理学療法スタートライン
はじめての臨床脳血管障害
編集 | : 新田收/八木麻衣子/大谷健 |
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ISBN | : 978-4-524-26011-9 |
発行年月 | : 2010年6月 |
判型 | : A5 |
ページ数 | : 238 |
在庫
定価4,180円(本体3,800円 + 税)
- 商品説明
- 主要目次
- 序文
若手理学療法士、臨床実習生が誰もが遭遇する疑問やつまずきに対処する力を養うための最初の入門書。臨床データの診方やリスク管理など必須の基本的知識に加え、脳血管障害患者に実際に理学療法を行うにあたって知っておくべき知識を時系列に沿ってわかりやすく解説。理学療法の流れを理解するためにも、知識の確認にも使える座右の書。
第1章 新人理学療法士 激闘の3ヵ月
第2章 道標となる大切な項目
臨床を行ううえでの基本事項
■コミュニケーション
1.ケース(の家族)とのコミュニケーション
2.スタッフとのコミュニケーション
■診療記録(カルテ)
3.カルテの診方
4.カルテの書き方
■臨床データの診方
5.バイタルサイン
6.血液検査データの基本的な診方
7.画像データの基本的な診方
8.モニタリングの実際
■リスク管理
9.リスクと対処法(1)
10.リスクと対処法(2)
11.リスクと対処法(3)
First Step―基礎編―
■視診・触診
12.浮腫
■加齢
13.加齢
■過用症候群
14.過用症候群
■廃用性症候群
15.廃用性症候群
■筋力
16.筋力
17.MMT(manual muscle test)
18.筋力評価(MMT以外)
19.筋力と歩行能力との関連
20.筋力とADL能力との関連
21.筋力トレーニングの実際
■バランス能力
22.バランス能力
23.バランス能力評価
24.バランス能力低下の原因
25.バランス能力と歩行能力・ADL能力との関連
26.バランス練習の実際
■関節可動域(ROM)
27.ROM(range of motion)
28.ROM制限とADL
29.ROMエクササイズの実際
■歩行
30.歩行
31.歩行能力とimpairment因子の関連
32.客観的な筋力値と歩行能力の関連―健常高齢者による検討
33.歩行補助具の処方
■日常生活動作(ADL)
34.ADL評価
■認知機能
35.認知機能
■体力
36.体力
■持久力
37.持久力
Second Step―脳血管障害―
■脳血管障害の病態
38.脳血管障害
39.脳血管障害の画像診断
40.損傷部位と障害
41.高次脳機能障害
■脳血管障害患者における評価項目
42.評価の重要性
43.脳血管障害患者における評価項目
44.運動麻痺の診方
45.運動失調の診方
46.筋緊張の診方
47.感覚障害の診方
48.高次脳機能障害の診方
49.脳血管障害評価における筋力の診方
50.バランス反応(姿勢反射)の診方
51.座位保持能力の評価
52.立位保持能力の評価
53.起居動作・移乗能力の評価
54.歩行能力の評価
55.ADL能力の評価
56.上肢機能
57.脳血管障害における痛み
■問題点の導き方と統合の仕方
58.問題点の抽出
59.問題点の整理
60.問題点の統合
■脳血管障害患者の予後予測
61.脳血管障害患者の予後予測
62.歩行能力の予後を規定する因子
63.ADL能力の予後を規定する因子
64.在宅復帰の可否を規定する因子
65.脳血管障害患者におけるSTG、LTGの考え方
■脳血管障害における理学療法の実際
66.言語・指示理解(1)―注意障害がある場合
67.言語・指示理解(2)―高次脳機能障害がある場合
■急性期の離床
68.急性期の離床(1)
69.急性期の離床(2)
■急性期のリハビリテーション
70.リスク管理の実際
71.基本動作練習の概要
72.立ち上がり・立位保持
73.歩行の指導
74.起居動作・移乗動作
■回復期のリハビリテーション
75.リスク管理の実際
76.ADL指導の実際
77.装具処方の実際
78.車いすの処方
79.ADL把握の重要性
80.退院準備
81.退院時指導
■維持期のリハビリテーション
82.維持期のリハビリテーション
■脳血管疾患における合併症のリハビリテーションへの影響
83.脳血管障害患者における内部障害系の合併症
84.脳血管障害患者における運動器系の合併症
85.最終評価と評価のまとめ
■プレゼンテーション
86.ケース会議資料の作成の仕方
87.ケース会議でのプレゼンテーションの仕方
88.リハビリテーション報告書の作成
89.理学療法スタッフに対するプレゼンテーションの仕方
第3章 スーパーバイザーからのメッセージ
索引
お手に取っていただきありがとうございます。本書は、臨床に出られる読者の皆さんの道案内として編集いたしました。
臨床に出ることは、誰にとっても不安を感じるものです。“ゴッドハンド”と呼ばれる臨床家にも、逃げ出したくなったデビューの日があったはずです。ケーシーを着て生まれてきたような大先輩も、よちよち歩きの新人時代を通り過ぎてきているのです。
もし、理学療法士として現場に出ることの怖さから本書を手に取ったのだとしたら、心配することはありません、大丈夫です。これからは僕らがいつもそばにいます。
本書では新人理学療法士 高田三四郎を登場させました。三四郎は、あなたに代わって激闘の日々を体験します。
三四郎は学生時代、クラスメイトとともに実技試験や臨床実習を乗り切ってきました。お世辞にも、クラスでトップの成績だったというわけではなく、本人は卒業できたのも奇跡だと思っています。ストーリーは、あこがれの病院勤めの前夜から始まります。大きな不安の中で臨床現場がスタートします。学生時代、いつもそばにいたクラスメイトも今はいません。みんな、それぞれ新人生活を必死の思いで送っているのです。この難局を、三四郎は自力で乗り切らなくてはなりません。
こんな就職前夜の不安は、誰もが感じるものです。学生時代に成績が抜群の秀才でも、サークル活動で抜群のリーダーシップを発揮したキャプテンでも同じです。みんなスタートラインに立っているのです。
臨床現場では、これまで体験しなかった速さでスケジュールが経過していきます。立ち止まっていることはできません。次々と担当が決まり、評価をし、プログラムを立案し、これを実行、再評価します。課題は途切れることがありません。責任が重くのしかかり、溺れそうになるかもしれません。
少し脅かしすぎました。実は、臨床現場にもたくさんの援軍がいます。先輩や上司はもちろんなんでも話せる同僚がそれです。本当に困った時はきっと誰かが見ていて助けてくれます。患者さんやご家族も見守っていてくれます。そして、僕らもついています。
まずはページをめくってください。あなたに代わって、三四郎が次々と問題にぶつかります。これは臨床現場を知るための疑似体験です。問題点解決のヒントは、第2章に用意しました。繰り返し読んでください。臨床の基本を網羅してあります。第3章は先輩からのアドバイスだと思ってください。執筆陣の新人時代の思い出も、コラムとして盛り込みました。
本書が、スタートラインについた皆さんのお役に立てることを信じています。
2010年5月
編集者一同