眼科エキスパートナーシング改訂第2版
監修 | : 小出良平 |
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編集 | : 高橋春男/大音清香 |
編集協力 | : 恩田秀寿 |
ISBN | : 978-4-524-26411-7 |
発行年月 | : 2015年6月 |
判型 | : B5 |
ページ数 | : 262 |
在庫
定価4,290円(本体3,900円 + 税)
- 商品説明
- 主要目次
- 序文
最新の治療と、その特殊性をふまえた眼科看護の実際を解説した好評書の改訂版。眼科の基本的な解剖・疾患・検査・治療をコンパクトに解説したうえで、眼科特有の看護技術や、外来、病棟、手術室における看護の実践方法を紹介。今改訂では紙面を全面オールカラー化し、症例写真も一新。よりビジュアルに見やすくなった。眼科領域に携わる看護師必携の1冊。
1章 眼科看護に必要な医学的知識
1.眼の構造
I 眼球
II 視路
III 眼球付属器
2.眼の機能
I 視力
II 眼圧
III 視野
IV 色覚
V 眼球運動
VI 両眼視機能
3.眼の症状
I 見づらさ
II 眼や瞼の位置・形態異常
III 眼の表面の異常
4.眼の検査
1)視力検査
I 裸眼視力検査
II 矯正視力検査
III 視力検査の注意点
IV 視力検査結果の記載法
2)眼圧検査
I 眼圧検査の種類
II 眼圧検査の手順
III 眼圧検査の判定
3)視野検査
I 動的視野検査
II 静的視野検査
III 中心限界フリッカ値
IV アムスラーチャート
4)色覚検査
I 色覚検査表(仮性同色表)
II 色相配列検査(パネルD-15)
III ランタンテスト
IV アノマロスコープ
5)眼位検査,両眼視機能検査,眼球運動検査
I プリズムカバーテスト
II 大型弱視鏡
III ワース4灯検査
IV バゴリーニ線条ガラス試験
V ヘス赤緑検査
6)細隙灯顕微鏡検査
7)眼底撮影検査,蛍光眼底造影検査
I 眼底撮影検査
II 蛍光眼底造影検査(FA FAG)
8)角膜内皮撮影
9)涙液検査
10)超音波検査
11)網膜電図
12)光干渉断層計(OCT)
13)眼球突出度(陥凹度)検査
5.眼の病態
1)眼瞼
I 麦粒腫
II 霰粒腫
III 眼瞼内反
IV 眼瞼外反
V 睫毛乱生
VI 兎眼
VII 眼瞼下垂
2)結膜
I 流行性角結膜炎(EKC)
II 急性出血性結膜炎(AHC)
III アレルギー性結膜炎
IV 春季カタル
V 翼状片
VI スティーブンス・ジョンソン症候群
VII 結膜下出血
VIII ドライアイ
3)角膜
I 角膜ヘルペス
II びまん性表層角膜炎
III 匐行性角膜潰瘍
IV 周辺部角膜潰瘍(蚕食性)
V 円錐角膜
VI 水疱性角膜症
4)ぶどう膜
I ぶどう膜炎
II ベーチェット病
III サルコイドーシス
IV 交感性眼炎
5)眼底(網膜)
I 高血圧網膜症
II 腎性網膜症
III 網膜動脈閉塞症
IV 網膜静脈閉塞症
V 糖尿病網膜症
VI 網膜剥離
VII 黄斑円孔
VIII 加齢黄斑変性
IX 中心漿液性脈絡網膜症
X 網膜色素変性症
XI 網膜芽細胞腫
XII 未熟児網膜症
6)視神経・視路
I 視神経炎
II 球後視神経炎
III 乳頭炎
IV うっ血乳頭
V 視神経萎縮
VI その他の視神経障害
VII 視路の障害
7)水晶体
I 白内障
II 水晶体位置異常
III 水晶体形態異常
8)硝子体
I 硝子体混濁
II 硝子体出血
9)緑内障
I 原発開放緑内障
II 原発閉塞緑内障
III 発達緑内障
IV 続発緑内障
10)眼球・眼窩
I 全眼球炎
II 眼窩蜂窩織炎
III 眼窩吹き抜け骨折
IV 眼窩腫瘍
11)涙器
I 先天性鼻涙管閉塞症
II 慢性涙.炎
III 急性涙.炎
IV ドライアイ
12)全身疾患と眼
I 高血圧症
II 動脈硬化症
III 糖尿病
IV 甲状腺機能異常
V 梅毒
VI トキソプラズマ症
VII スティーブンス・ジョンソン症候群
VIII 多発性硬化症
IX 重症筋無力症
13)眼外傷
I 強膜破裂・強角膜裂傷
II 外傷性前房出血
III 外傷性水晶体脱臼
IV 網膜振盪症
V 外傷性網膜剥離裂孔
VI 硝子体出血
VII 眼窩吹き抜け骨折
VIII 外傷性視神経症
IX 角膜異物
X 結膜異物
XI 眼内異物
XII 化学薬傷(眼薬傷)
XIII 熱傷
XIV 光障害
XV レーザー眼外傷
2章 眼科看護の基礎技術
1.眼科看護の特徴と専門性
2.情報の聴き取り
3.検査の介助
1)視力検査の介助
2)細隙灯顕微鏡検査の介助
3)眼底撮影検査の介助
4)蛍光眼底造影検査の介助
4.点眼の指導
5.眼軟膏点入の指導
6.洗眼の方法
7.持続洗眼の方法
8.眼帯の方法
9.視覚障害者に対する介助
1)外来における介助
2)病棟における介助
3章 眼科看護におけるスタッフ教育
4章 外来における看護
1.外来手術と看護
1)基本的処置と準備
2)結膜下注射
3)霰粒腫,麦粒腫切開
4)翼状片切除術
5)涙.洗浄・通水テスト,涙管ブジー
6)その他の処置
7)網膜光凝固
8)緑内障のレーザー治療
9)屈折矯正手術
10)日帰り白内障手術
11)日帰り手術の麻酔
2.外来での患者指導
3.外来における感染対策
4.外来における安全対策
5.病棟との連携
5章 救急外来における眼の処置
1)眼科救急疾患に対する看護
2)眼科救急疾患の処置
6章 病棟における看護
1.入院時の看護
2.術前・術後の看護
3.急変時の患者への基本的対応
4.術後感染症(術後眼内炎)
5.病棟における感染対策
6.病棟における安全対策
7章 手術室における看護
1.眼科手術看護の特徴
1)眼科手術の特徴とその看護
2)顕微鏡手術の特徴と看護師の役割
2.手術の準備
3.手術室における感染対策
4.手術室における安全対策
5.麻酔と看護
1)局所麻酔
2)全身麻酔
6.眼科手術と看護
1)白内障手術
2)緑内障手術
3)斜視の手術
4)網膜剥離の手術
5)網膜硝子体手術
6)硝子体注射
7)硝子体タンポナーデ
8)角膜移植
9)眼窩吹き抜け骨折の手術
10)眼瞼内反(睫毛内反)症手術
11)眼瞼下垂手術
8章 眼科看護とクリニカル・パス
1)クリニカル・パスの概要
2)眼科におけるクリニカル・パス
9章 ロービジョンケア
付録
1.眼科用剤一覧
2.身体障害者福祉施策
索引
はじめに
看護師・看護学生向けの眼科テキストとして2012年に刊行した『眼科エキスパートナーシング』が第7刷まで増刷され、その都度部分的に情報更新をしてきたが、2013年秋に本書の改訂計画が持ち上がり、新しい時代に則した、新しい診療内容を取り入れて、改訂を行うことになった。
この背景には、日進月歩の医療の現場において、医療の専門分化に更なる拍車がかかり、細分化されている現状がある。これに伴って、現場で働く看護師にも高度な医学・医療知識や技術、判断力、倫理感が求められている。眼科領域においても、これらの要請に応じられる眼科看護師の育成と生涯教育、看護学生への眼科教育の必要性が高まり、急務になっていると思われる。またそれは、医師と看護師をはじめとするスタッフによるチーム医療を成功させるためにも必須である。医療におけるチームワークとは、野球での内野ゴロに対して外野手が一塁選手のカバーリングに回るが如くエラーのためのバックアップシステムではない。任せられた自分の守備(役割)はしっかり行い、両隣の守備(役割)も理解し、互いを尊重しあって一人の患者さんに向き合うチーム医療を目指すことにある。
残念ではあるが、現在の臨床現場の看護教育や看護師の配属形態は、まだまだ社会のニーズに応えたものとは言い難い現状がある。例えば筆者の施設では、内科系の14診療科と眼科を含めた外科系の12診療科があり、看護師は、外来・病棟・手術室に配属される。病棟では2年ごとに診療科をローテーションし、手術室においても3ヵ月ごとに外科系をローテーションする。総合病院では、どこも似たようなシステムであろう。このような環境では、眼科専門の看護師は育ち難い。このことは、初版刊行時からの懸案事項ではあるが、これまで永く続いているシステムだけに、変革するのはなかなか難しいことである。筆者の施設では、眼科専属の手術室を使用するようになったことで、理想的な眼科スタッフ教育へ一歩前進したと言えよう。
本書は、初版に比べて更にカラー写真を豊富に掲載した。執筆は、解剖や生理、診療についてはドクターに、外来や病棟、手術室の看護については実際に眼科看護に従事している看護師に依頼した。眼科専門の看護師を志す方々の座右の実践的テキストとして、また看護学生の教科書として、幅広く活用していただけると幸甚である。
末筆ながら、多忙な時間を割いて執筆いただいた外来、病棟や手術室の看護師の皆様、眼科学講座の先生方に心より感謝申し上げる。
2015年4月
小出良平