DVDで学ぶ運動器徒手検査法
編集 | : 山本謙吾 |
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ISBN | : 978-4-524-26039-3 |
発行年月 | : 2014年10月 |
判型 | : B5 |
ページ数 | : 158 |
在庫
定価7,370円(本体6,700円 + 税)
- 商品説明
- 主要目次
- 序文
運動器診療で必須となるスタンダードな徒手検査法を網羅した、整形外科医や理学療法士必読の一冊。手技のポイントや目的、注意点、オリジナル文献はもちろん、付属のDVDに収載した動画も用いて分かりやすく解説した。日本整形外科学会専門医試験における動画を用いた口頭試験にも有用。
Chapter1 上肢
A 肩関節、上腕
1.腱板機能に対するテスト
●SSP test(empty can test、Jobe test)
●ISP test
●lift off test
●Belly press test
●drop arm sign
2.肩峰下インピンジメントに対するテスト
●impingement test
●impingement sign(Neer sign、Hawkins sign)
●painful arc sign
3.上腕二頭筋長頭腱に対するテスト
●speed test
●Yergason test
4.肩関節不安定性に対するテスト
●anterior apprehension test
●fulcrum test
●relocation test
●Jerk test
5.肩関節弛緩性に対するテスト
●load and shift test
●sulcus test
●Carterの5徴
B 肘・手関節、手
●内反・外反ストレステスト(側副靱帯ストレステスト)
●後外側回旋不安定テスト
●上腕骨外側上顆炎誘発テスト(Thomsen test、Mill test、Cozen test)
●上腕骨内側上顆炎誘発テスト
●elbow flexion test
●円回内筋症候群のテスト
●wrist extension test、wrist flexion test(Phalen test)
●Tinel sign
●Bunnel-Littler test
●Eichhoff test、Finkelstein test
●Froment sign
●scaphoid shift test
●finger extension test
●Forestier step sign
●grind test
●Gordon sign
Chapter2 下肢
A 仙腸関節
●Yeoman test
●Hibb test
●Gaenslen test
●pelvic rock test
B 股関節
1.股関節の拘縮に対するテスト
●Ober test
●Thomas hip flexion test
●Elley test
2.股関節の障害に対するテスト
●Patrick test(fabere test)
3.股関節外転筋群に対するテスト
●Duchenne sign
●Trendelenburg sign(Trendelenburg test)
●梨状筋症候群疼痛誘発試験(Freiberg test、Pace test、Solheim test)
4.小児股関節疾患に対するテスト
4-1.先天性股関節脱臼に対するテスト
●Allis sign
●Barlow test
●Ortolani click sign
●Dupuytren sign(telescoping sign)
4-2.大腿骨頭すべり症に対するテスト
●Drehmann sign
5.femoroacetabular impingementに対するテスト
●anterior impingement sign
●posterior impingement sign
C 膝関節
●外反ストレステスト(valgus stress test)
●内反ストレステスト(varus stress test)
●Apley compression test
●Apley distraction test
●apprehension test(脱臼不安感テスト)
●膝蓋骨圧迫テスト
●Bohler test
●Bragard test
●大腿四頭筋テスト(ACL)
●大腿四頭筋テスト(PCL)
●dial test(脛骨外旋テスト)
●前方引き出しテスト(anterior drawer test)
●後方引き出しテスト(posterior drawer test)
●external rotation recurvatum test(過伸展反張膝テスト)
●Jerk test
●Lachman test
●McMurray test
●Merke test
●Payr test
●pivot-shift test
●reverse pivot-shift test
●reverse Lachman test
●Slocum test
●Steinmann I test
D 足関節
●Thompson-Simmonds squeeze test
●足底筋膜炎を調べるテスト
●Morton病を調べるテスト(Morton squeeze test)
●巻き上げ機構(windlass mechanism)を調べるテスト
●前方引き出しテスト
●後方引き出しテスト
●外側安定性テスト
●内側安定性テスト
Chapter3 脊椎
A 神経学的検査
●Romberg test
●上腕二頭筋反射
●腕橈骨筋反射
●上腕三頭筋反射
●膝蓋腱反射
●アキレス腱反射
●femoral nerve stretch test(FNST、大腿神経伸展テスト)
●Hoffman reflex、Tromner reflex
●Wartenberg reflex
●scapulohumeral reflex
●膝クローヌス
●足クローヌス
●Babinski reflex
●Chaddock sign(external malleolar sign)
B 疾患別検査
1.神経根症に対するテスト
●Jackson test,Spurling test
●straight leg raising test(下肢伸展挙上テスト)
●Lasegue test
●well leg raising test(健側下肢伸展挙上テスト)
●Bragard test
●Bonnet sign
●Huftlendenstrecksteife
●wooden board sign
●Kemp test
●Minor sign
●Beevor sign
2.脊髄症に対するテスト
●10秒テスト
●finger escape sign(FES)
●triangle step test(TST、3点ステップテスト)
3.胸郭出口症候群に対するテスト
●Morley test
●Adson test
●Wright test
●3-minute elevated arm exercise test(Roos test)
●Eden test
●Allen test
●Eaton test
4.仙腸関節痛に対するテスト
●Newton test
●Williams test(fadire test)
5.心因性疼痛に対するテスト
●flip test
●Waddle non-organic sign(rotation test,axial loading test)
●Hoover test
●Burns test(bench test)
6.その他
●Lhermitte sign
●Kernig sign
●Brudzinski sign
●Homans sign
●Valsalva test
●Naffziger sign
●TFT誘発test
●swallowing test
●Dejerine sign
●3m timed up and go test(3mTUG)
●開眼片脚起立時間
索引
近年、高齢者人口の増加に伴う運動器変性疾患の増加や、スポーツ人口の増加に伴う外傷・障害の増加などを背景にして、整形外科疾患はその病状や病態が以前よりも多様化してきていると考えられます。
また、この数年における医療を取り巻く環境の変化は非常に大きいものがありますが、整形外科の分野においても、基礎研究の領域では分子生物学や生体材料工学などの目覚ましい発展により大きな技術革新や変貌を遂げております。さらに、これらの基礎研究成果に基づき、臨床の領域においても様々な高度の検査法や外科治療法が開発されてきました。
われわれ整形外科医は、手術を通して運動器疾患を克服する知識と技術を有していなければならないことは当然ですが、その前提として、的確な病態の把握と診断能力を有することが不可欠であることは論を待たないと思います。
病態の多様化・複雑化に伴い、整形外科医が習得しておくべき診断能力・治療能力もさらに高度なものが要求されるようになってきていますが、近年では、先に述べた技術革新により最新の検査機器が容易に利用できるようになった影響などから、安易に各種画像検査などにその診断の根拠を求める傾向が顕著になっているようです。しかし、病態が多様化・複雑化しているときこそ、ていねいな問診・視診・触診・理学的検査などの能力・手法の重要性が再認識されるべきではないでしょうか。
残念ながら実際には、個々の臨床現場で学ぶことが多いこれらの知識・手法は、若手医師が研修を受ける施設での症例の偏りや指導医の教育方法の違いなどから、習得レベルにばらつきが生じがちであることが危惧されます。
本書では、運動器医療を目指す初期研修医、後期研修医、医学生、セラピストなどを主な対象として、運動器疾患に関する各種徒手検査法の意義、具体的な手技を理解・習得し、運動器疾患を的確に診断する能力を高めていただき、最終的には最善の治療に結び付けていただくことを目的として企画・編集しました。
本書の特徴としまして、まずそれぞれの検査法の目的・意義を示した後に、「検査法」の項では具体的な検査手技の実際を文章で解説するのみでなく、初心者にも分かりやすく写真や図を交えて紹介してあります。次に「陽性所見」の項では、その検査で陽性と判断できる所見の状態を明示しました。さらに、従来の手技書ではあまり強調されることが少なかった点として、検査を実施する際の“コツ”や陽性所見あるいは陰性所見を的確に評価する上での“ポイント”を「ポイント・注意点」の項に記しました。そして、これらを添付のDVDにて目で見られる形で反復して学習し、確実に自分の手技として習得できるように工夫しました。本書が運動器医療を目指す若手医師や医学生、セラピストの診療能力の向上に貢献できれば望外の喜びです。
2014年10月
東京医科大学整形外科学分野主任教授 山本謙吾