シンプル理学療法学・作業療法学シリーズ
運動器系解剖学テキスト
監修 | : 細田多穂 |
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編集 | : 五味敏昭/浅井友詞/佐藤二美 |
ISBN | : 978-4-524-26203-8 |
発行年月 | : 2015年3月 |
判型 | : B5 |
ページ数 | : 532 |
在庫
定価6,600円(本体6,000円 + 税)
- 商品説明
- 主要目次
- 序文
理学療法士、作業療法士養成課程の学生にとって特に重要である筋・骨・神経に重点を置きつつ、解剖学の全体をしっかりと押さえた教科書。約600図のフルカラーの図が読者の理解を助ける。また、映像解剖、局所解剖、運動器関連疾患、体表解剖、触診解剖を盛り込み、臨床との橋渡しとなるように解説されている。
第I部 解剖学総論
A 人体解剖学とは
B 解剖学の歴史
C 理学療法学・作業療法学と解剖学との関わり
D 解剖学の分類
E 解剖学用語(位置,方向)
F 人体の区分(大区分)
G 体表の方向線(人体の縦線・横線)
H 人体の大要(人体内部の腔所)
I 人体の成り立ち(原子から人体)
第II部 解剖学各論
A 骨格系
1.骨総論
2.関節・靱帯総論
3.各論
B 筋系
1.筋系総論
2.各論
C 神経系
1.神経系総論
2.中枢神経系
3.末梢神経系
D 感覚器系
1.外皮
2.視覚器
3.聴覚器,平衡覚器
4.嗅覚器,味覚器
E 循環器系
1.循環器系総論
2.心臓
3.動脈
4.静脈
5.胎児循環
6.リンパ系
F 消化器系
1.内臓系総論
2.消化器系総論
3.口腔
4.咽頭
5.食道
6.胃
7.小腸
8.大腸
9.口腔腺
G 呼吸器系
1.呼吸器系総論
2.鼻(外鼻,鼻腔,副鼻腔)
3.咽頭
4.喉頭
5.気管・気管支
6.肺
7.胸膜
8.縦隔
9.呼吸運動の調節
H 泌尿器系
1.泌尿器系総論
2.腎臓
3.排尿路(尿管,膀胱,尿道)
I 生殖器系
1.生殖器系総論
2.男性生殖器
3.女性生殖器
J 内分泌系
1.内分泌系総論
2.下垂体
3.松果体
4.甲状腺
5.上皮小体(副甲状腺)
6.副腎
7.膵島
8.精巣
9.卵巣
第III部 人体の構成,人体の発生
A 人体の構成
1.細胞
2.組織
3.器官
4.器官系
B 人体の発生
1.配偶子の形成
2.受精
3.初期発生
4.その後の発生
第V部 局所解剖学
A 映像解剖学総論
B X線映像
1.単純X線写真の成り立ちと代表的な画像
2.造影X線写真の成り立ちと代表的な画像
C 断層映像と核医学
1.コンピュータ断層装置(CT)
D 核医学検査
第IV部 映像解剖学
A 肩関節
1.関節構造
2.神経
3.血管
4.関節運動,筋の作用
5.代表疾患
a.上腕骨外科頸骨折
b.鎖骨骨折
c.肩関節脱臼
d.肩関節周囲炎
e.腱板損傷
f.SLAP病変
B 肘関節,前腕
1.関節構造
2.神経
3.血管
4.関節運動,筋の作用
5.代表疾患
a.上腕骨顆上骨折
b.肘関節脱臼
c.上腕骨外側上顆炎(テニス肘)
d.上腕骨内側上顆炎(野球肘)
C 手関節,手指
1.関節構造
2.神経
3.血管
4.関節運動,筋の作用
5.代表疾患
D 股関節
1.関節構造
2.神経
3.血管
4.関節運動,筋の作用
5.代表疾患
E 膝関節
1.関節構造
2.神経
3.血管
4.関節運動,筋の作用
5.代表疾患
a.変形性膝関節症
b.炎症性疾患
c.オスグッド・シュラッター病
d.膝蓋大腿関節障害
e.前十字靱帯損傷
f.内側側副靱帯損傷
g.後十字靱帯損傷
h.関節半月損傷
F 足関節,足部,足趾
1.関節構造
2.神経
3.血管
4.関節運動,筋の作用
5.代表疾患
a.足関節捻挫
b.足関節脱臼骨折
c.踵骨骨折
d.疲労骨折
e.外反母趾
f.扁平足障害
G 頸部
1.関節構造
2.神経
3.血管
4.関節運動,筋の作用
5.代表疾患
H 胸部,胸郭
1.関節構造
2.神経
3.血管
4.関節運動,筋の作用
5.代表疾患
I 腰部,骨盤
1.関節構造
2.神経
3.血管
4.関節運動,筋の作用
5.代表疾患
J 顔面,頭部
1.関節構造
2.神経
3.血管
4.関節運動,筋の作用
5.代表疾患
第VI部 体表・触診解剖学
A 体表解剖学
1.人体の区分(小区分)
2.人体の前面・後面
3.人体の内腔
B 触診解剖学
1.はじめに
2.骨
3.靱帯
4.筋
5.血管
6.神経
参考文献
索引
序文
わが国の人口構成は4人に1人が65歳以上の高齢者であり、世界にも類をみない超高齢社会を迎えている。医療については、保健・医療・福祉による三位一体型の医療システムが求められており、ひとりの患者さんの治療には多数の医療専門職の連携が必要である。このようなチーム医療に参加するメディカルスタッフには高度な知識と確かな技術が要求されている。
解剖学が医学・医療の分野で最も重要な基礎科目であることは言うまでもないことである。人体解剖学はヒトの身体の成り立ちを学び、完成された形態や構造を肉眼的に、あるいは顕微鏡を用いて理解していく学問である。また歴史のある古い学問で、近代医学確立の基礎であり、この分析的・科学的な人体の探求が肉眼的観察から始まり、組織、細胞、分子レベルまで進歩して現在に至っている。
医療系の学校で解剖学の講義を担当していて痛感することは、将来、人体を取り扱う医療従事者となる学生には、解剖学の講義時間数が決して十分ではないということである。解剖学の内容は極めて膨大であり、国家試験における出題も広範多岐に亘り、初学者の学生諸君においては、ややもすると断片的な知識の羅列に翻弄されて、要点を把握できないままに講義が終了してしまうのが現況であると思われる。人体の構造は複雑であるが、複雑さの中にも整然とした構成秩序の法則があることを理解するのが解剖学である。少ない講義時間数のなかで、各種の学校に合目的的な内容の解剖学を講義し、最大限の教育効果をあげるのは、教える側の責務であると常々考えてきた。
今回、このような状況を鑑みて、医療系、特に理学療法士・作業療法士を目指す学生にとって「理解しやすい解剖学の教科書」とすることを目標に、以下の3点に重点を置いて編集を行った。
第1に、人体の構造を系統的に理解するために、人体の諸器官を作用系統別に分類整理して記述した。
第2に、本書は特に初学者を対象として執筆されたものであるため、理学療法士・作業療法士の特性を考慮して、運動器系(骨・関節・靱帯・筋)、神経系の記載に重点を置き、さらに映像解剖学、局所解剖学(関節解剖学)、体表・触診解剖学も充実させた。この内容構成については、同様に運動器系解剖学の知識を必要とする、柔道整復学、体育学、スポーツトレーナー学、鍼灸学などを学ぶ学生諸君の学習にも有用であり、参考書籍として活用いただけるものと考えている。
第3に、初学者のみならず解剖学を再学習する方への便宜を図るため、人体の形態と構造について系統的な理解を深められるよう、総括的かつ簡潔な記述を心がけ、分かりやすい図を厳選した。さらに初学者が苦手とする読み難い解剖学用語等には多くの読み仮名(ルビ)を振り、また図および画像には出来うる限り方向性(左右、前後、上下)を明示した。
解剖学をマスターするためには、普段からの着実な努力が大事であることは言うまでもない。本書を最大限利用して、さらに模型・映像資料・図譜・標本なども参考にしながら、人体構造を立体的に理解して頂きたい。
編集を終えてみると、我々の力不足のために初期の目的を十分に達成できたとは必ずしも言えない点もある。本書が関係諸兄のご意見を得て、より充実することにより、少しでも理学療法士・作業療法士を目指す学生諸君の助力になればと考える。
本書を上梓するにあたり、著者の先生方には執筆開始から刊行に至るまで、かなりの時間を要したにも関わらず、全員の先生方から終始積極的なご協力を賜り、深甚なる謝意を表したい。
2015年新春
編集者を代表して 五味敏昭