胞肺がん
D 乳がん
1 外科療法
2 放射線療法
3 内分泌療法
4 化学療法
E 消化器がん
1 食道がん
2 胃がん
3 大腸がん
4 肝臓がん
5 膵臓がん、胆道がん
F 婦人科がん
1 卵巣がん
2 子宮体がん
3 子宮頸がん
G 泌尿生殖器腫瘍
1 胚細胞腫瘍
2 膀胱がん
3 前立腺がん
4 腎細胞がん
H 骨軟部組織腫瘍
付録
付録1 抗がん薬一般名・商品名対照表
付録2 がん治療副作用の治療に使用する薬剤一覧表
付録3 NCI有害事象共通用語規準v4.0(日本語訳JCOG版一部改変)
付録4 検査値の異常から推測される副作用情報
索引
2003年の「がん治療副作用対策マニュアル」初版、2009年の改訂第2版を経て、今回第3版を発刊することになった。がん治療の進歩は速く、なかでもがん薬物療法は、分子標的治療薬を中心に従来有効な薬剤がない領域にも開発が進み、新しい展開がみられている。一方、放射線療法では強度変調放射線療法が保険適用となり、がん診療連携拠点病院や大学病院で実施できる施設が増加してきている。外科手術は、拡大手術から鏡視下手術とより低侵襲手術の方向に向かい、またロボット手術も実施されるようになってきている。このようながん治療の進歩は、当然異なる副作用のプロファイルや出現状況をもたらし、本書の改訂を行うに至った。
改訂にあたり、分子標的治療薬を独立させ、レンチナンなど非特異的な免疫賦活薬を削除、分子標的治療薬のdose limiting toxicityとなる皮膚障害の項を強化し、最近問題になっているB型肝炎ウイルスによる再活性化、アルコール過敏、血栓・塞栓症、骨粗鬆症の項を抗がん薬の副作用として追加、さらにoncology emergencyを新しく章とし充実させた。
本書は第2版の方針を踏襲し、次のようなことに留意し記載した。
1 若い医師はもちろん看護師、薬剤師、医系学生にも容易に理解できる内容
2 化学療法、放射線療法について記載
3 処置や治療法を実践しやすい形で記載
4 副作用対策を、予防的措置と副作用が発現した際に実施する処置とに分けて記載
5 がんの治療は外来・通院治療が重視されてきているので、外来・在宅医療について記載
6 多くの患者が漢方、サプリメントなどを使用しているので、「代替療法」についても記載
7 副作用対策に使用される薬剤の一覧表を添付
8 原則として保険適用のある治療薬や処置について記載。ただし、神経因性疼痛に医療の現場で使用される向精神薬のように、ガイドラインなどで推奨され、一般に使用されるものについては、「保険適用外」といった断りをせず記載している。したがって、薬剤については「添付文書」、処置などについては保険適用にご留意いただきたい。
本書は、病棟や外来・在宅医療の現場で使用するハンドブックとして作成したため紙数に限りがある。疾患概念や詳細な病態生理については、腫瘍内科学や血液学のテキストを参考にしていただきたい。医療の現場では個々の患者さんに合ったケア・治療が創意工夫して実施される。すなわち、各施設の人的・物的資源を考慮に入れて、各施設にもっとも適した方法をとっておられるものと思う。本書がその参考になれば幸いである。ご意見があればぜひお寄せいただきたい。
2014年6月
田村和夫