小児クリティカルケア看護
基本と実践
編集 | : 中田諭 |
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ISBN | : 978-4-524-26099-7 |
発行年月 | : 2011年9月 |
判型 | : B5 |
ページ数 | : 350 |
在庫
定価3,740円(本体3,400円 + 税)
- 商品説明
- 主要目次
- 序文
小児の急性期看護で欠かせない知識・技術をプラクティカルな視点でまとめ、根拠で裏づけした臨床テキスト。基本と深さが重要になる小児領域特有のケアや対応について、スペシャリストがベットサイドで寄り添うような臨場感で詳説した。一般の小児ICU、小児救急だけでなく、トリアージやプライマリケアにも役立つ、わかりやすく・満足感のある充実の一冊。
第I章 小児のクリティカルケア看護の基本
A.小児のクリティカルケアと特徴
B.小児のクリティカルケアにおける看護師の役割
C.小児の権利と擁護
D.小児のクリティカルケアにおける家族ケアの特徴
第II章 小児のアセスメントと症状別の対応
A.呼吸器系の症状アセスメントとケアの実際
1.呼吸器系のアセスメントの基本
2.呼吸困難
3.チアノーゼ
B.循環器系の症状アセスメントとケアの実際
1.循環器系のアセスメントの基本
2.脱水
3.浮腫
4.不整脈
5.ショック
C.脳神経系の症状アセスメントとケアの実際
1.脳神経系のアセスメントの基本
2.頭痛
3.意識障害
4.瞳孔異常
5.けいれん
D.消化器系の症状アセスメントとケアの実際
1.消化器系のアセスメントの基本
2.腹痛
3.悪心・嘔吐
E.代謝・内分泌系の症状アセスメントとケアの実際
1.代謝・内分泌系のアセスメントの基本
2.発熱
3.出血傾向(凝固異常)
4.乏尿・多尿
F.栄養のアセスメント
第III章 小児救急の実際
A.小児の救急初期対応
1.小児救急医療におけるトリアージ
2.虐待の発見と対応
3.小児救急医療の社会的役割
B.小児の心肺蘇生
1.小児の一次救命処置(PBLS)
2.小児の二次救命処置(PALS)
第IV章 重症な小児の治療とケア
A.輸液・輸血管理
1.輸液管理
2.輸血管理
B.栄養管理
C.酸素療法
D.人工呼吸療法と気道管理
1.小児の人工呼吸療法の特徴
2.人工呼吸療法中のモニタリングとアセスメント
3.人工呼吸器の設定
4.人工呼吸療法中の加温・加湿
5.人工呼吸器からのウィーニング
6.気管吸引
7.気管切開と管理
8.オーラルケア
E.その他の人工呼吸療法
1、高頻度振動換気法(HFO)
2.非侵襲的陽圧換気療法(NPPV)
3.バッグバルブマスクとジャクソンリース
F.除細動とペーシング
1.除細動とカルディオバージョン
2.心臓ペーシング療法
G.その他の治療と管理
1.血液浄化療法
2.腹膜透析
3.人工心肺補助法(IABP、ECMO)
4.脳保護療法
5.一酸化窒素吸入療法
6.光線療法
第V章 重症な小児に対する処置とケア
A.採血・注射とライン・チューブの管理
1.採血・血管確保
2.注射薬剤の投与と管理
3.ドレーン管理
4.その他のライン・チューブの管理
B.呼吸ケアとその技術
1.姿勢と体位管理(体位変換と排痰体位)
2.呼吸理学療法(手技と器具の使用)
C.鎮痛・鎮静
D.せん妄予防
E.重症小児へのスキンケアの基本
F.おむつかぶれとケア
G.重症な小児の褥瘡と創傷管理の実際
H.感染管理
I.小児と家族への援助
1.発達評価と発達援助
2.死にゆくこどもと家族の支援
J.臓器移植に向けての取り組み
第VI章 小児の主な重症疾患の知識とケア
A.呼吸管理が重要となる主要疾患の知識とケア
1.窒息
2.クループ症候群
3.喘息
B.全身管理を必要とする主要疾患の知識とケア
1.熱傷
2.中毒
3.溺水
4.熱中症
5.腸重積
6.外傷
7.アナフィラキシー
C.先天性心疾患の知識とケア
第VII章 小児のクリティカルケアに用いる主な医療機器
A.ベッドサイドモニタ
B.パルスオキシメーター
C.呼気終末二酸化炭素濃度モニタ
D.経皮的酸素二酸化炭素モニタ
E.輸液ポンプ、シリンジポンプ
第VIII章 小児のクリティカルケアで行う主な検査
A.画像検査
1.X線検査
2.超音波検査
3.CT・MRI検査
B.生理学的検査
1.心電図検査
2.脳波検査
3.聴覚脳幹誘発電位(ABR)
索引
近年、小児の救急や集中治療領域の重要性がさまざまな方面から認識されるようになり、最新の急性期の治療や各ガイドライン、それに伴う看護の情報も入手しやすい状況になっています。
しかし、小児のクリティカルケア看護を実践するうえで、これらの情報だけでは十分とはいえません。小児は同様の病態であっても年齢、体格、発達段階が異なり、使用する器材や物品に制限があり、小児の状態に合わせた個別な対応が必要とされるからです。また、治療やケアの方法が施設や診療科によって異なることも多く、看護師は「これでよいのだろうか?」と手探りで実践しているのが現状で、ベッドサイドケアすべてにスタンダードが出せる段階にはいたっていません。
さらに、クリティカルな状況にある小児へのケアは、安全かつ合併症なく治療を終えるためのかかわりがすべてではありません。小児の心身に加わるストレスを最小限にしながら、治療効果を最大限に引き出し、安楽かつ早期に、その小児らしい生活に戻すという大きな目標が加わります。その実現のためには、小児の成長・発達や家族関係に及ぼす影響についても考慮しなければなりません。
本書は、このような背景にある小児のケア上の問題に対する実践の具体策を、読者の皆さんと共有したいと考え企画したものです。そこで、試行錯誤しながらみえてきた「基本」の確認を行い、現場に提案したい「実践」を集約し、小児クリティカルケア看護の“かたち”を示せるよう心がけました。
項目立ては、総合病院のICUや救命センターだけでなく、小児が来院する一般病棟や外来でのケアにも活用できる内容です。「基本と実践」を押さえることで、さまざまな「小児の場合にどうするか」の参考になればと願います。幅広い領域からの提言になるため、執筆は小児の各領域で経験と実績のある方々にお願いし、小児への具体的なケアに基準となるものが少ない点は、可能な限りベッドサイドの視点でまとめていただきました。また、各解説のつながりがみえるように冒頭部に小児のクリティカルケア看護の土台となる考え方を示しましたので、サマリーとして確認いただければ幸いです。
編者の力不足により、本書を看護の現場で十分に活用いただくには不足した点も多々あろうかと思いますが、読者の皆さまの奇譚ないご意見を積み重ねることで、クリティカルな状況にある小児へのケアの充実につなげることができればと考えます。
最後に、編者の無理なお願いを快くお引き受けいただいた執筆者の方々、最後まで編集に尽力をいただいた南江堂看護編集室の皆さまに厚く感謝申し上げ、微力ながら本書がクリティカルな状況にある小児の看護ケアを底上げする一助になることを祈念いたします。
2011年8月
中田諭