柔道整復
包帯固定学改訂第2版
監修 | : 全国柔道整復学校協会 |
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編集 | : 全国柔道整復学校協会・教科書委員会 |
ISBN | : 978-4-524-26577-0 |
発行年月 | : 2014年12月 |
判型 | : B5 |
ページ数 | : 168 |
在庫
定価2,750円(本体2,500円 + 税)
- 商品説明
- 主要目次
- 序文
柔道整復師に必要な包帯の巻き方、ギプスやテーピングなどの固定法について、基本的な方法から部位別へと展開に沿って写真とシェーマを多用して詳説。「目で学ぶ」ことに重点を置いて編集されている。今改訂では、2色刷(一部4色刷)とし、視覚的に理解しやすくなるとともに重要ポイントをまとめた「メモ」が充実。
1.固定
1 固定の目的
2 固定の範囲
3 固定の肢位
2.固定材料の種類
A 硬性材料
1 金属副子
2 副木と厚紙副子
3 ギプス(ギプス包帯)
4 合成樹脂副子
B 軟性材料
1 巻軸包帯
2 三角巾
3 綿花
4 ガーゼ
5 絆創膏
6 サポーター
3.巻軸帯の巻き方と注意事項
1 包帯の巻き方の基礎
a.順巻きと逆巻き
b.表巻きと裏巻き
2 包帯の持ち方
3 包帯の巻き始めと巻き終わり
4 巻き進めの方向
5 巻き締めの強さ
6 均等な圧
7 美しさ
8 包帯を巻く速さ
4.巻軸帯の巻き戻し
5.基本包帯法
1 環行帯
2 螺旋帯
3 蛇行帯
4 折転帯
5 亀甲帯(扇状帯)
6 麦穂帯(人字帯,スパイカ巻)
6.冠名包帯法
1 デゾー包帯
a.右側
1)第1帯の走行
2)第2帯の走行
3)第3帯の走行
4)第4帯の走行
b.左側
1)第1帯の走行
2)第2帯の走行
3)第3帯の走行
4)第4帯の走行
2 ヴェルポー包帯
a.右側
b.左側
3 ジュール包帯
a.右側
b.左側
7.部位別包帯法
A 頭部・顔面部
1 複頭帯
2 単頭帯
3 二頭帯によるヒポクラテス帽子帯
4 投石帯
B 肩部
C 肘部
D 前腕部
E 手関節部
F 手指部
a.母指
b.環指および小指
c.中指および環指の指先を被覆する包帯法
G 股関節部
H 大腿部
I 膝関節部
J 下腿部
K 足関節部
L 足趾部
a.母趾
b.母趾の趾先を被覆する包帯法
M 胸部・背部
a.胸十字帯
b.背十字帯
c.胸背十字帯
8.その他の包帯法
1 合わせ包帯
2 多頭帯(並列帯)
9.三角巾による提肘
10.さらし(晒)による固定
11.固定材料の作製と固定例
A 厚紙副子,スダレ副子
1 厚紙副子
2 スダレ(簾)副子
3 厚紙副子+スダレ副子の応用
B 金属副子(クラーメル金属副子)
C アルミ副子
D ギプスと吸水硬化性キャスト材
1 ギプス固定の目的
2 ギプス固定の種類
a.有褥ギプス(通常のギプス)
b.無褥ギプス
c.有窓ギプス
d.歩行ギプス
e.ギプス副子(ギプスシーネ)
f.ギプスシャーレ
3 ギプス・吸水硬化性キャスト材の材料と用具
a.ギプス
b.吸水硬化性キャスト材
c.下巻き材
d.ギプスなどを切除する道具
4 ギプスの作製手順
5 ギプス・キャストの切除手順
6 ギプス固定の実際
a.ハンギングキャスト
b.ギプスシーネ
c.ロングアームキャスト
d.ショートアームキャスト
e.関節可動ギプス
f.U字シーネ
g.PTBギプス
7 シリンダーギプス(下肢円筒ギプス)による膝関節内側側副靱帯損傷の固定
E 熱可塑性キャスト材(ロール状)
F 熱可塑性キャスト材(板状)
1 熱可塑性材料
a.フォア・アーム・ブレース
b.フィンガー・バタフライ・スプリント
c.ファンクショナル・レッグ・ブレース
d.トライアンフ・スプリント
e.ビック・トゥ・スプリント
G 絆創膏固定・テーピング
1 テープの特徴
2 テーピングの原理
3 テーピングの目的
a.治療
b.予防
c.保護
d.応急処置
4 柔道整復領域での応用範囲
a.骨折
b.脱臼
c.軟部組織損傷
5 テーピング施行時の一般原則
6 基本的なテーピング
a.サポート・テープ
b.アンカー・テープ
7 肩鎖関節上方脱臼での応用例
8 膝関節捻挫での応用例
9 足関節内返し捻挫での応用例(放射状スターアップ)
10 下腿部(下腿三頭筋)肉離れでの応用例
H 牽引療法(指骨骨折)
I 装具(orthosis,brace,splint)
1 頸椎装具
2 体幹装具
3 胸腰仙椎装具
4 その他の体幹装具
5 下肢装具
a.短下肢装具
b.長下肢装具
c.膝装具
d.その他の下肢装具
6 上肢装具
a.肩の装具
b.上腕の装具
c.肘装具
d.手関節装具
e.手装具(手部装具)
索引
改訂第2版の序文
この度,包帯固定学の教科書が第2版に改訂される運びとなった.2003年10月,柔道整復師が歴史的に師から弟子へと伝承されてきた包帯固定という方法を1冊の本にまとめ上げ,成書を編纂することになった.伝承されてきた方法をとりまとめる際の問題点は,個人の考え方の違いが大きくコンセンサスが得られないことで,編集作業は困難を極めた.「目で学ぶ」という形で多くの写真とフィギアを使って説明するという基本方針のもとに発刊したことは先見の明があった.近年,医学領域ではEBMが重要視されエビデンスに基づいて各種ガイドラインが編纂されている.この場合国内外の論文を広範囲に収集し,科学的根拠に基づいて評価することでエビデンスレベルを決める.エビデンスレベルが高い論文というのはRCT(randomized-controlled-trial)無作為抽出比較試験100例以上がされていなくてはならない(case report症例報告ではエビデンスレベルは低い).古来伝承されてきた方法を,現在の視点で改めてRCTを行うことは,被験者となる側のインフォームドコンセントが得られず,実証は不可能に近い.こういった背景のもと古来の伝承医学を成書に取り入れることは一見時代に逆行する.
古来,柔道整復師は骨折などの整復位をいかに安静に固定し,毎日往療して患者ともコミュニケーションを取り患部を毎日診て観察し,軽擦法などで血液循環を良くすることで施術してきた.固定具を作製するところから始め,合わせ包帯や現在ではほとんど生産すらされなくなったスダレ副子や厚紙副子を用いて固定してきた.本書には,近年使われるようになった吸水硬化性ポリウレタンキャスト材,熱可塑性キャスト材,テーピング,ブレースまで網羅されているが,柔道整復師に伝承されてきた古来の方法が記載されていることは特筆に値する.
提供する施術の質を担保する目的で,平成4年から行われている認定実技審査制度は柔道整復師業界の独自の制度で,他の医療職ではまだ採用されていない画期的といえる制度である.平成16年の改訂あたりから包帯実技が重視されてきたと記憶している.平成24年に審査の公平性・客観性を重視し,審査の精度を上げるために腐心し,かなり公平性が高められたと評価されていると思うが,その際,審査課題も検討され柔道整復師に将来必要不可欠な課題として,骨折・脱臼・軟部組織損傷の固定法としてだけでなく,「包帯の部」として6項目が採用された.審査過程で整復法や固定法を一つに指定することには議論があることは重々承知しているが,本書は包帯固定法の一つのモデル案として参考にしていただければ幸いである.
改訂にあたり,教科書委員会担当理事,委員長をはじめとする委員の先生方,さらに原稿作成の実務に携わった改訂作業部会の先生各位,写真撮影にご協力いただいた先生方には,自校の業務で多忙にもかかわらず,多大なご尽力と時間を割いていただいたことに,深甚なる感謝の意を表したい.
2014年10月
公益社団法人全国柔道整復学校協会
会長 碓井貞成