神経内科専門医試験問題 解答と解説
編集 | : 日本神経学会 |
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ISBN | : 978-4-524-25998-4 |
発行年月 | : 2017年3月 |
判型 | : B5 |
ページ数 | : 238 |
在庫
定価5,500円(本体5,000円 + 税)
- 商品説明
- 主要目次
- 序文
- 書評
日本神経学会編集による神経内科専門医試験筆記試験の過去問題集。2013〜2015年出題分より約200題を精選し、各設問の解答と解説を示す。神経内科診療に携わる医師の専門知識の維持・向上にも役立つのはもちろん、神経内科医以外の内科医、特に内科専門医試験を目指す内科医の勉強にも有用な一冊。
T 必修問題
U 一般問題
V 症例問題
索引
序文
今回、日本神経学会では、神経内科専門医試験受験者を主たる対象として、「問題集とその解説」を刊行することとなりました。
神経内科専門医試験は、数ある専門医試験の中でも歴史の古いものであり、またかなり難しいと言われている試験です。本試験では、これまで出題された内容は公開してきませんでした。しかし、どのような内容がどのような形で出題されているかを、一部でも公開するほうがこれから受験する方たちの学習の助けになると考えられることから、今回の刊行となったわけです。
本書は、専門医テキスト作成準備特別委員会により企画の概要を決定し、各分野の先生方に実際の執筆をお願いしました。具体的には2013年から2015年の3年間の神経内科専門医試験から一部の問題を選び、簡潔な解説を加えることとしました。ただ、問題によっては出題された問題そのものではなく、若干の改変を加えたものもあります。その後、上記特別委員会の委員による査読を経て最終稿としました。
いま全国に約5,600人の神経内科専門医がいて(2016年12月現在)、医療の現場で活躍中です。しかし、これからのわが国の高齢化を考えると、認知症・脳血管障害・パーキンソン病など神経内科の担当する疾患の症例数が増えることが予想されることから、まだまだ神経内科専門医が充足しているとはいえない状況です。本書が、これから神経内科専門医試験を受験する方たちの役に立ち、専門医数の増加を通じて国民の健康福祉の増進につながることを願っています。
また、現代の医学は日進月歩です。神経内科の領域ではとくにその進歩は急速なものがあります。既に神経内科専門医の資格を取得された方々にとっても、新しい知識の整理に、本書は大変有用であると考えています。
本書の作成にあたって、多くの先生方にお忙しい中でご執筆いただきました。また専門医テキスト作成準備特別委員会の先生方にも、査読や編集の作業にご尽力いただきました。さらに南江堂編集部の方々には、企画の段階から、多くの有益なご助言をいただき、本書の刊行を実現していただきました。これら関係の方々に心より感謝申し上げたいと思います。
2017年2月
日本神経学会専門医テキスト作成準備特別委員会 委員長
楠進
2017年3月に待望の『神経内科専門医試験問題 解答と解説』が刊行された。日本神経学会は1966年に認定医制度の導入を決め、1975年に第一回目の試験が開始されている。その特徴は、このように長い歴史があり、この間、歴代の認定委員長と委員がさまざまな工夫を重ねてきていることである。また、最初から筆記試験・画像試験のみでなく3名の試験委員による面接試験も行われたことであり、現在、面接試験は連続して2組の試験委員から各々実際の診察に関わる過程と診察手技をきちんと評価されている。筆記試験には必修問題、一般問題、症例問題が100題ずつあり、非常に数が多いことでも知られている。
この試験問題を公開してほしいという声は前からあったが、このたび、ここにその一部を公開し、解答と解説を示したことは、その要望に応え、神経内科専門医を目指す神経内科医の皆さんに非常に役立つものと期待される。一部といっても、必修問題65題、一般問題130題、症例問題156題、合計では351題と多数の問題が取り上げられている。それぞれ広範囲にわたる神経疾患について適切に分布しており、一つ一つが含蓄ある良問となっている。
受験者はこの解説集を学ぶことで、単なる知識のみならず、問題の捉え方、背景となる多くの知見、出題者の意図などを身につけることができると思われる。もちろん、受験には必須の書籍の一つであるが、それに留まらず、日々の診療においてさまざまに役立つことは間違いない。このような特徴から、専門医試験の受験者のみならず、神経内科医を目指して研修を始める皆さんにも、トレーニングのポイントを学ぶという意味で大変役立つと思われる。通読するのもよし、日々の診療のなかで経験した症例や所見に関わる問題を選んで勉強するのもよいと思われる。そのうえで助かるのは巻末に英文と和文で4ページにわたる索引があることであり、本書の利用価値を高めている。
そのほか、すでに神経内科専門医として活躍している方々にとっても役立つと思われる。筆者は長く大学に勤務したが、さまざまな形で神経系と神経疾患に関わる試験問題の作成を求められる機会は多い。多くの神経内科医にとっては、何よりも神経内科専門医試験のための問題作成も依頼されるはずであり、その際には心強い参考書になってくれると期待される。神経内科専門医を目指す受験生と神経内科の研修を始めた方々はもちろんのこと、すでに神経内科専門医として活躍されている先生方にも本書を活用していただくことを期待したい。
最後に、本書の作成を決断された高橋良輔代表理事と執行部、ならびに実際の作成を担った楠進委員長をはじめとする12名の専門医テキスト作成準備特別委員会の委員の皆様、44名に及ぶ執筆者の皆様に心より敬意を表する次第である。
臨床雑誌内科121巻1号(2018年1月号)より転載
評者●国立精神・神経医療研究センター理事長・総長 水澤英洋