NEW薬理学改訂第7版
編集 | : 田中千賀子/加藤隆一/成宮周 |
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ISBN | : 978-4-524-26175-8 |
発行年月 | : 2017年3月 |
判型 | : B5 |
ページ数 | : 688 |
在庫
定価9,680円(本体8,800円 + 税)
- 商品説明
- 主要目次
- 序文
薬理学のバイブルとして、初版から30年近くにわたり、医学・薬学部学生から研究者まで多くの読者に支持され高い評価を得ている教科書。「薬と生体の相互作用」の理解のために「多くの薬は疾病によって異変をきたした生理活性物質の受容体、細胞内情報伝達分子を標的としている」との明確な立ち位置から、総論的項目の細胞内情報伝達系、チャネルとトランスポーター、生理活性物質の章には新たな情報が詳述されている。暗記からの脱皮を念頭に、各論ではできる限り薬の作用機序による分類を試み、疾患の臨床症状と病因を概説し、疾患遺伝子とその変異に関する情報が加えられ、さらに読者の理解が深まるよう配慮した。
第I章 総論
1 薬理学とは
2 薬の作用様式と作用機序
薬物受容体の概念
薬物濃度と薬理反応
アゴニストとアンタゴニスト
薬の作用強度を規定する諸因子
3 薬の生体内動態
薬の吸収
薬の生体内分布
薬の代謝
薬の排泄
薬物トランスポーター
4 薬はどのようにして創られるか
新医薬品(新薬)開発と臨床試験
ゲノムDNA創薬
プロテオーム創薬
第II章 生体内情報伝達機構
細胞における情報の受容と応答
情報の受容
細胞内情報伝達
遺伝子制御
第III章 チャネルとトランスポーター
1 イオンチャネル
カルシウムイオン
カリウムイオン
ナトリウムイオン
クロライドイオン
アクアポリン
2 イオントランスポーター
第IV章 生理活性物質
1 神経性アミノ酸
γ-アミノ酪酸(GABA)
グリシン
興奮性アミノ酸
2 生理活性アミン
アセチルコリン
カテコラミン
セロトニン
ヒスタミン
3 生理活性ヌクレオチド・ヌクレオシド
4 生理活性ペプチド
ニューロペプチド
摂食調節ペプチド
消化管ペプチド
循環ペプチド
5 血管内皮由来弛緩因子−NO
6 エイコサノイドとその他の脂質メディエーター
エイコサイノド
エンドカンナビノイド
リン脂質メディエーター
7 サイトカインとケモカイン
サイトカイン
ケモカイン
8 ビタミン
脂溶性ビタミン
水溶性ビタミン
第V章 神経薬理
1 末梢神経の構造と機能
末梢神経作用薬の分類
2 コリン作用薬
3 抗コリン作用薬
4 アドレナリン作用薬
カテコラミン
非カテコラミン・アドレナリン作用薬
5 抗アドレナリン作用薬
6 中枢神経の構造と機能
7 抗精神病薬
8 抗うつ薬・気分安定薬・精神刺激薬
抗うつ薬
気分安定薬
中枢興奮薬
9 Parkinson病治療薬
付.神経変性疾患治療薬
10 抗認知症薬,脳循環・代謝改善薬
Alzheimer型認知症治療薬
脳循環・代謝改善薬
11 抗不安薬・催眠薬
抗不安薬
催眠薬
12 抗てんかん薬・中枢性筋弛緩薬
抗てんかん薬
痙攣薬
中枢性筋弛緩薬
13 全身麻酔薬
麻酔の目的・分類と全身麻酔の条件
吸入麻酔薬
静脈麻酔薬
14 局所麻酔薬
15 鎮痛薬
痛みの種類とメカニズム
麻薬オピオイドとその受容体
16 薬物の耐性と依存性
依存性薬物の種類
付.ドーピング
第VI章 循環器薬理
1 心臓作用薬
抗不整脈薬
心不全治療薬
抗狭心症薬
2 高血圧治療薬およびその他の血管作用薬
高血圧治療薬
低血圧治療薬,昇圧薬
血管拡張薬
付.頭痛薬
3 血液・造血器作用薬
血液凝固・血栓形成と血栓溶解
止血薬
抗血栓薬
造血薬
第VII章 利尿薬と泌尿器・生殖器作用薬
1 腎臓の機能と利尿薬
腎臓の機能
利尿薬
2 泌尿器・生殖器作用薬
排尿障害治療薬
前立腺肥大症治療薬
PDE5阻害薬
子宮収縮薬
子宮弛緩薬
第VIII章 免疫・アレルギー・炎症薬理443
1 免疫抑制薬・免疫刺激薬と抗アレルギー薬
免疫抑制薬
免疫刺激薬
抗アレルギー薬
2 抗炎症薬およびその関連薬
炎症の成り立ち
非ステロイド抗炎症薬
解熱鎮痛薬
ステロイド抗炎症薬
抗リウマチ薬
関節機能改善薬
第IX章 呼吸器・消化器作用薬
1 呼吸器作用薬
呼吸刺激薬
鎮咳薬
去痰薬
気管支拡張薬
気管支喘息治療薬
2 消化器作用薬
胃に作用する薬
腸に作用する薬
肝臓・胆道・膵臓に作用する薬
第X章 感覚器作用薬
眼科薬
耳鼻咽喉科薬
皮膚科薬
第XI章 ホルモン・内分泌系治療薬
1 視床下部と下垂体のホルモン
視床下部-下垂体系
2 ステロイドホルモン
副腎皮質ホルモン
性ホルモン
3 甲状腺と副甲状腺のホルモン
4 膵臓ホルモン
第XII章 代謝性疾患治療薬
1 糖代謝−糖尿病治療薬
2 脂質代謝−脂質異常症治療薬
3 プリン代謝−高尿酸血症・痛風治療薬
4 骨代謝−骨粗鬆症治療薬
第XIII章 化学療法薬
1 抗感染症薬
抗感染症薬概説
抗感染症薬各論
付.消毒薬
2 抗悪性腫瘍薬
第XIV章 臨床薬理学
臨床薬理学序説
臨床薬物動態学
薬理遺伝学
発達および老人薬理学
薬物相互作用
薬の適用法と処方学への導入
薬物療法の個人別化−TDMと薬物投与設計
病態時における薬物動態
薬の有効性と安全性
付.漢方薬の薬理
和文索引
欧文索引
改訂第7版の序
19世紀初頭に提示された「薬物受容体」の概念は、20世紀後半には生体高分子蛋白質として同定され、多くの薬は生理活性物質の受容体に結合することが明らかになった。21世紀には、原因不明の疾患や薬物応答性の違いなどに関する遺伝情報など薬物療法に必要な基本情報システムが構築され、患者個人の遺伝子情報をもとに薬に対する反応性や副作用の発現を予測して的確な薬を選びその投与量を定める個人最適化医療を実践する時代となった。このような薬物療法変革の時代に対応して「NEW薬理学」は薬理学に精通する専門家50余名によって新薬の作用機序の理解に欠かせない新しい概念を導入し改訂を重ねてきた。第7版には、新たに薬理学の権威を編者にむかえ、先端の研究者および臨床家を著者に加えて改訂を行った。
(1)「薬と生体の相互作用」の理解のために「多くの薬は疾病によって異変をきたした生理活性物質の受容体、細胞内情報伝達分子を標的としている」との明確な立ち位置から、総論的項目の細胞内情報伝達系、イオンチャネル、生理活性物質には最新の情報が詳述された。水チャネル、摂食調節ペプチドは新しい項目として追加された。
(2)薬を処方する医師にとっても調剤や服薬指導をする薬剤師にとっても必要な事項である各論では、暗記からの脱皮を念頭に、できる限り薬の作用機序による分類を試みた。生理機能の理解を補い、薬物療法の適用となる疾患の臨床症状と病因を概説し、疾患遺伝子とその変異に関する情報を加えた。具体的には、末梢と中枢神経薬理は神経薬理として統合し、臨床医による感覚器作用薬の章を新設した。主に疾患別に基本薬物(特に第一選択薬)の薬理作用および副作用の機序について記述し、基本薬以外の薬はできるだけ一覧表にして冗長な記述を避けた。
(3)この間認可された新薬を加え、使用頻度の低下した薬、薬効の再評価および副作用により認可の取り消された薬は割愛し、海外でのみ使用されている薬は記載していない。編者らは新しい薬理学の情報が標準的なものかどうかを慎重に確認したが、科学の方法論の急速な進歩からそれらのすべてが適切であるとの保証はない。読者の皆さんからの忌憚ないご意見をいただければ幸いである。
「NEW薬理学」は、創刊以来28年間、薬理学を学ぶ学生・研究者のみならず、臨床家にとっても、薬と生体との関連の科学としての薬理学を理解し、把握するのに役立つ標準的な教科書として成長してきた。本書が疾病の予防や治療の進歩に資すれば望外の喜びである。
2017年春
編者ら