ベッドサイドですぐにできる!転倒・転落予防のベストプラクティス
編集 | : 鈴木みずえ |
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ISBN | : 978-4-524-26333-2 |
発行年月 | : 2013年8月 |
判型 | : B5 |
ページ数 | : 230 |
在庫
定価2,860円(本体2,600円 + 税)
正誤表
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2013年09月04日
第1刷
- 商品説明
- 主要目次
- 序文
個々のナースがベッドサイドですぐに対応できる転倒・転落予防のエッセンス。急性期・リハ期・慢性期患者、認知症患者、在宅療養中高齢者に特徴的な転倒ケース、そのアセスメント・対応のコツを素早く調べて実践できる。事故発生時の救急対応、有効なインシデント報告、裁判にならない事故防止策、身体拘束の実際など、転倒・転落予防に役立つすべてがわかる一冊。
推薦のことば
現場の安全を担う皆様へ
第1章 おさえておきたい 転倒・転落予防のキホンの知識
1 はじめに なぜ転倒・転落が問題か?
2 まず全体像を把握する 転倒・転落原因マップ
3 よくあるケースを確認する 転倒・転落のおもな原因とアセスメント・対策
原因1 ADL(日常生活動作)の低下
原因2 自分でできるという思い込み
原因3 排泄
原因4 転倒経験
原因5 起立性低血圧
原因6 くすり(睡眠薬など)
原因7 看護師に意思を伝えにくい
原因8 体調不良
第2章 ケースで理解しよう 場面別 転倒・転落予防のアセスメントと対策
1 ケースでみる(1) 病院における転倒・転落予防
1 急性期における転倒・転落予防
ケース1 手術後のせん妄
ケース2 手術後の鎮痛薬
2 慢性期・回復期における転倒・転落予防
ケース1 リハビリテーション中の脳卒中患者
ケース2 パーキンソン症状による歩行障害
ケース3 症状の日内変動が激しいパーキンソン症候群患者
ケース4 高次脳機能障害
3 ターミナル期における転倒・転落予防
ケース1 疼痛と麻薬
2 ケースでみる(2) 認知症患者への転倒・転落予防
ケース1 ベッドから起きようとして転倒
ケース2 車椅子から立ち上がろうとして、立ち上がれず転倒
ケース3 車椅子からずり落ちそうになった
ケース4 車椅子のブレーキをかけ忘れて転倒
ケース5 歩行補助具の使用を忘れて転倒
ケース6 点滴があることを忘れて歩こうとして転倒
ケース7 興奮状態で転倒
ケース8 徘徊中に転倒しそうになった
ケース9 トイレに行こうとして転倒
ケース10 身のまわりを片付けようとして転落
認知症高齢者のための転倒・転落予防の実践のポイント
3 ケースでみる(3) 在宅要介護高齢者への転倒・転落予防
ケース1 慣れているはずの自宅の玄関で転倒
ケース2 つい長湯して風呂場で転倒
ケース3 慣れ親しんだ自宅トイレで転倒
ケース4 ポータブルトイレへの移乗時に転倒
ケース5 日常とちがう、慣れない状況に混乱して転倒
ケース6 日中は1人.介助がなく転倒
ケース7 家庭での役割を果たそうとして転倒
ケース8 介護者の不適切な介護で転倒
在宅要介護高齢者のための転倒・転落予防の実践のポイント
第3章 もしも転倒・転落事故をおこしたら
1 転倒・転落発生時の救急対応
2 ヒヤリハット・インシデント報告の書き方のポイント
3 転倒・転落予防と対応Q&A
Q1 防げる事故と防げない事故はどう区別できる?
Q2 施設の“つまずきやすさ”は、どこまで医療者側の責任か?
Q3 施設の“すべりやすさ”は、どこまで医療者側の責任か?
Q4 自動ドアなどを原因とする転倒事故は、どこまで医療者側の責任か?
Q5 介助の方法によって、転倒事故がおきたときの責任はかわる?
Q6 介助者なしの移動中におきた転倒事故は、医療者側の責任となる?
Q7 夜間など見守りが困難な状況下での転倒事故も、医療者側の責任となる?
Q8 転倒によるけがを大きなものとしないための措置とは?
Q9 紛争を予防(あるいは対応)するために看護記録に記載しておくべきことは何?
第4章 転倒・転落予防のためのおさらいキホン技術
1 環境整備
2 センサーの活用
3 歩行・移動能力のアセスメントと補助具の選択
4 身体拘束(考え方と実施できる要件)
5 排泄介助のキホン
6 入浴介助のキホン
7 注意喚起の技術
8 高齢者への生活リズムの援助
第5章 転倒・転落予防のためのアドバンス技術/方法論・理論
1 パーソン・センタード・ケア
2 実践的KYT(危険予知トレーニング)
3 運動プログラム
4 タクティールケア
5 メディカルフットケア
6 集団活動のなかで行う転倒予防
7 リスクの情報共有とその生かし方
8 インシデントレポートの分析法
9 転倒予防のための地域サポートシステム
付録
アセスメントツールの上手な活用のしかた
数多い・複雑なアセスメントツールをいかに活用するか
1 転倒リスク全般(1) 泉らの改訂版アセスメントツール
2 転倒リスク全般(2) 転倒予測アセスメントツール(改訂版)
3 転倒リスク全般(3) アセスメントシート(武蔵野赤十字病院看護安全委員会)
4 移動・歩行能力(1) 10m(5m)全力歩行時間
5 移動・歩行能力(2) Timed Up & Go Test(TUG)
6 バランス能力 ファンクショナルリーチ(FRT)
7 認知症高齢者の身体機能・行動(1) 認知症を有する高齢者における移動能力評価尺度SMA日本語版
8 認知症高齢者の身体機能・行動(2) Stops walking when talking
索引
転倒は誰にでもおこりうるささいな日常的なできごとです。本来、二足歩行をしている私たち人間にとっては、避けることができないことなのです。高齢者の転倒は、それまでさまざまにバランスをとって生活していた心身機能のバランスが崩れた徴候であり、同時に歩行機能の低下や失禁などもおこしやすくなります。その結果、骨折や寝たきりをひきおこしやすく、高齢者の日常生活をさまざまに脅かすようになります。
近年、わが国は超高齢社会において高齢者の入院患者が増大し、要介護の高齢者が入院することから、歩行障害や認知症の症状、せん妄などの症状によって、高齢患者はさらに転倒をおこしやすくなっています。とくに病院や施設で高齢者が転倒をおこして骨折すると、その後の生命予後にも影響することから、けがをしなくても、“転倒”は重要なヒヤリハット事例として扱われるようになりました。医療安全管理からは、転倒は医療の質の重要なアウトカムであり、医療安全の側面からさまざまな取り組みがなされています。看護の質という側面からも、看護実践の質を示す指標ともいわれています。いままでは医療者側の一方的な視点で行動制限などが当然のように行われてきました。しかし、転倒を予防するためには個別の状況をふまえ、高齢者の視点に立ったその人独自のケアでないと根本的な予防にはなりません。まさに看護が重要な役割を担う場面です。それゆえに、転倒予防のための看護実践は、高齢者看護の実践の質を反映しているといえるでしょう。
本書は、それぞれの場所や立場で転倒予防に取り組んでこられた専門家の皆様に貴重なご経験を通して培われてきた看護実践−とくに本来ならばあまり言語化されてこなかった部分を執筆していただきました。各担当者のご努力の結果、転倒予防の看護の実践のポイントと工夫を体系化することができました。もちろん、防止できない転倒・転落もあります。しかしながら、転倒・転落を予測し、早期にリスクをアセスメントし、高齢者の視点からの看護を転換することで、予防できる転倒・転落を減少させる必要があります。本書は高齢者の生きる価値観や人生などの尊厳の側面も維持し、身体機能を保つために、さらに発想を転換して、転倒予防を看護実践するさまざま工夫と看護実践が盛り込まれています。転倒予防に関する書籍はたくさんありますが、看護実践につながるケアの工夫を盛り込んでいるのが本書の大きな特徴です。
本書が看護師の皆様にとって、日常の実践のうえで参考になれば何よりもない喜びであります。
2013年7月
鈴木みずえ